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第1部
アイシャ11歳
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アイシャは11歳の誕生日の朝に、自分の前世を思い出した。
アイシャはレーゲンブルク帝国、マルテッロ侯爵家の長女として生まれた。
この世界には、時々前世の記憶を思い出す人が生まれてくる。
その発現はいわゆる思春期の頃、11歳から15歳頃と言われ、発現後1年ほど鮮明になり、その後ぼんやりとしたものになっていく。
発現する前世とは、この世界で寿命まで生きられなかった人のもの。
この世界は治癒魔法の発達もあり、皆老いてはいくが100歳の誕生日まで、大病もせず天寿を全うするものがほとんどであった。
だが不慮の事故などで亡くなった人の思いが、前世の記憶として次の生で発現する。
そして前世の記憶が1年ほどで段々と薄れていくのは、前世に縛られすぎずに今世を生きてほしいという思い。
そう、それは、私、アイシャの前世、日本人の15歳の女の子 舞 が入院中に想像していた設定だったのだ。
アイシャの前世は、こことは全く違う黒髪黒目の人ばかりの日本という国で、難病のため余命僅かな少女、舞という名前だった。
痛みや苦しさの中で、ときおり読んでいた小説やマンガの世界のように魔法があれば、奇跡が起こればと何度も想像した。
このまま自分の人生が終わってしまう恐怖に囚われながら、もう、ダメならば生まれ変わりたいと、来世があるのなら、少しでもこの記憶を、私を覚えていて欲しい。
来世は大好きだった小説のヒロインみたいにいろいろなところに行って、美味しいものを食べて、様々な経験をして、そして、素敵な恋愛をしてみたい。
魔法があって、でも平和で病気も飢えも貧困もない世界の美しい女性になりたい。
デートやキスやそれ以上のこともしたい!
未知の世界を頭の中で想像することを支えにしながら舞は苦痛と戦い、耐えて、15年の短い生涯を終えた。
記憶が覚醒してから、アイシャは涙が止まらなかった。
舞の儚い人生が悲しかった。
両親や兄弟はアイシャが前世持ちであったかと驚き、どんな人だったか訊ねたがアイシャはためらった。
だって、この世界じゃない日本という国の少女で、ここが少女の思い描いてきた世界だなんて、今までそんな前世持ちの人はいたのかしら。
これは、本当に前世なの?
悩んだ末両親に泣きじゃくりながら
「私・・・ここじゃない国の、治らない病気の女の子の、気持ちがばーっと頭の中に出てきて……」
としどろもどろに言うと、両親は目を丸くした。
やはりそういった例は聞いたことがないらしい。
しばらく泣き止まないアイシャをなだめたあと、母のヘレナは
「そうね。それは多分あなたの前世なのかも。
その女の子の願いを、あなたが叶えてあげないといけないわ。
元気に、暮らさなくては」と微笑んだ。
父のホランドも
「そうだね。アイシャ、その子の願いや記憶を書き留めておくと良いよ。
1年ほどで徐々に薄れていくと言うからね。アイシャは可愛くて健康なんだ。
その子の分まで精一杯生きるんだ」
と、多少親バカが入っているが励ましながらアイシャを抱きしめた。
その日はアイシャの誕生会を予定していたのだか、急遽中止となった。
アイシャが1日中寝込んでしまったからだ。
アイシャはレーゲンブルク帝国、マルテッロ侯爵家の長女として生まれた。
この世界には、時々前世の記憶を思い出す人が生まれてくる。
その発現はいわゆる思春期の頃、11歳から15歳頃と言われ、発現後1年ほど鮮明になり、その後ぼんやりとしたものになっていく。
発現する前世とは、この世界で寿命まで生きられなかった人のもの。
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そして前世の記憶が1年ほどで段々と薄れていくのは、前世に縛られすぎずに今世を生きてほしいという思い。
そう、それは、私、アイシャの前世、日本人の15歳の女の子 舞 が入院中に想像していた設定だったのだ。
アイシャの前世は、こことは全く違う黒髪黒目の人ばかりの日本という国で、難病のため余命僅かな少女、舞という名前だった。
痛みや苦しさの中で、ときおり読んでいた小説やマンガの世界のように魔法があれば、奇跡が起こればと何度も想像した。
このまま自分の人生が終わってしまう恐怖に囚われながら、もう、ダメならば生まれ変わりたいと、来世があるのなら、少しでもこの記憶を、私を覚えていて欲しい。
来世は大好きだった小説のヒロインみたいにいろいろなところに行って、美味しいものを食べて、様々な経験をして、そして、素敵な恋愛をしてみたい。
魔法があって、でも平和で病気も飢えも貧困もない世界の美しい女性になりたい。
デートやキスやそれ以上のこともしたい!
未知の世界を頭の中で想像することを支えにしながら舞は苦痛と戦い、耐えて、15年の短い生涯を終えた。
記憶が覚醒してから、アイシャは涙が止まらなかった。
舞の儚い人生が悲しかった。
両親や兄弟はアイシャが前世持ちであったかと驚き、どんな人だったか訊ねたがアイシャはためらった。
だって、この世界じゃない日本という国の少女で、ここが少女の思い描いてきた世界だなんて、今までそんな前世持ちの人はいたのかしら。
これは、本当に前世なの?
悩んだ末両親に泣きじゃくりながら
「私・・・ここじゃない国の、治らない病気の女の子の、気持ちがばーっと頭の中に出てきて……」
としどろもどろに言うと、両親は目を丸くした。
やはりそういった例は聞いたことがないらしい。
しばらく泣き止まないアイシャをなだめたあと、母のヘレナは
「そうね。それは多分あなたの前世なのかも。
その女の子の願いを、あなたが叶えてあげないといけないわ。
元気に、暮らさなくては」と微笑んだ。
父のホランドも
「そうだね。アイシャ、その子の願いや記憶を書き留めておくと良いよ。
1年ほどで徐々に薄れていくと言うからね。アイシャは可愛くて健康なんだ。
その子の分まで精一杯生きるんだ」
と、多少親バカが入っているが励ましながらアイシャを抱きしめた。
その日はアイシャの誕生会を予定していたのだか、急遽中止となった。
アイシャが1日中寝込んでしまったからだ。
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