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ダムドー峠 ~ヤマネコと星空のシチュー~
第18話 その名はムニャー!
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「ムゥゥゥゥゥゥ……! シャァァァ……」
ネコは低くうなりながら、両手を広げて立つセフィラの周りを歩く。
それは襲い掛かるタイミングを探しているとも、相手を理解しようとしているとも受け取れた。
毛を逆立て、鋭い目でにらみ、時折セフィラの匂いを嗅ぐ。
そんな様子をガルーやシャロはハラハラしながら見守る。
あそこまでネコに接近されては、いざ襲い掛かられた時にガルーでもかばうことができない。
ガルーはすぐにでもセフィラに駆け寄りたくて、足踏みが止まらなかった。
「…………」
当のセフィラは無言のまま立ち続ける。
その表情に一切の焦りも、恐れもない。
それから五分間……あまりにも長く感じられた五分が過ぎた。
ネコはセフィラから少し距離を取り、すとんと地面に腰を下ろした。
すぐにでも立ち上がれる姿勢だから、完全に信用されたわけではない。
しかし、今ここで戦う必要がない相手だと、ネコが認めたのは確かだった。
「ありがとう、ネコちゃん! 後でもっとお話ししましょう! 体を綺麗にして、怪我の治療もしたいです!」
「ムゥゥゥ……」
否定とも肯定とも取れない低い鳴き声だが、今はそれで十分だった。
セフィラは笑顔で振り返り、ガルーに指示を出す。
「それではガルー、牢屋の扉をぶっ壊しちゃってください!」
「うむ、任せろ。子どもたちは扉から離れているのだぞ!」
ガルーは黒柴犬の姿のまま、鋭い爪で扉の鍵を破壊した。
体が小さくとも、これくらいのことは朝飯前だ。
牢屋から出てきた子どもたちは大声で喜び、ガルーをなでなでしてお礼を言っている。
「ハッハッハッ! フラウ村でもそうだったが、この姿はあまりにも可愛すぎるようだな! おかげで子どもに好かれて好かれて大変だ! 困ったものだ、セフィラよ!」
「ふふふっ、そんなこと言っても顔に『嬉しい』って書いてありますよ!」
この調子で他の牢屋の子どもたちも解放していこう……と思った矢先、セフィラをじっと見つめながら座っていたネコが、突然ごろっとお腹を見せて寝転がった。
動物が急所であるお腹を見せるのは、一般的に信頼や服従の証と言われる。
だが、ネコとセフィラはまだそこまでの関係を築けていない……。
「ネコちゃん、大丈夫ですか!?」
セフィラはネコが姿勢を維持できないほど弱っていると判断。
攻撃を恐れることなく、そばに身を寄せる。
「ム、ムニャ~…………」
弱弱しい鳴き声、呼吸は浅く、目は虚ろ――。
「ちょっと体に触らせてもらいますよ」
汚れも気にせずネコの毛をかき分け、その下に隠れている皮膚の状態を確認する。
「酷い出血を伴っている傷はないし、化膿している箇所もない。体温は少し低いかな……」
「セフィラ様、この子は病気なのでしょうか……?」
不安そうに尋ねるシャロに、セフィラは私見を伝える。
「独学のアマチュア知識ではありますが、病気ではなく栄養失調の可能性が高いと判断します。私の手持ちの栄養剤を投与して様子を見つつ、体を綺麗に洗って傷口に軟膏を塗りたいところです」
セフィラはトランク中から注射器を取り出し、中に栄養剤を詰めて聖なる魔力を針に付与する。
聖なる力で針を清潔に保ち、刺した時の痛みの軽減も出来るのだ。
「ほんのちょっとだけチクッとしますよ」
セフィラがそう伝えると、ネコは消え入りそうな声で「ムニャ……」と返した。
比較的皮膚の状態がいい腹あたりに針を刺し、筋肉内に栄養剤を投与する。
「はい、これで注射は終わりです。よく頑張りました!」
「すごい……! セフィラ様の手際の良さもさることながら、この状況に対応できる道具が揃っていることもすごすぎますっ!」
「えへへっ、やっぱりもしもの時の備えって大事ですよね」
応急処置が終わったら、次はネコの体を洗って清潔にしたい。
ただ、これだけの巨体を綺麗にするには大量の水が必要になる。
流石にセフィラが普段持ち歩いている飲料用の水では足りない。
しかしながら、セフィラには水を手に入れるあてがあった。
ここは大規模なアジト、潜伏する人攫いたちに攫ってきた子どもたち、その全員を生かすだけの水源が必ず近くにあるはずなのだ。
「シャロさんでも、子どもたちでもいいです。このアジトの近くで、たくさん水がある場所を知っている人はいませんか?」
誰も知らない場合は光輝白繭に包まれている人攫いに強めの尋問が行われる予定だったが、幸運にも子どもたち全員が水のある場所を知っていた。
その場所とは、ちょうどセフィラたちが入ってきたアジトの入り口の反対側。
裏口と呼ばれるもう一つの出入り口を出てすぐに、綺麗な水が湧き出る泉があるようだ。
人攫いはその泉を子どもたちの体を洗う時にも利用していたため、子どもたち全員がその場所を知っていたというわけだ。
「私とシャロさんでその泉までネコちゃんを運ぼうと思います。ガルーはその間に他の牢屋に囚われている子どもたちを解放してあげてください」
「二人で運べるか? 我の背中に……いや、この姿ではそのネコを乗せられんか」
黒柴犬のガルーとネコの体格差は、まるで大人と子どもだ。
かといって普段のガルーに戻ると、大きすぎてアジトの通路を通ることができなくなる。
ここはセフィラとシャロの頑張りどころだ。
「これでも同年代の子たちよりパワーはありますから、きっと大丈夫です!」
自らの二の腕を見せつけるセフィラ。
その華奢な腕から力強さは感じられないが……ともかく自信はすごかった。
「私も大丈夫です! セフィラ様の頼みとあらば、普段の10倍の力を発揮できます!」
鼻息を荒くするシャロ。
彼女も細身ではあるが、この時に限っては妙にパワーを感じられた。
「ま、まあ……。そこまで言うならセフィラのことは任せたぞ、シャロよ……」
「はいっ!!」
これで役割分担は決まった。
ほんの一時的にとはいえセフィラと離れるのが寂しいガルーだが、今も不安を抱えたまま牢屋に閉じ込められている子どもたちを救うため、ここは勇敢なる神獣を演じ切る。
「行くぞ、子どもたち! 我についてくるのだ!」
「「「「「おーっ!!」」」」」
ガルーたちが移動し始めると同時に、セフィラとシャロも動き始める。
「さぁて……行きますか、セフィラ様!」
「その前に一つ決めておきたいことがあります」
そう言って人差し指をぴんと立てるセフィラ。
「決めておきたいこと?」
「このネコちゃんの名前です。いつまでもネコちゃんと呼ぶのではどこか距離があるというか、信頼関係が築けないような気がするんです」
「それは確かに……! 名前は大事ですよね。私がいつまでも『人間ちゃん』と呼ばれてたら、すっごい距離を感じますし!」
激しく首を縦に振るシャロ。
同意を得られたセフィラは話を続ける。
「子どもたちもこの子を単にネコちゃんと呼んでいましたから、まだ名前がないんだと思います。だから、私がこの子に名前を付けます!」
実はこのネコの鳴き声を聞いた時から、セフィラの頭にはある名前が思い浮かんでいた。
それをセフィラは自信満々に発表する――。
「このネコちゃんの名前は『ムニャー』です! ムニャ~って鳴くからムニャーです!」
そのシンプルすぎるネーミングに、一瞬シャロは真顔になった。
決して悪い名前ではないが、自信ありげな割にはひねりがないと思った。
(必殺技の名前はやたらゴテゴテしてるのに、なにゆえネコちゃんの名前はここまで簡単になるんだろう……?)
シャロの頭に浮かぶ疑問……。
しかし、セフィラの「最高のネーミングセンスですよね?」と言わんばかりのキラキラした視線に見つめられては、そんな本音を伝えることなどできるはずがない。
「お……おおっ! ムニャー、この子にぴったりの名前ですね! 流石はセフィラ様! 素晴らしいネーミングセンスだと思い……ます!」
「ふふふっ、そうでしょう、そうでしょう! 我ながら会心のセンスです!」
うんうんとうなずいて、得意げなセフィラ。
ムニャーに手を添えて、今決まったばかりの名前を呼ぶ。
「ムニャー、必ず元気にします。だから、安心して待っててください!」
「ムニャ~……!」
弱弱しいが、棘のない優しい鳴き声だった。
ムニャーという名前を認めてくれている、そんな気をセフィラだけでなくシャロも感じた。
「人間に酷い目に遭わされてきたこの子を、人間の手で元気にするんです!」
「はい、セフィラ様!」
ネコは低くうなりながら、両手を広げて立つセフィラの周りを歩く。
それは襲い掛かるタイミングを探しているとも、相手を理解しようとしているとも受け取れた。
毛を逆立て、鋭い目でにらみ、時折セフィラの匂いを嗅ぐ。
そんな様子をガルーやシャロはハラハラしながら見守る。
あそこまでネコに接近されては、いざ襲い掛かられた時にガルーでもかばうことができない。
ガルーはすぐにでもセフィラに駆け寄りたくて、足踏みが止まらなかった。
「…………」
当のセフィラは無言のまま立ち続ける。
その表情に一切の焦りも、恐れもない。
それから五分間……あまりにも長く感じられた五分が過ぎた。
ネコはセフィラから少し距離を取り、すとんと地面に腰を下ろした。
すぐにでも立ち上がれる姿勢だから、完全に信用されたわけではない。
しかし、今ここで戦う必要がない相手だと、ネコが認めたのは確かだった。
「ありがとう、ネコちゃん! 後でもっとお話ししましょう! 体を綺麗にして、怪我の治療もしたいです!」
「ムゥゥゥ……」
否定とも肯定とも取れない低い鳴き声だが、今はそれで十分だった。
セフィラは笑顔で振り返り、ガルーに指示を出す。
「それではガルー、牢屋の扉をぶっ壊しちゃってください!」
「うむ、任せろ。子どもたちは扉から離れているのだぞ!」
ガルーは黒柴犬の姿のまま、鋭い爪で扉の鍵を破壊した。
体が小さくとも、これくらいのことは朝飯前だ。
牢屋から出てきた子どもたちは大声で喜び、ガルーをなでなでしてお礼を言っている。
「ハッハッハッ! フラウ村でもそうだったが、この姿はあまりにも可愛すぎるようだな! おかげで子どもに好かれて好かれて大変だ! 困ったものだ、セフィラよ!」
「ふふふっ、そんなこと言っても顔に『嬉しい』って書いてありますよ!」
この調子で他の牢屋の子どもたちも解放していこう……と思った矢先、セフィラをじっと見つめながら座っていたネコが、突然ごろっとお腹を見せて寝転がった。
動物が急所であるお腹を見せるのは、一般的に信頼や服従の証と言われる。
だが、ネコとセフィラはまだそこまでの関係を築けていない……。
「ネコちゃん、大丈夫ですか!?」
セフィラはネコが姿勢を維持できないほど弱っていると判断。
攻撃を恐れることなく、そばに身を寄せる。
「ム、ムニャ~…………」
弱弱しい鳴き声、呼吸は浅く、目は虚ろ――。
「ちょっと体に触らせてもらいますよ」
汚れも気にせずネコの毛をかき分け、その下に隠れている皮膚の状態を確認する。
「酷い出血を伴っている傷はないし、化膿している箇所もない。体温は少し低いかな……」
「セフィラ様、この子は病気なのでしょうか……?」
不安そうに尋ねるシャロに、セフィラは私見を伝える。
「独学のアマチュア知識ではありますが、病気ではなく栄養失調の可能性が高いと判断します。私の手持ちの栄養剤を投与して様子を見つつ、体を綺麗に洗って傷口に軟膏を塗りたいところです」
セフィラはトランク中から注射器を取り出し、中に栄養剤を詰めて聖なる魔力を針に付与する。
聖なる力で針を清潔に保ち、刺した時の痛みの軽減も出来るのだ。
「ほんのちょっとだけチクッとしますよ」
セフィラがそう伝えると、ネコは消え入りそうな声で「ムニャ……」と返した。
比較的皮膚の状態がいい腹あたりに針を刺し、筋肉内に栄養剤を投与する。
「はい、これで注射は終わりです。よく頑張りました!」
「すごい……! セフィラ様の手際の良さもさることながら、この状況に対応できる道具が揃っていることもすごすぎますっ!」
「えへへっ、やっぱりもしもの時の備えって大事ですよね」
応急処置が終わったら、次はネコの体を洗って清潔にしたい。
ただ、これだけの巨体を綺麗にするには大量の水が必要になる。
流石にセフィラが普段持ち歩いている飲料用の水では足りない。
しかしながら、セフィラには水を手に入れるあてがあった。
ここは大規模なアジト、潜伏する人攫いたちに攫ってきた子どもたち、その全員を生かすだけの水源が必ず近くにあるはずなのだ。
「シャロさんでも、子どもたちでもいいです。このアジトの近くで、たくさん水がある場所を知っている人はいませんか?」
誰も知らない場合は光輝白繭に包まれている人攫いに強めの尋問が行われる予定だったが、幸運にも子どもたち全員が水のある場所を知っていた。
その場所とは、ちょうどセフィラたちが入ってきたアジトの入り口の反対側。
裏口と呼ばれるもう一つの出入り口を出てすぐに、綺麗な水が湧き出る泉があるようだ。
人攫いはその泉を子どもたちの体を洗う時にも利用していたため、子どもたち全員がその場所を知っていたというわけだ。
「私とシャロさんでその泉までネコちゃんを運ぼうと思います。ガルーはその間に他の牢屋に囚われている子どもたちを解放してあげてください」
「二人で運べるか? 我の背中に……いや、この姿ではそのネコを乗せられんか」
黒柴犬のガルーとネコの体格差は、まるで大人と子どもだ。
かといって普段のガルーに戻ると、大きすぎてアジトの通路を通ることができなくなる。
ここはセフィラとシャロの頑張りどころだ。
「これでも同年代の子たちよりパワーはありますから、きっと大丈夫です!」
自らの二の腕を見せつけるセフィラ。
その華奢な腕から力強さは感じられないが……ともかく自信はすごかった。
「私も大丈夫です! セフィラ様の頼みとあらば、普段の10倍の力を発揮できます!」
鼻息を荒くするシャロ。
彼女も細身ではあるが、この時に限っては妙にパワーを感じられた。
「ま、まあ……。そこまで言うならセフィラのことは任せたぞ、シャロよ……」
「はいっ!!」
これで役割分担は決まった。
ほんの一時的にとはいえセフィラと離れるのが寂しいガルーだが、今も不安を抱えたまま牢屋に閉じ込められている子どもたちを救うため、ここは勇敢なる神獣を演じ切る。
「行くぞ、子どもたち! 我についてくるのだ!」
「「「「「おーっ!!」」」」」
ガルーたちが移動し始めると同時に、セフィラとシャロも動き始める。
「さぁて……行きますか、セフィラ様!」
「その前に一つ決めておきたいことがあります」
そう言って人差し指をぴんと立てるセフィラ。
「決めておきたいこと?」
「このネコちゃんの名前です。いつまでもネコちゃんと呼ぶのではどこか距離があるというか、信頼関係が築けないような気がするんです」
「それは確かに……! 名前は大事ですよね。私がいつまでも『人間ちゃん』と呼ばれてたら、すっごい距離を感じますし!」
激しく首を縦に振るシャロ。
同意を得られたセフィラは話を続ける。
「子どもたちもこの子を単にネコちゃんと呼んでいましたから、まだ名前がないんだと思います。だから、私がこの子に名前を付けます!」
実はこのネコの鳴き声を聞いた時から、セフィラの頭にはある名前が思い浮かんでいた。
それをセフィラは自信満々に発表する――。
「このネコちゃんの名前は『ムニャー』です! ムニャ~って鳴くからムニャーです!」
そのシンプルすぎるネーミングに、一瞬シャロは真顔になった。
決して悪い名前ではないが、自信ありげな割にはひねりがないと思った。
(必殺技の名前はやたらゴテゴテしてるのに、なにゆえネコちゃんの名前はここまで簡単になるんだろう……?)
シャロの頭に浮かぶ疑問……。
しかし、セフィラの「最高のネーミングセンスですよね?」と言わんばかりのキラキラした視線に見つめられては、そんな本音を伝えることなどできるはずがない。
「お……おおっ! ムニャー、この子にぴったりの名前ですね! 流石はセフィラ様! 素晴らしいネーミングセンスだと思い……ます!」
「ふふふっ、そうでしょう、そうでしょう! 我ながら会心のセンスです!」
うんうんとうなずいて、得意げなセフィラ。
ムニャーに手を添えて、今決まったばかりの名前を呼ぶ。
「ムニャー、必ず元気にします。だから、安心して待っててください!」
「ムニャ~……!」
弱弱しいが、棘のない優しい鳴き声だった。
ムニャーという名前を認めてくれている、そんな気をセフィラだけでなくシャロも感じた。
「人間に酷い目に遭わされてきたこの子を、人間の手で元気にするんです!」
「はい、セフィラ様!」
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