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1.5章:魔法習得編
16話:ただ者じゃない。
しおりを挟む「なんで、お前が…。」
そこにいたのは、全身黒色で深く帽子を被った人だった。
全身黒色の人は帽子を脱ぐ。
「お前とは失礼だな、これからお前の師匠になるんだぞ?」
初めて会った時とは明らかに違う。
「ーーー」
陽向は男のギャップに驚きを隠せない様子。
「なんで黙り込んでんだ?」
男は軽々しい口ぶりで言う。
「いや、前に会った時こんなテンションじゃなかったよなぁーと思って…。」
陽向は今の気持ちを率直に伝えてみた。
すると
考えもしなかった答えが返ってくる。
「あぁ~それはあれだ。なんだぁ。あれ。ギャップ萌えってやつだ」
陽向は正直、意味がわからなかった。
あの時、恐怖でしかなかった男が、
シャレを言っているのだから。
「うん。全く萌えなかったけど、なんか俺とまた会うって思ってたような言い方だけど、なんでまた会うって思ったの?」
ツッコミはB級それが陽向だ。
それとは別に、さりげなく男の正体を探る。
「まず、敬語な。そこ大事だから。また会うと思ったのはあれだ。お前のこと現実からこっちに連れて来たろ?その時お前動けたろ?あれはお前が俺と同じ、透明魔法だから動けたんだ。だからいずれ魔法覚えることになったら俺に頼るだろうなぁっていうアレだ。」
あの時、動けたのはそのおかげだったのか。そんな事を思い出しながら陽向は納得していた。
「なるほど…確かにそういうことなら今までの辻褄があう。それはそうと細かいやつだなぁ……です」
陽向はタメ口で言ってしまったが、今さっきのやり取りを思い出し、最後に『です』を付ける。
「おし、その調子で敬語使えよ!」
まさかのオッケーだ。
馬鹿なのかふざけているだけなのかは今の陽向にはわからない。
「お前、『です』とか『ます』付ければなんでも満足かよ」
B級のツッコミが炸裂する。
「敬語を使え」
この返しに、頭の中を敬太がよぎる。
しかし
敬太とは何かが違う。
「めんどくせぇ……です」
陽向は少し、この男に慣れ、悪ふざけをしてみた。
しかし
「ま、それはそうと魔法を教えるぞ。部屋じ
ゃアレだから外に出るぞ!」
軽く流される。
「あ、うん。はい。敬太、ミク、今までありがとうね!2人のおかげで今日魔法を習得することができる…!感謝だよ!」
言葉では伝え切れない様な、有り難さをハイタッチを交えて伝えた。
「う、うん!?頑張ってね!」「こちらこそ悪かったな。頑張ってこい。」
2人のエールが陽向の背中を押す。
「うん!」
元気な声。
その声は2人の心にも響く。
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「いいか、透明魔法ってのは、覚えるのは簡単だ。しかし、その代わりMPを多く使う。」
敬太から軽く聞いていたのであまり驚きはしなかったが、少し心配になり、聞く。
「俺、俺大丈夫ですよね?」
すると、微笑んでいた顔は、真顔に変わる。
「その点は抜かりなく確認済みだ。安心してくれ。」
また笑顔になった。
真顔になったのは得意の冗談か。そんな認識を陽向はしていた。
「よかったぁー!」
陽向は安心感に満ち、思わず声をあげた。
「ただし」
また、真顔になる。
今度は真面目な話かもしれない。
そう思い
「ーーー」
陽向は息をのむ。
「回数制限がお前にはある。例えば、100MP使う技があるとしよう。そうすると俺は1000MPは軽くある。だが、お前は200MP程しかない。だからお前には回数制限をつけなくてはならない。仮にお前がその回数を上回るような事があれば、お前はこの前味わったオーバーマジックの2倍程苦しい痛みに襲われることになる。そうならないためにも回数は守ってな!」
この男がただ者じゃないってことはわかった。
しかし
オーバーマジックの2倍程の苦しさと言うのは受け止め難い。
それもそうだ、あの時の苦しさは喋れない程の物だった。
それを上回る事など考えたくもない。そう陽向は思っていた。
「あ、はい!」
元気な返事の反面、辛い思いをしたくない。そんな自分がいる事に陽向は気づいていた。
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そして、刻々と時間は過ぎてゆき、タイムリミットの時間になる。
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