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食べることが好き
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ニノンは食べることが好きである。
孤児院にいた頃は、硬いパンと味の薄いスープしかでなかったため、公爵家の食事は最初は味が濃く感じて仕方がなかった。だが、段々と舌が慣れるに従って公爵家の贅を凝らした食事が大好きになった。
「パパ!今日はハンバーグがいい!」
「目玉焼きは乗せるか?」
「うん!」
「シェフに伝えろ」
「はい、公爵閣下」
なかでもお気に入りなのは、ハンバーグである。ニノンは目玉焼きの乗ったハンバーグを好む。トロッとした黄身をソースのようにつけて食べるのがお気に入りだ。
「チーズインハンバーグも好きそうだな」
「チーズインハンバーグ?」
「中にトロトロのチーズの入ったハンバーグだ」
「食べたい!」
「ハンバーグ二つ食べられるか?」
「うん!」
キラキラと輝く瞳でファルマンを見つめるニノン。ファルマンは命じる。
「今日のハンバーグは目玉焼きハンバーグとチーズインハンバーグの二種類を出せ。その分大きさは調整していい」
「シェフに伝えて参ります」
ジャックはその場を離れる。ファルマンはニノンを膝の上に乗せ、言った。
「専属の侍女に不満はないか?」
「ローズは優しいから好き!」
ローズと呼ばれたニノンの専属の侍女は、ファルマンの視線を受け頭を下げた。
「お前の専属の侍女には、あとで褒美を与える」
「うん!ローズはね、とってもとっても親切だからいっぱいあげてね!」
「お前がそこまで気に入っているならば、何か特別なものをくれてやらないとな」
恐縮しきりのローズは、なにかえらいことになっていると察しながらもなにも言えなかった。
しばらくするとジャックが戻ってきた。
「公爵閣下。シェフに伝えて参りました」
「そうか、ご苦労」
「今日は二種のハンバーグが出ますよ。よかったですね、ニノンお嬢様」
「うん!」
その後、執務に取り掛かるファルマンの膝の上でニノンはハンバーグを楽しみに大人しく過ごしていた。
「わあ…!ハンバーグが二つ!」
夕食のため食堂に向かったファルマンとニノン。ニノンがファルマンに抱き上げられ子供用の椅子に座らせられる。ファルマンもニノンの正面に座る。二人が座ったことで、給仕の女性が食事を運んだ。ニノンの目の前には、小さめのハンバーグが二つ、皿の上に乗せられていた。
「パパ!二つ!」
「よかったな。食べてみろ」
「いただきます!」
「いただきます」
まずは定番の目玉焼きハンバーグから一口食べるニノン。その頬がゆるゆる緩むのを見てファルマンは微笑む。
「美味しいか?」
「うん!パパ、大好き!シェフさんも大好き!」
ニノンの言葉に、控えていたシェフは思わずガッツポーズ。そうとは知らないニノンは続けてチーズインハンバーグを口に運ぶ。
「ふわぁ!これ美味しい!」
「気に入ったなら、次からは毎回二種類のハンバーグを出させるか?」
「うん!チーズもトロトロで美味しいもん!」
「だそうだ」
シェフはファルマンの視線を受け、心得たと頭を下げた。その後も美味しい美味しいと食べるニノン。ファルマンとのお風呂タイムでも、ずっと美味しかったとはしゃいでいた。
「はあ…今日も幸せだったよ。パパ、大好き。いい夢みてね」
「ああ。ニノンも、いい夢を見てくれ」
ファルマンがニノンの額にキスをする。悪夢を払うおまじないだ。ニノンもファルマンに屈んでもらい、ファルマンの額にキスをした。
「えへへ。おやすみ、パパ」
「おやすみ、ニノン」
かなり大きい天蓋付きのベッドで、ニノンはファルマンにぴったりとくっついて眠る。そんなニノンにファルマンは優しく微笑んで背中をトントンと叩いて眠りを促してあげていた。
孤児院にいた頃は、硬いパンと味の薄いスープしかでなかったため、公爵家の食事は最初は味が濃く感じて仕方がなかった。だが、段々と舌が慣れるに従って公爵家の贅を凝らした食事が大好きになった。
「パパ!今日はハンバーグがいい!」
「目玉焼きは乗せるか?」
「うん!」
「シェフに伝えろ」
「はい、公爵閣下」
なかでもお気に入りなのは、ハンバーグである。ニノンは目玉焼きの乗ったハンバーグを好む。トロッとした黄身をソースのようにつけて食べるのがお気に入りだ。
「チーズインハンバーグも好きそうだな」
「チーズインハンバーグ?」
「中にトロトロのチーズの入ったハンバーグだ」
「食べたい!」
「ハンバーグ二つ食べられるか?」
「うん!」
キラキラと輝く瞳でファルマンを見つめるニノン。ファルマンは命じる。
「今日のハンバーグは目玉焼きハンバーグとチーズインハンバーグの二種類を出せ。その分大きさは調整していい」
「シェフに伝えて参ります」
ジャックはその場を離れる。ファルマンはニノンを膝の上に乗せ、言った。
「専属の侍女に不満はないか?」
「ローズは優しいから好き!」
ローズと呼ばれたニノンの専属の侍女は、ファルマンの視線を受け頭を下げた。
「お前の専属の侍女には、あとで褒美を与える」
「うん!ローズはね、とってもとっても親切だからいっぱいあげてね!」
「お前がそこまで気に入っているならば、何か特別なものをくれてやらないとな」
恐縮しきりのローズは、なにかえらいことになっていると察しながらもなにも言えなかった。
しばらくするとジャックが戻ってきた。
「公爵閣下。シェフに伝えて参りました」
「そうか、ご苦労」
「今日は二種のハンバーグが出ますよ。よかったですね、ニノンお嬢様」
「うん!」
その後、執務に取り掛かるファルマンの膝の上でニノンはハンバーグを楽しみに大人しく過ごしていた。
「わあ…!ハンバーグが二つ!」
夕食のため食堂に向かったファルマンとニノン。ニノンがファルマンに抱き上げられ子供用の椅子に座らせられる。ファルマンもニノンの正面に座る。二人が座ったことで、給仕の女性が食事を運んだ。ニノンの目の前には、小さめのハンバーグが二つ、皿の上に乗せられていた。
「パパ!二つ!」
「よかったな。食べてみろ」
「いただきます!」
「いただきます」
まずは定番の目玉焼きハンバーグから一口食べるニノン。その頬がゆるゆる緩むのを見てファルマンは微笑む。
「美味しいか?」
「うん!パパ、大好き!シェフさんも大好き!」
ニノンの言葉に、控えていたシェフは思わずガッツポーズ。そうとは知らないニノンは続けてチーズインハンバーグを口に運ぶ。
「ふわぁ!これ美味しい!」
「気に入ったなら、次からは毎回二種類のハンバーグを出させるか?」
「うん!チーズもトロトロで美味しいもん!」
「だそうだ」
シェフはファルマンの視線を受け、心得たと頭を下げた。その後も美味しい美味しいと食べるニノン。ファルマンとのお風呂タイムでも、ずっと美味しかったとはしゃいでいた。
「はあ…今日も幸せだったよ。パパ、大好き。いい夢みてね」
「ああ。ニノンも、いい夢を見てくれ」
ファルマンがニノンの額にキスをする。悪夢を払うおまじないだ。ニノンもファルマンに屈んでもらい、ファルマンの額にキスをした。
「えへへ。おやすみ、パパ」
「おやすみ、ニノン」
かなり大きい天蓋付きのベッドで、ニノンはファルマンにぴったりとくっついて眠る。そんなニノンにファルマンは優しく微笑んで背中をトントンと叩いて眠りを促してあげていた。
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