僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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松本みなみの婚活日記

6話

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ここは都内某所。
夜の繁華街は人々で賑わっている。

若者やサラリーマンが集い、うまいものを食いうまい酒に酔うまるで祭りのような場所だった。

道路にはキャッチのかわいい女の子とかもいたりして、良くも悪くもカオスそのものだった。そう…それは例えるなら。

「テーマパークに来たみたいだぜ~テンション上がるな~!」
「……松本先生?」

英語の宮島先生が白い目で私を見ている。
しまった、ついついマイブームに乗っかって変なこと言ってしまった!
流石に某春日部のサラリーマンのグルメ漫画は見てないみたいだった。

「ああ、いえ……独り言です!」
「その……ネットミームは一定数はウケはいいですけど、チョイスミスると死にますよ。」
「……肝に銘じておきます。」

どうやら、婚活の史上はある程度は仮面が必要だった。

「……じゃあ、皆さん準備OKですか?」

そして、無表情の佐々木先生はそのネタを聞いてる素振りもなく合コンに集中していた。
そうだ、あんまりふざけていられない。
彼女らは戦友でもあると同時にライバルでもあるのだ。

ゆっくりと頷いて私たちは居酒屋に来店すると男3人組が目の前にいた。

「どうもー、お待たせしました~!」
「こんばんは~!今日はよろしくね!」

私は左端の席に座って久しぶりの職場以外の男に対面して少し緊張していた。化粧くずれてないか心配になったりと急に自分の容姿に自身が無くなる。

「とりあえず、何にします?」
「「「ビールで!!」」」

なんと……こんなにもいきなりノリが合うことってあるんだな。
私は店員さんに注文を頼んで男たちと向かい合う。
な……何から話そう。

すると、宮島先生が場を察したのか話を切り出した。

「いやー!今日はイケメンさんばかりでテンション上がりますね。」
「え、なんか嬉しいっすね!」

私は人見知りもあって3人を見つめる。

1人は少し服装などが派手で黒髪で筋骨隆々の男だった、名前はだいち。

1人は細身で薄めのグラサンをかけている、名前はけん。

1人は眼鏡をかけていて、少しダウナーな雰囲気を出している、名前はたくみ。

彼らが今日の合コン相手だった。
そして、グラサンのけんが笑顔で私たちを見て場を盛り上げようとする。

「えー!なんか……今日のメンツ先生って聞いたけど、めちゃくちゃ美人ばっかでびっくりしたわ!ここ、キャバクラじゃないよね!?」
「えー!でもよく言われる、実は私昔は……なんてー!」
「いや、彩乃ちゃん(宮島先生)絶対キャバ経験者でしょ!もう雰囲気でわかったわ!」

うわぁー、褒め方がいかにも……って感じだ。
難しい…頭の中では話を聞く、ネタを探す、ターゲットを絞るなど普段使わない脳みそをフル回転してるのでもう頭の中が混乱していた。

いかん、酒に逃げよう!

しかし、そんな私を宮島先生は手首を掴んで止めていた。

「いやー!そんなこと…あるかもしれないですよ!ちなみに私たち……歳が近くて仲良しなんですよ!」

そう言って、3人で手を掴んで仲良しアピールをする。
そして、宮島先生は私の耳元で小さく囁いた。

「今日は酒に逃げるのは無しです。」

な……なん…だと…。
なんかもうここにいるだけで疲れたのに酒に逃げさせてくれないとは、今日のビールが炭酸がどんどん減って可哀想に見えた。
私が一気に美味しい状態で飲み干して上げたいのに……。

すると、マッチョのだいちは言葉を続けた。

「いやぁ、俺らは高校の友達でね~!よくコンパやってんすよ!」
「……だいちさんはお仕事は何を?」

すかさず筋骨隆々の男に佐々木先生が話を盛り上げようとする。いかん、物静かに見えて慣れてるぞこの女……むしろモテギャルの宮島先生ではなくテクニックの佐々木先生もこの場では強者だった。

「お、結愛ちゃん(佐々木先生)!俺はトラックの運ちゃんやってるぜ!ちなみに個人事業で大型やってる!」
「……えー!じゃあめっちゃお金持ちじゃないですか。」
「そうよ!あ、でもこいつも稼いでるぜ~。」

そう言って、筋骨隆々のだいちは細身のグラサンのけんに肘を当てる。

「まあ、整形外科してるんでね。」
「医者なの!?」

私はびっくりしてしまった。
いやいや!てっきりヤ〇ザかと思った。

「あ……まあよく言われるけど、一応医者してマース。」

ちょっと空気がシラケる。
いかんいかん、褒めなきゃ行けないんだった!
隣の宮島先生を見ると、パーフェクトの笑顔が引きつっていた……ごめんなさい!めっちゃ怖いんだけど。

それにしても……今日のメンツ年収高くないか?
最後の男であるたくみももしかしたら……とおもったけど、この男だけは妙に気力がなかった。

「たくみさんは……なんのお仕事されてるんですか?」

すると、男二人は驚く。
え、なんか悪いこと聞いちゃった??

「ちょ、みなみちゃん!こいつには……。」
「え、なんか不味いこと……。」

「は……働いて……ない……。」

しばしその場が沈黙で溢れる。
いやそれは無理があるでしょ!さっきまで年収1000万の男が並んでる話をしてたのにどうして1人ニートが紛れ込んでるのよ!

「……なんか、すみません。」

すると、宮島先生が小さくため息を吐いてから一気に目の色が変わった。
やべぇ~後で怒られそう。

「でも!たくみさん……腕時計ロレックスですよね!」
「あ……うん、わかる?」
「もちろん!それ以外をユニクロで固めてるけど、実はまだありますね?」

……え、この空気を我がものにできるの?
さすが元キャバ嬢の先生……私も今日知ったけど。

「実は、実家が太くてマンション経営してたり、株とかビットコイン扱ってたら高騰して働く必要が無いんですよね。」
「きゃー!じゃあ株主さんじゃないですか!」
「いやいや……ほんとたまたまですよ。」

え、なにそれ……ニートであってニートでない?
この男が1番の金持ちなの?
今日の合コンハイクラス過ぎやしないか?

私は頭がフリーズしかけていた中、ほかの先生2人は男たちを手玉にとっていた。

「結愛ちゃん(佐々木先生)、これから二人で飲み直ししない?」
「……もちろん。」

既に運ちゃんのだいちと佐々木先生は距離が近くなって隣で手を触りあったりしてアダルトな雰囲気になっていた。
いや、大人しめな雰囲気なのにめちゃくちゃ性欲高いな!

もちろん宮島先生は……。

「私も……酔っちゃったわ。でももう少し、飲み直し……したいかな?」
「「もちろん!」」

医者のけんとネオニートのたくみは宮島先生と盛り上がっていて、私はポツンと1人になっていた。
どうしよう……話題が……。

すると、ネオニートのたくみが私を見て声をかける。

「あ、みなみちゃんも彩乃ちゃん(宮島先生)とどう?飲み直しとかカラオケとか……。」

さっきまで失礼なことを言ってしまったのに声をかけてくれる。
この人達チャラいけど本当はいい人たちなのかもしれない。しかし、私はここにいていいのか不安でいっぱいになり、呼吸が浅くなり背中の汗がびっしょりになる感覚があった。

そして、そんな私を見兼ねたのか少し心配になった宮島先生が私に声をかける。

「どうする?みなみちゃん、あなたが決めてもいいわよ。」

せっかくのチャンス、より距離感が近くなるチャンスだったというのに……私はもう気力が残っていなくて死にそうだった。

「ごめんなさい、今日は……帰ります。」

すると、宮島先生は表情を変えなかった。

「そう、気をつけてね……夜は冷えるんだし……。」
「じゃあねーみなみちゃん!今日はありがとう!」

そう言って、妙にみんな私を心配した雰囲気になった。

すると、宮島先生が私の手首を掴んで一緒にトイレに向かって2人だけになる。
少し沈黙が流れトイレの電子音が妙によく聞こえた。

「……大丈夫?」
「ごめんなさい、私!変なこと言ってばかりで!」
「気にしない、初めての合コンだったし……疲れたわよね。」
「ごめんなさい……ごめんなさい……。」

私は、急に目尻が熱くなり、視界が涙でぼやけて嗚咽をしてしまう。
こんなに私……ダメだったんだと自己嫌悪とセッティングしてくれた宮島先生に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「また、相談してきてね。なんだかんだ頼ってくれるの嬉しかったから。」
「ひぐ……えぐ……はい。」

静かに宮島先生はトイレを出て、私はしばらくトイレで泣いてしまった。
あまりの無力さと無知さに思い知らされたことへの恥でいっぱいだった。

彼らとは顔を合わせることはもうなかった。
きっと泣き顔をみんなに見さないために宮島先生が手を回してくれたのだろう。

夜の繁華街、賑やかな人達への目線が私よりも楽しそう……なんて嫉妬のようなドロドロとした気持ちでいっぱいになる。
私も、ああやって楽しみたいけど、そんな資格あるのかしら?

片手には大好きなコンビニの缶ビールをもって私は静かに冷めきった空を見つめて1歩、また1歩と歩いていく。

できる限り許させる速度で早足で私は繁華街を出ようと、私は歩いた。

しかし、そんな私の1日はまだ終わりそうにはなかった。

「おーい!お姉さん1人?今何してるの?」

少しチャラめのいかにもホストと言わんばかりの男が、私に声をかけてきた。

夜の街は私を逃がさない、私の婚活ライフはさらに沼へと堕ちていく。
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