131 / 369
第10章 俺の後輩は死にたがり
9話
しおりを挟む
頂上に着くと、より景色が透き通って見える。
おそらく雲や空気などの見えないフィルターが少なくなるからだろう。
宇宙に近い景色は普段見えない星空まで見せてくれて、星とはこんなにも目を見張るものだと感じる。
「ねえ、先輩は光年って知ってますか?」
「いや、知ってるも何も小中学生で習う範囲だぞ。」
「私も知ってるけど、こうして見ると不思議ですね。」
「ああ、でもあの星たちはもう俺たちが生まれる何万年も前の光を見てることになる。」
「そこが不思議なんです。こうして何万年越しに過去の世界を見てるのだと、つまり……もしかしたら今は見えない星だってあるってことですか?」
「ああ、星だって生きてるんだ。産まれてくることもあれば死ぬことだってある。」
「そんな…。」
御坂は少し寂しそうな顔をしていた。
確かに終わりがあるというのはとても切ない。
星の輝きは綺麗だ。
だからこそ、星座なんてつくってしまうくらいには昔の人には美しく見え、意味をつけたくなったのだろう。
「あ~でも、こういう考えもある。」
「考え…ですか?」
「星はな…爆発したあとはチリとなり、ガスになる。」
「地獄絵図じゃないですか。」
「まあ聞けって、その後はな…いくつも星がぶつかり合ってまた星が産まれてくるんだ。何度でもやり直せる、ぶつかると星は1時手的に壊れちまうけど、そうやって星は大きくなっていくんだぞ。」
「つまり…。」
「そう、世界はまた一巡するんだよ。またプランクトンみたいな生命ができて、またこの世界みたいなものは出来ちまう。実際、スーパーアースなんていうこの星に似た星もいくつも見つかってるんだってよ。だから無駄なことなんてひとつも無い。たとえ生きるのも死ぬのもな。」
「そっか……!なんか嬉しいです。」
あまりにもスケールのでかい話をしているので半分自分でも何言ってるか分からなかったけど、星空に照らされた御坂はまた一段と明るく輝いていた。
「星が…届きそう。でも遠い…だからこそ素敵です。」
月明かりに照らされながら天に手を伸ばし、空を仰ぐ御坂の姿は本当に天女のようだった。
そんな様子をパシャリのスマホのカメラに収める。
シャッター音に気がつくと御坂はにひひ、と微笑んでいた。
「ママー!天女がいる!」
すると、突然人の声が聞こえる。
どうやらこんな山を登る人間は俺たち以外にもいたようだ。
どうやら、娘と父親…そして母親がいる。
華族で夏休みに星を見に来たのだろう。
まるで絵に書いたような幸せだ。
ほんの少し…羨ましくさえ感じていた。
「しーっ!やめなさい。」
御坂を指さす少女は不思議なものと綺麗なものを見るような目が共存したような表情をしている。
きっと、まだアルビノの概念さえも知らないのだろう。
しかし、御坂は少女にしゃがんで笑顔で話しかける。
「こんばんは、天女です!」
そう、あまりにもフラットに接していた。
外で話す2番目の人間…それは名前も知らない少女だった。
「背が高くて…肌も髪も真っ白……天女さんほんと綺麗…!日本人なの?」
「うん、ちゃんと日本人だよ。」
「すごい…モデルさんみたい。私も天女さんみたいな美人さんになりたい!」
俺と御坂にとってその言葉は衝撃の一言だった。
そう、初めて俺以外の御坂の見る目が異形をみる差別ではなく美貌への羨望であり、彼女の容姿が美しいものだという何よりの証明になったのだった。
「あはは…私みたいは結構難しいかもだけど、お嬢ちゃんもきっとこの星のように綺麗になれるよ!だからお嬢ちゃんなりの光を探しなさい、天女さんからの宿題です。」
「うん、ありがとう!天女さん。」
俺たちは少女と別れてゆっくりと下山をする。
時刻はもう21時を回っていて、少し疲れと眠気が襲ってきた。
「…。」
少女と別れてから御坂はずっと黙っている。
嬉しい気持ちもあるのだけれど、初めて自分の容姿を他者に褒められたことにより恥ずかしい気持ちもあったのかもしれない。
「どうされましたか?天女様?」
「…先輩、怒りますよ。」
「す…すまんすまん。」
ゆっくりと歩幅を合わせる。
俺たちはそこそこ体力がある方なのでそこまでペースは落ちる様子はなかったが、やはり山道はアスファルト慣れした俺達には過酷な道だった。
「……初めて、見ず知らずの女の子に綺麗って言われました。」
「そりゃそうだろ、事実なんだから。鏡見ろ鏡。」
「いや、それは勘違いブスへの対応ですよ。」
「まあでも、それだけお前の容姿は美しいんだよ。写真…結構とったけどどれもムカつくくらい綺麗だ。」
エアドロップで御坂のスマホに送り付ける。
すると、御坂はスマホを触って何かをしだした。
「どうした?加工でもしてるのか?」
「まずは、写真を発信します。」
「おいおい、大胆だな。」
「やるって決めましたもん。あとは見切り発車です!」
すると、御坂は機嫌がいいうちに様々なSNSて自分の写真を世界に発信した。
どうやら嬉しい気持ちは人を前へ前へと進めてしまうらしい。
下山した俺たちはゆっくりと1400mのセンターハウスまで辿り着く。
「ふーっ!あとは…帰るだけだ。」
「先輩、これからもたくさんの景色……一緒に見に行きませんか?」
すると、珍しく御坂からの提案だった。
まったく、それを言うのは男のセリフだろうが。
「何言ってんだ、俺の役目はお前を死なさないようにする事だからな。これ終わったらまた次行くぞ。
あと、出来ればお前夏休みが終わったらたまには学校来いよ。」
「え?」
「今日歩いてわかったんだけど、アルビノだけどそこそこ肌強いぞ?対策さえすればお前はどこへでも行けることが証明されちまったんだ。吸血鬼じゃなくてただの人間なんだよ。」
「……そっか、無意識に太陽怖がってたけどちゃんと気をつければ大丈夫だったんですね。」
「それで、毎日俺に絡みに来い!そしたらまた次の景色に連れてってやっからよ!」
すると、御坂はクスリと笑い。
少し目線の低い俺に顔を合わせてきた。
「もちろんです、私から逃げないでくださいよ。先輩!」
俺たちはゆっくりと下っていく。
星空が少しづつ遠のいてくるけど、寂しくはない。
美しい景色はずっと見るのではなく、少しだけ見るから感動をする食後のデザートのようなものなのだから。
俺たちは夜空をロープウェイで散歩をする。
非日常が少しずつ見慣れた景色になっていく。
俺も御坂も…少しだけ眠気を感じていた、
夜の散歩はこれにて終わりを迎える。
おそらく雲や空気などの見えないフィルターが少なくなるからだろう。
宇宙に近い景色は普段見えない星空まで見せてくれて、星とはこんなにも目を見張るものだと感じる。
「ねえ、先輩は光年って知ってますか?」
「いや、知ってるも何も小中学生で習う範囲だぞ。」
「私も知ってるけど、こうして見ると不思議ですね。」
「ああ、でもあの星たちはもう俺たちが生まれる何万年も前の光を見てることになる。」
「そこが不思議なんです。こうして何万年越しに過去の世界を見てるのだと、つまり……もしかしたら今は見えない星だってあるってことですか?」
「ああ、星だって生きてるんだ。産まれてくることもあれば死ぬことだってある。」
「そんな…。」
御坂は少し寂しそうな顔をしていた。
確かに終わりがあるというのはとても切ない。
星の輝きは綺麗だ。
だからこそ、星座なんてつくってしまうくらいには昔の人には美しく見え、意味をつけたくなったのだろう。
「あ~でも、こういう考えもある。」
「考え…ですか?」
「星はな…爆発したあとはチリとなり、ガスになる。」
「地獄絵図じゃないですか。」
「まあ聞けって、その後はな…いくつも星がぶつかり合ってまた星が産まれてくるんだ。何度でもやり直せる、ぶつかると星は1時手的に壊れちまうけど、そうやって星は大きくなっていくんだぞ。」
「つまり…。」
「そう、世界はまた一巡するんだよ。またプランクトンみたいな生命ができて、またこの世界みたいなものは出来ちまう。実際、スーパーアースなんていうこの星に似た星もいくつも見つかってるんだってよ。だから無駄なことなんてひとつも無い。たとえ生きるのも死ぬのもな。」
「そっか……!なんか嬉しいです。」
あまりにもスケールのでかい話をしているので半分自分でも何言ってるか分からなかったけど、星空に照らされた御坂はまた一段と明るく輝いていた。
「星が…届きそう。でも遠い…だからこそ素敵です。」
月明かりに照らされながら天に手を伸ばし、空を仰ぐ御坂の姿は本当に天女のようだった。
そんな様子をパシャリのスマホのカメラに収める。
シャッター音に気がつくと御坂はにひひ、と微笑んでいた。
「ママー!天女がいる!」
すると、突然人の声が聞こえる。
どうやらこんな山を登る人間は俺たち以外にもいたようだ。
どうやら、娘と父親…そして母親がいる。
華族で夏休みに星を見に来たのだろう。
まるで絵に書いたような幸せだ。
ほんの少し…羨ましくさえ感じていた。
「しーっ!やめなさい。」
御坂を指さす少女は不思議なものと綺麗なものを見るような目が共存したような表情をしている。
きっと、まだアルビノの概念さえも知らないのだろう。
しかし、御坂は少女にしゃがんで笑顔で話しかける。
「こんばんは、天女です!」
そう、あまりにもフラットに接していた。
外で話す2番目の人間…それは名前も知らない少女だった。
「背が高くて…肌も髪も真っ白……天女さんほんと綺麗…!日本人なの?」
「うん、ちゃんと日本人だよ。」
「すごい…モデルさんみたい。私も天女さんみたいな美人さんになりたい!」
俺と御坂にとってその言葉は衝撃の一言だった。
そう、初めて俺以外の御坂の見る目が異形をみる差別ではなく美貌への羨望であり、彼女の容姿が美しいものだという何よりの証明になったのだった。
「あはは…私みたいは結構難しいかもだけど、お嬢ちゃんもきっとこの星のように綺麗になれるよ!だからお嬢ちゃんなりの光を探しなさい、天女さんからの宿題です。」
「うん、ありがとう!天女さん。」
俺たちは少女と別れてゆっくりと下山をする。
時刻はもう21時を回っていて、少し疲れと眠気が襲ってきた。
「…。」
少女と別れてから御坂はずっと黙っている。
嬉しい気持ちもあるのだけれど、初めて自分の容姿を他者に褒められたことにより恥ずかしい気持ちもあったのかもしれない。
「どうされましたか?天女様?」
「…先輩、怒りますよ。」
「す…すまんすまん。」
ゆっくりと歩幅を合わせる。
俺たちはそこそこ体力がある方なのでそこまでペースは落ちる様子はなかったが、やはり山道はアスファルト慣れした俺達には過酷な道だった。
「……初めて、見ず知らずの女の子に綺麗って言われました。」
「そりゃそうだろ、事実なんだから。鏡見ろ鏡。」
「いや、それは勘違いブスへの対応ですよ。」
「まあでも、それだけお前の容姿は美しいんだよ。写真…結構とったけどどれもムカつくくらい綺麗だ。」
エアドロップで御坂のスマホに送り付ける。
すると、御坂はスマホを触って何かをしだした。
「どうした?加工でもしてるのか?」
「まずは、写真を発信します。」
「おいおい、大胆だな。」
「やるって決めましたもん。あとは見切り発車です!」
すると、御坂は機嫌がいいうちに様々なSNSて自分の写真を世界に発信した。
どうやら嬉しい気持ちは人を前へ前へと進めてしまうらしい。
下山した俺たちはゆっくりと1400mのセンターハウスまで辿り着く。
「ふーっ!あとは…帰るだけだ。」
「先輩、これからもたくさんの景色……一緒に見に行きませんか?」
すると、珍しく御坂からの提案だった。
まったく、それを言うのは男のセリフだろうが。
「何言ってんだ、俺の役目はお前を死なさないようにする事だからな。これ終わったらまた次行くぞ。
あと、出来ればお前夏休みが終わったらたまには学校来いよ。」
「え?」
「今日歩いてわかったんだけど、アルビノだけどそこそこ肌強いぞ?対策さえすればお前はどこへでも行けることが証明されちまったんだ。吸血鬼じゃなくてただの人間なんだよ。」
「……そっか、無意識に太陽怖がってたけどちゃんと気をつければ大丈夫だったんですね。」
「それで、毎日俺に絡みに来い!そしたらまた次の景色に連れてってやっからよ!」
すると、御坂はクスリと笑い。
少し目線の低い俺に顔を合わせてきた。
「もちろんです、私から逃げないでくださいよ。先輩!」
俺たちはゆっくりと下っていく。
星空が少しづつ遠のいてくるけど、寂しくはない。
美しい景色はずっと見るのではなく、少しだけ見るから感動をする食後のデザートのようなものなのだから。
俺たちは夜空をロープウェイで散歩をする。
非日常が少しずつ見慣れた景色になっていく。
俺も御坂も…少しだけ眠気を感じていた、
夜の散歩はこれにて終わりを迎える。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる