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一章:22時10分更新

第9話:限界を超えたエルグ最大値

「う…くっ。…っ！」

特訓中に突如苦しそうにする陽向。

それは、明らかに今までとは違う、苦しさだった。

「おい、おい！大丈夫か？！陽向！」

陽向を抱きかかえ、問いかける。

しかし

一向に相手からの返答がない。

「クッソ…！オーバーマジックか。無理させすぎたか…！」

《オーバーマジックとは》
一定以上、MPエルグ最大値を1日で上げようとすると
体が耐えられなくなり、急な苦しさに襲われる。ことである。

この現象になってしまっては少なくても2日は休まなければならない。

「すまない、、、。陽向。俺のせいで、、、。俺のせいで、お前に辛い思いをさせてしまった。」

うつむきながら、謝るのと同時に、自分のことも責めていた。

しかし

1人だけ前を向いている人がいた。

「な、なに下向いてんのさ！こ、こういう時こそしっかりして！ま、まだ2日もあるじゃん！」

その言葉は敬太に前を向かせた。
確実に、敬太に元気がついた。

「ありがとう。お前の言葉で元気がでたよ。くよくよしてても始まらないもんな。」

微笑の中に言う。

だが、

厳しい状況は変わらない。

敬太が1ヶ月かけて習得した魔法マジックを陽向は7日で覚えなければならない。

しかし

陽向は今オーバーマジック中。
と、なると残りは1日つまり、最終日だけだ。

そんな厳しい現実が敬太の鼓動を早め、額に汗をにじませる。
元気が出ようとも、状況が絶望的であることに変わりはない。

だが2人には、希望も確かにある。
敬太は顔を上げ、その"希望"に声をかける。

「すまないが最後に１つ、質問してもいいか？」

「う、うん。」

「どうしてそこまで俺に優しくできる？」

「と、友達だからだよ？！」

友達という言葉が頭の中を反復する。

彼女にはやはり、言い表せない不思議な力があるらしい。

「友達、か。」

和かな顔つきで呟く。
彼の中の何かが、動いた瞬間だった。
"それ"を動かしたのは紛れもなく、彼女だ。

敬太はおもむろにノートを準備し、何かの計算を始めた。

「うん。心許ないが、一応MPエルグは足りているのか。よし、陽向にはスケージュールは変えずにそのまま魔法マジックの特訓を受けてもらおう。」

陽向には悪いが今はこうしてもらうしかない。そう自分に言い聞かせた。

「な、なんか分からないけど！げ、元気になってもらってよかった！」

「あぁ、ありがとう。悪いがミク2日間、陽向の看病をしてくれないか？俺は最終日に、陽向に魔法マジックを教えてくれる人と話をしに行かなくちゃならない。」

「い、いいよ！？わ、私でよければ！？」

敬太は、少し無理な頼みをする。
だが、ミクは頼みを聞いてくれた。
満面の笑みでの返答だ。
いつでも優しいのは彼女の長所だ。


しかし、、、

2日後。陽向は衝撃の光景に、言葉を失うことになる。