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本当に可哀想なのは誰だろうか
僕の婚約者は完璧すぎるお姫様だ。
誰にでも慈愛を与えて、智力は神童と讃えられるほど。おまけに王妃殿下そっくりのかなりの美人だ。
誰もが彼女を愛して、誰もを彼女は愛した。
そんな博愛主義の彼女だが、僕に対してはもっと甘い。
そんなお姫様と僕は、穏やかで優しい関係を築いていた。
僕の劣等感はひた隠しにして。
ある日、恒例となった婚約者とのお茶会のためガゼボで彼女を待っていた時のこと。
彼女の腹違いの妹姫が近寄ってきた。
彼女とは将来の義兄妹として程々に仲良くしていたので、彼女が隣に座って話を聞いて欲しいというのを断る理由は特になかった。
「実は、継母である王妃殿下からすごく嫌われていて…」
「それは…辛かったろうね」
「お姉様がそばにいてくれればその間は嫌味は言われないんですけど…」
「マリーが居ないと酷いの?」
「なんというか、イジメられてるというか…」
語っていて感情が昂ぶったのか、彼女は言った。
「どうか助けてください、ローラン様っ―…!」
そして僕に抱きつく彼女。
正直、多少の下心に近いものはあった。
彼女には微塵も女性としての興味はない。
愛しているのは婚約者だけ。
けれど完璧な婚約者に劣等感を抱えていた僕は、頼られたという事実になんというべきかわからない感情を覚えて…しばらく彼女を押しのける事が出来ないでいた。
それでもなんとか冷静さを取り戻すと、彼女の肩をそっと押して彼女を引き離した。
「わかったよ。それならば僕の方からできる事がないか頑張ってみる。王妃殿下が相手だから…慎重に動く必要があるけれど」
「ありがとうございます…!」
「あと、簡単に婚約者のいる異性に抱きついてはダメだよ」
「はい…ごめんなさい!」
この話はそれで終わり。
そのはずだった。
まさか婚約者に見られていただなんて、思わなかった。
王子殿下から詰問されたが、僕は浮気はしていない。
婚約者の妹姫と関係を持った事はない。
それは婚約者の妹姫が監獄塔に入れられると真実だとはっきりした。
けれど、妹姫をはっきり拒絶しなかったのは罪だと認定された。
親から告げられたのは、愛したはずの彼女との婚約の白紙化。
そこで己の愚かさを直視して、自分が嫌になった。
変な下心を出したから。
僕は王家の姫君が嫁いでくれるはずだったチャンスを無駄にした責任を取らされて、家を出た。
そのせいで跡を継ぐことになってしまった僕の弟は、幸いとても優秀なのでそこまで問題にはならないだろう。
僕は魔法だけは得意なので、身の振り方さえ間違えなければ市井でもやっていけるだろう。
だが妹姫の方は…色仕掛けというのは完全な誤解だろうに、可哀想なことになってしまった。
僕の責任だ。
どうか妹姫が、元婚約者ではなく僕を恨んでくれますように。
誰にでも慈愛を与えて、智力は神童と讃えられるほど。おまけに王妃殿下そっくりのかなりの美人だ。
誰もが彼女を愛して、誰もを彼女は愛した。
そんな博愛主義の彼女だが、僕に対してはもっと甘い。
そんなお姫様と僕は、穏やかで優しい関係を築いていた。
僕の劣等感はひた隠しにして。
ある日、恒例となった婚約者とのお茶会のためガゼボで彼女を待っていた時のこと。
彼女の腹違いの妹姫が近寄ってきた。
彼女とは将来の義兄妹として程々に仲良くしていたので、彼女が隣に座って話を聞いて欲しいというのを断る理由は特になかった。
「実は、継母である王妃殿下からすごく嫌われていて…」
「それは…辛かったろうね」
「お姉様がそばにいてくれればその間は嫌味は言われないんですけど…」
「マリーが居ないと酷いの?」
「なんというか、イジメられてるというか…」
語っていて感情が昂ぶったのか、彼女は言った。
「どうか助けてください、ローラン様っ―…!」
そして僕に抱きつく彼女。
正直、多少の下心に近いものはあった。
彼女には微塵も女性としての興味はない。
愛しているのは婚約者だけ。
けれど完璧な婚約者に劣等感を抱えていた僕は、頼られたという事実になんというべきかわからない感情を覚えて…しばらく彼女を押しのける事が出来ないでいた。
それでもなんとか冷静さを取り戻すと、彼女の肩をそっと押して彼女を引き離した。
「わかったよ。それならば僕の方からできる事がないか頑張ってみる。王妃殿下が相手だから…慎重に動く必要があるけれど」
「ありがとうございます…!」
「あと、簡単に婚約者のいる異性に抱きついてはダメだよ」
「はい…ごめんなさい!」
この話はそれで終わり。
そのはずだった。
まさか婚約者に見られていただなんて、思わなかった。
王子殿下から詰問されたが、僕は浮気はしていない。
婚約者の妹姫と関係を持った事はない。
それは婚約者の妹姫が監獄塔に入れられると真実だとはっきりした。
けれど、妹姫をはっきり拒絶しなかったのは罪だと認定された。
親から告げられたのは、愛したはずの彼女との婚約の白紙化。
そこで己の愚かさを直視して、自分が嫌になった。
変な下心を出したから。
僕は王家の姫君が嫁いでくれるはずだったチャンスを無駄にした責任を取らされて、家を出た。
そのせいで跡を継ぐことになってしまった僕の弟は、幸いとても優秀なのでそこまで問題にはならないだろう。
僕は魔法だけは得意なので、身の振り方さえ間違えなければ市井でもやっていけるだろう。
だが妹姫の方は…色仕掛けというのは完全な誤解だろうに、可哀想なことになってしまった。
僕の責任だ。
どうか妹姫が、元婚約者ではなく僕を恨んでくれますように。
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