優しい君を抱きたい

ツナコ

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ep2 晴翔

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 ニューヨークの十一月は日本でのほぼ冬だ。
十一月で雪の降る日もあるこの都市に、晴翔が住み始め半年がたった。

 白い息を吐きながら、晴翔は大学のあるグリニッジビレッジを歩く。

 晴翔の留学先があるニューヨークは、ブロードウェイ、ウォール街、国連本部など刺激的で学ぶところが沢山あり、飽きることがない。大学ではさまざまな国の人と交流を深め、英語も上達してきたし友人もできた。

 充実した日々を送っている、と思っているが、どうしてもあの人の事を思い出してしまう。
叔父さんの恋人、蒼さん。
薬を飲まされた蒼さんとのセックスは、今までの晴翔の経験の中で一番気持ち良くて、相手の事も愛しく感じられたものだった。

 蒼さんの黒目がちな美しい瞳が潤み、こちらを見つめる。
その表情が、我慢できずに喘ぐ姿が、しなやかな身体が痙攣し、晴翔に縋り付く・・・、あの時を思い出して何回自慰をしたか分からない。

 当時つきあっていた彼女とは、あの後直ぐに別れてしまい、その後渡米してから遊び半分で女性と寝ても、頭をよぎるのは蒼のことばかり。
自分はバイだったのかと思い、出来るだけ蒼に似たゲイの男を探して試してみたら・・・全く勃たなかった。

 蒼さんに会いたい。
今は、叔父さんに男として敵わないのは認める。
もっと勉強して、体も鍛えて、そしてセックスのテクニックも磨くのだ。
自分と叔父は外見もよく似ているし、蒼のタイプが朝陽なら近づける。
少しずつ近づくんだ。
次のクリスマス休暇に帰国したら、蒼にはそんな懸想はもう抱いていないと思わせて、叔父さんの構えを解かせる。


 叔父さん、大好きな叔父さんだけど、この恋の前にはライバルだからね、と晴翔は心の中で朝陽にライバル宣言をするのだった。
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