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第7章 瑞希と彩奈のオタ活サマー
9話
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※この作品は「小説家になろう」「note」にも掲載中です
プリクラを撮り終えた私たちがお店を出る頃には…時間は19時だった。
街並みは徐々に落ち着き出し…サラリーマンの帰宅層からまた違った層が目立ち始める。
「いや~…ほんと楽しい日だったね。」
私が話しかける。
瑞希ちゃんとは気の置けない親友である。
彼女は昔の私みたいに成長をし続けている。
いつかきっと…彼女は大物になるのかもしれない。
「こんな日がずっと続けばいいのに…。」
瑞希ちゃんは少し寂しそうな顔をしていた。
孤独な彼女にとっては、楽しい時間が過ぎるのはとても恐ろしいものなのかもしれない。
「瑞希ちゃんは…学校嫌い?」
「めっちゃ嫌い!」
即答だった。きっと彼女にとってはとてもい心地の悪い所なのだろう。
環境というのは、良くも悪くも人を変えてしまう。
たとえ天才がいても、凡人によって普通にされてしまうことだってある。
「男子が嫌で…今の学校に行ってるんだっけ?」
「そうだったけど…、なんかこうして直輝くんと話したり、ナンパを断ったりしてみたら案外大丈夫なのかと思った。」
「そっか~。」
確かに今日だけでも彼女はジョジョの力を借りながらも大きく成長をして行った。
今の彼女ならどこでもやって行けるのかもしれない。
「ねえ、瑞希ちゃんうちの学校に編入したら?」
「え!?」
彼女は困惑な顔をする。
そりゃあそうである、人見知りの彼女にとっては環境を変えるというのはとても覚悟のいることだし、不安な気持ちになるのも不思議じゃない。
「そりゃあ…嬉しいけど…。」
「ごめん、めっちゃ無責任なこと言っちゃったかも。」
「ううん!」
……少し2人に沈黙の時間が流れる。
幾つか考えがあった。
1つ、彼女は今の環境にいるよりも直輝くん達といた方が成長の機会が多いこと。
2つ、私がそばにいて欲しいという身勝手な気持ち。
3つ、私の学校の方が偏差値が高いので大学進学としてはこっちの方が有利なこと。
そんなことがあり、瑞希ちゃんにはかなりのメリットがある。
学校への通学距離もさほど変わらないのだ。
暫く沈黙が流れると、瑞希ちゃんは大きく頷いてこっちを見つめた。
「私、彩奈ちゃんの提案を受けておもったの。
辛いことがあるから、いい事はより嬉しいことだと思った。直輝くんたちに出会ってから私の無能さに絶望することばかりだったけど、それでも努力して結果を出したり、みんなで遊ぶことで幸せな気持ちになれたなって。」
「うん。」
「今の環境は…まるで死んでるみたい。
ペットショップのケージに入れられた犬みたいに、居心地の悪いまま視線を気にするだけの毎日。そこには幸も不幸もない。」
彼女は、何よりいちばん辛いのは嫌な事ではなく、嫌な事も無いように波風立てず何もしないことが苦痛だと悟ったのだ。
そこに私は新しい環境に身を置くことを提示した。
きっと今までにない選択肢だったのだろう。
「私、瑞希ちゃんの学校に編入するよ!決めた!絶対行く!」
彼女の目はメラメラと炎が宿るように燃え広がっていた。
きっと、その先に後悔もあるのかもしれない。
それも幸せの為の糧にしていけると思うので私には止める余地は無かった。
「グレート!それでこそ瑞希ちゃんよ!」
「お母さんに相談するのはちょっと怖いけど…やってみる。」
彼女はグッと拳を握った。
その選択には大きな覚悟が必要である。
その道筋には大きな勇気が必要である。
彼女はそのリスクを我がものにして進む選択をしたのだ。
大きな敬意を示さなきゃ行けない。
「それに…転校したら直輝くんに会い放題だもんね!」
「な!?」
彼女の顔が一気に真っ赤になる。
瑞希ちゃんは本当に素直でわかりやすい。
でも、素直ってある意味個性だし長所だよなと羨ましくさえ思う。
しかし、以前の彼女ならそれで慌てふためくのだが…今の彼女は笑っていた。
「あはは~もう~、直輝くんは友達だよ。」
私は驚いた。
この一日で彼女は私の想像以上に強くなったようだった。本当に彼女は大物なのかもしれない。
「さてと…じゃあ、私達はここで解散ね…!」
「うん、また遊ぼ!次は舞衣ちゃんも一緒で遊びたいな!」
「おっけー!声かけとく…それじゃあ…アリーヴェデルチ(サヨナラだ)。」
「アリーヴェデルチ!」
私たちのオタ活サマー(?)はこれにて終焉を迎えた。
ガタンゴトン…と帰りの電車に乗る。
席は空いてはいるのだが、疲れたサラリーマンや年配の女性、妊婦などがいるので私は善行を積もうと、電車に揺られながら立っていた。
今日の写真も見返す。
まるでアルバムのように、1枚1枚に大切な思い出が刻まれて行った。
「…ちょーっと、この私ブサイクだな~。」
瑞希ちゃんがイメチェンして可愛すぎたので、少し私のブスさがきになったが、さほど問題ではないだろう。
揺れる電車に降りて…大きく私は伸びをする。
静寂の中、飲み会の帰りの会社員や大学生の背景に溶け込むわたしが1歩…また1歩とホームを歩く。
夏とは思えない、暗く少し涼しさを感じるホームが1人になったことを強めていた。
しかし、明日がある。
また明日には私は目を覚ますという奇跡が起こるのだ。
今日だけでたくさんの奇跡を起こすことが出来た。
明日はどんな奇跡が起こるのだろう。
プリクラを撮り終えた私たちがお店を出る頃には…時間は19時だった。
街並みは徐々に落ち着き出し…サラリーマンの帰宅層からまた違った層が目立ち始める。
「いや~…ほんと楽しい日だったね。」
私が話しかける。
瑞希ちゃんとは気の置けない親友である。
彼女は昔の私みたいに成長をし続けている。
いつかきっと…彼女は大物になるのかもしれない。
「こんな日がずっと続けばいいのに…。」
瑞希ちゃんは少し寂しそうな顔をしていた。
孤独な彼女にとっては、楽しい時間が過ぎるのはとても恐ろしいものなのかもしれない。
「瑞希ちゃんは…学校嫌い?」
「めっちゃ嫌い!」
即答だった。きっと彼女にとってはとてもい心地の悪い所なのだろう。
環境というのは、良くも悪くも人を変えてしまう。
たとえ天才がいても、凡人によって普通にされてしまうことだってある。
「男子が嫌で…今の学校に行ってるんだっけ?」
「そうだったけど…、なんかこうして直輝くんと話したり、ナンパを断ったりしてみたら案外大丈夫なのかと思った。」
「そっか~。」
確かに今日だけでも彼女はジョジョの力を借りながらも大きく成長をして行った。
今の彼女ならどこでもやって行けるのかもしれない。
「ねえ、瑞希ちゃんうちの学校に編入したら?」
「え!?」
彼女は困惑な顔をする。
そりゃあそうである、人見知りの彼女にとっては環境を変えるというのはとても覚悟のいることだし、不安な気持ちになるのも不思議じゃない。
「そりゃあ…嬉しいけど…。」
「ごめん、めっちゃ無責任なこと言っちゃったかも。」
「ううん!」
……少し2人に沈黙の時間が流れる。
幾つか考えがあった。
1つ、彼女は今の環境にいるよりも直輝くん達といた方が成長の機会が多いこと。
2つ、私がそばにいて欲しいという身勝手な気持ち。
3つ、私の学校の方が偏差値が高いので大学進学としてはこっちの方が有利なこと。
そんなことがあり、瑞希ちゃんにはかなりのメリットがある。
学校への通学距離もさほど変わらないのだ。
暫く沈黙が流れると、瑞希ちゃんは大きく頷いてこっちを見つめた。
「私、彩奈ちゃんの提案を受けておもったの。
辛いことがあるから、いい事はより嬉しいことだと思った。直輝くんたちに出会ってから私の無能さに絶望することばかりだったけど、それでも努力して結果を出したり、みんなで遊ぶことで幸せな気持ちになれたなって。」
「うん。」
「今の環境は…まるで死んでるみたい。
ペットショップのケージに入れられた犬みたいに、居心地の悪いまま視線を気にするだけの毎日。そこには幸も不幸もない。」
彼女は、何よりいちばん辛いのは嫌な事ではなく、嫌な事も無いように波風立てず何もしないことが苦痛だと悟ったのだ。
そこに私は新しい環境に身を置くことを提示した。
きっと今までにない選択肢だったのだろう。
「私、瑞希ちゃんの学校に編入するよ!決めた!絶対行く!」
彼女の目はメラメラと炎が宿るように燃え広がっていた。
きっと、その先に後悔もあるのかもしれない。
それも幸せの為の糧にしていけると思うので私には止める余地は無かった。
「グレート!それでこそ瑞希ちゃんよ!」
「お母さんに相談するのはちょっと怖いけど…やってみる。」
彼女はグッと拳を握った。
その選択には大きな覚悟が必要である。
その道筋には大きな勇気が必要である。
彼女はそのリスクを我がものにして進む選択をしたのだ。
大きな敬意を示さなきゃ行けない。
「それに…転校したら直輝くんに会い放題だもんね!」
「な!?」
彼女の顔が一気に真っ赤になる。
瑞希ちゃんは本当に素直でわかりやすい。
でも、素直ってある意味個性だし長所だよなと羨ましくさえ思う。
しかし、以前の彼女ならそれで慌てふためくのだが…今の彼女は笑っていた。
「あはは~もう~、直輝くんは友達だよ。」
私は驚いた。
この一日で彼女は私の想像以上に強くなったようだった。本当に彼女は大物なのかもしれない。
「さてと…じゃあ、私達はここで解散ね…!」
「うん、また遊ぼ!次は舞衣ちゃんも一緒で遊びたいな!」
「おっけー!声かけとく…それじゃあ…アリーヴェデルチ(サヨナラだ)。」
「アリーヴェデルチ!」
私たちのオタ活サマー(?)はこれにて終焉を迎えた。
ガタンゴトン…と帰りの電車に乗る。
席は空いてはいるのだが、疲れたサラリーマンや年配の女性、妊婦などがいるので私は善行を積もうと、電車に揺られながら立っていた。
今日の写真も見返す。
まるでアルバムのように、1枚1枚に大切な思い出が刻まれて行った。
「…ちょーっと、この私ブサイクだな~。」
瑞希ちゃんがイメチェンして可愛すぎたので、少し私のブスさがきになったが、さほど問題ではないだろう。
揺れる電車に降りて…大きく私は伸びをする。
静寂の中、飲み会の帰りの会社員や大学生の背景に溶け込むわたしが1歩…また1歩とホームを歩く。
夏とは思えない、暗く少し涼しさを感じるホームが1人になったことを強めていた。
しかし、明日がある。
また明日には私は目を覚ますという奇跡が起こるのだ。
今日だけでたくさんの奇跡を起こすことが出来た。
明日はどんな奇跡が起こるのだろう。
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