世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう

文字の大きさ
186 / 241
救出作戦

疲労

しおりを挟む


 其々の想いが交錯する夜が更けていく……

 純衣は1人丘の上にいた、遠くを見つめる先には破壊されて居な
い発電機の搭載の建物の灯りが微かに……そして一定間隔で起こる
爆発の光が彼女の眼に映る、それをただじっと見つめる彼女の背後
にはハクも同じ目線で佇んでいた。

 風が冷たく感じる季節の中、時折吹き荒ぶ風の冷たさは心の暖
すら冷えさそうとする、誰もが人は暖かさに心を癒し明日に希望を
求める……どんなに明日に地獄が待っていようが明日は来る、常に
人生の終わりを告げる存在が辺り中に居たとしても人はその中に
放り込まれるのだ。

純衣「闇に光る炎の中にまた悲しみが増えていっているのね」
 呟く彼女の側で同じ炎を見つめ2人は座り続けた、空は人間社会
の事など何事も無いかのように星々が綺麗に輝いていた、そう何事
もないかのように、昼間は地球に近い大気圏外から映る巨大な宇宙
人の空母が見える、月が昼間でもうっすら見えるかのように今まで
に見られ無かった景色が当たり前の景色として今はもう見える……
皆が皆、あの人類の文明が壊れた時の事を忘れはしないだろう、悲
鳴や怒号、混乱、阿鼻叫喚の感情が声となって辺りに響く中、知人
や家族が地獄絵図という中に取り込まれた、人の想像を超える恐怖
戦争の恐怖、得体の知れないものへの恐怖、人が人でありながら人
を押し退け生きようとする者、諦めの中にただ呆然と立ちすくむ者
やがて多くの人は肉片となる者や変貌しゾンビと化していく恐怖、
そしてそれが当たり前の恐怖……

 大規模な侵略後、人の生活も大きく変わった、昼夜問わず襲いく
るゾンビの恐怖、それは寝る、食うすらもままならぬ状況を強いら
れる、多くの人は食料や水を求め彷徨う、ゾンビがいればそれを回
避し、また多くの時間とカロリーを消費しやがて動けなくなり、ま
た彼等をゾンビに変えていく、宇宙人がこの手法を使う理由として
は実に効果的かつ経済的な手法と言わざるを得ない、まるでウイル
スが人の体内に感染し己が生き残るために母体である人の体を蝕ん
でいく、やがてそれが母体を失う事により自身の命を奪う結果とな
る事となる愚かな生命体、そしてそれはまさに人間も同じだ、環境
汚染に自衛と称し核などを所持する誰もが自身、国の為と称し口だ
けで世界の平和は飾りになり己が欲のために地球という母体を喰ら
い続ける、誰もが分かるはずだ、自身の住む星を壊す行為、それは
人や国の問題など関係ない全てを目先の利益の為に全てを無くす行
為となる事を、そう全てである……どんなに大義名分を掲げようと
大地を失って何が平和であろうか、平和すら殺し合いすら何もかも
できなくなる無が確実に先にあるというのに。

 そして現代に生きる人はサバイバルになると自然界に身を置く動
物よりも弱く、心も遥かに弱い……自ら生命を終わる者も決して少
なくない、田や畑を耕す事の難しさ、平和がいかに大事か、人は当
事者になって初めてそれを学ぶのだ。

誠「ちとハクの所行ってくるわ」
裕太「駄目だよ、今はそっとしておいてあげて、さっき迄、僕に異
星人対策の修練で疲れてるんだから」
クリス「お前はそういう所は見た目通り配慮が無ぇんだな」
誠「う……そ、そうだな、息抜きにトランプでもするか」
クリス「元気だなお前は、俺は体が千切れると思う程に全ての関節
が軋み肉があり得ない程の筋肉痛だぜ」
誠「痛いわな確かに、だが心地良くもあるじゃねぇか、またこれが
筋肉となり仲間を救う力となる」
裕太「相変わらずプラス思考だね」
クリス「馬鹿なんだなうん、そうなんだな、馬鹿はほっといて、裕
太、対策は出来たのか」
裕太「彼等の力が何処まで強いのかも明確にはわからない状況だか
ら半分は出たとこ勝負になりそうだけどやれる事はやったよ」
クリス「彼等のような力と対峙した事が以前ある、遺伝子操作され
たクローンだ、仕組みは同じだろう、人で力で対抗するのは正直
難しい……圧倒的な力の前では全てを潰される」
誠「だろうな……ゾンビ熊と戦った事はあるが奴らはそれ以上」
裕太「乱戦時、熊と対峙するグリマンを見たけど熊よりは強いね、
あれで半分と言った所かな」
誠「半分か……だが雪丸は倒したんだろ?しかも複数体、手はある
筈だ」
裕太「そこだね救いは、だけど彼も普通じゃない」
クリス「技の極みが力を凌駕した結果なのかわからないが、まとも
に戦えば負けは確実だ、いくらお前に力があってもフルパワーで戦
う事が出来たとしてもだ、しかも爆弾付きとなれば尚さらだ」
誠「でハクの作戦は何だ、アイツも普通じゃ無ぇ、普通じゃ無い者
同士なら奇策が通用する可能性もまた高いはずだ」
裕太「基礎は聞いたけどこればっかりはやってみないとと言ってい
たよ」
クリス「そうだな……だが握力だけでも人の頭骨を割る位の奴等だ
野生のゴリラとかなら同じ事出来るかもな、野生はまだ生きる本能
が強い分無理はしない、ゴリラも頭脳を持ったら確かに同じ可能性
もある」

裕太「2人は大丈夫なの?」
クリス「……」
誠  「……」
クリス「正直言って良いとはいえないな……痛みもだが思うように
腕に自由が効かない、範囲は広がっているだろうな、今は誠がカ
バーしてくれてるがそれも今の状態が進行すれば……」

誠「俺も視界の悪さが狭まってるのを感じる、この先、戦いが続い
た、いや生きてる限り何処に行ってもあるだろうが戦力として成り
立つかどうかは……」
裕太「……大丈夫僕が仲間を守る、もう僕らは家族だから」
クリス「お前も次どうなるかわからないぞ、無事ですむ戦いなんぞ
そうある物じゃない」

 暗い雰囲気が部屋の空気に漂う、だが近くで遊んでいる子供達の
声が場違いの中聞こえてきた。

誠「まっいいじゃ無ぇか、あの笑い声を守れてんだから、それによ
考えたって仕方無ぇ、考えるだけ疲れる、疲れるより、あの笑い声
を聞いて笑っていようぜ」

 目を細め静かにつぶやく誠の笑顔は作り笑いでは無かった、心の
笑みは辺りを黒からオレンジ色に変えるように皆に安心感と決意を
心に刻ませた。

誠「そういえばあんなに騒いでた勝木トリオとポルキはどうした、
相葉のオッさんも見かけ無ぇが」
クリス「あの3人は騒ぎに乗じてグリマン内部に侵入してもらった
今頃、救出作戦の準備に取り掛かってる筈だ、あの混乱はチャンス
だったからな、ゾンビも異星人達が参入した事によりグチャグチャ
だ、誰が犠牲になったか区別なんてつかないからな、ポルキがそれ
に上手くやっているはずだ、向こうのテクノロジーを使って」

裕太「作戦は?」
クリス「知らん」
誠「おいおい知らんて」
クリス「この展開がお前に読めるか?俺には無理だね、状況は二転
三転してる、即座に対応出来る策をいくつか用意はしているが、各
個人個人同じ意思、目的で進めば策はおのずと繋がるはずだ」

ーー丘の上の2人ーー
純衣「……悲しいね」
ハク「……悲しみだけで世界は染まることは不可能だよ」
純衣「うん……」
ハク「それでも人は快適な暮らしを見つけ生き残りさえすれば」
純衣の肩に手をやると一言呟いた。
ハク「いつか本当のスローライフを」
 純衣はハクの方へと寄り添いいつまでも星に希望を込めて、そし
て嫌でも視界に入る絶望の炎に狭間でただ側にいる事で締め付ける
何かから身を守ろうと彼にしがみ付いた。












しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

不死身のボッカ

暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。 小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。 逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。 割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。 ※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。 ※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。 ※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。 ※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。

異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。 ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。 この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。 未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。 そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

讃美歌 ② 葛藤の章               「崩れゆく楼閣」~「膨れ上がる恐怖」

エフ=宝泉薫
青春
少女と少女、心と体、美と病。 通い合う想いと届かない祈りが織りなす終わりの見えない物語。

転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜

万実
キャラ文芸
う、嘘でしょ。 こんな生き物が、こんな街の真ん中に居ていいの?! 私の目の前に現れたのは二本の角を持つ鬼だった。 バイトを首になった私、雪村深月は新たに見つけた職場『赤星探偵事務所』で面接の約束を取り付ける。 その帰り道に、とんでもない事件に巻き込まれた。 鬼が現れ戦う羽目に。 事務所の職員の拓斗に助けられ、鬼を倒したものの、この人なんであんな怖いのと普通に戦ってんの? この事務所、表向きは『赤星探偵事務所』で、その実態は『赤星陰陽師事務所』だったことが判明し、私は慄いた。 鬼と戦うなんて絶対にイヤ!怖くて死んじゃいます! 一度は辞めようと思ったその仕事だけど、超絶イケメンの所長が現れ、ミーハーな私は彼につられて働くことに。 はじめは石を投げることしかできなかった私だけど、式神を手に入れ、徐々に陰陽師としての才能が開花していく。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...