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ヤンデレになるかならないかの綱渡り
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「ジスラン様ー!」
「お、きたきた」
今日は大好きな婚約者、ジスラン様とのデートの日。気合いを入れてメイクをして、髪を巻いておしゃれをしてきた!
「おはよう、エステル。良い朝だね」
「おはようございます、ジスラン様!今日も一段とお美しいです!」
「君もとても可愛いよ。おしゃれ、してきてくれたんだね。嬉しい」
ジスラン様は私のおでこにキスをしてくれる。
「じゃあ、行こうか」
「はい!」
今日はジスラン様との最後のデート。楽しい思い出を作って帰ろう。
「デート、楽しかったです!ジスラン様、大好きです!」
「ふふ、僕も大好きだよ」
ジスラン様は、優しい。ジスラン様は、私を愛してくれる。でも、それは私が彼の婚約者だから。彼は義務で、そうしてくれているだけ。
今日は彼を、解放しようと思う。
「ジスラン様、愛してます」
「僕もだよ。早く結婚したいね」
「そのことなのですが」
「?…どうかした?そんな苦しそうな顔をして。具合悪いのかい?膝を貸すから少し休んでいいよ。ほら、おいで」
「ジスラン様…」
手を差し伸べてくださるジスラン様に縋りたくなる気持ちを抑え、私は別れを告げる。
「ジスラン様、別れてください」
「…え?」
「婚約は解消しましょう」
私がそう言うと、ジスラン様は何故だかとても悲しそうな顔をした。
「…どうして。僕はなにか、君を不安にさせたかな。不満があるなら言って?直すよ、君が嫌がるような僕なんていらないから。だから、別れる必要なんてないだろう?」
「ジスラン様…でも、隣国の皇女殿下から婚約の申し出があったのですよね」
「どうして君がそれを知っているの」
ジスラン様の目が鋭くなる。こんな表情のジスラン様は見たことがなくて、不覚にもときめいた。そんな場合じゃないのに。
「えっと。人伝に聞いたというか」
「余計なことをしてくれる」
怒ってるジスラン様も素敵。やっぱり私はこの人が好きなのだと再確認して、胸が苦しくなる。
「とにかく。僕は別れる気はないよ」
「え、でも」
「あのわがまま皇女には既に他に男がいる」
「え」
「僕が紹介した男だよ。だからもう僕達の仲を邪魔する者はいない。ね、別れる必要ないでしょう?」
ジスラン様の言葉に困惑する。皇女殿下とジスラン様は相思相愛で、私が邪魔だったのではないの?
「ねえ、エステル。僕の言葉が信じられない?」
「そ、そんなことありません!」
「じゃあ、もう別れるなんて言わないよね?」
なぜかすごく、ここで余計なことを言ってはいけない気がした。
「…は、はい」
「良い子。じゃあ、このまま結婚の話も進めちゃおうか」
「え」
「もう二度と別れようなんて思わないように、ね」
いつも通り優しく微笑んでくれるジスラン様なのに、なんだか私の知らない人みたいだった。けれど、それでもやっぱり大好きなのだから私もどうしようもないと思うけど。
後日。ジスラン様と皇女殿下のことを教えてくれた男友達に土下座で謝られたのは衝撃的だった。
「お、きたきた」
今日は大好きな婚約者、ジスラン様とのデートの日。気合いを入れてメイクをして、髪を巻いておしゃれをしてきた!
「おはよう、エステル。良い朝だね」
「おはようございます、ジスラン様!今日も一段とお美しいです!」
「君もとても可愛いよ。おしゃれ、してきてくれたんだね。嬉しい」
ジスラン様は私のおでこにキスをしてくれる。
「じゃあ、行こうか」
「はい!」
今日はジスラン様との最後のデート。楽しい思い出を作って帰ろう。
「デート、楽しかったです!ジスラン様、大好きです!」
「ふふ、僕も大好きだよ」
ジスラン様は、優しい。ジスラン様は、私を愛してくれる。でも、それは私が彼の婚約者だから。彼は義務で、そうしてくれているだけ。
今日は彼を、解放しようと思う。
「ジスラン様、愛してます」
「僕もだよ。早く結婚したいね」
「そのことなのですが」
「?…どうかした?そんな苦しそうな顔をして。具合悪いのかい?膝を貸すから少し休んでいいよ。ほら、おいで」
「ジスラン様…」
手を差し伸べてくださるジスラン様に縋りたくなる気持ちを抑え、私は別れを告げる。
「ジスラン様、別れてください」
「…え?」
「婚約は解消しましょう」
私がそう言うと、ジスラン様は何故だかとても悲しそうな顔をした。
「…どうして。僕はなにか、君を不安にさせたかな。不満があるなら言って?直すよ、君が嫌がるような僕なんていらないから。だから、別れる必要なんてないだろう?」
「ジスラン様…でも、隣国の皇女殿下から婚約の申し出があったのですよね」
「どうして君がそれを知っているの」
ジスラン様の目が鋭くなる。こんな表情のジスラン様は見たことがなくて、不覚にもときめいた。そんな場合じゃないのに。
「えっと。人伝に聞いたというか」
「余計なことをしてくれる」
怒ってるジスラン様も素敵。やっぱり私はこの人が好きなのだと再確認して、胸が苦しくなる。
「とにかく。僕は別れる気はないよ」
「え、でも」
「あのわがまま皇女には既に他に男がいる」
「え」
「僕が紹介した男だよ。だからもう僕達の仲を邪魔する者はいない。ね、別れる必要ないでしょう?」
ジスラン様の言葉に困惑する。皇女殿下とジスラン様は相思相愛で、私が邪魔だったのではないの?
「ねえ、エステル。僕の言葉が信じられない?」
「そ、そんなことありません!」
「じゃあ、もう別れるなんて言わないよね?」
なぜかすごく、ここで余計なことを言ってはいけない気がした。
「…は、はい」
「良い子。じゃあ、このまま結婚の話も進めちゃおうか」
「え」
「もう二度と別れようなんて思わないように、ね」
いつも通り優しく微笑んでくれるジスラン様なのに、なんだか私の知らない人みたいだった。けれど、それでもやっぱり大好きなのだから私もどうしようもないと思うけど。
後日。ジスラン様と皇女殿下のことを教えてくれた男友達に土下座で謝られたのは衝撃的だった。
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