339 / 369
雪と温泉とウィンタースポーツ
9話
しおりを挟む
「いっただっきまーす!」
「「い……頂きます。」」
直輝たちと別れた私は、龍くんと飯田くんと3人でご飯を食べていた。
食堂は相変わらず外国人で溢れかえっていて文明が入り交じる席取りが行われていて、少しだけ窮屈に感じる。
そして、明らかに2人とも疲れきって表情が青白くなっていた。
「2人とも大丈夫?」
「なんとか……あれ、遥香さんって運動とかするんでしたっけ?」
「んー、たまにジョギングくらいかな。」
「マジかよ。」
「なおっちママすげぇな、俺も体力には自信あったけど敗北っすよ。」
「ちょっと!?ふ……複雑だな~、私32で体力衰えてきてるんだけど。」
そう言って、私はラーメンをすする。
こういう時のラーメンの塩っけが身体に染み渡るようだった。
「しっかし、なおっちも遥香さんみたいに体力あればもう少し勉強に打ち込めるんですけどね。そこは遺伝しなかったのか。」
「まあ……あの子は運動ほとんどやらないし、中学の頃は不登校だったからね。あとは……体力はあの人に似たのかもしれない。」
「あの人って……。」
「うん、あの子の父親。」
ふと、彼の父親に当たる工藤直人くんが脳裏を過ぎる。
彼はいつも本ばかり読んでいた。
「聞いていいのかわかんないっすけど、なおっちの父親に当たる人は今何してるんすか?」
「俺もいつもきいていいのかわかんなかったですけど、ちょっと気になります。」
「んーーーーーー。」
私は少しだけ息を整える。
あの頃のことを思い出すと今でも少し苦しくなるからだ。
でも、彼らは直輝のかけがえのない親友だ。
きっと大人になっても直輝とは気の置けない存在になるかもしれない。
私は孤独の中走ったけど、直輝には誰かに支えてもらいながら踏ん張って欲しかった。
「南海トラフの時に……私を庇って津波に飲み込まれて、それっきり。」
「「……………。」」
ちょっと令和には重すぎたかな。
いつもはユーモアのある2人が珍しく黙ってしまった。
「あ!気にしないで!もう昔の事だし、今はこうして乗り越えて幸せだったから!」
すると龍くんがコーヒーを啜っては少し考えていた。
「なんか、なおっちママすげぇなって思いました。直輝を身ごもってた時にそんな経験して……そっから単身で東京に来ての今なんすね。」
龍くんは頭の回転が早かった。1話しただけなのに10まで理解してしまったようだった。
「え、流石に親族とか友達とかいましたよね?遥香さん。」
「実はね……そんな人居なかったんだ飯田くん。」
「え……。」
「まあだから、それで直輝を育てるためにナイトクラブとかで働いたりもしてたし、パートとか体1つで頑張ってたの。まあ……その先がAV女優なんだけど。」
明らかにヤバい会話だったけど2人には笑顔と言うよりもその経験を想像して眼差しが尊敬とか、そんな感じの表情に変わっていった。
「俺は多分そんな経験したら耐えられないかもしれないっす。」
「だなぁ、母は偉大だよ。」
ちょっとオープンに言いすぎたかな?
明らかにふたりの表情がシリアスになっていた。
「あ!でもほんと気にしないで!私は今こうして人間関係の輪に恵まれて、直輝もこうして前を向いてきてるから本当に2人には感謝してるの!だから話したってのもあるけど。」
「あはは、直輝には本当に世話になってますよ。遥香さんほど強くはないけど、頑張ってるあいつを見ると俺も前向こうってなるし。」
「だな、俺も天野家居心地いいっすわ。こりゃあなんとしてでもあいつを医学部に行かせなきゃっすね。」
2人が栄養補給されたのか心が温まったのかは定かじゃないけど、青白くなった顔が血色が良くなっていった。
ラーメンが少し伸びて温くなってきたので私は食べるペースを上げて一気にスープまで飲み干す。
私は正直直輝が羨ましかった。
私も彼らのように素敵な友人に囲まれたら……なんてifを考えるけど、やめるようにした。
私は私で進んだから今がある。
直輝は私のようにはなれないかもだけど、こんな素敵な友人と切磋琢磨してこれから私の想像もつかないくらい強くなるだろう。
「さーて!私達もそろそろ行こっか!まだまだ滑るけど……2人とも大丈夫?」
「「もちろんです!」」
さっきよりも明らかに威勢が良くなったので私はスノーボードをもってみんなと滑っていく。
少しずつバランスを取りながら全身を研ぎ澄ませ吹雪に乗って私たちは滑っていく。
まるで私は風になった気分で新雪のゲレンデを駆ける。
時折膨らみを見つけてはジャンプしてアクロバティックな動きをして全力で楽しんでいた。
若さや身体が許す限り……私はそうやって今を全力で生きていたいから。
飯田くんも龍くんもなんとか着いてきてくれている。
新雪は柔らかく、膝の上まで雪が積もっている。
自然とは美しくも厳しく、でもその時間が自然と対話してるようで……その時間が愛おしくて仕方がなかった。
「「い……頂きます。」」
直輝たちと別れた私は、龍くんと飯田くんと3人でご飯を食べていた。
食堂は相変わらず外国人で溢れかえっていて文明が入り交じる席取りが行われていて、少しだけ窮屈に感じる。
そして、明らかに2人とも疲れきって表情が青白くなっていた。
「2人とも大丈夫?」
「なんとか……あれ、遥香さんって運動とかするんでしたっけ?」
「んー、たまにジョギングくらいかな。」
「マジかよ。」
「なおっちママすげぇな、俺も体力には自信あったけど敗北っすよ。」
「ちょっと!?ふ……複雑だな~、私32で体力衰えてきてるんだけど。」
そう言って、私はラーメンをすする。
こういう時のラーメンの塩っけが身体に染み渡るようだった。
「しっかし、なおっちも遥香さんみたいに体力あればもう少し勉強に打ち込めるんですけどね。そこは遺伝しなかったのか。」
「まあ……あの子は運動ほとんどやらないし、中学の頃は不登校だったからね。あとは……体力はあの人に似たのかもしれない。」
「あの人って……。」
「うん、あの子の父親。」
ふと、彼の父親に当たる工藤直人くんが脳裏を過ぎる。
彼はいつも本ばかり読んでいた。
「聞いていいのかわかんないっすけど、なおっちの父親に当たる人は今何してるんすか?」
「俺もいつもきいていいのかわかんなかったですけど、ちょっと気になります。」
「んーーーーーー。」
私は少しだけ息を整える。
あの頃のことを思い出すと今でも少し苦しくなるからだ。
でも、彼らは直輝のかけがえのない親友だ。
きっと大人になっても直輝とは気の置けない存在になるかもしれない。
私は孤独の中走ったけど、直輝には誰かに支えてもらいながら踏ん張って欲しかった。
「南海トラフの時に……私を庇って津波に飲み込まれて、それっきり。」
「「……………。」」
ちょっと令和には重すぎたかな。
いつもはユーモアのある2人が珍しく黙ってしまった。
「あ!気にしないで!もう昔の事だし、今はこうして乗り越えて幸せだったから!」
すると龍くんがコーヒーを啜っては少し考えていた。
「なんか、なおっちママすげぇなって思いました。直輝を身ごもってた時にそんな経験して……そっから単身で東京に来ての今なんすね。」
龍くんは頭の回転が早かった。1話しただけなのに10まで理解してしまったようだった。
「え、流石に親族とか友達とかいましたよね?遥香さん。」
「実はね……そんな人居なかったんだ飯田くん。」
「え……。」
「まあだから、それで直輝を育てるためにナイトクラブとかで働いたりもしてたし、パートとか体1つで頑張ってたの。まあ……その先がAV女優なんだけど。」
明らかにヤバい会話だったけど2人には笑顔と言うよりもその経験を想像して眼差しが尊敬とか、そんな感じの表情に変わっていった。
「俺は多分そんな経験したら耐えられないかもしれないっす。」
「だなぁ、母は偉大だよ。」
ちょっとオープンに言いすぎたかな?
明らかにふたりの表情がシリアスになっていた。
「あ!でもほんと気にしないで!私は今こうして人間関係の輪に恵まれて、直輝もこうして前を向いてきてるから本当に2人には感謝してるの!だから話したってのもあるけど。」
「あはは、直輝には本当に世話になってますよ。遥香さんほど強くはないけど、頑張ってるあいつを見ると俺も前向こうってなるし。」
「だな、俺も天野家居心地いいっすわ。こりゃあなんとしてでもあいつを医学部に行かせなきゃっすね。」
2人が栄養補給されたのか心が温まったのかは定かじゃないけど、青白くなった顔が血色が良くなっていった。
ラーメンが少し伸びて温くなってきたので私は食べるペースを上げて一気にスープまで飲み干す。
私は正直直輝が羨ましかった。
私も彼らのように素敵な友人に囲まれたら……なんてifを考えるけど、やめるようにした。
私は私で進んだから今がある。
直輝は私のようにはなれないかもだけど、こんな素敵な友人と切磋琢磨してこれから私の想像もつかないくらい強くなるだろう。
「さーて!私達もそろそろ行こっか!まだまだ滑るけど……2人とも大丈夫?」
「「もちろんです!」」
さっきよりも明らかに威勢が良くなったので私はスノーボードをもってみんなと滑っていく。
少しずつバランスを取りながら全身を研ぎ澄ませ吹雪に乗って私たちは滑っていく。
まるで私は風になった気分で新雪のゲレンデを駆ける。
時折膨らみを見つけてはジャンプしてアクロバティックな動きをして全力で楽しんでいた。
若さや身体が許す限り……私はそうやって今を全力で生きていたいから。
飯田くんも龍くんもなんとか着いてきてくれている。
新雪は柔らかく、膝の上まで雪が積もっている。
自然とは美しくも厳しく、でもその時間が自然と対話してるようで……その時間が愛おしくて仕方がなかった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
