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ショタジジイと一緒に平民達への施しを
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「んん…」
「起きたか?おはよう、イザベル」
「おはようございます、ユルリッシュ様…ふぁ」
「ふふ、まだ眠いか?」
「んー、少しだけ」
せっかく起きたのに、瞼が重い。
「眠り姫には、王子様のキスが必要だな」
「…?」
チュッと軽いリップノイズ。柔らかな感触に、目が覚めた。
「わわわわわわ!ユルリッシュ様ったら!」
「ほら、目が覚めただろう?」
「もう!」
「ははは!」
子供姿のユルリッシュ様にそういうことをされると、なんとなくいけないことをしている気分になるので心臓に悪い。せめて大人姿でして欲しい。
それはそれとして、可愛いと思ってしまう甘い自分もいるんだけど。
「さあ、朝の支度をしてしまおう」
「はい、ユルリッシュ様」
ユルリッシュ様の侍従と、リリーを呼んでサクッと身支度を済ませる。朝ごはんも一緒に食べて、そうすると夫婦になったんだなぁと少しだけ実感した。
「さて、じゃあ平民達に我が妻のお披露目と行こうか」
「私は何をすればいいでしょうか」
「俺の仕事の大体の流れはわかるか?」
ユルリッシュ様の聖王としてのお仕事。午前中は平民達に向けての施しの時間。
平民達は私達皇族や貴族とは違って、魔力が少ない。そのため平民向けの治癒術師も当然貴族向けの治癒術師よりレベルが下がる。
どうしても平民向けの治癒術師では治しきれない怪我や病気を、聖王の光魔法で完全に治癒するのがユルリッシュ様のお役目。ただし、多額のお布施が必要になるので平民の中でも裕福な家庭しか受けられないけれど。
それでも貴族向けの治癒術師にお願いするよりは、もちろん安い。一応教会から平民達への施しではあるから。
午後は、星辰語の魔法書や神学書の翻訳。物によってはかなり重要な書籍の翻訳もあるので、国のために一番大切なお仕事だ。
「午前中は平民達への施し、午後は星辰語の翻訳です」
「その通りだ。イザベルにはこれから、その両方を手伝ってもらう」
「…頑張ります!」
まあつまり、光魔法で平民達に治癒を施して、星辰語の翻訳をするということだ。私なら出来る。大丈夫。
「じゃあ、早速まずは平民達への施しから始めようか」
「はい!」
ユルリッシュ様に連れられて、大聖堂に集まった平民の前に出る。
「皆に告ぐ!私は良き伴侶を得た!妻にならなければ聖女にしてもいいくらいの実力者だ!今日から妻にもお前たちの治癒を手伝ってもらうことになっている!異論はないな?」
ユルリッシュ様の言葉に、平民達はどう反応するだろうと怖かった。
でも、帰ってきたのは温かな祝福の言葉だった。
「ご結婚おめでとうございます!聖王猊下、聖妃様!」
「おめでとうございます!」
「聖王猊下万歳!聖妃様万歳!」
「治癒をよろしくお願いします!」
ちらりとユルリッシュ様を伺えば、頷いてくれた。なので、大聖堂内の広範囲に一気に光魔法を発動する。傷や病の症状が目に見えている人達は、それが治ったのがわかる。見えない怪我や病気の人も、表情が明るくなったので大丈夫だろう。
「聖妃様万歳!」
「ありがとうございます!」
「こんなに一気に治るなんて!」
…どうやら、役には立てたらしい。
「ほら、いつまでもここに残っていたら他の患者が入れないだろう。交代しろ」
「はい、聖王猊下!ありがとうございました!」
みんな口々にお礼を言って、大聖堂を出て行く。入れ替わるようにまた患者達が入ってきた。
「…ユルリッシュ様」
「なんだ?」
「数が多いと思うのですが」
「気付いたか?」
にんまりと笑うユルリッシュ様。まさか。
「お布施してない人もこっそりいますか?」
「お金がない平民達やスラムの棄民達もこっそり受け入れている。こっそり、な。まあ、ちゃんとお布施を払ってる平民達も文句はあるだろうが黙認してくれているし大丈夫だろう」
なるほど、通りで。
「ただし、いずれも平民向けの治癒術師の手に余る症状の者に限るがな。治癒術師の仕事を奪っては、意味がない」
「そうですね」
その辺はきっちりと線引きがあるらしい。
「俺とイザベルで、交代で光魔法を使っていこう。…出来るよな?」
「お任せください」
「我が妻は頼もしい限りだ」
ということで、午前中はずっと光魔法を使い続けた。終わる頃には魔力切れでヘトヘト。毎日これを一人でこなしていたなんて、ユルリッシュ様はすごい。
「よく頑張ったな、イザベル」
「えへへ。ありがとうございます、ユルリッシュ様」
「少し休んでから、星辰語の翻訳を始めようか」
「はい!」
ということで、午後。お昼ご飯を食べつつ労いあって、少し休憩にお昼寝を挟むことになった。
「起きたか?おはよう、イザベル」
「おはようございます、ユルリッシュ様…ふぁ」
「ふふ、まだ眠いか?」
「んー、少しだけ」
せっかく起きたのに、瞼が重い。
「眠り姫には、王子様のキスが必要だな」
「…?」
チュッと軽いリップノイズ。柔らかな感触に、目が覚めた。
「わわわわわわ!ユルリッシュ様ったら!」
「ほら、目が覚めただろう?」
「もう!」
「ははは!」
子供姿のユルリッシュ様にそういうことをされると、なんとなくいけないことをしている気分になるので心臓に悪い。せめて大人姿でして欲しい。
それはそれとして、可愛いと思ってしまう甘い自分もいるんだけど。
「さあ、朝の支度をしてしまおう」
「はい、ユルリッシュ様」
ユルリッシュ様の侍従と、リリーを呼んでサクッと身支度を済ませる。朝ごはんも一緒に食べて、そうすると夫婦になったんだなぁと少しだけ実感した。
「さて、じゃあ平民達に我が妻のお披露目と行こうか」
「私は何をすればいいでしょうか」
「俺の仕事の大体の流れはわかるか?」
ユルリッシュ様の聖王としてのお仕事。午前中は平民達に向けての施しの時間。
平民達は私達皇族や貴族とは違って、魔力が少ない。そのため平民向けの治癒術師も当然貴族向けの治癒術師よりレベルが下がる。
どうしても平民向けの治癒術師では治しきれない怪我や病気を、聖王の光魔法で完全に治癒するのがユルリッシュ様のお役目。ただし、多額のお布施が必要になるので平民の中でも裕福な家庭しか受けられないけれど。
それでも貴族向けの治癒術師にお願いするよりは、もちろん安い。一応教会から平民達への施しではあるから。
午後は、星辰語の魔法書や神学書の翻訳。物によってはかなり重要な書籍の翻訳もあるので、国のために一番大切なお仕事だ。
「午前中は平民達への施し、午後は星辰語の翻訳です」
「その通りだ。イザベルにはこれから、その両方を手伝ってもらう」
「…頑張ります!」
まあつまり、光魔法で平民達に治癒を施して、星辰語の翻訳をするということだ。私なら出来る。大丈夫。
「じゃあ、早速まずは平民達への施しから始めようか」
「はい!」
ユルリッシュ様に連れられて、大聖堂に集まった平民の前に出る。
「皆に告ぐ!私は良き伴侶を得た!妻にならなければ聖女にしてもいいくらいの実力者だ!今日から妻にもお前たちの治癒を手伝ってもらうことになっている!異論はないな?」
ユルリッシュ様の言葉に、平民達はどう反応するだろうと怖かった。
でも、帰ってきたのは温かな祝福の言葉だった。
「ご結婚おめでとうございます!聖王猊下、聖妃様!」
「おめでとうございます!」
「聖王猊下万歳!聖妃様万歳!」
「治癒をよろしくお願いします!」
ちらりとユルリッシュ様を伺えば、頷いてくれた。なので、大聖堂内の広範囲に一気に光魔法を発動する。傷や病の症状が目に見えている人達は、それが治ったのがわかる。見えない怪我や病気の人も、表情が明るくなったので大丈夫だろう。
「聖妃様万歳!」
「ありがとうございます!」
「こんなに一気に治るなんて!」
…どうやら、役には立てたらしい。
「ほら、いつまでもここに残っていたら他の患者が入れないだろう。交代しろ」
「はい、聖王猊下!ありがとうございました!」
みんな口々にお礼を言って、大聖堂を出て行く。入れ替わるようにまた患者達が入ってきた。
「…ユルリッシュ様」
「なんだ?」
「数が多いと思うのですが」
「気付いたか?」
にんまりと笑うユルリッシュ様。まさか。
「お布施してない人もこっそりいますか?」
「お金がない平民達やスラムの棄民達もこっそり受け入れている。こっそり、な。まあ、ちゃんとお布施を払ってる平民達も文句はあるだろうが黙認してくれているし大丈夫だろう」
なるほど、通りで。
「ただし、いずれも平民向けの治癒術師の手に余る症状の者に限るがな。治癒術師の仕事を奪っては、意味がない」
「そうですね」
その辺はきっちりと線引きがあるらしい。
「俺とイザベルで、交代で光魔法を使っていこう。…出来るよな?」
「お任せください」
「我が妻は頼もしい限りだ」
ということで、午前中はずっと光魔法を使い続けた。終わる頃には魔力切れでヘトヘト。毎日これを一人でこなしていたなんて、ユルリッシュ様はすごい。
「よく頑張ったな、イザベル」
「えへへ。ありがとうございます、ユルリッシュ様」
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