僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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雪と温泉とウィンタースポーツ

4話

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車のドアを開けると極寒の世界が俺を冷やしていた。
朝日が雪とともに乱反射してそれはそれは幻想的かつ非日常をこれでもかと体現していた。

俺はエンジンが入ってない車のように低血圧の中コーヒーを飲む。
コーヒーの芳醇な香りが心を落ち着かせ体をゆっくり温めると俺は少しだけ長時間車に乗って引きつった体を伸ばしていった。

「おはよ、直輝くん。」
「ああ……おはよ舞衣。」

舞衣が隣でニコニコ座っていた。
朝は暗くてわからなかったけど今日も化粧に力が入っていて、カラコンまで入れていてほんのりとバニラの香りもするのでとても楽しみだったのが一目でわかった。
何より……。

「朝気づかなかったけど、髪切ったんだね。似合ってるよ。」
「きゃー!直輝くん……最近少しの変化でも気がつくようになったね!」

まあ、なんか妙にアピールしてたし……とは言わないでおこう。たまに怖いところはあるけど彼女はこうして自分に尽くしてくれる。
そういう所が、最近キュンと感じられるようにはなった。

「おい!朝からイチャつくな!」
「すまん、瑞希。」
「全く……朝から恥ずかしい。」

そんな俺たちを上原瑞希が顔を真っ赤にして制止する。
まあ確かにTPOはわきまえてなかった。
俺は少しだけ離れようとすると舞衣はまだ逆に手を繋ぐ。

「なんだ?羨ましいのか、チビナス。」
「うっせぇよ!羨ましくねえよ不良!」

そして、少しだけおちょくる龍にも瑞希は吠える。
ホントこいつチワワみたいだな。

「さーて、みんな揃ったし……そろそろ行くわよ!」
「「「はーい。」」」

母ちゃんも戻ってハイエースを発進する。
雪道なのか車の速度は遅くあっという間に渋滞ができて20分ほどゆっくりと進んだ。
少しずつ標高が高くなり、気がつくと道に外国人が歩いているのにも気がつく……というか。

「ほぼ外国人ばっかじゃねえか!?」
「なんだ、なおっち知らねえのか?」
「どういうことだ?」
「日本はな……世界から見てもスキー場の質がいいんだよ。国土が狭いからアクセスしやすいし、他の国は人口雪に対してこっちは天然のパウダースノーときた。」

言われてみれば確かに日本は雪の量が多いし、標高も高いのでゲレンデが作りやすい。
こういった背景もあるのかと感心してるとあっという間にレンタルショップに来た。

一通り男性陣で降りてスキーをハイエースに乗せる。
そして、車を切り返してスキー場に行って俺たちはスキーウェアに身を包むのだった。

☆☆

車を降りて着替えると、見事に半々で使うものが別れた。

スノーボードは龍・母ちゃん・飯田。
スキーは俺・瑞希・舞衣・彩奈……といった感じだ。

それにしても……

「マジで白すぎる、吹雪いてるやん。」

ゲレンデは歩くとボリュームのある柔らかい雪の音が音を立てる。
風が強く牡丹雪で景色が遮られ、その先はよく見えなかった。

「はい!これチケットね!」

母ちゃんからチケットを受け取るとみんな袖につけて準備していた。

「なんだこれ?」
「そっか、なおっちこういうとこ行かないよな。これ自動で読み込んで通過できるSuicaみたいな仕組みなんだよ。」
「まじか!かがくのちからってすげー!」

意外とこういう所にも工夫を凝らしてることに感動を覚えてしまった。
みんなは少しだけこんなの当たり前じゃん?みたいな目をしてたけど。

「んじゃあ!ゴンドラ乗るか!」

そう言ってみんなで歩いて行くととてもぎこちない動きになってしまう。
スキーの板は重いし、ブーツが重くて痛く感じてしまう。
バランスを取るのがやっとだった。

「直輝くん!」
「ん?どうした彩奈。」
「スキーの板はね、重ねて引っ掛かりが下になってるとこだけ持ってみて!」
「……こう?」
「うん!どう?少しは負担が減ったかな?」
「あ!確かに疲れにくいかも……ありがとう彩奈!」

さりげなく彩奈がフォローを入れてくれた。
いつも優しくて助かるな。

「ちょ!彩奈、直輝くんは私のものなんだけど!?」
「はいはい、舞衣のものだよ。」
「むー!」

そして、そのやり取りに嫉妬した舞衣を彩奈がスルーする。
多分この中で1番舞衣に対等に話せるのは彩奈だけだと思う。(俺は尻に敷かれてるので)

何とか俺たちは長坂ゴンドラに到着すると、そこからは更に別世界だった。
ゆっくり動いたかと思ったら飛び出すかのようにゴンドラは上へと加速していった。

「うぉ!?は……はええ!?てか、高ぇ!」

下を見ると断崖絶壁だった。
時折踏み入れては行けないほどの崖があったりで自然の美しさと恐ろしさが10m以上の高さから見るのだから恐ろしいの一言に尽きる。

「あっはは!なおっちまじでおもしれー!」
「初々しくて可愛い……♡」
「まあ、最初はみんなそんな感じだよね!」

どうしよう、みんなウィンタースポーツはなれてるみたいでゴンドラの恐怖を共感してくれそうな人は居なかったら。

「だ……大丈夫……私は……最強。……落ちたりしないよね……?」

あ、約1名限界な人がいた。
瑞希は目が泳いでいて顔は青ざめて素敵に笑ってると自分で思ってるけど足もブルブルに震えていた。

しばらく下を見ないようにして景色を見るとさらに自然の美しさを目の当たりにする。
本当に別世界に来てしまった。
10分以上上昇して、もはや留まることを知らなかった。

冷えたからだをスキーウェアが温めて少しだけ汗をかく。
そして配られたマップを見て、このスキー場がどれだけ広く沢山のコースが用意されてるのを見て、無事生きて帰れるのかなという気持ちと、これからどんなことがあるのかなと言う気持ちが共存して行く。

そして、ゴンドラは間もなく降り場が見えてきてみんなは降りる準備をする。
その時は、既にゴンドラの恐怖はどこかに行ってしまったようだった。
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