僕とシークレットボーイ

プロローグ

6話:新たなる出会い

陽向は驚きを隠せなかった。
そこには、車なんて１つもなかった。
遠くから見た時にはあったはずなのに、今ここにはない。
この矛盾した状態に困惑していた時だった。
「お前その感じだとここアンリアルに来た事ないだろ。変に気が動転しても困るから俺がお前をしばらく案内してやる」 
声をかけて来たのは、赤髪の美青年だ。
たくさん聞きたいことはあるが、陽向は思いきって1つ質問してみた。
「何でだ。何であんなに人通りが激しかったのに近付いて見ると車１つないんだ。」
そう聞くと、ファンタジックな回答が返って来た。
「この世界アンリアルは1人の支配者『グロネス アシビット』によって造られた偽りの現実リアルだ。と、言っても少し難しいよな。簡単に言うと、この世界アンリアルでノルマを達成した者はそのノルマの重さに見合った報酬を受け取り、現実リアルに戻るってわけ。そうそう、自己紹介が遅れたな。俺は坂田 敬太だ。よろしく！」
「俺は今野 陽向よろしく。」
思っていたより暖かい返答に陽向が困惑していたら、相手が気をきかせて話しかけてきた。
「お前は何の為にここアンリアルに来た？」
陽向は質問に答えてもらったお礼に全て素直に話すことにした。
「俺は…。俺は…。俺は俺にかけられた冤罪を解くためにここに来た。」
するとさらに興味深い返答がきた。
「冤罪かぁ…。この世界アンリアルではその報酬は1番高いな。1番難易度が高いクエストに挑まなきゃならん。そしてこの世界アンリアルと現実リアルは繋がってないようで繋がっている。こっちの世界アンリアルで死ぬと現実リアルでも、死ぬ。これだけは覚えておけよ。」
そう敬太は言い残し、足早に建物中に入っていった。陽向はその背中を追いかけたのだった…。