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私が白百合?冗談!

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このターフェルルンデ皇国では今年皇帝陛下が成人し、皇帝に即位された。上皇陛下は楽隠居らしい。さて、そんな皇帝陛下の後宮には、今日から、上から赤薔薇、白薔薇、赤百合、白百合、赤藤、白藤の階級の妃を取ることになる。いずれも公爵家、侯爵家、伯爵家の出だ。そして、この後五年でその中から唯一の皇后が選ばれるのだ。基準は男児を生むこと、皇帝からの寵愛を受けること、その他諸々。恋愛小説かよ、ご馳走さまです。

でも、この六の妃のうちの一人、私ことユーバーヘープリヒ・ファーベル伯爵令嬢…いや、ユーバーヘープリヒ・ターフェルルンデ妃だけは白百合に選ばれた時点でやる気がない。なぜなら…。

「だって白百合な時点でもう皇后になれっこ無いジャーン。そもそもユーバーヘープリヒなんて覚えづらい名前付けたお爺様に文句言ってー。絶対選ばれないけど私のせいだけじゃないもーん」

ということです。はい。以上、説明終わり。

皇帝陛下との結婚式は妃一同みんな一緒に盛大に行われたし、私の実家からは「まあお前に期待はしてないけどとりあえず頑張って生きて帰って来い」とは言われているのでとりあえず適当に生き残って適当な理由でお家に帰りたいな。

「ユリ様…その顔、もしかして覚えてらっしゃらないですか?」

「え?」

「初夜…つまり、今晩、必ず全ての妃の部屋に皇帝陛下は渡られるのですよ」

「え?初夜には必ず全ての部屋に皇帝陛下が渡る?聞いてないよ?マジ?え、うわ、来ないでよー!」

呆れたような目で私を見る専属侍女のメアリー。その目やめて。そのメアリーの手には先程まで私が読んでいた後宮物語が。

「…ちょっと待てよ?これはチャンス?もしかして、恋愛小説も真っ青な後宮物語を楽しめる?」

「そうですとも。ですから少しはやる気を…」

「きゃー!皇帝陛下に誰がお気に入りか聞かなきゃー!」

「自分が選ばれる努力をしてください!」
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