僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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僕の幼なじみはドS少女

1話

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季節は秋になると、既に朝でもめちゃくちゃ冷え込むのを感じる。
もう俺は長袖をしていて、カーディガンをつけてやっとちょうどいいくらいだった。

文化祭も終わり、そろそろ中間テストが近くなる。

休みの日も文化祭実行委員の仕事で立て込んでた俺は、久しぶりの休みだけどとにかく時間が浮いてるようで仕方がなかった。

「今日は……なにしよっか?」

一定期間頑張ってた反動で俺は完全に目標を失い燃え尽き症候群もいいところだった。

今日はいつものメンバーも各々が忙しいとのこと。
俺は、家にいてもネットサーフィンしそうだったので図書館で勉強をする事にした。

「ううむ……この数式は……え、ちがう?なんで??」

しばらく勉強を離れてると、以前できてたはずの問題も解けなくなることもあり、俺は身体が勉強に慣れるまでとにかくやり続けていた。

ううむ……流石は進学校、出す科目も難しいな。
肝心の師匠の龍も居ないから気軽に聞ける人もいない。
どうやら情けないことに……俺は独りだと何も出来ない人間のようで自己嫌悪さえしてしまう。

「この数式はね……ここを解くといいよ。」

突然、俺の前に青いネイル付きの指がノートの上で式を指さす。

「うわぁ!?」

俺は反射的にびっくりして声を上げる。
そして……辺りを見渡すと1度俺に注目が集まるがまたみんな読書やら勉強を始めていた。

「もう……図書館なんだから大きな声出しちゃダメだよ?」
「いや、急になんですか!」

俺は指の持ち主を見ると……固まってしまった。

「き……君は……。」
「久しぶりだね、天野くん。また会えて嬉しいよ。」

彼女は……石川愛。
長く綺麗な黒髪と150cm程度の小柄な体型……それに加えて、小動物のような幼い顔立ちなのに妙に余裕を感じる表情をしていた。

「い……石川……さん。」
「あはは!相変わらず面白い反応だね!……ねえ、何してるの?」
「き……君には関係ない!」

俺は反射的に彼女に冷たい反応を取ってしまう。
彼女は小中学校は同じだったのだが、実際知り合ったのは中学生の頃だった。

「えー……なんでよ、私と天野くんは友達じゃん。」
「友達になった覚えはないよ!?」
「いや……中学の時一緒に帰ったり、学食も食べたじゃん。」
「あれは……石川さんが一方的に来てただけで……!」
「あはは!もう……相変わらずおもしろいね。」

このように……彼女は一見、友好的に見えるのだが……どうにも俺はこの子が苦手だった。

声だって甘くとろけるような可愛らしい声だし、雰囲気も慎ましい感じで男ウケは抜群である。
この子は何故かこうして俺を見つけては絡んで、少しいじったりとかして俺の反応を楽しんでいた。

いかん、少し子どもになっていた。
俺はあれから色々経験したんだし、彼女とは普通に向き合っても良いのかもしれない。

「ごめん、ちょっと言いすぎた……今は中間テストが近いから勉強してるんだ。」

すると……彼女は鳩が豆鉄砲喰らったかのように驚いた表情を少し見せるが、また不敵な笑みを見せる。

「へー……ちょっと前向きになったんだね。ねね、私も隣で勉強してていい?」
「え、嫌だ。」
「ありがとう。」
「断ったんだけど!?」

そう言って彼女は隣でなにか勉強をしている。
時折俺の勉強内容を見られてるようで落ち着かない感じがする。

「こうして見ると……昔を思い出すね。」
「いや、なんだっけ?」
「えー!だって、私たち緑化委員の仲間だったじゃん!わたし……天野くんの相棒だよ?」
「あれは……。」

俺は遠い昔を思い出す。
確かに俺と彼女が知り合ったのは主に花壇などの整備をしたり草むしりをする緑化委員だったけど……
彼女が俺を時折急かしたり、焦る俺を見て楽しんだりなど、あんまりいい思い出はなかった。

「相棒って……なんだっけ。」
「もう!天野くんは意地悪だなぁ。」

結論から言おう。
彼女はモテる。中学の頃だと何度か校門の前で告白される事が多かった。
クラスの一軍男子が彼女に告白するのを何度もつまらなそうに眺めたものだ。

でも、そんな時は彼女は決まって断っていた。
つまらなそうな目をしながら、こんなものは望んでいないと言わんばかりの顔で。

きっと今もモテてるのだろう。
俺たちはもう道が交わることがない。
幼少の頃の人間関係なんて、そんなもんである。

「ありがとう……久しぶりに会えて嬉しかったよ。じゃあ元気でね。」

そう言って俺はドライに去ろうと立ち上がるが、彼女は俺の手首をガっとつかんだ。

「え?私立っていいって言ってないよ?ほら、お座り。」

笑顔なのに……目が笑ってない。
この子は二面性がある。
みんなの前ではお淑やかなのに……俺の前ではどうにもみんなとはちがう顔を見せていた。
というか、お座りって……犬扱いですか。

「で……でも、このあと予定が。」
「絶対うそよね。家だと集中できないからとりあえず金のかからない図書館で勉強しに行こう……とかそんなところかな?」

怖っ、彼女はエスパーのように俺の内面をあっさりと見抜くのだ。
舞衣は自分が好きだから過激な行動に出るのが分かるから、容認できるのだが彼女のそれは完全に得体の知れないものだった。

「すみません、嘘でした。」
「うんうん、よろしい。あ、そうだ……この問題はこう解くといいよ。」
「え。」
「ほらほら……手を動かして。」
「は……はい。」

その後、彼女に弄られながら俺は勉強の無知を恥じつつ2時間も彼女の指導を受けることになった。

ただ、げっそりと疲れたものの久しぶりに勉強のカンを思い出して、俺も勉強に没頭することになった。

☆☆

「げ、もう夕方じゃん。」

図書館は18時と、そろそろ閉館の時間だった。
俺はスマホを見て焦る。
俺は最初は彼女への過去のトラウマから警戒心を示していたけど、今は少し緩んで彼女への素直な感謝を感じていた。

少し懐かしくもあり、正直楽しかった。

「なんか、色々あったけど勉強ありがとう。少しだけ自信ついたよ。」
「どういたしまして、やっぱり私と天野くんは最強コンビだね!」

彼女はそう言って微笑んでくれる。
こう見ると、彼女は本当に可愛い。
このドSな本性が無ければ俺は彼女に惚れることもあったのかもしれない。

「じゃあ、また会えたら……って、あれ?俺のスマホは?」

俺はスマホを探すがどこにもない。
あれ、落としちゃったかな……。
少し、嫌な予感がして彼女を見るとニヤニヤと笑っていていかにも私が犯人ですと言わんばかりだった。

「んー、どこだろー?」
「え、絶対石川さんだよね?」

すると、彼女は自分の胸に指さすと俺のスマホが彼女の胸ポケットに収まっていた。

「ちょ、返してよ。」
「あーん、いやー。積極的だよ天野くんー。」
「その……棒読みやめて……かえ……あ。」

俺は彼女の胸を間違って掴んでしまう。
俺は冷や汗で背中がびっしょりになる。

「あ、ちょ……その……これは不可抗力で。」
「……えっち。」

ぐぬぬ……手を出せない。
ここはスマホを放棄……なんてことできるか!
とりあえず素直にお願いするしかない。

「なあ、返してくれ。なんでもするからさ。」
「ん?今なんでもするって言った?」
「あの、可能な限りですけど。」
「じゃあ……私とライン交換してくれたらいいよ!」
「スマホ買い換えるか……。」
「いや、諦めはや過ぎない?んー、じゃあ……暗証番号は……4...2...9。」

待って、なんで俺のスマホロックのパスワード理解してるの。
しまった、セキュリティ面も攻略済みなのか。

「分かりました……交換します。」
「素直でよろしい!あ……ブロックもダメだからね!」
「ブロックしたら?」
「天野くんが大変な目に会います!」
「……肝に銘じておきます。」

そう言って、石川と別れて俺は少し夕陽が過ぎて暮れた夜道を歩く。
スマホには早速彼女からのラインがきていた。

しかし、ひとまず内容は見ないで俺は帰り道を目指す。
また、面倒な人に目をつけられたと少し憂鬱な帰り道を進んでいく。

少し冷え込みが肌を刺すように冷たく感じ……じんわりと俺を冷ましていった。
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