冷徹だと噂の公爵様は、妹君を溺愛してる

下菊みこと

文字の大きさ
2 / 2

兄様のお友達

しおりを挟む
「いやぁ、今回はオレよく頑張ったよねー」

フレデリックの部屋で紅茶を飲みながら、アルフレッドは言った。

フレデリックも今回の件ではアルフレッドに感謝しているので同意する。

「ああ、礼を言う。おかげで聖女…元聖女を退けられた」

「いやー、骨が折れたよ。でも頑張った甲斐はあったかな。可愛い可愛いオーギュスティナちゃんを守れたし」

「…まだやらんぞ」

まだ、というあたり希望はあるかな…とアルフレッドは思う。

が、余計なことは言わずに微笑んだ。

アルフレッドは本気でオーギュスティナを欲しいからだ。

アルフレッドがオーギュスティナに心を奪われたのは、今から三ヶ月前のこと。

あのフレデリックが溺愛していると噂のオーギュスティナを一目見ようと屋敷に押しかけてきた日のことだ。














「やっほー、宣言通り遊びに来たよー」

「来ていいとは言っていない」

「まあまあ、そんなに怒んないでー。で、君の愛おしい妹君はどこ?」

勝手にずかずかと屋敷に入ってくるアルフレッドにフレデリックは呆れ果てる。

そしてアルフレッドは、運命の出会いを経験する。

「あれ?フレッド兄様のお友達ですか?」

鈴のような可憐な声。

声の聞こえた方に目を向ければ、まだ幼いというのに完璧なまでの美しさを持ち合わせた少女。

「はじめまして。私はフレッド兄様の妹のオーギュスティナと申します。よろしくお願いします」

まだ少したどたどしい様子でカーテシーをしてみせるオーギュスティナ。

その幼い様子にアルフレッドは心を奪われた。

「あ、えっと…アルフレッドです。よろしくね。よければアルって呼んでね」

「アル様、ですね」

にっこり笑うオーギュスティナに、胸が高鳴る。

十二歳も年の差があるのに、どうしてこんなにも魅力的に見えるのか。

「ティナはやらんぞ」

「え」

「お前のような女誑しではティナに相応しくない」

なんてことだ、好きな人の兄に反対されるなんて!

幸か不幸かオーギュスティナは女誑しという部分に反応を見せない。

とりあえず、まずはフレデリックからの好感度を回復しなければならないとアルフレッドは奮起した。

オーギュスティナのために、今までの爛れた女性関係の全てをきちんと整理した。

みんなに手切れ金を渡して、きちんとさようならしたのだ。

「ここまでしたら信用してくれるか?」

「なにかしらの形でティナのために尽くしてくれればな」

そして起こったのが聖女の一件だ。

アルフレッドはオーギュスティナのために頑張った。

フレデリックも、その頑張りは認めている。

アルフレッドがオーギュスティナに正式に婚約を申し込めば、オーギュスティナが嫌がらない限りは問題なく成立するだろう。

アルフレッドは、オーギュスティナとの日々を夢見て頬を緩ませる。それは二人の婚約が正式に決まる三日前のことだった。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

dragon.9
2024.06.03 dragon.9

お兄様とアルフレッドの
水面下での
激闘が幕を開けるのですね(笑)(((o(*゚▽゚*)o)))

2024.06.03 下菊みこと

感想ありがとうございます。アルフレッドはなかなかに手強そうです笑

解除

あなたにおすすめの小説

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~

Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが… ※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。 ※設定はふんわり、ご都合主義です 小説家になろう様でも掲載しています

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

わたし、不正なんて一切しておりませんけど!!

頭フェアリータイプ
ファンタジー
書類偽装の罪でヒーローに断罪されるはずの侍女に転生したことに就職初日に気がついた!断罪なんてされてたまるか!!!

よくある風景、但しある特殊な国に限る

章槻雅希
ファンタジー
勘違いする入り婿、そしてそれを受けてさらに勘違いする愛人と庶子。そんなお花畑一家を扱き下ろす使用人。使用人の手綱を取りながら、次期当主とその配偶者の生きた教材とする現当主。それをやりすぎにならないうちに収めようと意を痛める役所。 カヌーン魔導王国では、割とよくある光景なのである。 カヌーン魔導王国シリーズにしてしまいました(笑) 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿、自サイトにも掲載。

年の差にも悪意がみなぎりすぎでは????

頭フェアリータイプ
ファンタジー
乙女ゲームの悪役令嬢?に転生した主人公。でもこんな分かりやすい状況でおとなしく嵌められるはずもなく。。。

うるせえ私は聖職者だ!

頭フェアリータイプ
ファンタジー
ふとしたときに自分が聖女に断罪される悪役であると気がついた主人公は、、、

妹が嫁げば終わり、、、なんてことはありませんでした。

頭フェアリータイプ
ファンタジー
物語が終わってハッピーエンド、なんてことはない。その後も人生は続いていく。 結婚エピソード追加しました。

彼女が微笑むそのときには

橋本彩里(Ayari)
ファンタジー
ミラは物語のヒロインの聖女となるはずだったのだが、なぜか魔の森に捨てられ隣国では物語通り聖女が誕生していた。 十五歳の時にそのことを思い出したが、転生前はベッドの上の住人であったこともあり、無事生き延びているからいいじゃないと、健康体と自由であることを何よりも喜んだ。 それから一年後の十六歳になった満月の夜。 魔力のために冬の湖に一人で浸かっていたところ、死ぬなとルーカスに勘違いされ叱られる。 だが、ルーカスの目的はがめつい魔女と噂のあるミラを魔の森からギルドに連れ出すことだった。 謂れのない誤解を解き、ルーカス自身の傷や、彼の衰弱していた同伴者を自慢のポーションで治癒するのだが…… 四大元素の魔法と本来あるはずだった聖魔法を使えない、のちに最弱で最強と言われるミラの物語がここから始まる。 長編候補作品

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。