僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

文字の大きさ
278 / 369
直輝と別れと小さな夢

15話

しおりを挟む
季節は12月だと言うのに太陽は強く照りつけ、やはり地球の位置によって温度は大きく左右されるのだと思い知らされる。

ここは美ら海水族館。
日本一の水族館と呼ばれるこの血の大きさと、ジンベエザメのモニュメントの迫力に俺たちは圧巻していた。

「飯田くん!前方確認お願い!」
「うん、車もないから行方不明にならないな!」
「直輝くん!通っていいわよ!」
「あ……あの、別にそんなに神経質にならないなくても……。」

妙にみんなに気を使われてる感じがする。
すると、2人とも目をぎらつかせてこちらを見ていた。

「あのな~直輝……反日とはいえ行方不明になったんだぞ!警察にだって捜索してもらってもどこにもいないからこちらも神経質になる!」
「そうよ!直輝くん!私が一生守るからね!どんな怪異も蹂躙してみせるから!」
「おおい!サラッと人前でくっつくな!」

た……頼もしい仲間たちだ。
このメンツで行けば……いや、この場においてifはタブーだ。

さて、ここ美ら海水族館といえば見所はやっぱりジンベエザメ。ゆったりと泳ぐその様子は雄大ながら美しさも兼ね備えていた。

それだけじゃない、4つの階層に分かれていてサンゴに関するコーナーもあるので見所満載だった。

水槽がまるで水の中にいるようでもあり、ダイビングをしてるかのような美しさもあった。

みんなと色とりどりの写真撮って初めて気がついた。
そうだ、今は……修学旅行だった。
途中直人の件でいっぱいいっぱいだったけど、俺は学校生活で唯一の思い出を作りに来たんだ。

途中、瑞希も水槽の前でうっとりとしていた。

「楽しいか?」
「へ?ふ……ふん!まあまあだね!」
「いやどういう強がりだよ。」

でもそう言って、瑞希はサンゴの美しさでしっぽを振ってるようだった。
思えば瑞希とは、夏期講習で出会って切磋琢磨して……それが楽しくて編入してくれていた。
最近は生徒会とかそういう機会が多くて一緒にいれなかったけど、知らないところに来て心細くないのかなとか少し心配してしまう。

「なあ。」
「なによ、別に見とれてないから。」
「知ってるって……あのさ、この学校に来て……楽しいか?」
「……楽しい。」
「そうか、学校にも慣れたか?」
「慣れてるよ!なんせ私はコミュ強だからね!」
「いや、コミュ強は多分修学旅行の班決めで戸惑ったりしないと思うんだけど。」
「うるさい!なんてこと言うのよ。」

そんな瑞希とのやり取りも……どこか懐かしくて楽しい。
違う時代にいた時は、自分を知ってる人が誰もいなかった。それはどこまでも孤独で、頼れることも出来なかったからだ。

そう、まるでこの水槽にある日暮らすように。同じ空間にいながら見てる世界が違うように。

「でも。」
「ん?」
「感謝してる。あれから苦労することばかりだけど……毎日楽しいもん。直輝と遥香さんのおかげでママとも最近ご飯行くようになったんだ!」

なんだ、こいつも進歩してるじゃん。
大きく強く見せてるだけで、少しずつだけど彼女なりに強くなっている。
それを聞いて、俺もどこか肩の荷が軽くなったような気がした。

修学旅行は、もう少しで終わってしまう。
結局、時間が決められていたので俺たちはまたバスに乗りこみ、最後の飛行機に乗るために空港に向かっていった。

この常夏の世界と美しい海ともそろそろお別れだ。
俺は最後に海を見て、別れを告げる。

「直人……あれから16年経ったけど、俺なりに答えが出たよ。俺は俺で誰かに手を差し伸べて助ける道を選びたい。ありがとう、今は君に出会えてよかった。」

そう……独り言を言うと強く風が吹き荒れ、ヤシの木が揺れ波が音立てるのを感じる。
まるで、風になった直人が行ってらっしゃいと祝福するように、優しく髪をなびかせていた。

同じゲートで飛行機に乗り込む。
ここに来た時よりも、ほんの少しだけ大きくなったような気分だった。
俺もここ数日ですごく強くなれた気がする。
来た時は母ちゃんの安否でソワソワしていたけど、今は乗り越えられるという自信と希望で満ち溢れている。

生きるんだ、直人に託された分も目一杯。

「間もなく、離陸します。」

飛行機は少しずつ速度をあげて地球の自転より少し早くなると少しずつ陸から離れていく。
1度目の緊張感はほとんどなくなって帰り道という安心感で俺は少しだけ目を閉じる。

隣には、舞衣がいてその様子を優しく見守ってくれていた。

「なんだ、ちゃんと楽しんでたんだね。笑ってる。」

その彼女の独り言を……俺は聞いて言葉を理解するまでもなく飛行機に身を委ねて眠りについた。
やっと、安心したように……ぐっすりと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...