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前編
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「ジークフリート様ー!お待たせしました!」
「クリームヒルト、僕も今来たところだよ」
今日は愛する婚約者、ジークフリート様とお出掛けの約束をしていた。可愛く見えるようメイクもして、髪も可愛くセットしてきた。
「おはよう、クリームヒルト。素敵な朝だね」
「おはようございます、ジークフリート様!今日もジークフリート様はかっこいいです!」
「ふふ、それを言うなら君の方がとっても可愛いよ。おしゃれ、してきてくれたのすごく嬉しい」
ジークフリート様は私の頬にキスをしてくれる。
「じゃあ、お手をどうぞ。素敵なお嬢さん」
「ふふ、はい!」
今日はジークフリート様と、最後の楽しい思い出を作って帰ろう。
「デート、誘ってくださってありがとうございました!ジークフリート様、愛しています!」
「ふふ、僕も愛してるよ」
ジークフリート様はとてもお優しい。ジークフリート様は、いつでも私の欲しい言葉をくれる。でも、それは婚約があるから。彼は義務で、そうしてくれているだけ。
今日から、彼を解放しようと思う。
「ジークフリート様、大好きです」
「僕もだよ。早く結婚したいな」
「そのことなのですが」
「…どうかした?そんな顔をして。具合が悪い?膝を貸すから少し休んでいいよ。ほら、おいで」
「ジークフリート様…」
私を心配して、手招きをするジークフリート様に縋りたくなる。それでも私は、ジークフリート様のために別れを告げる。
「ジークフリート様、婚約は解消しましょう」
「…は?」
「別れてください」
私がそう言うと、ジークフリート様は顔を歪める。
「…なんで。僕はなにか、君の嫌がることをした?不満があるなら言ってくれたら直すよ、君が嫌がるようなことはもうしない。だから、別れるなんて言わないで」
「ジークフリート様…でも、隣国の王女殿下から婚約の申し出があったのですよね」
「どうして君がそれを…」
ジークフリート様の目が鋭くなる。こんな表情のジークフリート様は見たことがなくて、少し怖い。
「えっと。人伝に聞きました」
「余計なことを…」
怒ってるジークフリートは、初めて見たからなんだかドキドキしてしまう。怖いのかときめいているのかもわからないほどに。
「とにかく。僕は別れないからね」
「え、ジークフリート様…?」
「あのわがまま女には既に他に婚約者が出来たよ。そろそろ発表されるはず」
「え」
「僕があの女の好きそうな男を紹介した。だから大丈夫。ね、別れる必要ないでしょう?」
ジークフリート様の言葉に驚いた。王女殿下とジークフリート様は相思相愛で、私が邪魔だと聞いたのに。
「ねえ、クリームヒルト。僕の言葉を疑うの?」
「そ、そんなことは!」
「じゃあ、もう別れなくていいでしょう?」
なぜか、ここで余計なことを言ったら終わりだと思った。
「わ、別れません」
「良い子。じゃあ、このまま僕の家に行って結婚の話も先に進めちゃおうか」
「え」
「もう二度と身を引こうなんて思わなくなるように、ね」
優しく微笑むジークフリート様に、何故か背筋が凍った。それがどうしてかは、考えないようにした。
そして、ジークフリート様の家に連行され結婚の話を大幅に前倒しされる。うちの両親からも使い魔を使っての通信で、許可が出た。
「よし、結婚の予定も決まったね!」
「ら、来月には結婚なんて早過ぎませんか?」
「大丈夫大丈夫、金さえ払えば準備なんて幾らでも進められるよ。君の両親からも許可出たじゃない」
「ジークフリート様…」
ジークフリート様の家はお金持ちだから、それでも大丈夫だとは思うけど…いいんだろうか。
「それよりさ」
「はい」
「仲直りえっちしよっか」
「え?」
私は、ジークフリート様のベッドに押し倒された。
「クリームヒルト、僕も今来たところだよ」
今日は愛する婚約者、ジークフリート様とお出掛けの約束をしていた。可愛く見えるようメイクもして、髪も可愛くセットしてきた。
「おはよう、クリームヒルト。素敵な朝だね」
「おはようございます、ジークフリート様!今日もジークフリート様はかっこいいです!」
「ふふ、それを言うなら君の方がとっても可愛いよ。おしゃれ、してきてくれたのすごく嬉しい」
ジークフリート様は私の頬にキスをしてくれる。
「じゃあ、お手をどうぞ。素敵なお嬢さん」
「ふふ、はい!」
今日はジークフリート様と、最後の楽しい思い出を作って帰ろう。
「デート、誘ってくださってありがとうございました!ジークフリート様、愛しています!」
「ふふ、僕も愛してるよ」
ジークフリート様はとてもお優しい。ジークフリート様は、いつでも私の欲しい言葉をくれる。でも、それは婚約があるから。彼は義務で、そうしてくれているだけ。
今日から、彼を解放しようと思う。
「ジークフリート様、大好きです」
「僕もだよ。早く結婚したいな」
「そのことなのですが」
「…どうかした?そんな顔をして。具合が悪い?膝を貸すから少し休んでいいよ。ほら、おいで」
「ジークフリート様…」
私を心配して、手招きをするジークフリート様に縋りたくなる。それでも私は、ジークフリート様のために別れを告げる。
「ジークフリート様、婚約は解消しましょう」
「…は?」
「別れてください」
私がそう言うと、ジークフリート様は顔を歪める。
「…なんで。僕はなにか、君の嫌がることをした?不満があるなら言ってくれたら直すよ、君が嫌がるようなことはもうしない。だから、別れるなんて言わないで」
「ジークフリート様…でも、隣国の王女殿下から婚約の申し出があったのですよね」
「どうして君がそれを…」
ジークフリート様の目が鋭くなる。こんな表情のジークフリート様は見たことがなくて、少し怖い。
「えっと。人伝に聞きました」
「余計なことを…」
怒ってるジークフリートは、初めて見たからなんだかドキドキしてしまう。怖いのかときめいているのかもわからないほどに。
「とにかく。僕は別れないからね」
「え、ジークフリート様…?」
「あのわがまま女には既に他に婚約者が出来たよ。そろそろ発表されるはず」
「え」
「僕があの女の好きそうな男を紹介した。だから大丈夫。ね、別れる必要ないでしょう?」
ジークフリート様の言葉に驚いた。王女殿下とジークフリート様は相思相愛で、私が邪魔だと聞いたのに。
「ねえ、クリームヒルト。僕の言葉を疑うの?」
「そ、そんなことは!」
「じゃあ、もう別れなくていいでしょう?」
なぜか、ここで余計なことを言ったら終わりだと思った。
「わ、別れません」
「良い子。じゃあ、このまま僕の家に行って結婚の話も先に進めちゃおうか」
「え」
「もう二度と身を引こうなんて思わなくなるように、ね」
優しく微笑むジークフリート様に、何故か背筋が凍った。それがどうしてかは、考えないようにした。
そして、ジークフリート様の家に連行され結婚の話を大幅に前倒しされる。うちの両親からも使い魔を使っての通信で、許可が出た。
「よし、結婚の予定も決まったね!」
「ら、来月には結婚なんて早過ぎませんか?」
「大丈夫大丈夫、金さえ払えば準備なんて幾らでも進められるよ。君の両親からも許可出たじゃない」
「ジークフリート様…」
ジークフリート様の家はお金持ちだから、それでも大丈夫だとは思うけど…いいんだろうか。
「それよりさ」
「はい」
「仲直りえっちしよっか」
「え?」
私は、ジークフリート様のベッドに押し倒された。
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