私はただ、世界を描きたい

下菊みこと

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まだ生きている

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毎日が大変で、息がつまる時もあるけれど。

友達が支えてくれて、大切な母がいて。

だから、時々何もかも投げ出したくなる時はあるけれど。

私はまだ、頑張れる。

「みこちゃん、就活に向けての準備は順調?」

「うん。就活に向けて色々勉強してるよ。ゆうちゃんは大学受験大丈夫そう?」

「うん!大丈夫!今のところ成績も良い感じだし!」

「よかった」

「みこちゃん、ありがとう」

唐突にお礼を言われてきょとんとしてしまう。

「なにが?」

「息がつまりそうになった時、みこちゃんの小説を読むとね。すごく楽になるの。前向きな主人公が多いからかな」

「そっか…よかった」

私の書いた小説が、誰かの役に立つのなら…これほどに嬉しいことはない。

「うちね、お世辞とかじゃなくて本当にみこちゃんのファンだよ」

「うん、ありがとう」

「でも、うちはみこちゃんに何かしてあげられるのかな」

「みこちゃんはいるだけで私を励ましてくれてるよ」

「えー?なにそれ!」

ケラケラ笑うゆうちゃんが好き。

明るくて優しいゆうちゃんが好き。

これから進む道を違えて、いつか人生が交わることがなくなっても。

青春なんて言ってられないくらいのこの日々で、唯一「青春」として焼き付いたのはゆうちゃんの存在。

だからね。

「やっぱり更新頻度、なるべく落としたくないな」

「そうしてくれると読者としては助かるぜぃ!ただ、みこちゃんは大丈夫?」

「勉強とか企業を調べたりとか面接の自己練習とかもあるからなぁ…」

「大変だよなぁ」

「そうなんだよね…」

それでもみこちゃんが楽しみにしてくれるなら。

「まあ、なんとかしてみるよ」

「無理はしなさんなよー」

「うん、無理はしないよ」

「みこちゃんは一人で抱え込んじゃうから心配だぜぇ」

「大丈夫大丈夫」

大丈夫にしないと、ね。

「せめて愚痴くらいは聞くかんね」

「うん」

いっそ、このままゆうちゃんとずっとこうしていられたらな。

でも、いずれは大人にならなきゃいけないわけで。

私は人より一足先に大人にならなきゃいけないわけで。

ああ、また息がつまる。

まるで水中で溺れたみたいに、息がしづらい。

でも。

「みこちゃん、みこちゃんにはうちがいるからさ!大丈夫!」

他人の感情に鋭い友人が、背中を叩いてくれるから。

「ま、なんとかなるか!」

「そうそう!なんとかなるなる!」

「ケ・セラ・セラってね!」

「そのいきだー!」

「おー!」

まだまだ、人生は捨てたものではないから。

今日も私は、まだ生きている。
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