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〈3話リメイク作品〉大事な一歩

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 陽向は驚きを隠せなかった。
 見える光景全てに車一つなかったからだ。
 遠くから見た時にははずなのに今ここにはない。
 この矛盾した状態に困惑していた時だった。

「お前その感じだとここに来た事ないだろ。変に気が動転しても困るから俺がお前をしばらく案内してやる」 

 眼前、赤い髪に青い目そして灰色のパーカを着た美青年。
ーーたくさん聞きたいことはある。が、初対面ということもあり少し控えめに一つ質問する事にした。

「何でだ…何であんなに人通りは激しく車も沢山通っていたのに近付いて見ると車一つないんだ」

「この世界は1人の支配者(グロネス】によって【造られた偽りの現実】」

 陽向には理解できなかった。
ーーまず【グロネス】とは何なのか。
そして、【造られた偽りの現実】という意味。
 沢山の新しい言語に頭はオーバーヒート状態には陥り、陽向は静止していた。

「と、言っても少し難しいよな。簡単に言うとここは【異世界】だな」

「そしてこの世界には【クエスト】というものが存在しそのクエストの【ノルマ】を達成した者はそのノルマの重さに見合った【報酬】を受け取り、現実に戻るってわけ」

 陽向は全ての説明を受けた後も今一つ理解に苦しんでいた。
 が、人の心は正直の様で何故かワクワクしていた。

「そうそう、自己紹介が遅れたな。俺は【坂田 敬太】だ。よろしく!」

「俺は今野 陽向よろしく!」

 お互いの自己紹介が終わると直ぐに敬太は陽向の目的を聞き出した。

「陽向、お前は何の為にここに来た?」

ーー全てを信用した訳ではないが、教えて損することでもない。
 陽向は質問に答えてもらったお礼に全て素直に話すことにする。

「俺は…。俺は…。俺は俺にかけられた罪をはらすためにここに来た…!」

「罪かぁ…それじゃあこの世界では1番難易度が高いクエストに挑まなきゃならないな」

ーー長い旅になりそうだなぁ。そう心の中で思いつつも説明を黙って聞いていた。すると、途中少し耳を疑う事を敬太か口にする。

「そしてこの世界と現実は繋がってないようで繋がっている。こっちの【世界】で【死ぬ】と【現実】でも、死ぬ。これだけは覚えておけよ」

 そう敬太は言い残し、足早に建物中に入っていった。
 【死ぬ】という言葉に動揺しつつも陽向は敬太の背中を追いかける。

「おい!おい、敬太!先行くなよ!」

「お前なら追いかけてくるかなと思ってさ」

 爽やかな回答にホッとしていたのも束の間。
 敬太は建造物の中に入っていく。陽向はこの世界に唯一あるその建造物に疑問を寄せていた。

「ここはどこなの?」

 眼前、ホテルのフロントの様な机。そして綺麗な制服を身にまとったお姉さんがいた。

「ここは【クエスト受付所】君の願いもここでクエストを受けてクリアすることで叶えられるよ」

「なるほど…」

ーーまるでゲームのような世界観。そう思い困惑していた反面、ワクワクしていた自分がいた。

「陽向!ここからは大事な話だ!よく聞けよ。お前の願いを叶えるには難易度★6のクエストをクリアしなければならない。しかし、★1~5をクリアしなければ、★6には挑戦できない。そして1クエスト3回までの【コンテニュー】だ。3回目もクリアできなければ、待っているのは『死』だ。」

しかし

敬太の言葉は陽向を正気へと戻した。

「悪いけど、まだ死ぬ訳にはいかないんだよ。俺は今すぐ希望の丘に帰って警察達を納得させて普通の生活に戻る」

すると
 爽やかだった敬太の顔つきが一瞬で険しい顔つき変わる。

「それは無理だ。現実に帰れる有効期限はこの世界に来てから15分だ。」

                   この言葉に

 陽向はこれまでにないくらい絶望した。

 これまでにないくらい死について考えた。

 これまでにないくらい自分を憎んだ。

                     しかし

           その絶望が陽向を強くした。

「俺に残された選択は一択ってわけだ。死ぬ気でやってやるよ…!」

陽向はやけくそで言い放つ。
すると
敬太も安心したかの様に、優しい顔つきになり、クエスト受付所へ、歩きだす。

「安心しろ。お前を死なせない為に俺がいるんだ。ならさっそく難易度★1クエストやってみようか!」
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