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直輝と別れと小さな夢
14話
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俺は特にこれといった外傷もなく、意識障害も無かったのでたった1日で退院した。
これからバスで出発して、美ら海水族館を経てそこから飛行機で帰るスケジュールとなっている。
ふと、帰り道を見渡してここ一週間の出来事を思い出す。
直人と歩いた繁華街は、波によって瓦礫になり……そこから数十年の時を経てオフィス街へと変わっている。
母ちゃんに金的を蹴られたムシキングのあるコンビニは今は事務所のようなところに変わってるから、俺が見ていた夢が明らかに過去のものだと理解する。
そして、街の人たちは明るかった。
あれだけの事があったのに、平和そのもので前を向いている。
「改めて、人ってすごいな。」
そんな事しか言えなかった。
みんなはまだホテルから向かってる最中なので俺は少しカフェで時間を潰す。
頼むのは軽食のホットサンドイッチと水出しのコーヒーだ。
コーヒーを飲みながら、静かに心の整理をする。
今、俺に必要なのは……父を救えなかった後悔じゃない。
目の前の事に集中して、どれだけ前を向けるかだと思う。
母ちゃんはまだ手術を終えてから連絡が来ていない。
飛行機で戻ったら……まっさきに病院に行こう。
「お待たせしました。ホットサンドです。」
ふと、店員さんがテーブルにサンドイッチを持ってくる。
俺は会釈をして受け取ると店員さんが不思議そうな顔をしていた。
「ん?なにか……顔についてますか?」
「いえ……なんというか、以前にお会いした事ありますか?」
不思議な質問だった。
はて?俺は直人とコンビニか散歩しかしてない。
この女性は見たところ30半ばくらいの年齢をしている。
そんな人に……会うなんて?
「あ。」
いや、俺はタイムリープしていたんだった。
目の前の女性は、当時であれば女子高生だった。
そして、数奇な事は起こるのだと思いつつ彼女の面影を思い出す。
「すみません、16年前でしたね。」
「びっくりです。あの頃と変わらないままなので羨ましいですよ。」
彼女は、母ちゃんと3人組だった愛深ではない翔子という女の子だったはず。
彼女は、確か愛深さんが亡くなった時に無反応だった母ちゃんに激昂して罵倒していた。
つまり、あの日から母ちゃんとは絶縁状態なのかもしれない。
「あれから……遥香さんとは?」
「全く、今思えば彼女に酷いことを言ってしまったわ。親友の死体をみて、最愛の人を亡くしたばかりなのに……それなのに私は一方的に彼女を問い詰めて……。」
翔子さんはあの頃のクールビューティな雰囲気とは打って変わって物腰が柔らかくなっていて、それでいて……あの頃を引きずってるのか妙にやつれていた。
「……これ。」
「ん?これは……?」
「彼女の連絡先です。」
「え!?」
俺はスマホに登録してる母ちゃんの電話番号を伝える。
なぜあの時の人が知ってるのかとか、ツッコミどころは満載だったけど……彼女はどこか母ちゃんにごめんって一声言いたいだけだったんだと思う。
それだけでいいんだ、人なんて。
それだけで救われるものがある。
「きっと、彼女も喜ぶはずです。」
「……恨んでないかしら。」
「いえ、今は誰よりも強く生きてますよ。そりゃあもう……びっくりするくらい。」
きっと、母ちゃんは喜んであの日のことを笑い飛ばすだろう。
俺は、あの絶望で途方に暮れた母ちゃんが乗り越えた先を知っている。
俺はコーヒーを飲み干して、そろそろ集合の時間なのでカフェを後にする。
「メモ……ありがとう、遥香には心の整理が着いたら連絡するわ。最後にあなたって……何者?」
俺は、その質問に少し苦笑をして……ゆっくりと最後の言葉として彼女につたえた。
「最初から答えは言ってますよ。天野遥香の……息子です、それでは。」
俺はカフェを後にして集合場所の駐車場へと向かうと、いつも通りの面々が揃っていて妙に安心感に溢れていた。
「飯田!」
「やっと来たか、行方不明者さんよ~しばらく単独行動禁止な!!少なくとも帰るまでは!」
「すまねえ、心配かけたな。」
「全くだ!……でも、無事で何よりだ。」
飯田は少し怒っていた。
でもそれは俺のことを案じてくれているからの行動だろう。
ふと、あの翔子さんのことを思い出す。
あの人だって本質は今の俺と飯田みたいなものだ。
きっと、大切にしてるからこそ怒るし、本音をぶつけるのだろう。
その意図を汲み取ると……少しだけ笑いが込み上げてきた。
「何笑ってるんだ?気持ちわりぃよ。」
「ああ……いや、なんでもない。飯田……いつもありがとうな!」
「あ?……お、おう。」
太陽の照りつけが激しくなり、朝の涼しさから一気に暑さで体が若干汗ばむのを感じる。
実はもうこの地には10日以上いることになる。
そろそろ、東京のコンクリートジャングルを踏んで、母ちゃんに会いたい。
俺の故郷は……東京なのだから。
バスはゆっくり発進する。
長きに渡るこの地にサヨナラを言うようにゆっくりと、法定速度になぞってゆっくりと走っていく。
これからバスで出発して、美ら海水族館を経てそこから飛行機で帰るスケジュールとなっている。
ふと、帰り道を見渡してここ一週間の出来事を思い出す。
直人と歩いた繁華街は、波によって瓦礫になり……そこから数十年の時を経てオフィス街へと変わっている。
母ちゃんに金的を蹴られたムシキングのあるコンビニは今は事務所のようなところに変わってるから、俺が見ていた夢が明らかに過去のものだと理解する。
そして、街の人たちは明るかった。
あれだけの事があったのに、平和そのもので前を向いている。
「改めて、人ってすごいな。」
そんな事しか言えなかった。
みんなはまだホテルから向かってる最中なので俺は少しカフェで時間を潰す。
頼むのは軽食のホットサンドイッチと水出しのコーヒーだ。
コーヒーを飲みながら、静かに心の整理をする。
今、俺に必要なのは……父を救えなかった後悔じゃない。
目の前の事に集中して、どれだけ前を向けるかだと思う。
母ちゃんはまだ手術を終えてから連絡が来ていない。
飛行機で戻ったら……まっさきに病院に行こう。
「お待たせしました。ホットサンドです。」
ふと、店員さんがテーブルにサンドイッチを持ってくる。
俺は会釈をして受け取ると店員さんが不思議そうな顔をしていた。
「ん?なにか……顔についてますか?」
「いえ……なんというか、以前にお会いした事ありますか?」
不思議な質問だった。
はて?俺は直人とコンビニか散歩しかしてない。
この女性は見たところ30半ばくらいの年齢をしている。
そんな人に……会うなんて?
「あ。」
いや、俺はタイムリープしていたんだった。
目の前の女性は、当時であれば女子高生だった。
そして、数奇な事は起こるのだと思いつつ彼女の面影を思い出す。
「すみません、16年前でしたね。」
「びっくりです。あの頃と変わらないままなので羨ましいですよ。」
彼女は、母ちゃんと3人組だった愛深ではない翔子という女の子だったはず。
彼女は、確か愛深さんが亡くなった時に無反応だった母ちゃんに激昂して罵倒していた。
つまり、あの日から母ちゃんとは絶縁状態なのかもしれない。
「あれから……遥香さんとは?」
「全く、今思えば彼女に酷いことを言ってしまったわ。親友の死体をみて、最愛の人を亡くしたばかりなのに……それなのに私は一方的に彼女を問い詰めて……。」
翔子さんはあの頃のクールビューティな雰囲気とは打って変わって物腰が柔らかくなっていて、それでいて……あの頃を引きずってるのか妙にやつれていた。
「……これ。」
「ん?これは……?」
「彼女の連絡先です。」
「え!?」
俺はスマホに登録してる母ちゃんの電話番号を伝える。
なぜあの時の人が知ってるのかとか、ツッコミどころは満載だったけど……彼女はどこか母ちゃんにごめんって一声言いたいだけだったんだと思う。
それだけでいいんだ、人なんて。
それだけで救われるものがある。
「きっと、彼女も喜ぶはずです。」
「……恨んでないかしら。」
「いえ、今は誰よりも強く生きてますよ。そりゃあもう……びっくりするくらい。」
きっと、母ちゃんは喜んであの日のことを笑い飛ばすだろう。
俺は、あの絶望で途方に暮れた母ちゃんが乗り越えた先を知っている。
俺はコーヒーを飲み干して、そろそろ集合の時間なのでカフェを後にする。
「メモ……ありがとう、遥香には心の整理が着いたら連絡するわ。最後にあなたって……何者?」
俺は、その質問に少し苦笑をして……ゆっくりと最後の言葉として彼女につたえた。
「最初から答えは言ってますよ。天野遥香の……息子です、それでは。」
俺はカフェを後にして集合場所の駐車場へと向かうと、いつも通りの面々が揃っていて妙に安心感に溢れていた。
「飯田!」
「やっと来たか、行方不明者さんよ~しばらく単独行動禁止な!!少なくとも帰るまでは!」
「すまねえ、心配かけたな。」
「全くだ!……でも、無事で何よりだ。」
飯田は少し怒っていた。
でもそれは俺のことを案じてくれているからの行動だろう。
ふと、あの翔子さんのことを思い出す。
あの人だって本質は今の俺と飯田みたいなものだ。
きっと、大切にしてるからこそ怒るし、本音をぶつけるのだろう。
その意図を汲み取ると……少しだけ笑いが込み上げてきた。
「何笑ってるんだ?気持ちわりぃよ。」
「ああ……いや、なんでもない。飯田……いつもありがとうな!」
「あ?……お、おう。」
太陽の照りつけが激しくなり、朝の涼しさから一気に暑さで体が若干汗ばむのを感じる。
実はもうこの地には10日以上いることになる。
そろそろ、東京のコンクリートジャングルを踏んで、母ちゃんに会いたい。
俺の故郷は……東京なのだから。
バスはゆっくり発進する。
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