平凡な王太子、チート令嬢を妻に迎えて乱世も楽勝です

モモ

文字の大きさ
45 / 61
第1部 第2章

可愛い妹のお願い(上)

しおりを挟む
 ナーロッパ歴1056年11月15日12時30分

 政務も終えアルベルトは久しぶりに可愛い妹とともに昼食を取る。
「お兄様、今とてもお忙しいのに私のために時間を取っていただいてありがとうございます。最近お忙しそうでしたから……」
 可愛い妹が申し訳なさそうに言う。
 朝、妹のシャルロットから真剣な表情で相談されたアルベルトはすぐに乗ろうとしたけど補佐官と言う名の監視者エミリアから阻止されて、結局この時間になってしまった。
 仕事中に可愛い妹の頼みを優先させるべきだとアルベルトは補佐官に何度か主張はしたんだが、綺麗な笑顔で拒絶された。そして、やっと仕事と悪魔(エミリア)から解放されて今に至っている。

「可愛い妹の相談と言われれば兄として喜んで受けるよ。むしろ、こんなに遅くなってごめん」
 妹が内密に相談があるとの事であったのでこの部屋は2人っきりであり、侍女とメイドには昼食と紅茶を置いて出て行ってもらっている。

「いえ。お兄様がお忙しいのは分かっていますわ」
 シャルロットと他愛のない話を少した後、シャルロットは本題に入ってくる。
「お兄様にお願いがあります。私にも何らかのお仕事をお与えくださいませんか?」

 (ん、仕事? 何故また。)
 とアルベルトは心の中で呟く。

「仕事? どういう事だ?」
 そしてアルベルトは首を傾げながら尋ねる。

「私も王族の一員です。国の緊急時に何の仕事もしないと言うのは……すみません。上手く言葉にまとめきれずに」

(大丈夫だ、妹よ。だいたい理由は分かった。)
 とアルベルトは心の中で頷く。

「シャルロットは14歳になったばかり。今いろいろと学んで……」
 兄の常識論を妹は遮る。
「お兄様は13歳で立太子され、14歳には政務に関わっていたではありませんか?」
 (妹よ、言っている事は一理あるけど、途中で人の言葉を遮るのはどうかと……あ、俺も結構遮ってる。人の事言えないな。)
 とアルベルトは少し自己反省しつつ、口を開く。
「確かにその通りだ。しかし……」

 妹に任せられる政務は今の所なかった。無論王族であるシャルロットには嫌な言い方だが価値はある。王家が出席を求められる式典に出席等してもらえるだけでもアルベルトからすれば負担は大きく減る。
 しかし、戦時下となるとそんな式典は中止か延期せざるを得ない。何か担当してもらうにしても優秀な補佐官をつけなければならないが、それなら最初から官僚に任せた方が効率が良い。平時ならともかく戦時にそんな余裕はないと言うのがアルベルトの結論であった。

(さて、どうしたものか。)
 アルベルトが迷っているとノックがなり、エミリアの声が聞こえる。
「ご歓談中の所を申し訳ありません、摂政殿下。デーン王国に放っていた諜者のうち、ユクド半島に派遣していた者らより報告が入りました。」

「少し良いかな?」
 アルベルトがシャルロットに尋ねると、妹は頷く。
「入れ」

「はっ」
 アルベルトの言葉に従いエミリアはドアを開けて入ってくる。

 アルベルトとシャルロットに一礼するとエミリアは報告を始める。
「ユクド半島にて軍を動員している所はオレンボー辺境伯領とその近隣のみとの事です」

 (ユクド半島北部で軍の動員が始まっていないと言う事はデーン王国は国として軍を動かす気がないと見ても良い。これで不安要素は1つ減ったな。)と心の中で喜ぶ。
 そしてエミリアの報告は続く。
「オレンボー辺境伯領の食糧調査もほぼ終了しております。小麦は1プント25グローネ(デーン王国の銀貨通貨単位)、ライ麦は1プント15グローネぐらいです。」

(穀物はリュベルでの流通価格の5倍ぐらいか。)
 とアルベルトは心の中で計算する。

  デーン王国とリューベック王国の通貨は違うが、現状リューベック王国とデーン王国の通貨価値に大差はない。

 さらにエミリアは報告を続ける。
「さらにデーン諸侯は去年のナビア王国との小競り合いを名目で増税されましたが、オレンボー辺境拍は大きく税を取り立てられたようです。」
(成程ね。理解出来なくないが……)
 アルベルトは心の中で呟く。
  
  オレンボー辺境伯はデーン王国で一番の大領主である以上その力を削いでおこうと考えるのもアルベルトから見ても理解出来ない話ではない。しかし、国境警備も行う辺境伯の力を削ぎすれば国境警備にも支障が出て国家として大きな問題であるし、有力諸侯の反感を買うデメリットは大きいとアルベルトは思うのであった。


「外務卿に予定通りオレンボー辺境伯に使者を出すように伝えてくれ。内務卿にも予定の食物の輸送準備を開始するようにと……」

「了解しました」
 エミリアは頭を下げて部屋を出ようとするとアルベルトは視線を一旦シャルロットの方に視線を向けると、一瞬はっと気づいたような表情を見せ、直ぐにエミリアに
「待て、エミリア。」
 と声をかける。
 エミリアは立ち止まり、アルベルトらの方を向き、頭を下げる。
「外務卿に伝えてくれ。本日、相談したい事がある。都合が良い時間を知らせてくれと………」
「解りました。そのように伝えます。」
 エミリアは再び一礼した後、部屋を出る。


「シャルロット。もしかしたら君に頼みたい仕事が出来るかもしれない」

 シャルロットは嬉しそうに頷く。
「は、はい、お任せください。」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています

黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。 失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった! この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。 一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。 「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」 底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

処理中です...