Emmy Liebe―エミー・リーベ―

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第二十六話「ゾーエの呪い」

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    『新生魔法』。高位以上の魔女が使える魔法。その魔法は、新たな魔法を生み出す。様々な感情から一つを選び、その感情を強く、十年間、本に送り込み続ける。この十年間の事を、魔女達は『研究』と言う。
    感情によって新たに生まれる魔法の傾向は異なる。しかし、一度しか使う事は出来ない。そして、新たに生まれる魔法も、どのようなものか、完成するまで誰も分からない。
    その者の素質や感情の強さは関係無い。偶発的に生まれる為、感情による傾向しか選べない。最高位魔女が発動させたとして、低位ランクの魔法が生まれる事も十分にある。逆に、高位魔女が発動させて、最高位ランクの魔法が生まれる事も十分にある。自分で創った魔法が、自分の魔力より強く使えない、という場合も有り得る。
    新生魔法を発動させた場合、それが記された書物『新生魔法書』を、無辺図書館に持って行く。そして、新たな魔法として登録される。望むのなら、複製してもらい手元に原本を残す事も出来る。
    新生魔法は、正に夢の魔法だ。何が誕生するか分からない魔法。素質なども関係無い。皆、新生魔法に一欠片の希望を抱く。
    愛する者を失った魔女は、死者を蘇らせる魔法を夢見る・・・・・・・・・。



    魔石管理場のとある一室。そこに、五人はいた。
    エミー、ゾーエ、マヤ、ケーラ、そしてミア・・・・・・。
「取り敢えず、あれから一日経った。皆、落ち着きを取り戻した。・・・・・・・・・話を、詳しく聞かせてくれ。」
    すると、エミーが話し出した。
「ハヴァーが・・・・・・目の前に現れて・・・・・・・・・話をしようとしました・・・・・・けど・・・・・・こちらに向かって走って来て・・・・・・・・・その時、ミアさんが、助けてくれたんです・・・・・・・・・」
    ゾーエが話をする。
「遠声だけど・・・・・・場所を言う前に、砕けたわ・・・・・・何かに貫かれた・・・・・・」
    するとマヤは、ある物を取り出す。
「ゾーエの傷跡からこれが見つかったわ。」
    それは、石の破片の様な物だった。
「恐らく、エミーちゃんに傷を負わせたのも、これ。」
    ケーラはそれを持ち、眺める。
「・・・・・・・・・・・・・・・『土』・・・・・・・・・『土』の元素魔法だ・・・・・・・・・・・・その破片・・・・・・・・・恐らく、下から猛スピードで貫いたのだろう・・・・・・・・・」
    すると、エミーが言う。
「私は・・・・・・・・・防御を・・・・・・・・・魔法を使おうとして・・・・・・・・・・・・でも・・・・・・・・・発動しなかった・・・・・・・・・魔法が・・・・・・発動しなくて・・・・・・・・・」
「!!・・・魔法が・・・発動しない・・・・・・・・・」
    すると、ミアが話をする。
「・・・・・・・・・ハヴァーの持つ・・・・・・魔法の一つです・・・・・・・・・アン・・・・・・・・・エミーのお母さん・・・・・・・・・彼女の・・・新生魔法・・・・・・『魔力吸収』・・・・・・それを、あいつは奪った・・・・・・・・・」
「新生魔法だと・・・・・・?」
「はい・・・・・・私はアンと・・・・・・ハヴァーと・・・・・・・・・ずっと仲が良かったんです・・・・・・けど、アンの新生魔法書を・・・・・・・・・あいつは奪った・・・・・・・・・アンを殺した理由がそれなのか・・・・・・それとも違う目的があったのか・・・・・・それは分からないです・・・・・・」
「その、『魔力吸収』、詳しく教えてくれ。」
「はい・・・・・・細かいところまでは私も把握してないんですが・・・・・・・・・どうやら特定の相手から魔力を奪うみたいです・・・・・・範囲は分かりません・・・・・・けどそれで、エミーの魔法がかき消されたんです・・・・・・どうやら様子を見る限り、直ぐに魔力を奪う相手を変える事は出来ないようです。・・・・・・・・・けど奴はそれを使って、魔力を得ている。多分奴が『土』の元素魔法をあんなに上手く使えるのも、その力・・・・・・・・・」
「なるほど・・・・・・分かった・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・貴女は昔、エミーちゃんの世話をしていたのよね?」
「はい・・・・・・アンの子供が孤児院にいるって知って・・・・・・エミーが十歳になる手前まで、世話をしていました。けど・・・・・・」
「けど?」
「ハヴァーが孤児院の近くに、現れたんです・・・・・・私は、ハヴァーを追って、復讐しようとしました・・・・・・・・・けど、逃げられた・・・・・・・・・『扉』で・・・・・・」
    ミアは怒りに満ちた表情で言う。
「あいつは!!アンを!!殺した!!しかも今度は!!エミーにまで攻撃を!!許せない!!絶対に!!」
「落ち着け、ミア・・・・・・エミーがいるんだ。」
「!!・・・・・・すいません・・・・・・」
「大体の事情は分かった・・・・・・ミア、二人を助けてくれて、本当にありがとう。」
「いえ・・・・・・私はずっとハヴァーを追っていたんです・・・・・・そしたらエミーとゾーエさんが襲われているのを見て・・・・・・・・・奴の最適性は『火』です。私の『水』なら、奴を防げる。・・・・・・奴はエミーに魔力吸収をしていました。だから私は何とか防ぐ事が出来た・・・・・・それだけです・・・・・・・・・」
    するとマヤが、ある一つの本を取り出す。
「ミア。貴女はハヴァーとエミーちゃんに繋がりがある。なら、この人物が誰なのか、知っているかもしれない。」
「はい。」
    ミアは本を読む。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!これは・・・・・・・・・・・・」
「どう?心当たりとか・・・・・・・・・何でもいいの・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・詳しくは・・・・・・分かりません・・・・・・言い切る事も、出来ません・・・・・・・・・けど、もしかしたら・・・・・・・・・奴の・・・・・・ハヴァーの・・・・・・パートナー・・・・・・」
『!!!』
「ハヴァーは、婚礼石を付けています。・・・・・・相手は分かりません・・・・・・・・・けど、奴の近くに潜んでいるとしたら・・・・・・その可能性が高い・・・・・・」
「・・・・・・・・・そう・・・・・・ハヴァーのパートナーね・・・・・・・・・」


    その後、五人は魔石管理場の外へと出た。
「私はハヴァーを追います。絶対に逃がしません。エミーと、ゾーエさんの為にも・・・・・・絶対に・・・・・・」
「あまり無茶はするなよ・・・・・・」
「はい、大丈夫です。こう見えても『水』の元素魔法には自信があるので。・・・・・・・・・いつか、ハヴァーを討ち取ったその時は・・・・・・新生魔法で、アンを生き返らせる魔法を・・・・・・私は創りたいんです・・・・・・・・・エミーの為にも・・・・・・」
「そう・・・・・・気を付けてね、ミア。」
「はい、ありがとうございます。では・・・・・・」
    ミアは転移魔法で、消えて行った。
「・・・・・・・・・まだ・・・・・・色々と調べなければ・・・・・・あまりに不穏だ・・・・・・最近、魔女の世界に不穏な影がある。」
「ええ、何か起こるかもしれない・・・・・・」


    エミーとゾーエは、マヤと共に無辺図書館へと向かった。安全な場所として、少しの間住まわせてもらう事にした。
    あれから数週間が経った。とある一室を部屋として借りている二人だが、エミーはその部屋から一度も出て来ていない。

ガチャ・・・キィ・・・・・・

「エミー、ご飯持ってきたわよ。」
「・・・・・・・・・うん・・・・・・・・・」
    エミーはご飯を食べる。ゆっくりと、少しづつ。ご飯は食べ終わっても、今までの元気は、そこに無かった。


「ゾーエ。エミーちゃんの様子は?」
「やっぱり、元気無いわ・・・・・・」
「そうね・・・・・・あんな事があったんだもの・・・・・・・・・」
    するとマヤは、ゾーエにある話をする。
「ゾーエ・・・・・・・・・そろそろエミーちゃんに、話したら・・・・・・?貴女の、『呪い』・・・・・・。」
「・・・・・・・・・でも、今の状況では・・・・・・」
「今だからこそよ・・・・・・あの子が一番苦しんでたのは、貴女が大怪我をしたから・・・・・・エミーちゃんも、手と耳を大怪我したわ。けど貴女は、耳のもっと奥まで怪我をしていた。頭を貫いたのよ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ええ・・・・・・」
「それを間近で見た・・・・・・貴女の『呪い』を知らなければ、死んでしまうかもと思うのも当然だわ・・・・・・・・・貴女は気を失っていたけど・・・・・・エミーちゃんは、今までに無いくらいに絶望していた・・・・・・苦しんでいたわ・・・・・・涙も収まらなくて、顔も青ざめて、体中が震え上がって・・・・・・今にも吐き出しそうなくらいに、苦しんでいた・・・・・・・・・言っておくべきよ・・・・・・そろそろ・・・・・・あの子はもう十四・・・・・・受け止められるわ・・・・・・それに・・・・・・・・・エミーちゃんは貴女を失いたくないの・・・・・・絶対に・・・・・・あの子にとって、貴女が一番大切なものなのよ・・・・・・教えてあげて・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・ええ・・・・・・そうね・・・・・・分かったわ・・・・・・ありがとう、マヤ・・・」


キィ・・・・・・

「・・・・・・・・・エミー・・・・・・・・・ちょっといい?」
「・・・・・・・・・うん・・・・・・・・・」
    エミーはベッドに座っている。その隣りに、ゾーエも座った。
「・・・・・・・・・・・・・・・エミー・・・・・・貴女に今まで・・・・・・黙っていた事があるの・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・え・・・・・・?」
「エミーはまだ子供だから・・・・・・受け止めるのは難しいと思ってね・・・・・・・・・・・・けど、言うわ・・・・・・・・・今から・・・・・・・・・・・・私の『呪い』を・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・呪い・・・・・・・・・・・・」


「私ね、ある呪いにかかってるの。呪いは、分かるわよね。」
「・・・・・・うん・・・・・・」
「呪いには、色んな種類がある・・・・・・弱いものから、強いものまで、沢山・・・・・・・・・そして、最も強力と言われている呪いがある・・・・・・何か分かる?」
「・・・・・・・・・死の・・・呪い・・・・・・」
「ええ・・・・・・けど、もう一つあるの。死の呪いと同じ程強力とされる呪いが・・・・・・それが、私のかかっている呪い。」
「・・・・・・・・・ゾーエ・・・・・・お願い・・・・・・・・・いなくならないで・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ええ、大丈夫。多分、エミーの思っているものとは、違うわ・・・・・・・・・私の呪いは、死の呪いとは真逆のものだから。」
「!!・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・『不死の呪い』・・・・・・・・・決して死ななくなる、そんな呪い・・・・・・・・・どれだけ大怪我しようと、出血しようと・・・・・・・・・目が覚める・・・・・・少しすればね・・・・・・・・・傷口も、勝手に塞がっていく・・・・・・・・・どれだけ大きな怪我でも、いつか綺麗に治っている・・・・・・心臓を貫かれようと・・・・・・少しすれば傷は塞がる。そして目が覚める。寿命も無い・・・・・・永遠に生き続ける・・・・・・・・・それが、『不死の呪い』。」
「!!・・・・・・ゾーエ・・・・・・・・・辛く、ないの・・・・・・?」
「最初は辛かったわ・・・・・・物凄く、辛かった・・・・・・・・・けど、約束したから・・・・・・・・・私は耐えられた・・・・・・」
「約束・・・・・・?」
「ええ・・・・・・約束したの・・・・・・貴女と・・・・・・」
「・・・・・・・・・私と・・・・・・?」
「ええ、貴女と・・・・・・いつか分かるわ・・・・・・待ってるから・・・・・・」
「?・・・・・・うん・・・・・・」
「・・・・・・約束したのは・・・・・・・・・六百年前・・・・・・・・・」
「!!・・・・・・・・・六百年前・・・・・・・・・・・・それって・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・厄災が起こった時よ・・・・・・・・・私は、厄災をこの目で見た魔女・・・・・・。恐ろしかったわ・・・・・・・・・恐怖で世界が震え上がった・・・・・・・・・世界が、干からびていった・・・・・・・・・死の呪いが、皆を襲ったの・・・・・・・・・」
「!!・・・・・・ゾーエ・・・・・・・・・・・・苦しい・・・・・・?」
「・・・・・・思い出すと、苦しいわ・・・・・・とても苦しい。焼け付く様な痛みを感じる・・・・・・・・・心臓が、握り潰される様な、そんな感覚になる。・・・・・・・・・・・・友人を、沢山失った・・・・・・・・・・・・セリアさんも、ジェイミーも、カーラさんも、エラさんも、フローラさんも、エトーレさんも・・・・・・・・・死の呪いで、亡くなった・・・・・・。生き残ったグウェンも、ココも、アルマも、エステルさんも、ディーナも、イルゼさんも、オーラも、リルも・・・・・・エリーも・・・・・・・・・・・・私も、とても辛かった・・・・・・苦しかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・エリー・・・・・・・・・」
    ・・・・・・懐かしい・・・・・・名前・・・・・・
「けど、今の世界を見て思うの。平和になったんだって。厄災は、鎮められたんだって。・・・・・・・・・あの時から私は、何も出来なかった・・・・・・・・・何も・・・・・・。皆が、厄災に立ち向かっている中、ただ、見守る事しか出来なかった。死の呪いに治癒魔法も『命』の元素魔法も効かない・・・・・・。何も手伝えない・・・・・・何も出来ない・・・・・・誰一人として、救えなかった・・・・・・・・・そんな私が、生き残っている・・・・・・・・・何も出来ないくせに・・・・・・・・・生き残ってる・・・・・・・・・。」
「・・・・・・ゾーエ・・・・・・・・・そんな事無い・・・・・・・・・ゾーエに皆が救われてる・・・・・・・・・今は・・・・・・沢山・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ええ。・・・・・・前にね、皆が感謝を言ってくれたでしょ?その時、初めて実感したの・・・・・・・・・誰かを少しでも、救えていたんだって・・・・・・・・・私のした行動が、誰かの助けになっていたんだって。・・・・・・・・・嬉しかった・・・・・・・・・凄く・・・・・・・・・。けど、私は傷付けた・・・・・・・・・大切な人を・・・・・・・・・これ以上無く、傷付けた。・・・・・・・・・結局、ああいう状況になった時、何も出来ないんだって・・・・・・・・・どれだけ技術を磨いても、どれだけその時を考えても・・・・・・・・・結局、何も出来なかった・・・・・・・・・何も護れなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・エミーにこんな思いを、させたくなかった・・・・・・・・・こんな辛い思いを・・・・・・・・・させてしまって・・・・・・・・・もっと・・・・・・・・・気を付けるべきだった・・・・・・・・・・・・話が出来るなんて・・・・・・・・・・・・そんな事、考えてなければ・・・・・・・・・・・・エミーは傷付かずに済んだかもって・・・・・・・・・・・・今更、ずっと後悔してる・・・・・・・・・・・・結局・・・・・・貴女を・・・・・・何も・・・・・・護れなくて・・・・・・・・・」

ポタッ・・・ポタッ・・・ポタッ・・・・・・

「ごめんなさい・・・・・・エミー・・・・・・よく・・・・・・考えても・・・・・・結局・・・・・・私には・・・・・・何も・・・・・・出来なくて・・・・・・貴女を・・・・・・苦しませて・・・・・・大切な人を・・・・・・傷付けて・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」

ギュッ・・・・・・

「謝らないで・・・・・・謝らないで、ゾーエ・・・・・・私はゾーエに護ってもらったよ・・・・・・何も出来なかったなんて事無い・・・・・・ゾーエは沢山のものをくれた・・・・・・大切なものをくれた・・・・・・感謝してもし切れないくらい・・・・・・いっぱい・・・・・・いっぱい・・・・・・幸せをくれた・・・・・・私の為に・・・・・・一生懸命頑張ってくれた・・・・・・考えてくれた・・・・・・色んな事を調べて・・・・・・考えてくれて・・・・・・少しでもハヴァーの手掛かりを探していた・・・・・・私が復讐しようとしてる時・・・・・・私に人殺しになって欲しくないって・・・・・・その為に色々探してくれた・・・・・・ハヴァーの真相を・・・・・・私の過去を・・・・・・少しでも後悔が無い様に・・・・・・後戻り出来ない道だから・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・でも・・・・・・結局・・・・・・ハヴァーは・・・・・・危険だった・・・・・・真相は・・・・・・何も・・・・・・見つからなかった・・・・・・エミーに・・・・・・人殺しに・・・・・・なってほしくなくて・・・・・・だから・・・・・・和解する道を・・・・・・探して・・・・・・もしかして何か・・・・・・誤解があるのかもって・・・・・・ハヴァーは本当に・・・・・・悪なのかって・・・・・・色々考えて・・・・・・もし・・・・・・復讐した後に・・・・・・本当は悪じゃないんだって・・・・・・そう知ったら・・・・・・とても辛いだろうから・・・・・・自分の事が・・・・・・嫌いになっちゃうから・・・・・・エミーにそんな思いを・・・・・・させたくないから・・・・・・ハヴァーも・・・・・・本当は良い人で・・・・・・それを・・・・・・殺すなんて・・・・・・いけないから・・・・・・少しでも・・・・・・真相を・・・・・・知ろうとした・・・・・・でも・・・・・・結局・・・・・・何の意味も・・・・・・無かった・・・・・・ただ・・・・・・無駄に・・・・・・そんな事・・・・・・考えて・・・・・・結局・・・・・・最初から・・・・・・ハヴァーは・・・・・・危険な・・・・・・人だった・・・・・・私が・・・・・・何をしても・・・・・・結局・・・・・・何の意味も・・・・・・無かった・・・・・・無駄だった・・・・・・何もか」
「ゾーエ・・・・・・!!違うよゾーエ・・・・・・!!ゾーエは正しかったよ・・・・・・・・・結果じゃないよ・・・・・・・・・本当にハヴァーが良い人だったかもしれないじゃん・・・・・・それで復讐しちゃってたら・・・・・・私はずっと引きずって生きていく事になる・・・・・・自分がどうしようもなく嫌になって・・・・・・心が無くなる・・・・・・止めてくれた・・・・・・ゾーエが・・・・・・それを・・・・・・真相が分かるまで・・・・・・動いちゃいけないんだって・・・・・・その通りなんだよ・・・・・・勘違いで復讐なんて・・・・・・一番あってはならないから・・・・・・この目で確認するまで・・・・・・復讐は駄目なんだよ・・・・・・真相を知るまで・・・・・・そんな取り返しのつかない事・・・・・・しちゃ駄目なんだよ・・・・・・ゾーエは・・・・・・取り返しのつかない事を・・・・・・止めてくれた・・・・・・真相を・・・・・・探してくれた・・・・・・大切な事なんだよ・・・・・・それは・・・・・・とっても・・・・・・大切な事・・・・・・・・・ゾーエ・・・・・・自分を責めないで・・・・・・お願い・・・・・・ゾーエは悪くない・・・・・・何も・・・・・・悪い事してない・・・・・・駄目だよ・・・・・・ゾーエ・・・・・・ゾーエは一生懸命・・・・・・頑張ったんだから・・・・・・自分を責めないで・・・・・・ゾーエ・・・・・・」
「!!・・・・・・ありがとう・・・・・・ありがとう、エミー・・・・・・ありがとう・・・・・・・・・・・・・・・私は・・・・・・間違って・・・・・・無かったの・・・・・・?」
「うん・・・・・・!!間違ってないよ・・・・・・何も間違ってない・・・・・・色んな人の事を考えて、行動した・・・・・・色んな人の事を思って、行動した・・・・・・よく考えた・・・・・・後悔しない為に・・・・・・よく考えた・・・・・・・・・・・・ゾーエは・・・・・・ずっと苦しんできたんだよね・・・・・・六百年間・・・・・・・・・厄災を見て・・・・・・皆が亡くなっていくのを見て・・・・・・辛い思いを沢山して・・・・・・・・・それでも、護った・・・・・・大切な文化を・・・・・・護った・・・・・・慈愛と思いやりを持って生きる・・・・・・護ったんだよ・・・・・・その気持ちを・・・・・・心を・・・・・・優しさを・・・・・・決して・・・・・・崩さなかった・・・・・・その心を・・・・・・・・・」
「エミー・・・・・・ありがとう・・・・・・ほんとはこんなつもりじゃ無かったのに・・・・・・私がエミーを励まそうと思ってたのに・・・・・・逆に励まされちゃった・・・・・・」
「私は今までずーーっと、ゾーエに励まされてきたよ・・・・・・!!だからたまには、私にさせて・・・・・・!!ゾーエに沢山大切なものを貰ったから・・・・・・私にも、贈らせて・・・・・・・・・」
「うん・・・・・・!!ありがとうエミー・・・・・・!!すっごく励まされたわ・・・・・・!!」
「うん・・・・・・!!私も、何だか元気が出てきたよ・・・・・・!!やっぱりゾーエといると・・・・・・すっごく暖かい・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・私も・・・・・・すっごく、暖かいわ・・・・・・・・・」


キィ・・・・・・

「!!・・・・・・エミーちゃん・・・・・・!!」
「エ、エミーちゃん・・・!!」
「エ、エミー・・・・・・!!」
    エミーは応える。
「心配かけました・・・・・・!もう、大丈夫です・・・!元気になりました・・・!」
「良かったわ・・・・・・!!・・・・・・あら、ゾーエ、目が赤いわよ・・・・・・?」
「ちょ、言わないでよマヤ!!恥ずかしいから!!」
「エミー・・・元気・・・?」
「うん!もう元気!」
「!!・・・良かった・・・!!」
「本当に・・・良かったです・・・・・・!!」
「何でマリッサが泣いてるのよ!」
「だぁってぇ~~!!」
『あっははは!!』


「エミー、どれが良い?」
「ゾーエに決めて欲しいな!・・・・・・ねえゾーエ、どれが良い?」
「え~!エミーが決めて頂戴!」

    ・・・・・・な、何か照れちゃうけど・・・やっぱり・・・・・・
    ・・・・・・こ、これとか良い・・・て、照れるけど・・・・・・

「「せーのっ!」」

バッ!

「「あっ!」」

カァァァァァァァァァ・・・・・・・・・!!!

「ゾ、ゾーエに似合うと思って!!」
「エ、エミーに似合うと思って!!」

カァァァァァァァァァ・・・・・・・・・!!!

「「あ、ありがとう・・・・・・!!」」


「ねえエミー?大丈夫?怖くない?」
「だ、だだだ大丈夫!大丈夫だよ!リリーとアイラも痛くないって言ってたもん!」
「じゃあ、行くわよ・・・・・・」
「ちょ、ちょっと待って!スーーーーー・・・・・・ハーーーーー・・・・・・よし!大丈夫!」
「リラックスしてね・・・・・・いくわよ・・・・・・」

パチンッ・・・・・・!

「・・・・・・・・・どう?」
「・・・・・・・・・・・・ほんとに全然痛くない!!凄い!!」
「良かった!!」
「・・・・・・・・・あ、あの・・・・・・今・・・・・・ピアス・・・・・・付けてみても良い?」
「ええ!どんな感じか見せて!」

チャリンッ・・・・・・!

「・・・・・・ど、どうかな?」
「!!・・・・・・婚礼石みたい・・・・・・」
「え?」
「あ!いやいや!何でも無いわよ!すっごく似合ってるわ!!・・・・・・じゃあ、私も付けてみても良い?」
「う、うん・・・!」

チャリンッ・・・・・・!

「ど、どうかしら・・・?」
「!!・・・・・・結婚したみたい・・・・・・」
「え?」
「あ!いや!いやいや!何でも無い!すっごく似合ってる!!」
「あ、ありがとう・・・・・・!」
    エミーの耳には、美しい青のピアスが、ゾーエの耳には、美しい赤のピアスが、キラキラと輝いていた。
    ・・・・・・そういえば、リリーとアイラもお互いの瞳の色を買ってたな・・・確か、婚約の証、って言ってた・・・・・・・・・こ、婚約!?ああぁ・・・!!今更だけど凄い照れる!!・・・・・・
「どうしたのエミー?」
「え!?いやいや!何でも無いよ!?」
    ・・・・・・ああ・・・顔が熱い・・・・・・


    ヴィーグス・ノヴに置かれた、二人の家。二人はソファに座っていた。寄り添って、手を握りながら。
「ねえ、ゾーエが昔旅をしていた理由って、何?」
「あら、覚えてたのね!」
「勿論!・・・そろそろ教えてくれる?」
「そうね、不死の呪いも話したし・・・・・・そろそろ、あの話も・・・・・・・・・・・・今なら、感じるかもしれない・・・・・・・・・完全では無いにしても・・・・・・記憶が・・・・・・・・・戻るかも・・・・・・・・・・・・。」
「記憶・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私はね、ずっと貴女を探していたの。旅をしながら、ずっと。」
「?・・・・・・私を?」
「ええ・・・・・・貴女の事を、探していた。エミーに出会った時、深い繋がりを感じたの・・・・・・もしかして、貴女なのかなって、そう思った。」
「!!・・・・・・私も・・・・・・!!ゾーエと初めて会った時・・・・・・初めての筈なのに・・・・・・何か強いものを感じたんだ・・・・・・この人は絶対だって・・・・・・あの時は何か分からなかったけど、今思えば・・・・・・あれは深い繋がりだったのかな・・・・・・」
「ええ!・・・・・・それからエミーと過ごして、どんどん確信していった・・・・・・やっぱり、貴女なんだって・・・・・・貴女が夢で見た光景も・・・・・・貴女が料理上手いのも・・・・・・貴女が大好きなジュドエークも・・・・・・貴女が贈ってくれたシェメファトも・・・・・・全部、確信になった。宝石の道で、貴女の左髪が青く輝いたのも・・・・・・宝石の反射じゃない・・・・・・薄く形が出ていた・・・・・・その形が・・・・・・。エミー、私は貴女を探していたの。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・四百五十年間・・・・・・ずっと・・・・・・」
「・・・・・・私達は・・・・・・どこかで・・・・・・」

バチンッ・・・・・・!!

    エミーの脳裏に、電流の様な衝撃が走る。
「エ、エミー!?」
「・・・・・・・・・・・・私は・・・・・・・・・ゾーエと・・・・・・・・・そうだ・・・・・・・・・・・・ゾーエと・・・・・・・・・一緒に・・・・・・・・・生きてた・・・・・・・・・・・・」
    エミーは立ち上がり、言う。
「ゾーエ!!あの本!!あの本を!!いや、ゾーエの部屋に、連れて行って!!」
「!!・・・・・・ええ・・・・・・!!」
   ・・・・・・一度もエミーには、あの本を見せていない・・・でも、知っている・・・当たり前よね・・・貴女が書いたんだもの・・・・・・



キィ・・・・・・・・・

    エミーは初めて、ゾーエの部屋に入った。色々なものが飾られてある。沢山の、思い出が。
「・・・・・・・・・・・・私は・・・・・・・・・あ!」
    エミーは枕元に置いてある、古い本を見つける。
「ゾーエ・・・・・・・・・・・・・・・・・・読んでいい?」
「・・・・・・・・・・・・ええ・・・・・・・・・勿論・・・・・・」
    エミーはゆっくりと本を手に取り、ページをめくる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
    どんどんと、読み進めていく。ゾーエが読んだところまでを、あっという間に越える。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
     そして、最後のページ・・・・・・・・・・・・・・・そこには、ある文章が書いてあった。
「・・・・・・・・・永遠に貴女を愛してる・・・・・・私が戻るまで、待ってて・・・・・・・・・エレノア・リーベ・・・・・・・・・・・・・・・」

バチンッ・・・バチンッ・・・バチンッ・・・バチンッ・・・・・・!!!!!

    エミーの記憶が、その過去が、戻ってくる。
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