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018☆どうやらこの選択はバッドエンドの様です①

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「部屋に案内しよう」

 ちょっと残念そうなアルフレッド様とお母様が明日来るかしらとお花畑なソフィア様を残して王太子殿下は王宮の奥へと歩を進める。
 ちょいちょいとギルバート様に手招きされるがままに私もその後に続く。……そもそも拒否権は無い。

 どうやら王太子殿下とギルバート様が私の部屋とやらに案内してくれるらしい。何気に楽しみなロイヤルガーデンかくれんぼと探検は暫しお預けだ。


 この世界の成人は十六歳。もっともそれは婚姻が可能になる年齢であって貴族の令息令嬢が独り立ちするのは十九歳になった学園卒業後となる。つまり高校みたいなものになるけど、なんと始まりは十六歳になる年の九月。欧米か!古いとかって苦情は受け付けないわ、だって中身は……げふん。

 学園は通い始める時期が成人する年だから一般的な読み書き計算は出来て当たり前。
 この辺は貴族ならその年齢までに各ご家庭で家庭教師から学ぶものだし、平民……って言い方は好きじゃないから一般市民は教会が無料で開いている小学校というか寺子屋みたいな所で簡単な読み書き希望すれば計算も学べる。その中でも魔力やなんらかの才覚が認められればもっと高度な学習ができるし、そこから貴族の養子や人気の高位職につける機会が増えるとあれば、宗教色が強いあの教会も悪いものでは無いのだろう。私以外には。

 魔力がある魔法世界につき、学園ではもっと高度な魔法やその制御、自領や他領の良い・・部分を学びそれを領地経営に生かす下地、それに追随する他家との付き合いというか兼ね合いについて学ぶ。
 それは小さな社交界であり高位貴族の継嗣である令息令嬢は魔力量の釣り合いのとれる婚約者が決まっている事が殆どだけど、それ以外の例えば次男三男とか婚約者のいないものの出逢いの場ともなる。
 そんな学園にもうすぐ行くのだからきっと中には釣り合いのとれる魔力量の人もいるはずだから、王太子殿下は出会いをそこで探したら良いんじゃないかしら?と、うすらぼんやり考えながら私は足を動かしていた。


「で、殿下……ここは?」

 着いた先は重厚な内装のかなり落ち着いた部屋。ふかふかの絨毯に実務的ながらきっと高いんだろうアンティークな机にこれまた立派なソファー。そして内扉が左右に一つずつ……五歳の女の子に用意する部屋じゃないわ。だってアルフレッド様のお部屋は明るい色彩のまだ可愛らしさがあるお部屋だった。まぁ、ピンクピンクした部屋とかよりはこの落ち着いている部屋は嫌いじゃない、寧ろ好き。

「私の部屋だが」

「……はい?」

 思わず上擦ったような剣呑な声が出たのは仕方ない。
 部屋に案内してくれるって言いましたよね?!胡乱げに視線を向けるとギルバート様が口を開いた。

「あ~、アリー。言いにくいけど……命の保証上アリーはウィルと一緒の部屋になる。なんと真名の宣誓ちかいでウィルが生きてる限り一緒の部屋でも純潔の保証もあるしね!」

 巫 山 戯 る なっ !
 しかも万が一王太子殿下が不慮の事故で死んだらキズモノ認定まっしぐらじゃない。それに……

「…………死んでもご免よ」

「アリー?」

 ポツリと呟いた声は王太子殿下の後ろにいたギルバート様には届かなかったみたいだ。

「死んでもご免よっ!私を処刑した人と四六時中一緒なんて耐えられない……首が落ちる瞬間すら変わらなかったあの目が何度繰り返しても忘れられない……一緒に生活するくらいなら死んだ方がマシよっ!!!」

 そう、ムリ、むり、無理ーっ!!!

 言いたい事を言うだけ言って、ふと見下みおろすその光の無いその目に気づいた私は凍りついた。

 ……そう、私は選択を間違えたのだ。










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