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松本みなみの婚活日記
15話
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私は、次の土曜に吉良さんとデートをする事になった。
何故だろう、今までは何となくセッティングしていたデートが妙に緊張している気がする。
私は勢い余って吉良さんにキスまでしてしまった。
本当に何してるのだろう、私。
思い出すだけで頭が沸騰するかのように熱くなり、血が昇ってるようなかんじがした。
あー!もう、ばかばかばか!!
とにかく私は布団に入り、天井を見つめると……そこから少しずつ気が遠くなるようで、ゆっくりと意識は闇の中へと進んでいった。
どうやら、気分の昂りよりかは疲れが勝っていたようで眠っていたことにも気が付かなかった。
☆☆
ついに、デート当日が来てしまった。
ここ1週間準備をできたかと言うと、ぶっちゃけ何も出来ていない。
朝から乱雑に置かれた化粧品を見て悩むばかりだ。
結構昔に沢山買ったのに、結局4~5品しか使ってなくて後の使ってない化粧品はまるで屍かのように転がっていた。
その中で普段使わないものを使ってみようかと思う。
例えば、チークをして可愛くしたりとか……まつ毛も少し多く見えるように………って、私なぜタイプでは無いはずの吉良さんにそこまで気を使ってるんだろう。
「……まあ、少しだけ、ほんの少しだけ変えればいいか。」
私は、リップを付けて、マツエクをする程度に留めた。
服装も少しだけいつもよりオシャレにタートルネックとコート、そして普段滅多に履かないスカートと、どうせ寒いからタイツを履いてブーツで仕上げることにした。
黒髪は今回はストレートだけど少しだけボリュームが出るように巻いて、待ち合わせの新宿駅へと向かうことにした。
「まあ、少し行って飲んで帰るくらいにするか。」
そう言って、私は家の玄関を出る。
マンションを出ると、いつも通りのオートロックの電子音だけが無機質に響き渡っていた。
☆☆
新宿駅は相変わらず人で溢れていた。
南口なんかはバスタがあるので日本全国からの観光客がまるで小さな滝のようにいくらでも流れてくる。
道路を挟むと、政治活動やライブ活動なんかが頻繁に行われていて、そこをたくさんの人が素通りする。
新宿というのは活気と無関心が入り交じるカオスな街だと来る度に感じる。
でも、その感覚が東京育ちの私にとっては当たり前のように感じる。
さて……あの男はどこにいるのやら。
待ち合わせとは言っても人が溢れていてわからない。
すると、電話がかかってきた。
「もしもし。」
「ああ!松本さん、今どちらへ……?」
「そうですね、JRの南口を出た道路にいますよ。」
「分かりました!伺いますね!」
お互い敬語で喋ってるのでどうにも業務連絡感が否めないなと思いつつ、少しだけ苦笑してしまう。
妙にこの男の声に落ち着いたのか少し緊張がほぐれた。
しばらくすると、吉良さんが私の前にあらわれた。
「え、吉良さん?」
「ああ、松本さん!お待たせしました。」
あまりの変わりように、私は絶句してしまった。
普段セットをしてない無造作ヘアーはセンターパートになっていて、ツーブロがついて清潔感抜群な姿になる。
そして、メガネはコンタクトになっているので整った顔がひかる原石を磨いたの如く変化する。
少し、太めだった眉毛までしっかりと整っていて、同一人物とは思えない色気たっぷりのスタイルだった。
ぶっちゃけ、くそかっこいい。
「どうしました?僕の格好、変ですかね?」
「い……いや、誰ですか!?」
「え、僕は吉良誠二、フリーランスの仕事をしていて……。」
「それは分かります!!イメチェンしすぎて分からなかったですよ!!」
「あ……あー、あのバーテンのやつが美容師紹介してくれて……服までチョイスしてくれたんですよ。」
あの空気の読めない軽口のバーテンの功績だった。
普段は殴る対象だけど、この瞬間だけは感謝したいとさえ思ってしまった。
「そ、その……松本さんも今日は一段と綺麗ですね。リップとかチークとか……コーデも可愛いし、髪も綺麗ですよ。」
もちろん、この男も私の服装の変化を見逃すわけでもなかった。
的確に褒めてくれて、妙に承認欲求が満たされるのだが、私の素直じゃない性格がそっぽを向かせた。
「もう、いきましょ。」
「ああ、すみません!そうでしたね!実は……今日はロマンスカーで小田原に行こうかと思ってます。」
「小田原ですか。」
小田原は近いのにほとんど行ったことがない。
せいぜい桃鉄でかまぼこが名産地であることくらいだ。
でも、普段とは違うところなのだ悪くはない。
彼は小田急線に乗り込み、私もその後へと続く。
ロマンスカーは流線形車両で滑らかな曲線を描いていて、スピード感があり、中は柔らかなシートが妙に心地よかった。
私たちは指定の席に着くと吉良さんがレディーファーストで窓際の席を誘導して、私は静かに座った。
うん、ぶっちゃけ悪くない。
というか、今までのマッチングアプリのデートのパターンが酷すぎてむしろ上澄みな方だ。
私は、普段とは違うため息をつく。
なんというか、不満とは違う満たされたため息だ。
そして、私は吉良さんの手の甲に手を添える。
「え、松本さん!?その……めっちゃ触ってますよ。」
「嫌ですか?」
「い……いえ、嬉しいんですけど。」
「今日のデート楽しそうなんでご褒美ですよ。」
そんな、少し上から目線で話すのに私は妙に内心ドキドキしていた。
この男、頼りになると言うよりは犬みたいでちょっと可愛い。
重ねた手を感じて思う。
体温が高く温かい。そして、パソコンを触れる作業をしてるのか吉良さんの手は細く長い綺麗な手をしていた。
普段とは違うかっこいい姿に私は少しだけ緊張して手が汗ばんで座っているのに心拍数が増えてるのを感じた。
「これ、小田原に着くまでやりますからね。」
「ええ!?わ、分かりました。」
ロマンスカーは、笛の音に合わせてゆっくりと走り出す。
普段の小田急とは違って走りもなめらかで心地よい。
そんな、まるでこの男のような列車は私の知らない所へと連れて行ってくれるかのように少しずつ加速をしていく。
私も今までは業務的にやっていたデートで、初めて心が動いたような感覚があった。
どうなるかは分からない、それでも……今日を楽しみたいと心から感じていた。
何故だろう、今までは何となくセッティングしていたデートが妙に緊張している気がする。
私は勢い余って吉良さんにキスまでしてしまった。
本当に何してるのだろう、私。
思い出すだけで頭が沸騰するかのように熱くなり、血が昇ってるようなかんじがした。
あー!もう、ばかばかばか!!
とにかく私は布団に入り、天井を見つめると……そこから少しずつ気が遠くなるようで、ゆっくりと意識は闇の中へと進んでいった。
どうやら、気分の昂りよりかは疲れが勝っていたようで眠っていたことにも気が付かなかった。
☆☆
ついに、デート当日が来てしまった。
ここ1週間準備をできたかと言うと、ぶっちゃけ何も出来ていない。
朝から乱雑に置かれた化粧品を見て悩むばかりだ。
結構昔に沢山買ったのに、結局4~5品しか使ってなくて後の使ってない化粧品はまるで屍かのように転がっていた。
その中で普段使わないものを使ってみようかと思う。
例えば、チークをして可愛くしたりとか……まつ毛も少し多く見えるように………って、私なぜタイプでは無いはずの吉良さんにそこまで気を使ってるんだろう。
「……まあ、少しだけ、ほんの少しだけ変えればいいか。」
私は、リップを付けて、マツエクをする程度に留めた。
服装も少しだけいつもよりオシャレにタートルネックとコート、そして普段滅多に履かないスカートと、どうせ寒いからタイツを履いてブーツで仕上げることにした。
黒髪は今回はストレートだけど少しだけボリュームが出るように巻いて、待ち合わせの新宿駅へと向かうことにした。
「まあ、少し行って飲んで帰るくらいにするか。」
そう言って、私は家の玄関を出る。
マンションを出ると、いつも通りのオートロックの電子音だけが無機質に響き渡っていた。
☆☆
新宿駅は相変わらず人で溢れていた。
南口なんかはバスタがあるので日本全国からの観光客がまるで小さな滝のようにいくらでも流れてくる。
道路を挟むと、政治活動やライブ活動なんかが頻繁に行われていて、そこをたくさんの人が素通りする。
新宿というのは活気と無関心が入り交じるカオスな街だと来る度に感じる。
でも、その感覚が東京育ちの私にとっては当たり前のように感じる。
さて……あの男はどこにいるのやら。
待ち合わせとは言っても人が溢れていてわからない。
すると、電話がかかってきた。
「もしもし。」
「ああ!松本さん、今どちらへ……?」
「そうですね、JRの南口を出た道路にいますよ。」
「分かりました!伺いますね!」
お互い敬語で喋ってるのでどうにも業務連絡感が否めないなと思いつつ、少しだけ苦笑してしまう。
妙にこの男の声に落ち着いたのか少し緊張がほぐれた。
しばらくすると、吉良さんが私の前にあらわれた。
「え、吉良さん?」
「ああ、松本さん!お待たせしました。」
あまりの変わりように、私は絶句してしまった。
普段セットをしてない無造作ヘアーはセンターパートになっていて、ツーブロがついて清潔感抜群な姿になる。
そして、メガネはコンタクトになっているので整った顔がひかる原石を磨いたの如く変化する。
少し、太めだった眉毛までしっかりと整っていて、同一人物とは思えない色気たっぷりのスタイルだった。
ぶっちゃけ、くそかっこいい。
「どうしました?僕の格好、変ですかね?」
「い……いや、誰ですか!?」
「え、僕は吉良誠二、フリーランスの仕事をしていて……。」
「それは分かります!!イメチェンしすぎて分からなかったですよ!!」
「あ……あー、あのバーテンのやつが美容師紹介してくれて……服までチョイスしてくれたんですよ。」
あの空気の読めない軽口のバーテンの功績だった。
普段は殴る対象だけど、この瞬間だけは感謝したいとさえ思ってしまった。
「そ、その……松本さんも今日は一段と綺麗ですね。リップとかチークとか……コーデも可愛いし、髪も綺麗ですよ。」
もちろん、この男も私の服装の変化を見逃すわけでもなかった。
的確に褒めてくれて、妙に承認欲求が満たされるのだが、私の素直じゃない性格がそっぽを向かせた。
「もう、いきましょ。」
「ああ、すみません!そうでしたね!実は……今日はロマンスカーで小田原に行こうかと思ってます。」
「小田原ですか。」
小田原は近いのにほとんど行ったことがない。
せいぜい桃鉄でかまぼこが名産地であることくらいだ。
でも、普段とは違うところなのだ悪くはない。
彼は小田急線に乗り込み、私もその後へと続く。
ロマンスカーは流線形車両で滑らかな曲線を描いていて、スピード感があり、中は柔らかなシートが妙に心地よかった。
私たちは指定の席に着くと吉良さんがレディーファーストで窓際の席を誘導して、私は静かに座った。
うん、ぶっちゃけ悪くない。
というか、今までのマッチングアプリのデートのパターンが酷すぎてむしろ上澄みな方だ。
私は、普段とは違うため息をつく。
なんというか、不満とは違う満たされたため息だ。
そして、私は吉良さんの手の甲に手を添える。
「え、松本さん!?その……めっちゃ触ってますよ。」
「嫌ですか?」
「い……いえ、嬉しいんですけど。」
「今日のデート楽しそうなんでご褒美ですよ。」
そんな、少し上から目線で話すのに私は妙に内心ドキドキしていた。
この男、頼りになると言うよりは犬みたいでちょっと可愛い。
重ねた手を感じて思う。
体温が高く温かい。そして、パソコンを触れる作業をしてるのか吉良さんの手は細く長い綺麗な手をしていた。
普段とは違うかっこいい姿に私は少しだけ緊張して手が汗ばんで座っているのに心拍数が増えてるのを感じた。
「これ、小田原に着くまでやりますからね。」
「ええ!?わ、分かりました。」
ロマンスカーは、笛の音に合わせてゆっくりと走り出す。
普段の小田急とは違って走りもなめらかで心地よい。
そんな、まるでこの男のような列車は私の知らない所へと連れて行ってくれるかのように少しずつ加速をしていく。
私も今までは業務的にやっていたデートで、初めて心が動いたような感覚があった。
どうなるかは分からない、それでも……今日を楽しみたいと心から感じていた。
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