1 / 22
婚約者様が度を越したツンデレなのですが、天の声さんが元気なので誤解も招かれず平和です
しおりを挟む
「シャルリーヌ! 貴様はどうしてそうなんだ!」
『アルセーヌ可愛いー! シャルたんの頬染め上目遣いできゅんきゅんしちゃったのね!? そうなのね!? もう、ツンデレなんだからー! シャルたん今よ! 渾身の愛をぶつけるのよ! さあ! さあ!』
天の声さん、今日も元気だなーとシャルリーヌは思う。シャルリーヌにだけ聞こえる天の声は、シャルリーヌをいつも導いてくれる。
「アル様、アル様。わたくしが頬を染めてしまうのは、アル様の愛を感じるからです。アル様に愛されるからわたくしは幸せなのです。どうか、そんなことを仰らずわたくしの愛を受け入れてくださいませ」
「うぐっ……」
胸を押さえるアルセーヌに、一瞬心配して駆け寄ろうとしたシャルリーヌだが天の声の元気な声に心配が掻き消えた。
『アルセーヌ! シャルたんの可愛さにメロメロなのね!尊死しそうなのね! わかる!』
なにがわかるのだろう……。シャルリーヌはアルセーヌと天の声さんに呆れ果てる。が、同時にそんな風に自分を心の底から愛してくれる〝二人〟が大好きだ。
『なんでか知らないけど、番外編版では悪役令嬢のはずのシャルたんが主人公でびっくりしたわー。けど、シャルたんの幼少期編すごい天使だし買ってよかったー! でも、なんかシャルたんの可愛さにアルセーヌもメロメロになってるし、本編と展開違いすぎない? 番外編版は独自路線なの? 今更シャルたんが不幸になるとか嫌よ?』
……天の声の言葉は、時折シャルリーヌには理解出来ないこともある。だが、天の声がシャルリーヌの幸せを願ってくれているのはわかった。
(天の声さんとアル様さえいれば、わたくしは幸せなのに)
過保護な天の声に、シャルリーヌは心が満たされる思いだった。
最初はそう。父が再婚した日だった。母を病で亡くし、塞ぎ込んでシャルリーヌの相手すらしてくれなくなっていた父。心配していたシャルリーヌを他所に、いつの間にやら心を癒してくれる女性とやらを見つけたらしい。公爵家に連れ子を連れてきた元伯爵夫人の未亡人は、確かに優しい人だったがシャルリーヌはどうしても受け入れられなかった。かといってあからさまな拒絶も出来ず、戸惑うままにストレスで高熱を出して倒れてしまうシャルリーヌ。そんなシャルリーヌに突然誰かの声が聞こえたのだ。
『シャルリーヌ可哀想! そりゃ悪役令嬢にもなるよ! 主人公の優しい義姉を拒絶するツンツン美少女にこんな過去があったなんて!』
シャルリーヌは熱に浮かされたまま天の声を聞く。
『私は味方だからね、シャルたん!』
シャルリーヌは、そのたった一言で救われたのだ。
『今日はシャルたんとアルセーヌの初めましての日かぁ。アルセーヌ、本編と同じでシャルたんを嫌うのかなぁ』
嫌われる前提なのか。シャルリーヌはちょっと困った。シャルリーヌはあの日以来、父とも義母とも義姉とも上手くはいっていないが拗れもしていない。天の声さんさえいてくれればそれでいいと開き直った結果である。
その天の声さんは時折予言をする。この間も天災を言い当てて、天の声さんの言葉に従って安全そうな場所に隠れていたら怪我をしなかった。本来なら顔に大きな傷ができるはずだったらしい。だから、天の声さんが嫌われる前提で見ているのならそうなるかもしれない。
『とはいえ、アルセーヌが失言してしまう顔の傷は番外編版では何故かないのだしなんとかなるかも』
どうも、天の声さんが言うには婚約者様は顔の傷について失言してそこから関係が拗れるようだ。なら、天の声さんのお陰で怪我をしなかったのだから確かになんとかなるかもしれない。
『頑張れー! シャルたん、運命なんかに負けるなー!』
天の声さんの応援があれば、わたくしは頑張れる。そうシャルリーヌが意気込んだその時だった。
「……天女か?」
アルセーヌが現れた。
「天女?」
『え、これヒロインに言うセリフのはず?』
「あ、いや……き、貴様が俺の婚約者か」
「はい」
「その……あまり出しゃばらず、常に俺のそばにいるように。特に兄上の前では俺の後ろにいろ」
「え?」
シャルリーヌはアルセーヌの言葉になんと返事をしたらいいかわからない。すると天の声さんが元気になった。
『きゃー! アルセーヌ、シャルたんに一目惚れ!? 顔に怪我してないシャルたんは確かに美少女だけどそんなのアリ!? そして女好きなお兄様から守る宣言! もう、シャルたんったらこのこのー!』
どうも言動はきつめの婚約者様だが、自分に対して好意的らしい。天の声さんが言うんだからそうなんだろう。うん。シャルリーヌは言った。
「アルセーヌ様が守ってくださるのなら、心強いです」
アルセーヌは顔を真っ赤にしてシャルリーヌから目をそらす。
「か、勘違いするなよ。俺は兄上があまりに節操なしだから、仕方なくお前を守るだけだ」
『きゃー! アルセーヌデレデレー! シャルたん愛されてるー!』
これでデレデレなのか。わかりにくいな。……とは思いつつも、会ったばかりでそこまで愛されているのかと思えば満更でもないシャルリーヌ。
「これから末永くよろしくお願いしますね、アルセーヌ様」
「……アルでいい。よろしく」
それからは、傍目からは分かりづらい溺愛が始まった。天の声さんの応援という名の解説付きで。
「アル様、今日はどこに行きましょうか」
「お前と一緒ならどこでもいい。お前の行きたい場所を言え」
「では、久しぶりに我が家の中庭でティータイムと致しましょう」
時は経ち、大きくなったアルセーヌとシャルリーヌ。天の声さんのおかげで二人の絆は深まり、今や天の声さんの解説が無くともなんとなくアルセーヌの気持ちを察せられるようになったシャルリーヌである。またアルセーヌも、幼少期より素直になった。二人は社交界でもお似合いの二人として有名だ。
「シャル! 今日もアルセーヌ様とご一緒なのね!」
「お義姉様」
シャルリーヌの義姉……乙女ゲーム『虹の聖女』本編の主人公、セイラ。彼女とシャルリーヌは、関係が変わることはなかった。本編と違いシャルリーヌはセイラを拒絶することはなかったが、積極的に仲良くすることもない。父と義母は、純真で聖女であることがわかったセイラばかりを大切にしてシャルリーヌのことは使用人たちに任せていた。それでも、シャルリーヌにはアルセーヌと天の声がいる。シャルリーヌが悪役令嬢になることはなかった。
「ねえ、よかったら私もご一緒していいかしら! 将来の義弟とも仲良くならなきゃね」
シャルリーヌは一瞬なにか嫌な気持ちになるが、断ると面倒なので受け入れようとした。が。
「申し訳ないが、聖女殿はたくさんの貴公子と噂が絶えないと聞く。我が愛する婚約者に悪影響なので近寄らないでもらいたい」
「え」
アルセーヌはセイラを拒絶した。そして、シャルリーヌに言った。
「シャルの両親が聖女殿ばかりを溺愛してシャルを蔑ろにしているのは使用人たちから聞き及んでいる。悪いが、シャルの両親から勝手に許可を得てシャルを花嫁修行と称して我が屋敷に呼ぶ準備を調えた。今日からうちに来い、シャル。今では手癖の悪い兄上も、聖女殿に夢中になってシャルに手を出すとは思えないしな」
シャルリーヌはアルセーヌの気遣いに感動して、涙を流して何度も頷く。
『きゃー! アルセーヌ男前ー! シャルたん、幸せになるのよー!』
天の声も後押ししてくれるので、シャルはアルセーヌと共に行くことにした。
「……シャルを蔑ろに?」
一方でセイラは、初めて自分の状況を客観視した。両親に愛され、義妹とは上手くはいっていなくても嫌われてはいないと思っていた。義妹も程度は違っても両親から愛されていると思っていた。聖女として平民達からも愛されて、貴公子達からは迫られて少し困っていたが気分はよかった。
でも、傍目からみたら両親は聖女である自分しか愛していないように見えるという。たしかに義妹は放置気味だったかもしれない。義妹はそれに気づいていたのか。だったら自分は義妹からもしかしたら嫌われていたかもしれない。貴公子達と噂が絶えない、悪影響。周りからはそう見えていた。
セイラは、自分の人生を改めて見つめ直し始めた。
「お義姉様が、中央教会にて出家したそうです。貴公子達はみんな残念がっていたそうですね」
「みんなから愛される私とやらに酔っていた聖女殿にしては素晴らしい成長だ」
『でも本編ではそんなセイラにベタ惚れだったじゃん。こちらのルートではシャルたん一筋だからいいけどさ』
一歩間違えたらアルセーヌすら取られていたのか。シャルリーヌはセイラを恐ろしいと思ったが、もう出家して俗世には戻らないセイラに怯える必要はないと前を向く。
「セイラに出家されたご両親は今更シャルに擦り寄って来ているそうだが、シャルが俺の嫁になることは変わらない。遠縁の親戚から跡取りを迎えることになりそうだな」
「本来なら聖女でもあるお義姉様に継がせたかったみたいですけどね」
「本来というなら、連れ子である聖女殿にはそもそも公爵家を継ぐ資格などないはずだがな」
「まあ、わたくしはアル様との婚約もありましたし。聖女であるお義姉様は異常なほど愛されていましたから」
「兄上は妾の子だから、うちの嫡男は俺だったからな。婿入りの婚約だったらちょっと色々面倒だったかもしれないし、よかった」
「ですね」
『本当だよー。なんかセイラ、本編を遊んでた時は無邪気で可愛いと思ってたけど……聖女のくせに人の心を分かってなさすぎだったし。色々とこれでよかったと思うよー』
天の声に、シャルリーヌも同意する。
『ともかく、これでアルセーヌとシャルたんが結婚してハッピーエンドだね。おめでとう、二人とも!』
その言葉が聞こえて以降、不思議とシャルリーヌにも天の声は聞こえなくなった。けれどシャルリーヌは、夫となったアルセーヌと手を取り合い、子宝にも恵まれて幸せな生涯を送ることとなり、いつまでも自分を愛してくれた天の声への感謝を忘れなかった。
『アルセーヌ可愛いー! シャルたんの頬染め上目遣いできゅんきゅんしちゃったのね!? そうなのね!? もう、ツンデレなんだからー! シャルたん今よ! 渾身の愛をぶつけるのよ! さあ! さあ!』
天の声さん、今日も元気だなーとシャルリーヌは思う。シャルリーヌにだけ聞こえる天の声は、シャルリーヌをいつも導いてくれる。
「アル様、アル様。わたくしが頬を染めてしまうのは、アル様の愛を感じるからです。アル様に愛されるからわたくしは幸せなのです。どうか、そんなことを仰らずわたくしの愛を受け入れてくださいませ」
「うぐっ……」
胸を押さえるアルセーヌに、一瞬心配して駆け寄ろうとしたシャルリーヌだが天の声の元気な声に心配が掻き消えた。
『アルセーヌ! シャルたんの可愛さにメロメロなのね!尊死しそうなのね! わかる!』
なにがわかるのだろう……。シャルリーヌはアルセーヌと天の声さんに呆れ果てる。が、同時にそんな風に自分を心の底から愛してくれる〝二人〟が大好きだ。
『なんでか知らないけど、番外編版では悪役令嬢のはずのシャルたんが主人公でびっくりしたわー。けど、シャルたんの幼少期編すごい天使だし買ってよかったー! でも、なんかシャルたんの可愛さにアルセーヌもメロメロになってるし、本編と展開違いすぎない? 番外編版は独自路線なの? 今更シャルたんが不幸になるとか嫌よ?』
……天の声の言葉は、時折シャルリーヌには理解出来ないこともある。だが、天の声がシャルリーヌの幸せを願ってくれているのはわかった。
(天の声さんとアル様さえいれば、わたくしは幸せなのに)
過保護な天の声に、シャルリーヌは心が満たされる思いだった。
最初はそう。父が再婚した日だった。母を病で亡くし、塞ぎ込んでシャルリーヌの相手すらしてくれなくなっていた父。心配していたシャルリーヌを他所に、いつの間にやら心を癒してくれる女性とやらを見つけたらしい。公爵家に連れ子を連れてきた元伯爵夫人の未亡人は、確かに優しい人だったがシャルリーヌはどうしても受け入れられなかった。かといってあからさまな拒絶も出来ず、戸惑うままにストレスで高熱を出して倒れてしまうシャルリーヌ。そんなシャルリーヌに突然誰かの声が聞こえたのだ。
『シャルリーヌ可哀想! そりゃ悪役令嬢にもなるよ! 主人公の優しい義姉を拒絶するツンツン美少女にこんな過去があったなんて!』
シャルリーヌは熱に浮かされたまま天の声を聞く。
『私は味方だからね、シャルたん!』
シャルリーヌは、そのたった一言で救われたのだ。
『今日はシャルたんとアルセーヌの初めましての日かぁ。アルセーヌ、本編と同じでシャルたんを嫌うのかなぁ』
嫌われる前提なのか。シャルリーヌはちょっと困った。シャルリーヌはあの日以来、父とも義母とも義姉とも上手くはいっていないが拗れもしていない。天の声さんさえいてくれればそれでいいと開き直った結果である。
その天の声さんは時折予言をする。この間も天災を言い当てて、天の声さんの言葉に従って安全そうな場所に隠れていたら怪我をしなかった。本来なら顔に大きな傷ができるはずだったらしい。だから、天の声さんが嫌われる前提で見ているのならそうなるかもしれない。
『とはいえ、アルセーヌが失言してしまう顔の傷は番外編版では何故かないのだしなんとかなるかも』
どうも、天の声さんが言うには婚約者様は顔の傷について失言してそこから関係が拗れるようだ。なら、天の声さんのお陰で怪我をしなかったのだから確かになんとかなるかもしれない。
『頑張れー! シャルたん、運命なんかに負けるなー!』
天の声さんの応援があれば、わたくしは頑張れる。そうシャルリーヌが意気込んだその時だった。
「……天女か?」
アルセーヌが現れた。
「天女?」
『え、これヒロインに言うセリフのはず?』
「あ、いや……き、貴様が俺の婚約者か」
「はい」
「その……あまり出しゃばらず、常に俺のそばにいるように。特に兄上の前では俺の後ろにいろ」
「え?」
シャルリーヌはアルセーヌの言葉になんと返事をしたらいいかわからない。すると天の声さんが元気になった。
『きゃー! アルセーヌ、シャルたんに一目惚れ!? 顔に怪我してないシャルたんは確かに美少女だけどそんなのアリ!? そして女好きなお兄様から守る宣言! もう、シャルたんったらこのこのー!』
どうも言動はきつめの婚約者様だが、自分に対して好意的らしい。天の声さんが言うんだからそうなんだろう。うん。シャルリーヌは言った。
「アルセーヌ様が守ってくださるのなら、心強いです」
アルセーヌは顔を真っ赤にしてシャルリーヌから目をそらす。
「か、勘違いするなよ。俺は兄上があまりに節操なしだから、仕方なくお前を守るだけだ」
『きゃー! アルセーヌデレデレー! シャルたん愛されてるー!』
これでデレデレなのか。わかりにくいな。……とは思いつつも、会ったばかりでそこまで愛されているのかと思えば満更でもないシャルリーヌ。
「これから末永くよろしくお願いしますね、アルセーヌ様」
「……アルでいい。よろしく」
それからは、傍目からは分かりづらい溺愛が始まった。天の声さんの応援という名の解説付きで。
「アル様、今日はどこに行きましょうか」
「お前と一緒ならどこでもいい。お前の行きたい場所を言え」
「では、久しぶりに我が家の中庭でティータイムと致しましょう」
時は経ち、大きくなったアルセーヌとシャルリーヌ。天の声さんのおかげで二人の絆は深まり、今や天の声さんの解説が無くともなんとなくアルセーヌの気持ちを察せられるようになったシャルリーヌである。またアルセーヌも、幼少期より素直になった。二人は社交界でもお似合いの二人として有名だ。
「シャル! 今日もアルセーヌ様とご一緒なのね!」
「お義姉様」
シャルリーヌの義姉……乙女ゲーム『虹の聖女』本編の主人公、セイラ。彼女とシャルリーヌは、関係が変わることはなかった。本編と違いシャルリーヌはセイラを拒絶することはなかったが、積極的に仲良くすることもない。父と義母は、純真で聖女であることがわかったセイラばかりを大切にしてシャルリーヌのことは使用人たちに任せていた。それでも、シャルリーヌにはアルセーヌと天の声がいる。シャルリーヌが悪役令嬢になることはなかった。
「ねえ、よかったら私もご一緒していいかしら! 将来の義弟とも仲良くならなきゃね」
シャルリーヌは一瞬なにか嫌な気持ちになるが、断ると面倒なので受け入れようとした。が。
「申し訳ないが、聖女殿はたくさんの貴公子と噂が絶えないと聞く。我が愛する婚約者に悪影響なので近寄らないでもらいたい」
「え」
アルセーヌはセイラを拒絶した。そして、シャルリーヌに言った。
「シャルの両親が聖女殿ばかりを溺愛してシャルを蔑ろにしているのは使用人たちから聞き及んでいる。悪いが、シャルの両親から勝手に許可を得てシャルを花嫁修行と称して我が屋敷に呼ぶ準備を調えた。今日からうちに来い、シャル。今では手癖の悪い兄上も、聖女殿に夢中になってシャルに手を出すとは思えないしな」
シャルリーヌはアルセーヌの気遣いに感動して、涙を流して何度も頷く。
『きゃー! アルセーヌ男前ー! シャルたん、幸せになるのよー!』
天の声も後押ししてくれるので、シャルはアルセーヌと共に行くことにした。
「……シャルを蔑ろに?」
一方でセイラは、初めて自分の状況を客観視した。両親に愛され、義妹とは上手くはいっていなくても嫌われてはいないと思っていた。義妹も程度は違っても両親から愛されていると思っていた。聖女として平民達からも愛されて、貴公子達からは迫られて少し困っていたが気分はよかった。
でも、傍目からみたら両親は聖女である自分しか愛していないように見えるという。たしかに義妹は放置気味だったかもしれない。義妹はそれに気づいていたのか。だったら自分は義妹からもしかしたら嫌われていたかもしれない。貴公子達と噂が絶えない、悪影響。周りからはそう見えていた。
セイラは、自分の人生を改めて見つめ直し始めた。
「お義姉様が、中央教会にて出家したそうです。貴公子達はみんな残念がっていたそうですね」
「みんなから愛される私とやらに酔っていた聖女殿にしては素晴らしい成長だ」
『でも本編ではそんなセイラにベタ惚れだったじゃん。こちらのルートではシャルたん一筋だからいいけどさ』
一歩間違えたらアルセーヌすら取られていたのか。シャルリーヌはセイラを恐ろしいと思ったが、もう出家して俗世には戻らないセイラに怯える必要はないと前を向く。
「セイラに出家されたご両親は今更シャルに擦り寄って来ているそうだが、シャルが俺の嫁になることは変わらない。遠縁の親戚から跡取りを迎えることになりそうだな」
「本来なら聖女でもあるお義姉様に継がせたかったみたいですけどね」
「本来というなら、連れ子である聖女殿にはそもそも公爵家を継ぐ資格などないはずだがな」
「まあ、わたくしはアル様との婚約もありましたし。聖女であるお義姉様は異常なほど愛されていましたから」
「兄上は妾の子だから、うちの嫡男は俺だったからな。婿入りの婚約だったらちょっと色々面倒だったかもしれないし、よかった」
「ですね」
『本当だよー。なんかセイラ、本編を遊んでた時は無邪気で可愛いと思ってたけど……聖女のくせに人の心を分かってなさすぎだったし。色々とこれでよかったと思うよー』
天の声に、シャルリーヌも同意する。
『ともかく、これでアルセーヌとシャルたんが結婚してハッピーエンドだね。おめでとう、二人とも!』
その言葉が聞こえて以降、不思議とシャルリーヌにも天の声は聞こえなくなった。けれどシャルリーヌは、夫となったアルセーヌと手を取り合い、子宝にも恵まれて幸せな生涯を送ることとなり、いつまでも自分を愛してくれた天の声への感謝を忘れなかった。
40
あなたにおすすめの小説
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
捨てられた地味な王宮修復師(実は有能)、強面辺境伯の栄養管理で溺愛され、辺境を改革する ~王都の貴重な物が失われても知りませんよ?~
水上
恋愛
「カビ臭い地味女」と王太子に婚約破棄された王宮修復師のリディア。
彼女の芸術に関する知識と修復師としての技術は、誰からも必要性を理解されていなかった。
失意の中、嫁がされたのは皆から恐れられる強面辺境伯ジェラルドだった!
しかし恐ろしい噂とは裏腹に、彼はリディアの不健康を見逃せない超・過保護で!?
絶品手料理と徹底的な体調管理で、リディアは心身ともに美しく再生していく。
一方、彼女を追放した王都では、貴重な物が失われたり、贋作騒動が起きたりとパニックになり始めて……。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
転生先は推しの婚約者のご令嬢でした
真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。
ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。
ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。
推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。
ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。
けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。
※「小説家になろう」にも掲載中です
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
【完結】レイハート公爵夫人の時戻し
風見ゆうみ
恋愛
公爵夫人である母が亡くなったのは、私、ソラリアが二歳になり、妹のソレイユが生まれてすぐのことだ。だから、母の記憶はないに等しい。
そんな母が私宛に残していたものがあった。
青色の押し花付きの白い封筒に入った便箋が三枚。
一枚目には【愛するソラリアへ】三枚目に【母より】それ以外、何も書かれていなかった。
父の死後、女性は爵位を継ぐことができないため、私は公爵代理として、領民のために尽くした。
十九歳になった私は、婚約者に婿入りしてもらい、彼に公爵の爵位を継いでもらった。幸せな日々が続くかと思ったが、彼との子供を授かったとわかった数日後、私は夫と実の妹に殺されてしまう。
けれど、気がついた時には、ちょうど一年前になる初夜の晩に戻っており、空白だったはずの母からの手紙が読めるようになっていた。
殺されたことで羊の形をした使い魔が見えるようになっただけでなく『時戻しの魔法』を使えるようになった私は、爵位を取り返し、妹と夫を家から追い出すことに決める。だが、気弱な夫は「ソラリアを愛している。別れたくない」と泣くばかりで、離婚を認めてくれず――。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる