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繰り返しの理由(GL注意)
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「どうして…」
私は涙を流す。彼は私に刃を突き立てた。
「何回、これを繰り返すんだろう」
私はまた、幼い頃にループした。
目がさめる。またあの夢を見た。また、今回のループでもああなるのだろうか。
私は、婚約者にいつも殺される。彼は非常に嫉妬深くて、ちょっと他の男性とお話するだけであの悲劇が起きる。もういい加減、愛情も底をつきた。あるのは彼への恐怖だけ。
「でも、せめてループさえしなければ」
そう、死んで終わりだったらよかった。でも、何故か幼い日に巻き戻るループを繰り返してしまう私。もうこれで三十回目のループになる。
「怖いよ…」
私は、膝を抱えて一人で泣いた。
「…婚約者が、変わる?」
「そうなの。ごめんね、エヴァ」
願ったり叶ったりだが、どうして?
「理由を聞いてもいいですか?」
「貴女の元婚約者の彼が、同盟国のお姫様のお婿さんになることが急遽決まったの。お姫様からの要望だから、これはもうどうしようもないわ」
よかった…!これで殺されずに済む!!!
「わかりました。新しい婚約者はどなたですか?」
「聖王猊下のお孫さんよ」
「え?」
それはいつものループで、死の直前まで私を心配してくれていた女友達だった。
うちの国では政治的な云々とかなんとかで貴族や聖職者の場合のみ、同性婚が認められている。だからこの婚約には、何も問題ないのだけど。
「あの、ファイエット様」
「なんだ」
「えっと、なんかすごいことになっちゃいましたね」
私がそう言えば、彼女はちらりと目線を寄越す。
「私との婚約は不満か?」
「いえ!…むしろ、その」
「?」
「嬉しくて…」
えへへとだらしなく頬を緩めてしまう。そう、私的にはとても嬉しい。死なずに済むからももちろんあるけれど、なにより彼女は私の一番大切な人だから。
「…ふん、当然だ。私がこんなにも努力してもぎ取った婚約なのだから」
「え」
「お前のためならば、そのくらい朝飯前だ」
ツンケンしつつも甘々なファイエット様に、蕩けて落っこちそうな頬がさらに緩むのを感じる。
「オルタンス」
「はい、ファイエット様」
「もう、私のそばを離れるなよ」
「?…はい!」
今回の人生は、幸せになれそうです。
何回も繰り返した。可愛いオルタンス。私の唯一の友達。周りは私の権力しか見ていない取り巻きばかりの中で、あの子だけは私を私としてみてくれた。
なのに、あの子は嫉妬深くて陰湿な婚約者に殺された。
私は、お祖父様から教わっていた時の魔法を使って何度も何度もオルタンスを救おうと人生を繰り返した。
「それでも、何回も死なせてしまったのはやはり後悔しかないけれど」
オルタンスを守るためには、あの婚約者を遠ざけないといけない。そして今回の人生で、ようやくそれに成功した。
ついでだと思って、私とオルタンスの婚約もゴリ押ししておいた。だって、下手な男にはオルタンスを任せられないから。
この婚約はただそれだけの理由だったのに、オルタンスが本当に嬉しそうにするから。苦労して婚約を結んで本当に良かったとホッとする。
「…今度こそ守る」
改めてそう誓って、日記帳を閉じる。これからは、幸せな日々を綴ることが出来ればいい。
私は涙を流す。彼は私に刃を突き立てた。
「何回、これを繰り返すんだろう」
私はまた、幼い頃にループした。
目がさめる。またあの夢を見た。また、今回のループでもああなるのだろうか。
私は、婚約者にいつも殺される。彼は非常に嫉妬深くて、ちょっと他の男性とお話するだけであの悲劇が起きる。もういい加減、愛情も底をつきた。あるのは彼への恐怖だけ。
「でも、せめてループさえしなければ」
そう、死んで終わりだったらよかった。でも、何故か幼い日に巻き戻るループを繰り返してしまう私。もうこれで三十回目のループになる。
「怖いよ…」
私は、膝を抱えて一人で泣いた。
「…婚約者が、変わる?」
「そうなの。ごめんね、エヴァ」
願ったり叶ったりだが、どうして?
「理由を聞いてもいいですか?」
「貴女の元婚約者の彼が、同盟国のお姫様のお婿さんになることが急遽決まったの。お姫様からの要望だから、これはもうどうしようもないわ」
よかった…!これで殺されずに済む!!!
「わかりました。新しい婚約者はどなたですか?」
「聖王猊下のお孫さんよ」
「え?」
それはいつものループで、死の直前まで私を心配してくれていた女友達だった。
うちの国では政治的な云々とかなんとかで貴族や聖職者の場合のみ、同性婚が認められている。だからこの婚約には、何も問題ないのだけど。
「あの、ファイエット様」
「なんだ」
「えっと、なんかすごいことになっちゃいましたね」
私がそう言えば、彼女はちらりと目線を寄越す。
「私との婚約は不満か?」
「いえ!…むしろ、その」
「?」
「嬉しくて…」
えへへとだらしなく頬を緩めてしまう。そう、私的にはとても嬉しい。死なずに済むからももちろんあるけれど、なにより彼女は私の一番大切な人だから。
「…ふん、当然だ。私がこんなにも努力してもぎ取った婚約なのだから」
「え」
「お前のためならば、そのくらい朝飯前だ」
ツンケンしつつも甘々なファイエット様に、蕩けて落っこちそうな頬がさらに緩むのを感じる。
「オルタンス」
「はい、ファイエット様」
「もう、私のそばを離れるなよ」
「?…はい!」
今回の人生は、幸せになれそうです。
何回も繰り返した。可愛いオルタンス。私の唯一の友達。周りは私の権力しか見ていない取り巻きばかりの中で、あの子だけは私を私としてみてくれた。
なのに、あの子は嫉妬深くて陰湿な婚約者に殺された。
私は、お祖父様から教わっていた時の魔法を使って何度も何度もオルタンスを救おうと人生を繰り返した。
「それでも、何回も死なせてしまったのはやはり後悔しかないけれど」
オルタンスを守るためには、あの婚約者を遠ざけないといけない。そして今回の人生で、ようやくそれに成功した。
ついでだと思って、私とオルタンスの婚約もゴリ押ししておいた。だって、下手な男にはオルタンスを任せられないから。
この婚約はただそれだけの理由だったのに、オルタンスが本当に嬉しそうにするから。苦労して婚約を結んで本当に良かったとホッとする。
「…今度こそ守る」
改めてそう誓って、日記帳を閉じる。これからは、幸せな日々を綴ることが出来ればいい。
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