僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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雪と温泉とウィンタースポーツ

5話

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一面の雪が山を覆っている。
そして、このスキー場は長野県でも有数の人気のスポットのせいか外国人の割合が圧倒的に多く、まるでここだけ海外の雪国にいるような、そんな感覚だった。

「えっと……ブーツを板にはめて……うわあ!?」

咄嗟にバランスを崩して転ぶと彩奈が笑ってそれを見ていた。

「あはは、直輝くんほんと初々しいね!」
「あ……彩奈……助けて。」
「はいはい……っと、じゃあまずは足の裏に着いた雪を落として……はい!上手くハマった!」
「じゃあ、習うより慣れろって感じで滑ってみよっか!危なくなったらまずは足を八の字にすればブレーキかかるから!」
「……こう?」
「うん!そんな感じ!」

彩奈に助けられて俺は2個目のスキーの板もはめて準備を終える。
そして、ゲレンデをゆっくりと降りると思ったよりもスピードが早くて驚いた。

「うお!?意外と角度とスピードがある!」
「直輝くん!そしたらS時を描くように進んでみて!」

彩奈がスピードを合わせて滑ってアドバイスをくれる。
確かに周りを見るとS時にターンしながら蛇行していて、それでスピードを調整していた。

「お……っと……と。」
「うん!上手!」

ちょっとした達成感でも彩奈が褒めながら教えてくれる。
何だこのいい女。
マキマさん助けて、俺この娘好きになっちまう。

そして、ふとスノボ勢の母ちゃん達が目に入る。
母ちゃん……本当に運動できるのか?と思って眺めたらかなりのスピードで進んでいた。
というか……

「よっ!」

母ちゃんは細長いジャンプ台を上手くバランスを取りながらジャンプして空中で一回転するアクロバティックな動きを見せて唖然としていた。

「遥香さん!めっちゃ上手いですね!」
「よっ!……やっぱスピンは無理だ。」

飯田は普通に滑っていて、龍はジャンプ台は使えるけど母ちゃん程は上手くなかった。

「へっへー!今年33でもまだやれるんだよ!!」
「……母ちゃん、ちょっとハイになってる。」
「あはは、でも無理しないで自分のポテンシャルとかスタイルに合わせるのが1番だよ!」

そう言って俺は彩奈とゆっくり滑る。
ちなみに瑞希と舞衣は少しお腹が空いたとの事でレストランで一休みしていた。

なので、今は彩奈に助けてもらいながら滑っている。

「直輝くん!いいかんじ!だいぶ滑れるようになってきたから、次は体重を後ろじゃなくて脛にかけてみて!!」
「脛……!」

言われた通り脛に体重をかけると、カーブがとてもしやすくなった。
ただ、たまに八の字で滑るせいか既に両足が痛くさえかんじる。

「うん!次は下の足だけでも滑れるようにしてみて!」
「下?」
「今なら左足がしただから、右足の力を抜いて並行にしてみて!」

言われた通りやると、片足だけ楽になる。
1カーブずつ片足を休ませながら滑るので一気に滑りが楽になりスピードが着いてくるのだけど。

「うお!?」

大きく転んでまるでモンハンの前転回避のようにダイナミックに転んでスキーの板が1個外れると彩奈が止まってくれた。

「大丈夫!?」
「……はは、あははは!」

少し怖かったけど、つい笑ってしまった。
初めてのものに触れて、世界がひっくり返ったような感覚だった。
新しいものに触れて、ひとつの失敗を経験して……これが生きてるって感覚なのだろうと久しぶりに感じてしまった。

「大丈夫!」
「初めてでここまで滑れるのすごいよ!でも、あんまり無茶しないでねー!」
「ありがとう!」

その後は彩奈と林間コースまで滑る。
そこは山の崖が見えていて、その中を滑って森と雪のトンネルをくぐり抜ける感覚だった。
まだ曲がるのは苦手だけど、それでもある程度滑れてくる。

「うん!直輝くん、めっちゃ上達早いね!」
「いや、彩奈の教え方が分かりやすいんだよ。」
「えー!褒めてもなんも出ないよ!」

そう言って、たまに彩奈が俺を抜かしたり、俺が抜かしたりを繰り返して緩く進む。
林間コースはどこまでも道が続き、ちょっとした散歩をしているような感覚で心地よかった。

そして、途中でスマホから着信が流れる。
1度止めて俺は電話に出た。

「もしもし?母ちゃん?」
「直輝ー!私たち一通り滑り終えたから、次は山の頂上目指して滑るね!」
「まじで!?そこまで行ってないよ!」
「彩奈ちゃん、直輝任せたわねー!」
「はい!任されました!」

そう言ってスピーカーにしてた電話が切れる。
こういったやり取りもちょっとしたトランシーバのようでワクワクした。

「さて、私たちはこの下のゴンドラからさっきの所に戻って舞衣ちゃん達と合流しましょ!」
「そだな。あんまり放置しすぎるとまた怒られそうだし。」

そう言って、俺たちはまた滑り出す。
たまに平らなところはストックを使ってスピードを出したり、足をスケートの要領で後ろに押し出すと前に進むことが分かったので思ったよりもストレスなかった。

「あはは、直輝くんモテるから舞衣も大変だね!」
「え、俺モテてるの?」
「……え?自覚なし?」

どういうことだろう。
確かに愛さんの件とかあったけど……。

「まあいいや!」
「お……おい、どういうことだよ!」
「なんでもないよー!ほら、2人を待たせちゃってるし急ぐよ!」
「あ!ちょ……早い早い!もう少し手加減してくれてもいいんだぞ!?」
「待たないよー!初級彩奈はもう終わり!今から中級彩奈になります!」
「……くっ!やるしかないか!」

そう言って、雪道はゲレンデに合流して見覚えのある場所にたどり着く。
ぎこちなかった滑りは気がついたらある程度滑れるようになっていて、恐怖感はどこにもいなくなっていた。

でもどこか、彩奈の言葉の意味がいまいち掴めず少し困惑してるほうが勝ってしまっていた。

雪は降り積もり、スピードが出るほどゴーグルに入るほど降っている。
体が火照っているので実はこの寒さが妙に心地よかった。

きっと今日は、この雪が晴れることはないのかもしれない。でもだからこそ、この雪と景色がどこまでも愛おしく感じた。
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