僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

文字の大きさ
346 / 369
月下に灯るメイド長

3話

しおりを挟む
私はその後、何とかお店を見つけることができた。

とあるコンカフェが今月末を持って引き払うとのことで私はその後釜を担う契約を済ませたりとオープンのために着々と計画を進めていた。

秋葉原では特段大通りというわけではないけど、無理に行き過ぎると恐らく競合に取られるリスクも高いと思ったので控えめな場所になっている。

でも、それでいい……うちはいかにいい子が沢山いるかが重要なのだから。
だからやる事は一つだ……!

「……えーっと、まずは色んなところにバイト募集の貼り紙を。」
「ちょっっっとおーーーーーーー!?」

チラシを持った私に対して舞衣ちゃんがツッコミを入れる。
どうしたのかしら?バイトを募集しようと思ったのに。

「……何かあった?」
「何か……じゃないですよ!今は令和なんですよ、こんな昭和みたいなやり方だと他のお店にいい子持っていかれますよ!」
「……大丈夫よ、困ったら遥香さんがいるんだから。」
「ことねさん……あの人は元AV女優だからお店のコンセプト変わってしまいますよ。」

私は少し悲しそうに張り紙を仕舞う。
せっかく手書きで「バイト募集中!」って書いたのに……。

「でも、平成1桁の私にはこれしか思いつかないわ……。」

すると、舞衣ちゃんはある機材を取り出した。

「ふふん、ことねさん……私たちでYouTubeやりましょう!」
「……おお、これが最新のテクノロジー。」
「いや、これも2010年より前からありましたけど。」

どうしよう、どうやら世界はどんどん加速してるらしい。
この前も舞衣ちゃんにスマホで文章書いてたら「フリック入力の方が早いですよ!」なんて怒られたし、世界に追いつくのはどうやら難しい気がした。

「……にしても、舞衣ちゃんはすごいわね。小型カメラやマイクとか、いいものにお金かけてるけど普段何を撮ってるの?」
「ああ、彼…………景色とかですね。」
「…………ん?」

なんか、不審なところがあったけど聞かなかった事にしよう。

「……で、YouTubeで何すればいいの?」
「ふふん、バイト募集動画と……実際のバイト動画の撮影しましょう!この際専用のXも立ち上げていけば。」
「……頭痛くなってきた。」
「ことねさん、恵まれたクールビューティな見た目に反するほどのポンコツっぷりですね。」

最近、舞衣ちゃんの毒舌も板に付いてきた。
昔は私のことを羨望の眼差しで見ていたのに、変わってくるものだ。

「とりあえず、バイト募集動画からはじめますか!」

☆☆

「「お帰りなさいませ!ご主人様!」」
「みなさーん、マイです!」
「……店長メイドのことねです!」

動画とか撮られるのは慣れていた。
普段の低音ボイスを喉をすくめて激甘ボイスへと変換する。

ちなみにセリフが飛びそうなのであきらさんにカンペをお願いすることにした。
カンペはめくられて、「オープン告知」と書いてあった。

「……突然ですが、皆さんに報告があります!」
「おお!」
「……私ことねがプロデュースのメイド喫茶、キュートローズをオープンすることになりました!」
「ええー!オープンですか!?」

告知をして私たちは拍手する。

「ちなみに、オープンするきっかけは!?」
「……そうですね、今までもお店はやっていたのですけど、やはり不定期でいつでも行きたいと言ってくださるお客様の声が沢山あったんですね。」
「確かに、1日100人以上来て下さる日もありましたもんね!」

それにしても舞衣ちゃん上手いな。
演技をしながらもきちんと会話になっている。
普段危なっかしい印象だけどタレントも行けそうな気がした。

「……なので、そのお客様の期待に応えるべく今回、懐かしの秋葉原へと帰ってくることになりました。」

そして、しばらく間を置く。
その方が後で動画編集しやすいとの事だったのでそのための間を作るのだ。

「でもみなさん!私たちのメイド喫茶にはまだまだ問題があります!」
「……へ?」

上手い所かアドリブまで入れてきた。
だ……大丈夫かな。
私は少し緊張で火照ったからだから冷や汗が流れる。
舞衣ちゃんは楽しそう……というか少しハイになってる感じだった。

「私たちは、オープンにあたってメイド不足なんです!なので……募集をかけさせて頂きます!」
「……おお。」
「例えば、メイド喫茶が好きな子!インフルエンサーを目指している子!接客が好きな子!どんな子でもいいです!一緒に働いてこのメイド喫茶を盛り上げてくれる子を大募集致します!」

私は既に頭が真っ白になっていて、あきらさんもカンペが尽きたので右往左往していた。
舞衣ちゃんはその中でも素晴らしいアドリブ力を発揮する。





「詳しくは、こちらのリンクかインスタのDMからお願いします!」

そして、何も無いところに指さして私も急いでそれに合わせる。
何をしてるのかよく分からないけど、YouTubeをたくさん見る現代っ子にとにかく合わせれば良いと思った。

「また、定期的にキュートローズの進捗も報告するので!チャンネル登録と高評価ボタンもタップしてください!」



そろそろ動画も締めのようだったのでふたりでアイコンタクトをして終わらせる。

せーのっ

「「行ってらっしゃいませ!ご主人様!」」

お辞儀を終えるとあきらさんはRECボタンを止めてグッドサインを送る。
それと共に私は疲れきったように座ってしまった。

「……つ、疲れた。」
「舞衣ちゃん上手いね!完璧じゃないか!」
「……確かに、見返すともうこれだけで動画になってる。」

普段慣れてることを8時間やるよりも10分程度の動画をやるほうが遥かに疲れる。
それにしてもYouTubeをみてるとスラスラとそんな言葉が出てくるのかな。
本ばかり読んでるアナログも少しやめてデジタルも触れた方が良いのかなと思った。

息は上がり、疲れなのか羞恥心なのか体は火照りきっていた。

「よーし!これ、持ち帰って動画にしますね!まずはYouTubeと短くしたものもTikTokに流します!」
「……任せたわ、広報隊長よ。」

その後、エネルギッシュにダッシュで帰る彼女を見て年齢の衰えを感じた。
若いって本当に素晴らしいことなのかもしれない。

その後、私たちの動画は拡散に拡散されて……気が付けばたった4日ほどで20万再生になっていた。
元々在籍していたメイド喫茶での知名度もあるけど、舞衣ちゃんの緻密な編集によってきちんと見てて楽しい動画になったのだ。
きちんとリンク欄も表示されてるし、BGMや効果音も付けられてる。(あと舞衣ちゃんが加工で可愛くなってる)

ちなみに、応募者が10人ほど来ていた。
私のスケジュールはどんどん埋まっていき、いよいよ本格的に、オープンが近づくことを実感していた。

しかし、そのプレッシャーは私に活力を与えてくれて1日1日が少しずつ楽しくなっていくようでもあった。
でも、時間は足りない。
決めなきゃ行けないこととか、調べなきゃいけないことはまだまだ沢山あるのだから。

オープンまで、残り3ヶ月。
私はとにかく目標まで走っていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...