127 / 369
第10章 俺の後輩は死にたがり
5話
しおりを挟む
お昼が過ぎたあたりだろうか。
俺たちは東京駅に待ち合わせをしていた。
今日、俺たちは夜空を見に行く。
そのためにまずは新幹線で名古屋まで行かなきゃ行けないのだが……。
「あいつ大丈夫か?日光なんて浴びちゃダメだろうし。」
アイツはアルビノ、日光を浴びたらたちまち火傷をおってしまう。
医学部希望としてもかなり心配だった。
すると後ろならトントン、と肩を叩かれた。
後ろを振り向くと……黒いパーカーにフェイスカバーとサングラスを付けた身長180の人間が日傘を指していた。
「へ……変態だ。」
「……先輩、さすがに怒りますよ。」
「いや、絵面がどう見ても強盗かサバゲーしてる奴にしか見えねえんだよ。無駄にでけえし。」
「先輩~お世辞やめてくださいよ。私Dカップしかない美乳ですし。」
「身長の話な!?」
相変わらず変態でも中身は御坂だ。
むしろ安心した。
周りの人間もまさかこの変態が闇の衣を外すと絶世の美女が出てくるとは思うまい。
「さて、新幹線乗るぞ~!」
「はーい。」
俺たちは事前にとったチケットを使って新幹線に乗る。
新幹線は夏休みの真っ只中なのでそこそこ席は混んでいた。
「なあ、御坂?」
「はい、なんでしょう先輩。」
「フェイスカバー……新幹線の中じゃ外せないか?」
「先輩、それは私に死ねと言っているようなものですよ。死なせないのが先輩の目標じゃないんですか?」
「ああ、いやそうなんだけどな……。新幹線ならカーテンかけれるし、暑いだろ。」
「いえ?顔面にハッカ塗ってるんで涼しいですよ?」
「いや!それはそれで大丈夫なのか?」
え?マジでこいつ顔面にハッカ塗ってるの?
それ、冷感を感じるだけだぞ?
まあ、それはさておき周りの人間も御坂を見てはザワついてるのだ。
本人の名誉のためにもできる限りの配慮はしつつ、恥を晒すわけには行かない。
「じゃあ、私の顔みたいからって言ったら考えますよ。」
「だー!わかった、お前の綺麗な顔が見たいんだ。」
「えへへ、先輩可愛い。あとでチューしてあげます。」
すると、御坂はフェイスカバーを外すと純白の髪とまつ毛まで白くなっており、色素の薄い赤みがかった目をしていて化粧なんか必要ないくらいの絶世の美女が突如新幹線の中に舞い降りた。
「え、芸能人?」
「すごい綺麗な人。だから顔隠してたのかな?」
「外国人かしら。」
周りが御坂をみてざわつきだす。
「……先輩、視線が私を殺しにかかっています。」
「だー!すまんすまん!後で酢昆布奢ってやるから顔隠そう!」
「……ばか。」
彼女に責められても仕方がない。
俺は選択を誤った。
そして、周りを睨み出すと周りは目を逸らしたので何とか車内は落ち着きを始めた。
「……すまん、御坂。嫌だったよな?」
「もー怒ってないですよー。後で酢昆布奢ってくださいね。」
御坂は少し外の景色を見ながら顔を俯かせた。
よっぽど恥ずかしかったらしい。
久しぶりに言葉が出てこなかった。
「先輩、新幹線ってめっちゃ早いですね。」
「え?」
「もう、新横浜過ぎて……あ、あれ富士山じゃないですか?あんなにおっきいんですね!」
どうやら俺たちはたった数十分で神奈川県を超えて静岡県に入っていた。
恐ろしいスピードだ。
車ならここに着くだけで2時間かかるというのに……やはり文明の利器は恐ろしいものである。
「……怒ってないのか?」
「はい、先輩とじゃなきゃ一生見れない景色だったので!」
心無しか小さく鼻歌さえ歌っている。
彼女にとっては知らない世界を見ることの感動の方が大きかったようだ。
新幹線は鼓膜に圧をかけながらものすごいスピードで進んでいく。10数える頃には次の山を超えているくらいのスピードだ。
「先輩、そういえばどこに向かっているんですか?」
「ああ、今回は長野県の阿智村というところだよ。」
「アチ?」
「ああ、長野県の南端に位置するところだ。ここのヘブンズ園原っていうところに向かっている。」
「へー!ヘブン!天国って事ですか?」
「天国かどうかは知らんけど……日本一綺麗な夜警みたいだぞ。なんと1400mもあるみたいだ。」
「1400!えーっと……スカイツリーが634mだから……2倍以上ですと!?」
「……なんだその変な計算は。」
気がついたら、静岡市も超えて俺たちはなんと浜松まで来ていた。
ものすごい速さだ。
そういえば浜 浜松ってうなぎも美味いんだよな。
みると、巨大な浜名湖が静岡大地に波を煌めかせていた。
浜名湖もいつか行ってみたいものである。
「そういえば、御坂って家族と旅行とか行ったことないのか?」
「無いんですよ。家族は……結構過保護に近いところがあったんですよね。」
「そうなん。」
「妹が産まれるまでは私だけを愛してくれていたのですが……妹が産まれてからは変わってしまいました。家族は妹と行く旅行が好きになり、いつも私は家でお留守番をするのが当たり前になりました。」
俺は家族の団欒から外れ出す御坂を想像すると、少し胸が締め付けられそうだった。
「だから、家族で旅行の思い出話聞かされると、私ってこの家族のお荷物……いらない存在なのかなと思って苦しかったです。働くことも出来ないし、家族を喜ばすことすら出来ないんだって。」
御坂は……フェイスカバーとサングラスというシュールなスタイルで浜名湖を見つめていた。
1件ギャグに見えるけど……きっとその顔を外すと今にも泣き出しそうな顔をしてるに違いない。
「ねえ……せんぱ……あぎゃ!」
そんな御坂を俺はデコピンした。
でかいからだを間抜けにくねらせてもだえているあ。
「いった~!!何するんですか!私Mですけど急にそういうのはキツイですよ!」
「うるせえ、過去は過去だ。それに今はそんな過去を塗り替えるほどの奇跡は起きてんだろ。お前は自分の足で未知の世界を歩いている。自分なりの感動を俺と分かち合えてんじゃねえか。」
「……もしかして、元気づけてます?」
「う……うるせえ。」
俺は不意に目を逸らす。
俺の悪い所だ。感情が先に出てたまに思考が遅れてしまう。医者になるんだったら真っ先に直さなきゃ行けないところだ。
そんな俺に……御坂の指が近づき。
バチンッ。
と、俺のおでこに衝撃が走り、デコピンされたことに気がつく。
「て……てんめぇ~。」
「えへへ、お返しですよ~。まったく、か弱い女の子にデコピンなんてどんな教育受けてるんですか?」
どこがか弱いんじゃ、さっき俺がやったデコピンの倍くらい音したぞ。この馬鹿力め……。
そんな事をしていたら、あっという間に名古屋駅に着いてしまった。
東京とは少し違ったビルの佇まいで、ビルも白く綺麗なものが多く東京とはまた違った中京の景色がそこにはあった。
「さ~先輩!まだまだ旅は続きますよ~。」
「ちょ、待て~!」
「おーにさんこーちらー!手ーの鳴ーる方へー。」
もう高校生になるというのに、俺たちは駅のホームで大人気なく鬼ごっこをする。
恥ずかしさもあるのだが、フェイスカバー越しに御坂はきっと小学生の頃に出来なかった鬼ごっこをしている事が何より楽しそうなので……もう少し付き合ってあげることにした。
俺も久々に8時間以上勉強しない時間を過ごすことになった。
旅は道連れ、世は情け。
旅をするにはお互いの思いやりがあってからこそ成り立つもの。
俺たちの中には歪ながら確かに絆が存在していた。
さて、この先どんなことが待っているだろう。
俺たちは東京駅に待ち合わせをしていた。
今日、俺たちは夜空を見に行く。
そのためにまずは新幹線で名古屋まで行かなきゃ行けないのだが……。
「あいつ大丈夫か?日光なんて浴びちゃダメだろうし。」
アイツはアルビノ、日光を浴びたらたちまち火傷をおってしまう。
医学部希望としてもかなり心配だった。
すると後ろならトントン、と肩を叩かれた。
後ろを振り向くと……黒いパーカーにフェイスカバーとサングラスを付けた身長180の人間が日傘を指していた。
「へ……変態だ。」
「……先輩、さすがに怒りますよ。」
「いや、絵面がどう見ても強盗かサバゲーしてる奴にしか見えねえんだよ。無駄にでけえし。」
「先輩~お世辞やめてくださいよ。私Dカップしかない美乳ですし。」
「身長の話な!?」
相変わらず変態でも中身は御坂だ。
むしろ安心した。
周りの人間もまさかこの変態が闇の衣を外すと絶世の美女が出てくるとは思うまい。
「さて、新幹線乗るぞ~!」
「はーい。」
俺たちは事前にとったチケットを使って新幹線に乗る。
新幹線は夏休みの真っ只中なのでそこそこ席は混んでいた。
「なあ、御坂?」
「はい、なんでしょう先輩。」
「フェイスカバー……新幹線の中じゃ外せないか?」
「先輩、それは私に死ねと言っているようなものですよ。死なせないのが先輩の目標じゃないんですか?」
「ああ、いやそうなんだけどな……。新幹線ならカーテンかけれるし、暑いだろ。」
「いえ?顔面にハッカ塗ってるんで涼しいですよ?」
「いや!それはそれで大丈夫なのか?」
え?マジでこいつ顔面にハッカ塗ってるの?
それ、冷感を感じるだけだぞ?
まあ、それはさておき周りの人間も御坂を見てはザワついてるのだ。
本人の名誉のためにもできる限りの配慮はしつつ、恥を晒すわけには行かない。
「じゃあ、私の顔みたいからって言ったら考えますよ。」
「だー!わかった、お前の綺麗な顔が見たいんだ。」
「えへへ、先輩可愛い。あとでチューしてあげます。」
すると、御坂はフェイスカバーを外すと純白の髪とまつ毛まで白くなっており、色素の薄い赤みがかった目をしていて化粧なんか必要ないくらいの絶世の美女が突如新幹線の中に舞い降りた。
「え、芸能人?」
「すごい綺麗な人。だから顔隠してたのかな?」
「外国人かしら。」
周りが御坂をみてざわつきだす。
「……先輩、視線が私を殺しにかかっています。」
「だー!すまんすまん!後で酢昆布奢ってやるから顔隠そう!」
「……ばか。」
彼女に責められても仕方がない。
俺は選択を誤った。
そして、周りを睨み出すと周りは目を逸らしたので何とか車内は落ち着きを始めた。
「……すまん、御坂。嫌だったよな?」
「もー怒ってないですよー。後で酢昆布奢ってくださいね。」
御坂は少し外の景色を見ながら顔を俯かせた。
よっぽど恥ずかしかったらしい。
久しぶりに言葉が出てこなかった。
「先輩、新幹線ってめっちゃ早いですね。」
「え?」
「もう、新横浜過ぎて……あ、あれ富士山じゃないですか?あんなにおっきいんですね!」
どうやら俺たちはたった数十分で神奈川県を超えて静岡県に入っていた。
恐ろしいスピードだ。
車ならここに着くだけで2時間かかるというのに……やはり文明の利器は恐ろしいものである。
「……怒ってないのか?」
「はい、先輩とじゃなきゃ一生見れない景色だったので!」
心無しか小さく鼻歌さえ歌っている。
彼女にとっては知らない世界を見ることの感動の方が大きかったようだ。
新幹線は鼓膜に圧をかけながらものすごいスピードで進んでいく。10数える頃には次の山を超えているくらいのスピードだ。
「先輩、そういえばどこに向かっているんですか?」
「ああ、今回は長野県の阿智村というところだよ。」
「アチ?」
「ああ、長野県の南端に位置するところだ。ここのヘブンズ園原っていうところに向かっている。」
「へー!ヘブン!天国って事ですか?」
「天国かどうかは知らんけど……日本一綺麗な夜警みたいだぞ。なんと1400mもあるみたいだ。」
「1400!えーっと……スカイツリーが634mだから……2倍以上ですと!?」
「……なんだその変な計算は。」
気がついたら、静岡市も超えて俺たちはなんと浜松まで来ていた。
ものすごい速さだ。
そういえば浜 浜松ってうなぎも美味いんだよな。
みると、巨大な浜名湖が静岡大地に波を煌めかせていた。
浜名湖もいつか行ってみたいものである。
「そういえば、御坂って家族と旅行とか行ったことないのか?」
「無いんですよ。家族は……結構過保護に近いところがあったんですよね。」
「そうなん。」
「妹が産まれるまでは私だけを愛してくれていたのですが……妹が産まれてからは変わってしまいました。家族は妹と行く旅行が好きになり、いつも私は家でお留守番をするのが当たり前になりました。」
俺は家族の団欒から外れ出す御坂を想像すると、少し胸が締め付けられそうだった。
「だから、家族で旅行の思い出話聞かされると、私ってこの家族のお荷物……いらない存在なのかなと思って苦しかったです。働くことも出来ないし、家族を喜ばすことすら出来ないんだって。」
御坂は……フェイスカバーとサングラスというシュールなスタイルで浜名湖を見つめていた。
1件ギャグに見えるけど……きっとその顔を外すと今にも泣き出しそうな顔をしてるに違いない。
「ねえ……せんぱ……あぎゃ!」
そんな御坂を俺はデコピンした。
でかいからだを間抜けにくねらせてもだえているあ。
「いった~!!何するんですか!私Mですけど急にそういうのはキツイですよ!」
「うるせえ、過去は過去だ。それに今はそんな過去を塗り替えるほどの奇跡は起きてんだろ。お前は自分の足で未知の世界を歩いている。自分なりの感動を俺と分かち合えてんじゃねえか。」
「……もしかして、元気づけてます?」
「う……うるせえ。」
俺は不意に目を逸らす。
俺の悪い所だ。感情が先に出てたまに思考が遅れてしまう。医者になるんだったら真っ先に直さなきゃ行けないところだ。
そんな俺に……御坂の指が近づき。
バチンッ。
と、俺のおでこに衝撃が走り、デコピンされたことに気がつく。
「て……てんめぇ~。」
「えへへ、お返しですよ~。まったく、か弱い女の子にデコピンなんてどんな教育受けてるんですか?」
どこがか弱いんじゃ、さっき俺がやったデコピンの倍くらい音したぞ。この馬鹿力め……。
そんな事をしていたら、あっという間に名古屋駅に着いてしまった。
東京とは少し違ったビルの佇まいで、ビルも白く綺麗なものが多く東京とはまた違った中京の景色がそこにはあった。
「さ~先輩!まだまだ旅は続きますよ~。」
「ちょ、待て~!」
「おーにさんこーちらー!手ーの鳴ーる方へー。」
もう高校生になるというのに、俺たちは駅のホームで大人気なく鬼ごっこをする。
恥ずかしさもあるのだが、フェイスカバー越しに御坂はきっと小学生の頃に出来なかった鬼ごっこをしている事が何より楽しそうなので……もう少し付き合ってあげることにした。
俺も久々に8時間以上勉強しない時間を過ごすことになった。
旅は道連れ、世は情け。
旅をするにはお互いの思いやりがあってからこそ成り立つもの。
俺たちの中には歪ながら確かに絆が存在していた。
さて、この先どんなことが待っているだろう。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる