僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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松本みなみの婚活日記

18話

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私たちは小田原城に入ると、そこは博物館になっている。
当時の火縄銃や小田原城の城主である北条氏にかんする記述などがあった。

「いやー!やっぱり歴史って考えさせられますよね。」
「そうね、なんというか……仕事で触れることは多いけどこうやって場所や当時のものを見ると余計にそう感じます。」

そう、私は何を隠そう社会科教諭。
普段地理しかしないけど来年は歴史か公民もやる必要がある。私にとっては仕事に活かせそうな内容も多くて意外と見入ってしまう。
でも……それ以上に。

「そういえば、私昔は戦国時代が好きだったな……。」

私は昔は歴女だった。
特に戦国時代の武将には憧れてよく叔父にも城に連れて行ってもらったっけ。

「いいですよね、歴史!そういえばどの武将が好きなんですか?」
「何って……武田信玄が好きよ。」
「ハゲてるおじさんが好きなんですか?」

私はつい吉良さんをぶってしまった。
はっ!いかんいかん……無意識に怒りが湧いてきてしまった。

「……殴るわよ。」
「いや!殴った後にそう言われましても!」
「ごめんなさい、イタリアのギャングの間だとぶっ殺すと思った時にはその時既に行動は終わってるという考え方があって……。」
「ここは日本ですし、みなみさんはカタギですよ!?まあでも、ちょっと無神経でした。」
「よろしい!」

それにしても誠二さんは殴られるとちょっと嬉しそうな顔するんだよな。初めて会った時よりも生き生きとしている。

「あのね……誠二さん?信玄公は凄いんですよ。父親が国民に耳を向けずにとにかく戦をして国を疲弊してた甲斐国の川を整備して食料問題を解決したり、この北条氏と三国同盟を結んで強い国に攻められないように工夫したりと戦略家だったんですよ。」
「へ……へぇ~詳しいですね。」


「多分、もう少し寿命が長かったら天下取れてたかも……!それに人をとにかく大切にしてたんですよ。「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、あだは敵」という教訓も考えたんですよ。」
「ああ!それ聞いたことありますけど……詳しくは知らないですね。」
「要は、人の信頼はどんな強固な城よりも価値があるという言葉ですね。」

私は歴女と社会科教諭なのも相まって得意げに説明してしまった。
いかん、くどい女と思われたかしら?

小田原城の中を一通り見て、展望台に登り小田原と太平洋を一望する。
風が強く、髪が乱れ今にも吹き飛ばされそうだった。

しかし、雲ひとつない景色は私たちの心を晴れやかにしてくれるようでもあった。

「信頼……そうか、僕はその信頼を絶ってきたけど父さんは……。」

何やら、そんな景色を見ながら誠二さんは難しい顔をしていた。
なにやら、信玄公の話が彼に響いたのかもしれない。

展望台は一周することが出来て、小田原の海と山が濃縮されたパノラマが広がっていて、ここが改めて観光地であることがひと目でわかる。

私は、城をみて当時の人の建築を伺うのも好きだけど、当時の人が好きだった景色を時代を経て分かち合うのが何よりも好きだった。

私は1周をして、太平洋を見つめながら大きく伸びをした。

「んーー!めっちゃいい天気!」
「ですね!なんか、見切り発車で小田原チョイスして良かったです。」
「あら、もうデートは終わり?」
「え、でも……。」
「私はまだまだ満足してないわよ?もっとリードしてくれてもいいんだけど……どうする?」

デートは既に3時間、合流も含むともう少し一緒に居ることになるからこの男なりに長く居すぎるのも負担がかかるのではと、気を使ったのかもしれない。

だけど、私はこの満たされた感情のまま酒に酔いたかったのだ。

「飲むわよ。」
「是非!いいお店探しますよ~!」

しかし案外小田原付近となると寿司でもかなりの金額だったので私は安酒の居酒屋を提案して、駅付近の居酒屋で飲みに行くことになった。

「カンパーイ!」

私はビールのジョッキを飲み干す。

「ぷっはああーーーー!くぅううううう!!」
「あはは、いい飲みっぷりですね。」

喉越しが少し乾いた喉を刺激して、飲んだあとの爽快感は何物にも代えがたい。
対する誠二さんは焼酎の水割りをちびちびと飲んでいた。

「あー、なんかすごい楽しい1日だったわ!もうあとは飲みまくるだけね!」
「飲みすぎない程度に楽しんでくださいね。」

その言葉に、少しカチンとくる。

「初対面で酒につぶれて私の家に来たのはどこの誰だったかな~?」
「ああ……!いえいえ、その説は。」
「あははは!冗談よ、冗談!!」

私はエイヒレやホッケを口にして、ビールを飲み干す。
ラインナップはいつぞやの合コンの時だったけど。あの時の私とは違うここにいていいと言う安心感がより私を酔わせた。

「……私、実はね~婚活中だったんだ。」
「え!?そうだったんですか!?」
「何よー!悪い?」
「いえいえ!みなみさん……その、綺麗だし男には不自由してないかな~なんて思ってたんですよ!」

その言葉にまたビールを、飲み干す。
今日はめちゃくちゃハイペースだった。
とにかくアルコールを体にぶち込むと、頭の中の未婚や年金問題その他もろもろの不安の文字がモザイクがかかるようで心地よくなる。

「全っ然よ!合コンもダメだしマッチングアプリもダメ!もう何度か沢山の男にあってきたけど……私そんな魅力ないかな?なんて思ってる頃よ。」

すると、誠二さんは立ち上がり酒を一気に飲み干した。
そして、拳をにぎり声を上げる。

「もったいない人達だ!僕なら……みなみさん一択なのに!」
「何よ~口説いてんの?……こんな女辞めたら?」

すると、誠二さんは私の両手を掴む。
その行動に少しびっくりしてしまうけど誠二さんは真剣な顔をしていた。

「辞める理由ないですよ!みなみさんは優しくて、強くて……一緒にいて楽しくて、前向きにしてくれる人なんですから!」

もう大分酔っているのか心拍数が上がってるのとこの男がぼやけて見える。
妙に私の身体の奥からこの男を欲する衝動に近いものを感じている。

そして、周りを見るが居酒屋というのは個室になっているので少しプライベート感が強いのでもう少し大胆に行動しても良いと判断する。

「ねえ、じゃあ好きならさ……キスしてみてよ。」
「え。」
「なーんか、私ばっかり色々してあげて疲れたな~。誠二さんの積極性っていうのも欲しいな。」
「そ……そんな。」
「どっちでもいいのよ?」

私は少し勝ち誇った顔で目を閉じて彼にキスをねだってみる。
妙に周りのガヤガヤした音と自分の心臓の鼓動が聞こえてきてうるさいほどだった。
私は、それだけドキドキしている。

すると、彼の柔らかく温かいものが唇を伝わる。
彼の呼吸が耳に伝わり、彼と密着しているのを感じる。
あの時はネタでキスをしていたけど、今は安心感と彼を欲する衝動で2回、3回とキスを重ねて、少しずつ時間が長くなる。

私の体は火照り背中が少し汗ばんでくるけど、好奇心も同じくらい私の背中を押して、さらに行動を大胆にする。

私は彼の口に舌を絡めてみる。
彼はそれに呼応するように私に合わせてさらにキスを人の声がよく聞こえる背徳感に興奮しながら、さらに彼との密着を強めた。

「……エッチ。」
「そ……それは、みなみさんが可愛くて。」
「はいはい……もう少し……ん。」

私は26年とほとんど経験したことの無いキスに興奮し、私はこの行為が好きなのだと再認識させられる。
誠二さんもぎこちないながらも合わせてくれて、目を開くと少し顔が火照りとろけた表情をしていて愛おしくなる。

その後の事は、あんまり覚えていなかった。
酒を飲んだような、その後カラオケに行ったような。
とにかくぼんやりと長い夢を見ていたようで、というか夢だったような……そんな海の上をぷかぷかと浮かんだような感覚になり、私の理性はどこかへ行ったような感覚だった。

私は、酒を飲みすぎた。
人生で体験したことない量をただひたすら飲んで判断を酒に委ねてしまった。

☆☆

私は、いつの間にかベッドで寝ていたようだった。
布団の温かさが妙に恋しかった。
あれ、でも私の家ってこんなに広かったっけ?

よく見ればシーツもシルクのように、ツルツルとして心地よいし、私は知らない天井にハッと焦りを感じた。

「……ここは。」

私は、何故か全身が下着であることに気がついて、そういえば誠二さんと酒を飲んでから記憶を失っていることに気がついた。

「うーん……。」

そして、同じ布団には……同じほとんど服を着てない誠二さんがいて私はいつの間にか過ちを犯していた事に気がついて、言葉を失ってしまった。

慣れない枕の良い香りが私の心をさらに混乱させる。

部屋は暗く、仄かな電球と妙に静かな部屋は私の心を混乱させ、何が起こったのかを整理するので手一杯だった。
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