僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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遥香と秘境の吊り橋物語

14話

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私は朝の日差しが瞼の上を照らして、浅くなってきた睡眠から一気に目覚める感覚を感じる。

私は用意されていたセミダブルベッドに横たわっていた。
ここまで歩いて寝た記憶はない。
ほんのりと、直輝との会話だけが妙に心に残っている感覚があった。
我ながらほんと息子に迷惑かけてばかりかもしれない。

隣ではことねさんが寝ている。

「ぐごごお~ふがっ……ギリ……ギリ……。」
「え、これことねさんの寝息?」

恐る恐る彼女の様子を見る。
掛け布団はベッドから転げ落ちており、シーツも剥がれている。
というか、彼女も右足だけベッドから落ちていた。

エレガントなイメージの彼女だが、想定よりも寝相が悪いみたいだった。
そして、残りの高校生組は畳の上に布団を敷いてるのか確認をする。

「すーすー。」

直輝は逆に寝相もいびきも特になかった。
それはいい……それはいいのだが……。

「ンゴォォ…ングゥ…。」

男女で少し離れるように布団は敷いてあったのだが、舞衣ちゃんが直輝の布団に入っていて直輝の身体を抱きしめていた。
まさか、本能的に直輝を求めてるのか……?

まあいいや、せっかく備え付きの風呂があるし、少し優雅な朝を迎えるとしましょ。

そんな時だった。

「おはようございます、遥香さん。」
「きゃあ!?」

1人だけ姿の見えなかった彩奈ちゃんがいた。
既に化粧はほとんど終わっており、まつ毛にマスカラをつけてはヘアアイロンで髪を巻いて、それをワックスとスプレーで固めている。

「び……びっくりした、朝早いわね彩奈ちゃん。」
「ええ、あんまりすっぴん見られたくないのもありますけど、基本朝早いんですよ。基本家事も私がやってるので。」

この子いいな……ストイックだし、こうして家のこともやってくれているなんて。
将来いいお嫁さんになりそうだ。

「ねえ、舞衣ちゃんのアレって……?」
「最初は私の隣で寝てたんですけどね……行ってしまった見たいです。」
「ど……どうしましょ、高校生で子どもが出来るのはさすがに早いと思うのよ私。」
「いや、遥香さんも16で直輝くん産んでますよ。」
「あ、確かに……。」

そういえば私も若くして子供を産んだ身だった。
まあ、あんまり心配しすぎても仕方がないかも知れない、現に服は着ていたし。

「彩奈ちゃん……コーヒー淹れる?」
「あ、欲しいです。」
「わかったわ、味はどうする?」
「ブラックでお願いします。」

私は彼女の言うとおりアメニティのコーヒーを砂糖とミルク無しで用意して彼女に渡す。
私も向かいの席に座って彼女とコーヒーを飲んでいた。

さて、時刻は5時半過ぎ。
この地域は彼女の知識のおかげでとても好いものになった。
今日も若者の声に耳を傾けて旅を委ねることにしよう。
それくらい、私にとって彼女の存在は大きいものになっていた。

「今日どこ行こうかな?ごめんなさい、私ここあんまり詳しくなくて……。」
「いえいえ!遥香さんは運転してくださってるじゃないですか!そこは私に任せてください!」

彼女は顔だけこちらに向けて化粧を仕上げる。
前髪もしっかりとスプレーで固められていて、香水もバニラの良い香りのする美少女がそこには座っていた。
そして、その美少女がるるぶを読んでは少しルートを考えてくれる。

「夢の吊り橋を7時に向かってチェックアウトを済ませたら……昨日の奥大井湖上沿いの道をさらに北上しましょう。そこからは……道があんまり良くないですけど畑薙湖までいってみてそこから帰りでも良いかもしれないですね。」
「なるほど、静岡の北端ね。相当秘境らしいわね~。」
「多分昨日みたいな道を40km近く走るらしいですよ。」

なるほど……基本的には自分で頑張って、厳しくなったらことねさんにバトンタッチでも良いかもしれない。

「さて……と、私もちょっと温泉行ってくるわ。」
「いいですね!朝の贅沢……楽しんでください!」

私は備え付きの露天風呂で服を脱ぎ文字通り全身で寸又峡の空気を味わう。
マイナスイオンと秋の涼しさ、空気の美味さなどが私を極上なまでにさわやかにしてくれている。

開放感に溢れて、昨日の二日酔いはどこかに行ってしまいそうだった。
そして、一人で温泉に入ると、少しぬるめのお湯が私をリラックスさせて自然の心地良さとお湯の気持ちよさが調和した最高の朝を迎えることが出来た。

ああ、私はなんて幸せなんだろう。
朝の日差しが私をさらに照りつけ鳥の鳴き声が心地よい。

肩まで浸かり足のふくらはぎから温まり、心拍数が上がっている。
たった一人の贅沢。

「そろそろ……出るかな。」

私は湯船から出て、軽くシャワーで体を洗い流す。
しかし、ここで私は1つの失態に気がついた。

「着替え……忘れた。」

ここに来るのに着替えを忘れたことに気がつく。
彩奈ちゃんは部屋にはいない。
どうやら、売店かどこかに行ってしまったようだった。
仕方が無いので私はタオルで洗って服を着ないまま和室の奥まで進んでいく。

大丈夫……みんな寝ているはずだから……。

「……何してるの、母ちゃん。」

そんな私の予想は虚しく、直輝がピンポイントで起きていて私の産まれたままの顕な姿は息子に見られてしまう。

「きゃあああ!!?」

私は声を上げて直輝をビンタして彼は後ろに倒れてしまった。いけない、驚きのあまり息子をぶっとばしてしまった。

「い……いたい……。」
「ごめん!直輝……これはその……あれだから!」

私は今思いついたワードで言い訳を考えて彼に思いのまま伝えた。

「新しい贅沢に挑戦しただけだから!」
「いや、挑戦の方向性おかしくないか。」

思春期の息子に裸を見られるとはこうも恥ずかしいとは思わなかった。
とはいえ、非日常の朝から少しずついつもの私たちの朝に戻るような感覚も、これはこれで悪くはないと思った。
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