僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

文字の大きさ
160 / 369
学校のマドンナはおとこの娘

8話

しおりを挟む
「それでは授業を終わりにする!気をつけて帰るように!」

ホームルームが終わり、夏休み明けというのもあってみんなも疲れを出していた。
俺もココ最近いろいろあったから、なんかくたびれたな……。
さーて、家帰って久々にたくさんゲームでも……。

「あ、天野は少し残ってくれ。」

パリーン……と心のガラスが割れるのを感じた。
え、なんか悪いことしたかな?

「マジかよ、すまん……俺は水泳部があるから。」
「私もバイトが……ごめんね、直輝くん。」

飯田も舞衣も用事があったみたいで先に帰ってしまった。
ここ最近みんなと一緒にいたから少し寂しく感じてしまう。

俺は先生と生徒指導室に向かい、席に座ることになった。

「じゃあ、座ってくれ。」
「失礼します。」

妙に居心地が悪い。
昔は虐められてたのに俺のせいにされてこうやって怒られることもあったトラウマがよりこの居心地の悪さを助長をしていた。
さーて、諏訪先生はいつも温和な方なだけに何考えてるかは分からないんだよな。

「先生、俺なんかしました?」
「んー、いい意味でな。」

いい意味?

「いや、先生から見て天野はすごく頑張ってるような気がしてな。去年から君はかなり見違えたように見える。点数はかなり伸びで成績トップに割り込みそうな勢いだ。」

まあ確かに、俺は万年最下位から突如点数を爆上げして。かなりの成績を残していた気がする。

「それに加え、君はクラスの人間関係もまとめあげている。佐倉は女子間でのいざこざも無くなったし、不良の虎ノ門だって、暴力沙汰が減りたまに休むけど学校に来る。」

言われてみれば、俺の周りも友達が出来てみんないい方向に行っている。
結論から言うとそれはみんなが頑張ってるだけであって俺はそんなに関与はしてないのだが。

「天野は、この学校でやりたいことあるのか?」
「んー、ハッキリとはないですね。母ちゃんに恩返しできるように、今は大学を目指しています。」
「ほう、学校は?学科とかも決まってるのか?」
「そこは……まだなんとも。」

いかん、言ったことに対して中身が無さすぎる。
先生もさぞ呆れてるだろう。
しかし、先生は俺から目を逸らさず、まっすぐ見ていた。

「天野、もし良ければなんだが生徒会役員をやってみないか?」

へ?生徒会役員?
なんだその俺から無縁を見事に体現したような言葉は。

「い……いやいや!俺には荷が重いですって!」
「ちなみに、飯田を生徒会長に推薦しようと思う。君は話をまとめたりするのが得意そうだから……議長なんでどうかな。」
「議長……。」

会長、副会長と続いて議長なので実質的なNo.3といったポジションだったな。
あれ?でも議長って普段何するんだ?
肩書きはかっこいいけど。

「でもまあ、今回はその前段階の話でな。そろそろ文化祭と近いから、まずは文化祭実行委員をやって欲しいんだよ。」
「いや、そこを先に話してくださいよ。めちゃくちゃテンパったじゃないですか。」
「あはは、すまん……先生もよく教頭から結論から言えって怒られるんだよ。」

諏訪先生が低い声であははと笑う。
筋肉質で肌が浅黒いけど、やっぱり目はすごく優しいんだよな……この人。

「……やってないか?もしかしたら、人生にとって良いキッカケになるかもしれない。先生もサポートする。」
「分かりました、やってみます。」

少しめんどくさいという気持ちもあったけど、
今まで底辺だった俺が学校を引っ張る立場になる。
きっと向いてないことも沢山あるのかもしれないけど、俺が己を知る良いきっかけになるかもしれない。


「話は以上だ、天野も相談事があったら気軽に俺にも話してくれよ。あ、トライアスロンのお誘いも大歓迎だぞ。」
「いや、体力ないんで死にますって。」

諏訪先生、歴代の担任の中でも話せるタイプだな。
今までの教師は頭ごなしに否定してきたのでほとんど嫌いだったけど、諏訪先生だけは例外になりそうだった。俺は少しだけ雑談を話してから、この部屋を後にした。

「失礼します。」

ガチャ。

秋になると少し日照時間が短くなるのか、まだ6時というのに少し薄暗くなっていた。
夜の学校って妙に音が反響していたり、長い通路が暗かったりと不気味な景色が続いていた。

ヤバい……なんか出ないよな……?
恐る恐るスマホのライトを照らすと、1人の女の子が立っていて、突如目の前に現れる。

「やあ。」
「ぎゃああああ!……って……渚?」

失礼、女の子じゃなかったみたい。
一瞬だけだとほんとわからないよな。

「どうしたんだよ、渚……お前部活とかも入ってないだろ。」
「あはは、今日も一緒に帰れるかなと思ったけど、先生に呼び出しくらったって聞いてさ……。もしかしたら昨日のボクのせいかなと思って心配して待ってた。」

なんというヒロインムーブだろう。
恐ろしく熱いアプローチ、俺でなきゃ惚れちゃうね。

「ああ、違う違う。別件だ、むしろ褒められたくらいだ。」
「そう!それなら良かった……!」

二人で昇降口を出ると、外はしとしとと雨が降っていた。
薄暗い空気に、アスファルトの匂いが湿って漂っている。

「やべえ……傘忘れた。」
「ああ、ボクのがあるよ。……相合い傘、してく?」

渚がほんの少し上目遣いでこちらを見た。
その黒髪は光を吸い込むように濡れ、瞳はガラス玉みたいに雨を映している。
言葉よりも、その視線に心臓が先に反応してしまう。

「……お、おう。」

傘の下に並んで歩き出す。
身長はほぼ同じなのに、渚はほんの少し自分の方を押しやって、肩を差し出していた。
結果、渚の肩口はじわじわと濡れていく。
すぐ耳元で、雨が傘を叩く小さな音が重なり、息遣いが近すぎて落ち着かない。

「そういえばさ、なんか先生から文化祭実行委員やら、生徒会役員をやって欲しいだの……そんな話が上がったな。少し悩んでるんだけど……どう思う?」
「え!凄いじゃん!やっぱり直輝くんって人望が厚いから、見てる人は見てるんだよ。」

渚の声は、雨のせいで少し柔らかく響いた。
ただの会話なのに、胸の奥をくすぐられる。

その時だった。
後ろから車が、水しぶきを巻き上げながら通り過ぎる。
次の瞬間、渚の体が全身で泥水を浴びた。

「おい!渚……!?大丈夫かよ!」

渚は一瞬目を丸くしたあと、困ったように笑って「やっちゃった」と呟いた。
シャツは肌に貼りつき、長い髪から滴がぽたぽたと落ちる。
その冷たさが見ているこっちまで伝わってくるようだった。

このまま電車に乗らせるわけにはいかない。
それに、ずっと助けてもらってばかりだ。
今くらい、俺が……。

「なあ、渚……今日、うちに来ない?」
「……え、いいの?」

少し震える声。
その表情は、雨粒のせいか、それとも別の感情のせいか、ほんのわずかに赤く見えた。

雨は強くなり、秋の風が冷たく頬を撫でる。
渚は嬉しそうに頷き、泥のついたスカートを気にしながら、俺の横にもう一度並んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...