僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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直輝と別れと小さな夢

7話

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常夏の沖縄は数ヶ月ぶりの夏の感覚を思い出させる。

当たり前だけど、距離や位置が違うだけでこうも世界は変わってしまうのだから小さな変化に驚かされてばかりだ。

ここは首里城の正殿、朱色に塗られた柱が並んでいて沖縄といえばこの建築だと言わんばかりの見た目をしていた。
なんだろう……日本の建築に比べて華やかな印象を受ける。
両端にはシャチホコとシーサーの中間のようなものもあるし、真ん中は緑や様々な色を施されていて、かつては琉球王国として独立していた事がこの建築様式だけでも垣間見えた。

俺達はここで集合写真を撮る。
いつもは右上の枠に丸く俺の顔が写ってただけだったのに、俺は文字通り右上の枠から出てみんなと一緒に写真を撮っている。

うん、悪くない。
あんだけ嫌がってたこの景色は、想像以上に俺に優しいものだった。
母ちゃんは、自分の安否よりもこの感覚を伝えたかったのかもしれない。

その後もみんなと首里城の周りを歩く。
いつものみんなと固まって。

「おい!佐倉、さっき飛行機乗る時なんか盛ったろ!」
「え?そうかしら?ぐっすり寝てただけだったと思うけど。」
「いや、俺8時間ぐっすり寝てたあとに2時間寝れるわけないだろ……。佐倉にアイスティーもらってからベンチで寝てたって言われたぞ!?」

う……うん、いつも通りだ。
ちょっとカオスだけど、このメンバーといなければここには来れなかった。

「あはは、ほんと……みんな面白いな。」

精一杯の心の言葉にみんなキョトンとする。
少しズレた世界だけど、それがいい。
心地よくて、楽しくて、時折背中を押してくれる。
そんなみんなが大好きだった。

☆☆

首里城の近くのホテルに泊まり、俺たちは荷物を下ろした後に自由行動となる。

俺たちはいつものメンバーと班となっていたので、いくつか名所を回ってみた後に、ついにあの場所へと向かうこととなる。

「ここが……大山貝塚。」
「いやーん!直輝くん、怖ーい!」
「いや、佐倉……ぶりっ子してるけどお前怖いのないの知ってるからな。」
「は?」

木々が生い茂っており、看板には心霊スポットの注意喚起が書いてあり、明らかにこの場所だけ空気が重く感じた。妙に耳鳴りがして、鳥などの動物の声さえも聞こえない。

「よ……よよ……よーし!撤退だ!!」
「瑞希……めちゃくちゃ後ろにいるな。」
「だって!!これヤバいやつだよ!」

立案者の瑞希はまるで病院に連れていく前のチワワのようで少し愛らしさもあった。

たしかに不気味だけど、自然だけを切り取ると人がいた痕跡と自然が調和していて美しい公園だ。
俺は好奇心がとにかく勝っていたので前へと進んでいった。
しばらくすると、かつて防空壕でも使われていたであろう洞窟を見つけた。
それに伴い、看板で命の保証ができないなどの記載も目立つ。

それだけここは行方不明者が多いのだ。

「なんか……頭がズキズキするな。」

急に飯田が頭痛を訴える。

「安心して、それは私が盛った睡眠薬のせいよ。」
「おおい!佐倉!?今言ったよな!?睡眠薬って。」

ただの舞衣のいたずらのようだった。

それにしても、ここの洞窟は入れるみたいで俺は先んじて入っていく。

「おおい!マジでヤバいって……。」
「あはは、まあこんなもんよ心霊スポットなん……。」

突然の事だった。
景色がゆらぎ、みんなの声か遠のくのと同時に俺の意識も揺らぐ。
俺は急いで洞窟を出ようとするのだが突然の足元が揺らいで俺はその場で痩けてしまう。

でも、俺は即座に立ち上がり出口を抜けると何故かみんなの姿はなかった。

「……あ?」

マジで誰もいない。
大山貝塚は相変わらず不気味な雰囲気を醸し出すのだが、妙に違和感を感じた。
さっきよりも暑いし、景色が妙に違って見える。

辺りを見渡すけど、舞衣も飯田もいない。
それどこらか……まるで最初からいなかったかのようにバッサリと消えてしまった。

まるで、神隠しにあったかのように。

俺は急いでラインをひらいた。
しかし、そのラインはスマホ上のデータしかなくライン自体の概念その物がなくてずっとスマホが渦巻きを巻いていた。

それどこらか、ネットを開いても遅い……遅すぎるのだ。
とりあえず、飯田の電話番号に電話をかけて見る。

「はい、もしもし。」
「飯田!?どこいってたんだよ!大丈夫か?」
「……はあ?あの……わたし、田中なんですけど。」
「……え?」

間違い電話だった。
俺は相手先に謝罪をして電話を着り、かけた電話番号を確認したが……飯田の電話番号と1文字も違っていなかった。

俺は急いで貝塚を出たのだが、みんなの姿はやはりなかった。
それどころか、周りの建物すらもさっきの景色とは打って変わっている。
なんだ、どうなってるんだマジで。

俺はコンビニに行って、とにかく飲み物を買おうとするのだが、そこでも以上が発生する。

「お会計486円です。」
「1000円で。」
「……?あの、お客様……この1000円札は使えません。」
「え。」

俺はお会計に北里柴三郎のお札を渡したら、断られた。
なので渋々小銭で渡してやっと購入が出来た。

買ったのは新聞と、緑茶を購入した。
コンビニのすぐ外でお茶を開けてから新聞をみて……俺は目を疑ってしまった。

「2009年……?」

今が2025年だから……16年前の沖縄を新聞が時を告げていた。
スマホの電波も見てみると3G回線だったし、周りの人はガラケーを持っていて、コンビニの中にム〇キングがあったので明らかに現代とは違う世界だった。

要は……俺はタイムスリップしたみたいだった。
やらかした、修学旅行の集合写真を取れたからって少し強気になって俺はどうやら禁忌に触れてしまったようだった。
この世界じゃあお札は使えないし、サブスクもスマホも無いわけだから現代の便利さに生かされてる俺にとっては不便の極みだった。

どうしよう、マジでどうしよう。
俺はとにかく宛を探すのだが、検討もない。
俺は両親どころか親族さえも、つながりがないわけだから孤立してしまう。
その絶望がこの果てしない暑さを強めて汗が滴り、とにかく戻る方法だけが頭を支配していた。

「あの、大丈夫ですか?」

あまりに不審な動きをしていたのか、誰かに声をかけられる。
俺はその方向に目をやると、俺は固まってしまう。

女性は俺よりも少し小柄で年齢は俺と同い年くらいだった。
肌は健康的な褐色で、ツリ目の見たことある顔立ち。
俺は、この女性を知っている。

「どうしたのー?遥香ー!」

友人らしき女の子がその女性の名前を聞いて、予感から確信へと変わっていった。
目の前の女性の名前は……天野遥香。

何を隠そう、俺の母ちゃんの……昔の姿だった。
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