84 / 369
第7章 瑞希と彩奈のオタ活サマー
4話
しおりを挟む
※この作品は「小説家になろう」「note」にも掲載中です
「次はー上野ー、上野ー。」
私たちは電車で渋谷から上野に向かいます。
実は私は外出はあまりしないので東京住みのくせに初めて上野に来ました。
そして、電車では座れる席はまばらだったので私と彩奈ちゃんは別の席に座っています。
彩奈ちゃんは距離感の作り方が本当に絶妙です。
ずっとコミュニケーションをとる訳でなく私はのんびりとTikTokを見ることが出来ました。
「えっほえっほ…伝えなきゃ。」
妙に頭に残る動画を見てしまいました。
フクロウが二足歩行で走ってるのです。
それでなんかどうでもいい事を伝える健気さを表現する音声が入っていて、とても癒されてます。
私はふと前を向くと彩奈ちゃんは私の顔を見てにんまりとしてました。
そして、上野に着いたことに気がついたので急いで電車をおります。
………。
やばい、独り言聞かれてたよね。
「私もその動画好きー!なんか口ずさんじゃうよね!」
「そうなの!ネットってこういうのばっか流行るよね~。」
彩奈ちゃん可愛いから、独り言とか言わなそうです。
こういう時に私の奇行を受容してくれるから彩奈ちゃんは安心します。
「私なんかさー、アニメのジョジョ見てからいっつも独り言言うよ~。…螺旋階段…カブトムシ…廃墟の街…イチジクのタルト!…カブトムシ。ってね。」
思ったよりもニッチなセリフで吹き出しました。
確か…6部のラスボスのプッチ神父という人物が中盤で呟いていた14の言葉です。
妙にカブトムシを4回くらい言うところが特徴なんです。
「おお、いい反応!やっぱジョジョラーは最高だね!あとで一緒にジョジョ立ちする?」
「は…恥ずかしいから大丈夫。」
多分彩奈ちゃんは私の50倍くらいはジョジョが好きなのかもしれません。
わたしは意外とセリフを鮮明に覚えられるほど頭は良くないのです。
気がつくと、上野にはふたつの長蛇の列が出来てました。
1つが美術館に向かうための列であり、2つ目は上野動物園への列です。
そうか、ここに並ぶのかな?
そんなことを思っていましたが違ったみたいです。
「よーし!まずは上野東照宮でも行きましょ!」
「ふえ?」
「旅に出る時はお参りはしていくもんよ!行くってだけでもいい事ありそうだし。」
私は言われるがまま歩いていきます。
すると、金箔のある宮殿が目の前にありました。
「すごい。」
語彙力の欠けらも無い感想ですが、わたしは誰かとどこかへ行くこと自体が滅多になかったので宮殿の雰囲気に圧倒されてました。
特に外国人たちは物珍しいのかたくさん写真を撮ってました。
「Excuse,me?」
すると、彩奈ちゃんは突然英語で外国人に話しかけます。
何を言っているのか分かりません。
しかし、とても流暢な英語を話していて私は唖然としてしまいました。
「あはは!Thanks.瑞希ちゃーん!この人写真撮ってくれるって!」
え、初対面の外国人に写真撮ってって言ってたの!?
コミュ強すぎる…てか、なんでそんな英語喋れるの?
私は言われるがまま前に立たされる。
え、ポーズ何撮ろうか?
「せーの!ジョナサン・ジョースター!」
「はい!」
私たちは左手のひらを顔の前に広げ、右手を円を描くように下に向けた最もポピュラーなジョジョ立ちをしていた。
確か、1部のジョナサン・ジョースターはこのポーズを撮っていた気がします。
もちろん、彩奈ちゃんも同じポーズを取ります。
「Oh!Cool japan!」
外国人はそのポーズを見てこれが日本なのかと驚いてましたが、恐らく私たちは日本の少数派ですよと心のツッコミを入れます。
その後は、彩奈ちゃんも写真を撮ってあげてました。
もう、すっかり外国人とお友達です。
ちなみに外国人の方はじっくり話を聞くとアメリカではなくフィリピンからきたとの事で、好きなアニメはドラゴンボール…というところまでは理解出来ました。
☆☆
「いや~たのしいねぇ!」
「急にジョジョ立ちはびっくりしたよ。」
「えー!私夢だったんだ!ジョジョラーの友達が出来たら一緒にジョジョ立ちするって!」
意外です。
スクールカースト上位っぽい彩奈ちゃんにしては割と大きくない夢なのです。
すぐにかなっちゃいそうなのに…なんて思います。
「えー!でも彩奈ちゃん友達多いじゃん!いないの?」
「これがいないの!普段の友達とは…うん…男の事とか…化粧品とか…ブランドがどうかって…意外と仲良いようでマウント戦争ばかりで…あはははは。」
急に闇を見せる彩奈ちゃんを見て私はドン引きしてしまいました。
どうやら私の見えてる女社会は、男が居ないと動物園と化すのですが、男がいたらいたで競争社会になっているそうです。
そんな中でジョジョの話ができないのも容易に想像できます。彩奈ちゃんは本当は少数派だけど、多数派に馴染める機転をもっていて、密かに努力をしているからこその彼女なのでしょう。
「そういえば、さっきの英語喋れてる彩奈ちゃんかっこよかったよ!直輝くんも英語得意だけど、彩奈ちゃんは更にその上を行くというか…。」
「えへへ~直樹くんは私の弟子だからね~。実は英語のTOEFLって言うものも持ってるんだ!」
彼女は胸をポンと叩く。
何言ってるかはわからないけどきっと凄いのでしょう。
「彩奈ちゃんは…夢とかあるの?」
突然そんなことを聞いてしまいました。
私にはこれといった目標や夢なんてありません。
ただ、AV女優以外の仕事はしてみたい…それだけです。
そのため、まずは選択肢を増やすために進学を考えてるのです。
誰かの夢を聞いてみるのも、もしかしたらいいキッカケになるのかも知れません。
「私はね、留学したいと思ってて…その中でたくさんの文化に触れてみたいの!そしたら…色んなところを飛び回って誰かの役に立つ…そんな仕事をしてみたいかな!」
「すごい!…でもどうして世界に旅立ちたいのかな?」
「…私は昔両親に旅行に連れてってもらったことがあったんだけど、その時子供たちがマネー、マネーって話しかけてきたんだよね。私はね…お金が無いんだなって思ってお金をあげようとしたら両親に止められたの。」
「なんで?」
「このお金は、この子を幸せにすることが出来ない…これらは全てこの親の酒や薬に言ってしまい、この子どもはもっとこんなことをやらされてしまうから。」
私は言葉を失いました。
貧富の差とは簡単に教科書とかで聞くのですが、そのエピソードを聞くだけでもよりどす黒く…リアルに貧富というものに重みがかかってきます。
そう考えると…私は親が支えてくれるだけでも相当幸せなのだと考えされられます。
「私は、そんな事を聞いて泣き出して…。でも、せめてもと子どもたちに飴を上げてみたの。すると、嬉しそうに舐めて…ほんのちょっぴりだけど幸せにできることが出来たの。」
私は、きっと凄い子と親友になれたのかもしれません。彼女だけのその経験がきっと行動的で人に与え続けられるマインドを作ったのか。そんな事をおもうと…自然と涙が流れてきました。
「ああ、ごめん!泣かせるつもりはなかったわ。」
「…彩奈ちゃんはすごいね。」
「ううん!でね…私の夢は、貧富の差は私一人では無くせないけど…少しでも関わることで幸せになれる人が出来る…そんなことを仕事にしたいと思った時にまずは英語と思ったの!そんだけ!」
彼女が…また大きく見えてきました。
私はこの子をもっと信頼してもいいかもしれない…むしろついて行きたいと思いました。
「ねえ、彩奈ちゃん?」
「なに?瑞希ちゃん。」
私は、恥ずかしいけど…勇気を振り絞りました。
「また、ジョジョ立ち一緒にやろ?」
彩奈ちゃんは…嬉しそうに目をキラキラとさせていました。
「もち!次は…DIOでもやろっか。Wryyyy!って!」
私たちはほんのりとコンクリートのジャングルを歩いていきます。未知の道を彼女と歩むことは、見た事ない景色や世界に導いてくれます。
木漏れ日が少し目に差し込んできて、風と共に流れてくる草木の香りは…どこか私の心を暖めていました。
「次はー上野ー、上野ー。」
私たちは電車で渋谷から上野に向かいます。
実は私は外出はあまりしないので東京住みのくせに初めて上野に来ました。
そして、電車では座れる席はまばらだったので私と彩奈ちゃんは別の席に座っています。
彩奈ちゃんは距離感の作り方が本当に絶妙です。
ずっとコミュニケーションをとる訳でなく私はのんびりとTikTokを見ることが出来ました。
「えっほえっほ…伝えなきゃ。」
妙に頭に残る動画を見てしまいました。
フクロウが二足歩行で走ってるのです。
それでなんかどうでもいい事を伝える健気さを表現する音声が入っていて、とても癒されてます。
私はふと前を向くと彩奈ちゃんは私の顔を見てにんまりとしてました。
そして、上野に着いたことに気がついたので急いで電車をおります。
………。
やばい、独り言聞かれてたよね。
「私もその動画好きー!なんか口ずさんじゃうよね!」
「そうなの!ネットってこういうのばっか流行るよね~。」
彩奈ちゃん可愛いから、独り言とか言わなそうです。
こういう時に私の奇行を受容してくれるから彩奈ちゃんは安心します。
「私なんかさー、アニメのジョジョ見てからいっつも独り言言うよ~。…螺旋階段…カブトムシ…廃墟の街…イチジクのタルト!…カブトムシ。ってね。」
思ったよりもニッチなセリフで吹き出しました。
確か…6部のラスボスのプッチ神父という人物が中盤で呟いていた14の言葉です。
妙にカブトムシを4回くらい言うところが特徴なんです。
「おお、いい反応!やっぱジョジョラーは最高だね!あとで一緒にジョジョ立ちする?」
「は…恥ずかしいから大丈夫。」
多分彩奈ちゃんは私の50倍くらいはジョジョが好きなのかもしれません。
わたしは意外とセリフを鮮明に覚えられるほど頭は良くないのです。
気がつくと、上野にはふたつの長蛇の列が出来てました。
1つが美術館に向かうための列であり、2つ目は上野動物園への列です。
そうか、ここに並ぶのかな?
そんなことを思っていましたが違ったみたいです。
「よーし!まずは上野東照宮でも行きましょ!」
「ふえ?」
「旅に出る時はお参りはしていくもんよ!行くってだけでもいい事ありそうだし。」
私は言われるがまま歩いていきます。
すると、金箔のある宮殿が目の前にありました。
「すごい。」
語彙力の欠けらも無い感想ですが、わたしは誰かとどこかへ行くこと自体が滅多になかったので宮殿の雰囲気に圧倒されてました。
特に外国人たちは物珍しいのかたくさん写真を撮ってました。
「Excuse,me?」
すると、彩奈ちゃんは突然英語で外国人に話しかけます。
何を言っているのか分かりません。
しかし、とても流暢な英語を話していて私は唖然としてしまいました。
「あはは!Thanks.瑞希ちゃーん!この人写真撮ってくれるって!」
え、初対面の外国人に写真撮ってって言ってたの!?
コミュ強すぎる…てか、なんでそんな英語喋れるの?
私は言われるがまま前に立たされる。
え、ポーズ何撮ろうか?
「せーの!ジョナサン・ジョースター!」
「はい!」
私たちは左手のひらを顔の前に広げ、右手を円を描くように下に向けた最もポピュラーなジョジョ立ちをしていた。
確か、1部のジョナサン・ジョースターはこのポーズを撮っていた気がします。
もちろん、彩奈ちゃんも同じポーズを取ります。
「Oh!Cool japan!」
外国人はそのポーズを見てこれが日本なのかと驚いてましたが、恐らく私たちは日本の少数派ですよと心のツッコミを入れます。
その後は、彩奈ちゃんも写真を撮ってあげてました。
もう、すっかり外国人とお友達です。
ちなみに外国人の方はじっくり話を聞くとアメリカではなくフィリピンからきたとの事で、好きなアニメはドラゴンボール…というところまでは理解出来ました。
☆☆
「いや~たのしいねぇ!」
「急にジョジョ立ちはびっくりしたよ。」
「えー!私夢だったんだ!ジョジョラーの友達が出来たら一緒にジョジョ立ちするって!」
意外です。
スクールカースト上位っぽい彩奈ちゃんにしては割と大きくない夢なのです。
すぐにかなっちゃいそうなのに…なんて思います。
「えー!でも彩奈ちゃん友達多いじゃん!いないの?」
「これがいないの!普段の友達とは…うん…男の事とか…化粧品とか…ブランドがどうかって…意外と仲良いようでマウント戦争ばかりで…あはははは。」
急に闇を見せる彩奈ちゃんを見て私はドン引きしてしまいました。
どうやら私の見えてる女社会は、男が居ないと動物園と化すのですが、男がいたらいたで競争社会になっているそうです。
そんな中でジョジョの話ができないのも容易に想像できます。彩奈ちゃんは本当は少数派だけど、多数派に馴染める機転をもっていて、密かに努力をしているからこその彼女なのでしょう。
「そういえば、さっきの英語喋れてる彩奈ちゃんかっこよかったよ!直輝くんも英語得意だけど、彩奈ちゃんは更にその上を行くというか…。」
「えへへ~直樹くんは私の弟子だからね~。実は英語のTOEFLって言うものも持ってるんだ!」
彼女は胸をポンと叩く。
何言ってるかはわからないけどきっと凄いのでしょう。
「彩奈ちゃんは…夢とかあるの?」
突然そんなことを聞いてしまいました。
私にはこれといった目標や夢なんてありません。
ただ、AV女優以外の仕事はしてみたい…それだけです。
そのため、まずは選択肢を増やすために進学を考えてるのです。
誰かの夢を聞いてみるのも、もしかしたらいいキッカケになるのかも知れません。
「私はね、留学したいと思ってて…その中でたくさんの文化に触れてみたいの!そしたら…色んなところを飛び回って誰かの役に立つ…そんな仕事をしてみたいかな!」
「すごい!…でもどうして世界に旅立ちたいのかな?」
「…私は昔両親に旅行に連れてってもらったことがあったんだけど、その時子供たちがマネー、マネーって話しかけてきたんだよね。私はね…お金が無いんだなって思ってお金をあげようとしたら両親に止められたの。」
「なんで?」
「このお金は、この子を幸せにすることが出来ない…これらは全てこの親の酒や薬に言ってしまい、この子どもはもっとこんなことをやらされてしまうから。」
私は言葉を失いました。
貧富の差とは簡単に教科書とかで聞くのですが、そのエピソードを聞くだけでもよりどす黒く…リアルに貧富というものに重みがかかってきます。
そう考えると…私は親が支えてくれるだけでも相当幸せなのだと考えされられます。
「私は、そんな事を聞いて泣き出して…。でも、せめてもと子どもたちに飴を上げてみたの。すると、嬉しそうに舐めて…ほんのちょっぴりだけど幸せにできることが出来たの。」
私は、きっと凄い子と親友になれたのかもしれません。彼女だけのその経験がきっと行動的で人に与え続けられるマインドを作ったのか。そんな事をおもうと…自然と涙が流れてきました。
「ああ、ごめん!泣かせるつもりはなかったわ。」
「…彩奈ちゃんはすごいね。」
「ううん!でね…私の夢は、貧富の差は私一人では無くせないけど…少しでも関わることで幸せになれる人が出来る…そんなことを仕事にしたいと思った時にまずは英語と思ったの!そんだけ!」
彼女が…また大きく見えてきました。
私はこの子をもっと信頼してもいいかもしれない…むしろついて行きたいと思いました。
「ねえ、彩奈ちゃん?」
「なに?瑞希ちゃん。」
私は、恥ずかしいけど…勇気を振り絞りました。
「また、ジョジョ立ち一緒にやろ?」
彩奈ちゃんは…嬉しそうに目をキラキラとさせていました。
「もち!次は…DIOでもやろっか。Wryyyy!って!」
私たちはほんのりとコンクリートのジャングルを歩いていきます。未知の道を彼女と歩むことは、見た事ない景色や世界に導いてくれます。
木漏れ日が少し目に差し込んできて、風と共に流れてくる草木の香りは…どこか私の心を暖めていました。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる