僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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第2章 僕のクラスメイトは托卵女子

12話

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まさかの事実である。
舞衣さんをいじめていた主犯が唯一友達として接してた女の子だった。

俺達は彼女を囲み話をすることにした。

「さて、どうしてこんなことをしようとしたか教えてもらおうか。」

しかし、彼女はそっぽを向いている。
普段はゆるふわのうさぎのような雰囲気をしている彼女だが今は敵意むき出しのサーバルキャットのようであった。育ちが良いのか仕草に気品があるがどこか性格の悪さも合わさったような感じがする。

「大丈夫だよ2人とも……、私は気にしてないから。」
「ほら、本人もそう言ってるじゃない。私忙しいんだけど。」
「いーやダメだ!お前は人としてやっちゃいけないことをしている、そこを考えないと佐倉たちが生きづらいんだよ!なあ……って直輝?」

飯田は消えた俺の影を探す。俺はどこに消えたかって?答えは一つである。

バシャンっと横からバケツの水が川崎さんに目掛けて飛び出して流れ込み彼女のセットした髪と香水、メイク諸共すべてを台無しにした。

「ねえ、今どんな気持ち?これは君がやった事だよ。」

未発達の俺の思考は周りよりも少し過激に彼女に因果応報を与える。こんなことして気にならないだなんて理不尽すぎる。

「な……何するのよ!お前みたいなプランクトンみたい光合成しかできない無能が私にやっていい事じゃないわよ!ふざけんな!」

彼女の怒号が廊下に響きわたる。そりゃあそうである、女の子は男よりも身だしなみに時間を使うものだ……今からだと修正するのに時間がかかるしキレて当たり前である。

にしても、プランクトンか……言い得て妙である。
僕みたいなやつが大量に光合成をして、そういう奴を一軍のヤツらが食らうというこのスクールカーストは人間を動物として考えた社会の縮図だと思ってたので案外頭が良いのかもしれないと思った。

「じゃあ、川崎さんはハイエナかな?もしくは佐倉さんに寄生して蝕んでるからウイルスの方が近いかな?1人で繁殖できなそうだし。水をかけたからこれで繁殖は抑えられたな、いい事をしたよ。」
「おま……。」

でも正直レスバトルとかだったらボキャブラリーは彼女より上だ。普段はそんなこと絶対に言わないのだが自分よりも舞衣さんを傷つけたという方が怒りが湧いてしまった。

対する川崎さんは普段の穏やかな表情から想像ができないほど青筋がたっていて鬼の形相とはこの事だと同時にもうなにも言えない悔しさの表情を浮かべたのだった。

「おまえ、天野だったよな……あなただけは絶対潰すわ。」
「やってみろ、でもいつかお前は佐倉さんに謝れよ。」

彼女はばっと走り出し逃げ出す。
俺たちは咄嗟の事で反応することが出来なかった。
そして、少し沈黙が俺たちの中で続いた。

「なあ、直輝よ……許せないのはわかるんだけどやり過ぎじゃないのか?話し合いで解決することもあるんじゃないのか?」

飯田は少し驚いたのと悲しそうな顔をしていた。
そりゃあそうである、無理に反感を買う必要が無い。
舞衣さんは……泣き崩れていた。
でもこれでいい、これでいいんだ。

☆☆

次の日からねらいどおりになった。
俺の机が死ねプランクトン、無能などの落書きで溢れていた。教科書も破損をしている。
しかし、嫌われているのは慣れていたので特に気を止めることは無かった。
図太い性格というのは案外すごい才能だとこの時ばかりは強く感じた。

でも、これでいい。
何故かって?舞衣さんの机が落書きもなく教科書の破損もないからである。
ゲームで言うタゲ取り(相手の意識を自分に向けることで周りの負担を減らすこと)ができているのだ。
舞衣さんはにんまりと笑う時は……嫌なことがあって怯えてるけどそれを隠してる時の表情だと最近わかったのだ。

妙に周りが俺を見てはくすくす笑っていたけど、そんなこと気にしてたら死んじゃいそうなのでぼんやりとすごしていた。

「おはよう……。」

舞衣さんが力なく挨拶をしている。
昨日はみんな無言のままあの廊下で解散をしてから元気がないのだ。
そして、舞衣さんに誰も挨拶を返さなかった。

「おはよう、舞衣さん」
「……。」

俺だけは唯一挨拶を返したが彼女は俺を見向きもしなかった。目を合わせるどころか少し距離も感じた。
少し彼女の挙動に心の中がズキズキと痛む感触はあったが俺は気にしないで一日を過ごすとことにした。


☆☆

キーンコーンカーンコーン……

授業が終わりを告げる。
今日はなんて居心地の悪い日だったのだろう。
俺は落書きだらけの机から立ち上がり下校の準備をする。
昼飯も一人で食べたので孤独の時間というのはあまり心地が良くないと思いつつもそこまで気をとどめるものでもなかったので俺は淡々と一日をすごした。

しかし、1度売ってしまった喧嘩は予想以上にめんどくさい事へと昇華していった。

「おい、ちょっと待てや。」

俺と同じ背丈の金髪の髪を縛った少年が俺の足を止める。確かこの人は……。

「虎ノ門くん……だったっけ?」
「よう、名前あんま覚えてないけどよく俺のこと知ってんじゃん。」

この人は虎ノ門龍(とらのもんりゅう)。
親はANAの息子で裕福な家庭にいながらも常に暴力沙汰で問題を起こし反省文を頻繁に欠かされているいわゆるヤンキーに近い存在だった。
いや、ヤンキーというかもはや非行少年という方が近いのだろうか……。

俺は彼に連れられ体育館裏に行くことになった。
いや、今令和なのにこんな2年号前の経験をしなければならないかとため息をつきながら虎ノ門くんについて行くことになる。

体育館裏に着くと、一軍グループの奴らが俺らを見下した笑いをしながらこちらを見ていた。その中には川崎さんもいた。

「あら、随分遅かったじゃない?」
「やあ、川崎さん……今日も沢山僕の机を落書きしてくれたね?」
「証拠あるの?」
「昨日僕の事プランクトン呼ばわりしたけど、あれ言ってるの川崎さんくらいなんだわ。」
「あ?」

彼女は普段はゆるふわな雰囲気なのに怒ると青筋が立ってくる。人は本質は考え方でこんなにも表情が変わるのかと関心をしていた。

「みんな、やっていいわよ。」

すると、他の5人ほどの男子が勢いよく俺に向かって殴りかかってくる。
俺は正直あまり恐怖心はなかった。
1人目の大ぶりのパンチを紙一重で避けたあと、勢いを利用してみぞおちに蹴りを入れる。
次に2人目の男の子が蹴りを入れようとしたので一気に距離を詰めた後に好きだらけの軸足を蹴り飛ばして転ばせた。

「え??」

みんなが唖然としている。
そりゃあそうである。普段喋らないでゲームばかりしてる奴だから弱そうに見えるのも当然である。
しかし、俺はそこまで弱くはなかった。

「なんだよ、こいつ!」

もう1人がまた大ぶりで殴ってくるので手クビに手刀をすっと入れて弾いあとに頭突きをいれた。
あとの男子たちはほとんど戦意が失われて後ろに後ずさりしていた。

ちなみに、どうしてこんなにも不利な状況を戦えてるのかって?
実は昔母ちゃんは俺に無駄に習い事を行かせてた時期があった。
人に合わせることが出来ない俺は様々なスポーツを1ヶ月で諦めたのだが……ひとつの事だけは中学まで継続できた。

「天野だっけ?お前空手やってるだろ。」
「高校入るまでだったけど……2段まではやらせてもらったよ。」

虎ノ門くんだけはこのカラクリを見抜いていた。
武道を習っていると他の子達の無駄な動きの多さとか……物理的に理にかなってなかっただけだったのでこの場を収めるのは造作もなかった。
一言で言うと……こいつら令和キッズなので喧嘩慣れしてないのに喧嘩をさせられた寄せ集めのメンバーなのだ。

でも、1人だけ……ただ1人だけは俺には叶いそうもなかった。

「丁度良かった、俺も極真空手やってるからよ……ちょっとサンドバッグになってくれよ。」

そう、この知的で野性味のある虎ノ門くんだけは……明らかにこの場でのオーラが違っていた。
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