日常を返品してもらえませんか？

一章:22時10分更新

〈第4話 リメイク作品〉あれもこれも創り物

「んーとさ、さっそくやってみるって言ったてどんな感じ？モンスターでも倒す？？」

 多少悪意のこもった意地悪な言い方。
が、
 返答はそんな甘いものではなかった。

「モンスターじゃない。人だ。人を殺すんだ」

 敬太は受付を一時的に辞めてこちらをみて言うとまた受付を始め、【難易度】★1を【陽向・敬太】のペアで【登録】した。

 陽向は『人を殺す』という非日常的用語に困惑していた。
 が、
 目の前の光景はそんな事を忘れされる。

 それは、受付のお姉さんはとてつもなく可愛かった。と言うこと。

ーー流石に人は【創り物】ではないよな。そう心のどこかで自分に言い聞かせていた。

「陽向1Pさ～ん？陽向1Pさん！どこ見てるんですか？いやらしい目で見ないで下さいね…！」

 陽向の視線は色々と考えているうちにお姉さんの胸にあった。
ーー確かに受付の方の胸は大きい。
 しかし
それに見とれていた訳ではない。

「ち、違うんです！それは…たまたまですよ！偶然ってやつです！」 

「お前そう言う趣味かぁ…」

陽向の苦し紛れの言い訳に一同は微笑んでいた。
 敬太もそれに便乗して陽向をからかい柔らかい雰囲気に包まれる。
ーーそう言えばこの世界に来てこんな感じになったのは初めてだな。と思っていたのも束の間。
 瞬間、笑っていたはずのお姉さんが真顔に変わり、台本を読むかの様に喋りだす。

「茶番はさておき、それでは移動します。3、2、1」

 そこに広がっていたのは紛れも無く現実リアルだ。
 いや、現実リアルに似た世界アンリアルだ。
 何故、アンリアルだと思ったか、それは街の住民が人型の動物だからだった。
 猫の人・犬の人・ウサギの人と、様々な人型の動物。

「制限時間は2時間半。それまでに強欲の罪アマトリスを殺せ」

「アマトリス？誰です？てか、お姉さんその人はどこら辺にいるんですか？」

 振り返ると、そこにお姉さんの姿はなかった。
 そこにいたのは、陽向・敬太・街の人々。

「陽向、受付の人は転送するだけだ。ヒントなんてくれやしないよ」

 敬太の口ぶりは、いつか、経験済みの様だった。

「そうなのかぁ…。あんなに綺麗なのにもったいない！優しければもっとモテると思うんだけどなぁ～♪」

 陽向は心の奥底に眠る何かを押しごろしつつ、平然を装った。
 しかし
恐れていた、言葉が返ってくる。

「いや、違う。あそこにいた人は全員創り物だ。人格なんてものは存在しない」

「え、だって…だってさっきああ言う事言ってた…じゃん。」

 先程の楽しかった時間が次々と陽向の脳裏を走馬灯の様に駆け巡る。

「あれもこれも全てプログラミング的なことがされてるんだよ。ああ言うとこう言う。こう言うとああ言う。というプログラムをね。ただし、かなり複雑かつバリエーション豊富だから気づかれることはまず無いね」

 陽向は『創られた物』のという言葉にかなりの衝撃を受けた。

「そんな…。俺達がさっき楽しんだあの時間も創られたもの…」

「あぁ」

「あのお姉さん自体も…」

「あぁ」

「ここの住民も」

「あぁ！そうだ。わかったらさっさと切り替えてターゲットを探すぞ！」

ーー分かった。と返事をしたいところだが、今、陽向には1つの疑問が浮かんでいた。
 陽向にはこの謎だけは解かなくてはいけない気がした。

「なんで、お前は全部知ってんだよ。」

 すると
敬太が初めて戸惑いを見せた。

「俺は…」