僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

文字の大きさ
126 / 369
第10章 俺の後輩は死にたがり

4話

しおりを挟む
御坂と出会ってから1日がたった。

俺は久々にゆっくり寝た気がする。
御坂と始まった交際という名の共存関係、今日も俺たちは御坂の家で集まることになった。

ピンポーン。

「はいはーい!御坂です!」
「……俺だ。開けてくれ。」

ガチャン。

御坂の家はオートロックマンションなので地味に入るのがめんどくさい。それに加えて3階建てなのでエレベーターが設置してないので便利なのか不便なのか分からない家だった。

そして、彼女の部屋に入る。
そうすると、太陽のないシャッターで締め切り、尚且つクーラーが恐ろしいほど効いていて外界との温度差に俺は驚いた。

「寒!?この部屋何度だよ。」
「せんぱーい……今日も暑いですね。」
「いや、クーラー効かせすぎだろうが!?何℃に設定してるんだよ。」
「18℃です。いつもこれくらいですよ。」
「いや、人類の適温より低いじゃねえか!電気代ももったいないだろ!」

すると、御坂は疑問顔をこちらに向けた。
何か変なこと言ったのかな?

「いや、何言ってるんですか先輩。クーラーはつけたり消したりしないでつけっぱなしの方が節約になるんですよ?ジョーシキですよジョーシキ!」
「なんだと……この……!ずっと家にいないでたまには……この……外に出ろ!」
「いや~!溶ける!やめてください!妊娠してしまいます!」
「いや、外に出たくらいで妊娠しないだろ!?」

こんな感じで俺と御坂はまだ出会って日も浅いのにそこそこ仲が良かった。
多分変人同士惹かれるものがあるのかもしれない。

「やっぱり太陽は嫌いか?」
「嫌いです!メラニン色素ができない私には皮膚ガンの元になるので百害あって一利なしですよ。覚えといてください。」

こんな環境になるのも無理がない。
俺は彼女のためになんとなくアルビノについて幾つか書籍を読んだのだ。
アルビノの人間がこんな炎天下の中日光を浴びてしまったら全身火傷のようになってしまう。

それに、視力も弱いので彼女にとっては人一倍世界は危険なのだ。
俺はそんな彼女を何とかするためにここにいる。それだけだ。

「先輩、今日のお家デートはなにします?」
「んー、つっても少しはここで勉強させてもらうからな……。あれ、そういえばお前サブスクとかみないのか?」
「サブスク?」

彼女の家のリモコンは、サブスクも見れる機能がついていて、よく見ると親の名義で見れるっぽかった。
なるほど、家を出ない想定で楽しみも用意してくれてたんだな。
本人は全くもって使いこなせてないっぽいけど。

「ほれ、こうやって映画もみれるんだぞ?結構楽しいぜ。」
「なんですと!こんなに便利な機能がなぜ気づかなかったのか……。」
「親は説明してくれなかったのか?」
「あ、いえ……そういえば一人暮らし始めた時に教えてくれてた気がします。」
「なんやねん!とりあえず適当に映画流しとくな。」

俺はなんとなく彼女SFとか好きそうなのでE・Tを流してみる。
たまたま流れ着いた宇宙人と子どものストーリーだ。

家族から離れて孤独を感じる宇宙人の子どもはE・Tと呼ばれ宇宙に返してあげるストーリー。

どこか懐かしく、俺も久しぶりにみるとそのワクワクぶりには心が踊るようだった。

特に少年と宇宙人が力を合わせて空を自転車で漕ぐところなんかは目を見張る名シーンである。

御坂は、珍しく静かにずっと見ていた。
本ばかり読んでる彼女にとってはその映像が物珍しいようでただ一点を眺めていた。

「……面白い、面白いです!先輩!ねね、先輩……これやってください!」

御坂は人差し指をピンと俺に向けるので俺も人差し指を合わせる。

「「E・T!」」

俺たちは指を合わせそう声を合わせると面白くて笑ってしまった。

「なんか、先輩はこのエリオットのようです。孤独の私に色んなものを教えてくれて……。」
「そうだろ、だからお前は俺のチャリを空中に浮かべさせてくれ。」
「ふざけてるんですか?」
「うるせえよ!比喩、比喩表現だよ。」

すると、彼女はE・Tをみながら少し考えていた。
どうしたのだろう、やはり彼女の考えはこれでもと言うほど読み取るのは困難だった。

「先輩は……どうして医者になりたいんですか?」

どうやら俺の事を考えていたみたいだった。
まあ、そりゃあ言ってなかったし、この機会に教えてやろう。

「昔な……母ちゃんがガンで死んじまってさ。その時すごく自分の無力さを痛感したんだ。対応してくれた人にもヤブ医者!なんて叫んでたっけ。今思うとめっちゃ失礼だけど。」
「………………。」
「だからさ、俺も立派な内科の医者になって俺みたいに大切な人を失わせたくない。どうしようもない俺に出来た夢だったんだ。それだけ。」

「……。」
「いや、めっちゃ静かだな。」

御坂を見ると……普段の妙に明るい彼女のにやけ顔がなく、とても悲しそうな顔をしていた。
純白の表情からの悲しそうな顔は……さながらギリシャの絵画のようだった。

「先輩、親が亡くなって寂しい……ですか……?悲しい……ですか……?私は親はいるけど、亡くなるのは想像できません。」
「だろ~?喧嘩ばっかしてていつも一緒に謝ってくれてたな。だからさ……お前も、いつか親御さんと分かり合えるといいな。永遠……なんてことは無いんだからさ。」
「先輩……えい!」

すると、急に御坂は俺を強く抱き締めた。
180cmの大きな体で俺を覆い被さるように。
白銀の髪色は……絹糸のようで俺は見とれそうになっていた。

そして、ハッと冷静に戻る。

「ちょ、何するんだ!御坂……!お前力強いんだから……!」
「寂しいけど、頑張ってる先輩にご褒美……!」

最初は苦しかったんだけど慣れると少し落ち着いてくる。そういえば誰かの体温なんて久しぶりである。
御坂を見ると……何故か泣いていた。

「よしよし、寂しかったんだよね……だから先輩頑張るのか。きっといい医者になるよ。」

多分、おふくろに言って欲しかったような言葉をくれて、少しその温かさに身を委ねてしまう。

「じゃあ、もう死のうとするのやめろよな。俺の倫理観に反するから俺の目の黒いうちは死なせないから。」
「んー、それはどうしよっかな。先輩は……人は死んだらどうなると思う?」

死……死についてか。
考えたこともなかった。
おふくろはもうこの世にいないってのに、案外まだ若さがそれについてを触れないようにしてるのかピンと来ない。

「私は、今の私より素敵な私に生まれ変われるのだと思ってるんだ。」

いわゆる、輪廻転生論である。
死んだら違う人になる。それはまるで救済のようでもあるが、一定数前世の記憶を持つ人間なんているくらいだから、もしかしたらそういう仕組みや理が判明されてないだけであるのかもしれない。

「そういう考えもある。だけど……俺は死んだら終わりだと思う。だからこそ、今を全力で生きるんだ。死んだ時に後悔しないようにな。」

俺は、御坂の体温を惜しみつつゆっくりと離れさせる。
御坂は少し寂しそうだったのでゆっくりと言葉を紡いだ。

「俺は、お前に生きたいとさせるまでは死ねない。それが今俺が死んだ時に出る後悔だ。」
「先輩……、ちゃらんぽらんの癖にたまに芯が通ってますね。」
「癖に、は余計だばーか。」
「ねえ、先輩?私太陽はちゃんと見れないけどさ……星空は好きなんだ。夜景も好き。夜は寂しいけど、夜しか見えない美しさもあるの。綺麗な夜を私に見せてくれない?」

初めての彼女の提案……というか、願いをきいた。
俺はそれを聞いてどこか言葉にならない気持ちが込み上げてきた。

「おう!任せろ!日本一綺麗な夜景……見せてやるよ!」

俺たちは小さな約束をこの小さなホコリ被った書斎で交わすことになる。
この外に出ることに怯える純白の吸血鬼を外界に解き放つために。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...