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第三十話「リルの遺した絆」
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ザパァァァァァン・・・・・・!!
「ふぅ!!・・・・・・・・・・・・ん?」
水面から顔を出した女性は、崖の上を見上げる。
「この声・・・・・・・・・・・・!!」
エミーとゾーエは、本を開く。そこには、リルの遺したものが書いてあった。
『私の名は、リル。神位の魔女、エデナとカトリナの家系に生まれた、低位の魔女。私のお母さん達は、物心がついた時には、既に亡くなっていた。フローラお母さんと、エトーレお母さん。お母さん達を失った私には、何も残されていなかった。けれど、私を育ててくれた人がいた。私が大人になるまで。私に愛する人が出来て、婚礼の儀を挙げるまで、ずっと育ててくれた。ゾーエ。エレノア。ありがとう。私の思い出と、感謝を、この本に綴ります。いつか、二人の元へ届きますように。』
厄災が終わった後の、無辺図書館。静まり返ったその場所に、エレノアは来ていた。
「・・・・・・・・・フローラ、エトーレ・・・・・・・・・天へと・・・・・・・・・昇りました・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう、エレノア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・辛い確認をさせたね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえ・・・・・・・・・・・・彼女達は・・・・・・・・・・・・・・・その命を懸けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・世界の基盤を護り抜きました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの子達は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・護り抜いたの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エラもそう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カーラも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・セリアも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴女達も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私達と・・・・・・・・・・・・・・・この世界を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・護ってくれた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・感謝してる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エステルさん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フローラさんと・・・・・・・・・エトーレさんが・・・・・・・・・・・・天へと昇っていき・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ・・・・・・・・・リルちゃんも・・・・・・・・・・・・子供です・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・代理として・・・・・・・・・・・・・・・・・・私に守護を・・・・・・・・・・・・・・・リルちゃんが・・・・・・・・・・・・・・・大人になるまで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・やってくれるの・・・・・・・・・・・・?」
「はい・・・・・・・・・・・・・・・・・・フローラさんと・・・・・・・・・エトーレさんは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リルちゃんを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この上なく愛していました・・・・・・・・・・・・・・・リルちゃんに・・・・・・・・・・・・・・・・・・二人の意志を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その勇姿を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伝えてあげたい・・・・・・・・・・・・・・・どれだけ・・・・・・愛されて・・・・・・・・・・・・生まれてきたのかを・・・・・・・・・・・・・・・あの子に・・・・・・・・・・・・ちゃんと・・・・・・・・・・・・教えて・・・・・・・・・あげたい・・・・・・・・・・・・じゃないと・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの子は・・・・・・・・・・・・・・・・・・一人になっちゃう・・・・・・・・・から・・・・・・・・・・・・・・・」
エレノアの眼から、涙が溢れてくる。
・・・・・・我慢・・・・・・してたのに・・・・・・エステルさんも・・・・・・エラさんを・・・・・・・・・失って・・・・・・・・・辛いのに・・・・・・・・・涙を・・・・・・・・・・・・堪えて・・・・・・・・・・・・励まして・・・・・・・・・・・・・・・くれて・・・・・・・・・・・・なのに・・・・・・
「エレノア・・・・・・・・・ごめんね・・・・・・・・・・・・・・・辛い思いをさせて・・・・・・・・・・・・・・・」
エステルの眼からも、涙が溢れてくる。
「すいません・・・・・・・・・・・・すいません・・・・・・・・・・・・・・・エラさんを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・助け・・・・・・・・・られなくて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すいません・・・・・・・・・・・・・・・」
「お願い・・・・・・・・・謝らないで・・・・・・貴女が謝る必要なんて無い・・・・・・・・・・・・・・・あの人も・・・・・・・・・覚悟をして戦った・・・・・・・・・・・・・・・・・・皆・・・・・・・・・命を懸けた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・立派に・・・・・・・・・・・・・・・成し遂げたの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・厄災から・・・・・・・・・・・・世界を救った・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・・・・・・・ただいま・・・・・・・・・・・・」
「おかえり・・・・・・・・・エリー・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゾーエ・・・・・・・・・・・・・・・伝えてきたよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フローラさんと・・・・・・・・・・・・・・・エトーレさんの・・・・・・・・・・・・・・・・・・事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「!!・・・・・・・・・・・・・・・エリー・・・・・・・・・」
膝から崩れ落ちたエレノアを、ゾーエは抱きしめる。
「・・・・・・・・・・・・ごめん・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・・エリー・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・・・何も・・・・・・・・・・・・・・・出来なくて・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・・・・・・・違う・・・・・・・・・・・・・・・皆ね・・・・・・・・・・・・・・・愛する人がいたから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・七日間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦えたんだよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゾーエがいてくれたから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦えた・・・・・・・・・・・・ゾーエがいてくれたから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
厄災が終わり、世界は静まり返っていた。しかし、エレノアとゾーエは、次の命の為に、動き出す。
「「リルちゃん・・・・・・・・・貴女を立派に育てるから・・・・・・・・・」」
大海が見渡せる、広い大地。魔女の世界の西端に位置する『創造の地』に、その家はあった。
その家には、三人が住んでいた。エレノア、ゾーエ、そしてリル。
草原を駆け回る少女が、一人の女性に元気良く声をかける。
「エレノア!エレノア!」
「ん?どうしたの?」
「魔法!魔法教えて!」
「うん!良いよ!何の魔法?」
「浮遊魔法!空飛びたいの!」
「よし!じゃあ私が教えてあげよう!」
「やったーーー!」
家の中では、一人の女性が編み物をしていた。すると突然扉が開き、二人が声をかける。
「「ゾーエ!!」」
「ん?二人共どうしたの?」
「「浮遊魔法教えて!!」」
「え!?」
「なるほどね・・・・・・エリーの教え方が訳分からないと・・・・・・」
「そうなの!ビュンとかギュンしか言わないの!」
「い、いや・・・・・・でも、こう・・・・・・・・・ほんとにこう、グッとやって、ファッで物にやったら、フッと浮くんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・ほら!分かんない!ゾーエが教えて!」
「そうね、訳分かんないわよね!よし、じゃあ私が細かく教えるわ!」
「やったーーー!」
『私が二人と暮らし始めたのは、三歳の頃。それで、私が五歳になった頃に、初めて魔法を教えてもらった。エレノアは教え方が下手くそだった!けど、一生懸命教えてくれた。それで何も分からなかったから、ゾーエに教えてもらった。ゾーエの教え方は、凄く細かくて勉強になった!ゾーエも一生懸命手伝ってくれた。二人共、私の魔法の特訓を、いつも一緒にしてくれた。本当に楽しい時間だった。』
「リルちゃんには全然上手く教えてあげられなかったな・・・・・・でも、楽しんでくれてたのなら良かった!」
「そうね!リルちゃんは魔法の特訓する時、いつも笑顔だったわね!」
「うん!というか、あの頃のゾーエの説明は、かなり分かりやすかったよね!」
「そ、そう?でも、いつの間にか下手くそになっちゃって・・・・・・」
「多分知識が増え過ぎて、説明がごっちゃになっちゃったんだよ!」
「時が経てば経つ程、下手になっていったのね・・・・・・」
様々な事を学んでいく中で、リルはある事が気になる。
ある日、リルは二人に聞いてみた。
「ねえ、ゾーエとエレノアは結婚しないの?」
「「え!?」」
「ほ、ほんとはするつもりだったんだよ!直ぐに!・・・・・・・・・けどね・・・・・・」
「ええ・・・・・・色々あってから、まだ出来ていないの・・・・・・」
「じゃあ!今しようよ!今!」
「「ええ!?」」
「い、今!?今は無理だよ!!婚礼場じゃないと!!」
「婚礼場?」
「リルちゃん、結婚はね、婚礼場ってとこでしか出来ないの!だから先ずは、その準備をしないと!」
「じゃあしよ!準備!」
「ま、まあもう婚礼の守護の人達は、仕事を始めてるらしいけど・・・・・・!」
「た、確か一年前に再開したのよね・・・・・・!」
「じゃあ出来るじゃん!やろう!」
エレノアとゾーエは見つめ合う。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・挙げようか!!」」
創造の地。その近くにある、エレノアとゾーエが造った花畑で、二人の婚礼の儀は挙げられた。
「ゾーエ・・・・・・凄く・・・・・・凄く綺麗・・・・・・・・・」
「エリーも・・・・・・・・・凄く綺麗よ・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・泣いてる・・・・・・・・・」
「貴女だって・・・・・・・・・泣いてるじゃない・・・・・・」
「うん・・・・・・嬉しくて・・・・・・・・・この日が・・・・・・・・・迎えられたのが・・・・・・・・・嬉しくて・・・・・・・・・もう・・・・・・来ないかと思ってた・・・・・・・・・・・・この日が・・・・・・・・・来ないかと・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・怖かった・・・・・・・・・貴女が・・・・・・・・・帰って来て・・・・・・・・・くれたから・・・・・・・・・この日が・・・・・・・・・やっと・・・・・・・・・やっと来た・・・・・・・・・・・・・・・本当に・・・・・・・・・良かった・・・・・・・・・」
「ねえ・・・・・・ゾーエ・・・・・・私・・・・・・この日を・・・・・・十年以上・・・・・・・・・夢見てたの・・・・・・・・・貴女と・・・・・・永遠の・・・・・・誓いが・・・・・・・・・出来る日を・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・私も・・・・・・・・・ずっと夢見てた・・・・・・・・・やっと・・・・・・・・・やっと叶った・・・・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・・・・私は・・・・・・貴女を・・・・・・・・・永遠に・・・・・・・・・愛してる・・・・・・・・・永遠に・・・・・・・・・例え・・・・・・魂だけになっても・・・・・・・・・・・・愛してる・・・・・・・・・・・・・・・永遠に・・・・・・・・・・・・貴女を・・・・・・・・・愛し続けている・・・・・・・・・・・・」
「エリー・・・・・・私も・・・・・・・・・貴女を・・・・・・永遠に・・・・・・永遠に・・・・・・愛してる・・・・・・私の愛は・・・・・・・・・永遠よ・・・・・・・・・・・・永遠に・・・・・・・・・例え・・・・・・全てが消え去っても・・・・・・・・・・・・貴女への愛は・・・・・・・・・永遠に消えない・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・永遠に貴女を、愛しています・・・・・・!!!」
「エリー・・・永遠に貴女を、愛しています・・・・・・!!!」
『私が六歳の頃、二人は婚礼の儀を挙げた!エレノアが二十二で、ゾーエが二十一だった。厄災から三年後だった。二人は皆に気を遣ったんだろうな。誰も招待しなかった。二人の婚礼の儀を見守ったのは、私だけ。二人は寂しかったかな。観覧席に私だけなのは。でも、見てると凄い幸せそうだった!二人は涙を流してた!初めて二人が泣いてるとこを見た!とっても、綺麗だった!観ている私も、幸せだったな!』
「ふふっ・・・!リルちゃんがいたから、寂しくなかったわよね!!」
「うん!・・・・・・あの時、皆を呼ぶのは辛いかなって思った・・・・・・・・・・・・皆、大切な人を失ってたから・・・・・・・・・けど、リルちゃんが見守っててくれた!!」
「ええ!それだけでも・・・・・・十分だったわ・・・・・・リルちゃんがいてくれただけでも・・・・・・本当に嬉しかった・・・・・・!!」
「うん!・・・・・・凄い、嬉しかった・・・・・・幸せで、最高な時間だった・・・・・・・・・まだ、辛い気持ちは沢山あったけど・・・・・・・・・あの時は、これ以上無い幸せを感じられた・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・幸せな婚礼の儀だったわ・・・・・・とっても暖かくて・・・・・・・・・幸せだった・・・・・・・・・辛い中でも・・・・・・これ以上無い幸せを感じられた・・・・・・・・・」
二人が婚礼の儀を挙げた、その日の夜。二人は寝室にいた。
「ゾーエ・・・・・・リルちゃん寝たよ・・・・・・」
「ええ・・・・・・・・・な、何か凄くドキドキするわ・・・・・・」
「わ、私も・・・・・・・・・・・・・・・でも・・・・・・やっとこの日が来たんだね・・・・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・・・・ずっと・・・・・・ずっと待ってた・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・左の薬指・・・・・・よく見せて・・・・・・」
「ええ・・・・・・エリーも・・・・・・左の髪・・・・・・よく見せて・・・・・・」
「「私の名前が刻まれた・・・・・・私の瞳の・・・・・・婚礼石・・・・・・貴女にある・・・・・・・・・」」
「この日をずっと・・・・・・夢見てた・・・・・・」
「ええ・・・・・・待ち望んでた・・・・・・この日を・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・よく見せて・・・・・・貴女の瞳・・・・・・」
「ええ・・・・・・よく見て・・・・・・私の瞳を見つめる・・・・・・貴女の瞳を・・・・・・よく見てるから・・・・・・」
「「・・・・・・・・・凄く綺麗・・・・・・・・・」」
「ゾーエ・・・・・・・・・永遠に貴女を愛してる・・・・・・」
「エリー・・・・・・・・・永遠に貴女を愛してる・・・・・・」
「「!!!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
『二人はその夜、私に早めに寝てって言ったの。どうしてって聞くと、二人は顔を赤くしてた。当時は知らなかったけど、二人はあの夜にレビアオーヴをしたんだ!私が喉乾いちゃって一階に行こうとした時、二人の声が聞こえたから!これは邪魔しちゃダメだなって、当時の私でも何となく分かった。だから、ゆっくり音を立てない様にして歩いたの!もしあの時二人に声かけてたら、大変な事になってただろうな!』
カァァァァァァァァァァ・・・・・・!!!
エミーとゾーエの顔が、赤くなる。
「き、聞かれてたんだね・・・・・・・・・」
「は、恥ずかしい・・・・・・・・・」
「防音魔法かけるの、忘れてたね・・・・・・」
「え、ええ・・・・・・」
「リルちゃん・・・・・・そこまで書かなくていいのに・・・・・・」
「これは続きが怖いわね・・・・・・大丈夫かしら・・・・・・」
『二人共、いっつも引っ付いてた!料理する時も、ご飯食べる時も、ソファで寛いでる時も、いっつも!けど、私も引っ付かせてくれた!ソファで二人が引っ付いて寛いでたから、私も引っ付かせてって言ったの!そしたら、ここにおいでって言って、二人の膝の上に座らせてくれたんだ!何だか二人の子供になった様な気分だった!二人は私の頭を撫でてくれた!きっとお母さん達が生きていたら、あんな風に過ごしていたのかなって、そう思う。けど、二人のおかげでそんな家族の時間が過ごせた!あの時間は今でも忘れられない、幸せな時間だった!けど、二人の時間を邪魔してなかったかな?今更になって思うよ。』
「そんな訳無いよ!私達も幸せだった!」
「ええ!本当に素敵な時間だったわ!」
「「リルちゃん!!お誕生日おめでとう!!!」」
「ありがとーーー!!」
「はい!!リルちゃん!!開けてみて!!」
「わ!!おっきい木箱!!何これ!!!」
リルはその箱を開けてみる。
「!!・・・・・・・・・・・・ほ、箒・・・・・・・・・!!!箒!!!」
「うん!!ゾーエが造ったんだよ!!」
「う、上手く出来たと・・・・・・思う・・・・・・多分・・・・・・!」
「!!・・・ゾーエが造ったの!!??凄い!!!嬉しい!!!」
「リ、リルちゃん・・・・・・!!じ、実は私も・・・・・・・・・い、一応・・・・・・・・・プ、プレゼントが・・・・・・・・・!!」
「!!・・・エレノアも・・・!!??」
「ゾーエの箒みたいなのじゃ無いんだけど・・・・・・私、ものづくり出来ないから・・・・・・買ったやつだけど・・・・・・これ!!」
「!!・・・これ、遠声魔法のイヤリングだ!!!」
「そろそろ必要かなって・・・!!」
「嬉しい!!!ゾーエの造った箒!!!エレノアがくれたイヤリング!!!どっちも!!!凄く嬉しい!!!二人共!!!ありがとーー!!!」
『十二歳の時、ゾーエから箒を貰った!しかもお手製!エレノアからはイヤリングを貰った!エレノアは自信無さげにしてたけど、私はすっごく嬉しかったよ!それから箒に毎日乗った!それで空の上から、近くにいるけど二人と遠声してた!とにかく嬉しくて、いっつも両方使ってた!ゾーエのお手製の箒、凄い性能!風の抵抗を大幅に減らすんだ!しかも普通の箒よりずっと長持ち!二百年経った今も乗れてるよ!多分もう少し経ったら、世界一の箒になると思う!それまでは、三人の秘密の箒!』
「リルちゃんも分かってたんだね!ゾーエの箒が世界一になるって!」
「て、照れるわ・・・・・・!」
するとブレンダが、二人にある事を伝える。
「お二人共!実は箒の先端に、ある工夫がされているんです!」
「「ある工夫?」」
二人は再び箒を見る。先の方を見ると・・・・・・・・・
「あ!私があげたイヤリングだ!箒の先に飾られてある!」
「ほんとね!」
『私はもう直ぐでいなくなっちゃうから、そろそろ家に飾ろうと思う!勿論二人みたいに、くっ付けて飾る!ゾーエから貰ったお手製箒の先端に、エレノアから貰ったイヤリングを飾るの!それで私の子孫達に見てもらうんだ!』
「「リルちゃん・・・・・・・・・!!」」
ある日三人は、とある場所に来ていた。そこには、十九人の美しい彫像が、荘厳と並べられている。
「あの人がフローラさん!!あの人がエトーレさん!!二人で並んでいるでしょ!!とっても仲良しだったんだよ!!」
「あの二人が、私のお母さんなんだ!!」
「そう!!・・・・・・貴女の事を、一番愛してた・・・・・・!!貴女の為に、二人は世界を護った・・・・・・!!」
「リルちゃん・・・・・・貴女はね、フローラさんとエトーレさんに、沢山愛されて生まれてきたの・・・・・・!!二人の愛の結晶が、貴女なのよ・・・・・・!!」
「・・・・・・うん・・・・・・!!」
「貴女の事を、見守ってる・・・・・・ずっとずっと、見守ってる・・・・・・!!二人はね、貴女を一番愛してるから・・・・・・!!貴女の為に戦った二人は、貴女のいるこの世界を護った・・・・・・!!」
「うん・・・・・・!!私は、お母さん達に沢山愛されてるんだね・・・・・・!!」
『初めて無辺図書館に行った時、お母さん達の彫像を見た!立派な人達だったんだって、凄く沢山感じられた!ゾーエとエレノアが、二人の事を教えてくれた!私は愛されて生まれたんだって!凄く嬉しかった!言葉じゃ言い表せない位に、暖かさを感じた!お母さん達を、私は誇りに思う!魂の安らぐ場所に行って再会したら、お母さん達二人と沢山お話したいな!フローラお母さんと、エトーレお母さんと、エレノアと、ゾーエに大切にしてもらった私は、最高の幸せ者!何だかお母さんが四人いるみたい!私は四人が大大大好き!ゾーエとエレノアが、いつかこれを読む日が来るかな。来てほしいな!もし読んでたら、この本から気持ちを伝えるね!ちゃんと読んでよ?飛ばしながら読んじゃダメだからね!』
「ちゃんと読んでるよ~!」
「ええ!しっかりと読んでるわ!」
二人は、リルの本を更に読んでいく。そこには、リルの想いが沢山詰められていた。
『二人共、本当にありがとう!二人がいてくれたから、こんなに幸せになれたよ!色んなものを二人からもらったね!大切なものを沢山もらった!私にシェール、好きな人が出来た時、いっぱい応援してくれたよね!色んなアドバイスももらった!それでシェールと付き合って、婚礼の儀も挙げたね!シェールは本当に可愛くて綺麗で、私と初めてレビ・・・・・・あ!ごめん!シェールに止められちゃった!その事は書かないで、だって!実はこの本を書いてる今、シェールも隣にいるんだ!シェールったら今、凄く恥ずかしそうに顔を赤くしてるよ!二人も知ってると思うけど、シェールはすっごく恥ずかしがり屋さんなの!今もね!相変わらずでしょ!まあこんな風に、私達は今もずっと一緒!そんな彼女と永遠の愛を誓った時に、二人が見守ってくれていたのが、最高に嬉しかったよ!二人共、泣いてたよね!私の晴れ舞台が観れて嬉しいって、そう言ってくれた!私にも二人みたいに、とっても大切なパートナーが出来た!それで二人みたいに、ソファでいつもくっ付いてる!それで子供も結婚した!その子供まで!本当に長生きしてるなって思う!お母さん達の分まで、沢山生きてるなって!でも、エレノアがいないのは、凄く寂しいな。けどいつか、帰って来るよね!ゾーエの元に絶対帰って来る!今、ゾーエは旅に出てるんだよね。エレノアを探す旅に。エレノアの事、ずっと、ずっと愛してるもんね。二人はずっと、永遠に。そう誓ったんだから。だから会える!二人は絶対に会える!そして二人は再会して、私の本をきっと読んでるよ!この一文一文を、二人で一緒に読んでる!二人が再会出来て、私も凄く嬉しいよ!エレノアは今いないから、知らないでしょ?ゾーエは貴女がいなくなってから、凄く落ち込んじゃったの。たまに会ったりした時は、元気に見せるんだ。でも分かるよ。ゾーエがずっと苦しんでるの。だって、二十年一緒にいたんだから!ゾーエはね、優しいの。とっても優しい。だから私に苦しそうなとこは見せない。多分、この本を書いてる今も、苦しんでる。エレノアがいなくなった時、私も苦しかった。大切な人がいなくなった。本当に、苦しくて辛かった。けどね!二人はまた会えるから!そして私の本を一緒に読んでるから!ねえエレノア!待たせちゃった分、ゾーエの事をいっぱい抱きしめてあげて!私の分までね!私も寂しいんだから!エレノア。まだまだ話したい事がいっぱいあるよ。まだまだ話し足りない。だからさ、ゾーエといっぱい話して!ゾーエといっぱいくっ付いて!私の分まで!そしてゾーエ!恥ずかしがってちゃダメだよ!エレノアにいっぱい甘えて!いっぱい愛し合って!二人は永遠なんだから!いっぱいいっぱい愛し合ってね!ゾーエは恥ずかしがり屋さんだから、私がこうやって念押ししないと!ゾーエ!もうエレノアと再会出来たから、苦しくないよね!辛くないよね!私は二人が幸せな時間を、ずっとずっと過ごせたらなって思う!ゾーエ!エレノア!おめでとう!二人が再会出来た事、本当に私も嬉しい!二人が一緒に笑顔でいられる事が、本当に嬉しい!あーあ。そろそろ本が埋まりそう。もっと大きいの買っとくべきだったな。おっと、こんな呟き書いてる場合じゃない!スペース勿体無いよね!でもさ、多分どんだけ大きな本を買っても、足りないと思う。二人にもっと伝えたいんだ。二人のおかげで私がどれだけ幸せだったかを。一言で書ききれないんだよね。伝えたい事が多すぎて。二人が大好き過ぎて。感謝と幸せが沢山あって。文字に起こす事が難しい。でもそろそろ埋まっちゃうから、続きは魂が安らぐ場所で話そうよ!でも、直ぐに来ちゃダメだよ?私はゆーーーっくり待ってるから!だからなるべく遅く来てね!二人の事、向こうでずっと見守ってるからさ!』
ポタッ、ポタッ、ポタッ・・・・・・
気が付けば二人の眼からは、涙が零れていた。二人は涙を流しながら、そっとページを捲り、最後のページを読む。
『貴女達と出会えて、本当に幸せでした。貴女達から、大切なものを、沢山頂きました。私の、大切で特別な二人に、永遠の絆を込めて、この言葉を贈ります。沢山の幸せを、ありがとう。大切なエレノア・リーベ、大切なゾーエ・アムールへ、永遠の幸せを込めて、リル・セデレンより。』
「ありがとう・・・・・・ありがとう・・・・・・リルちゃん・・・・・・ありがとう・・・・・・帰って・・・来たよ・・・・・・ゾーエの・・・元に・・・・・・」
「リルちゃん・・・・・・ありがとうね・・・・・・もう・・・・・・大丈夫だよ・・・・・・再会・・・出来たよ・・・・・・エリーと・・・・・・」
二人の瞳から、涙が溢れる。リルの心が、暖かさが、そこには確かにあった。
「私は、本当に感謝しているんです。リルは、私達にその気持ちを、心を、受け継いでいきました。心に大切なものを持つ、そのきっかけを作ってくれたのが、お二人なんです。」
「ありがとう・・・ございます・・・・・・私達も・・・・・・リルちゃんには・・・・・・本当に・・・・・・感謝しています・・・・・・あの厄災が・・・・・・あった後・・・・・・私達の心を・・・・・・支えてくれて・・・・・・暖かくしてくれて・・・・・・」
「リルちゃんは・・・・・・厄災で負った・・・・・・私達の・・・・・・心の傷を・・・・・・癒してくれて・・・・・・私達も・・・・・・沢山・・・・・・大切なものを・・・・・・リルちゃんから・・・・・・もらって・・・・・・」
二人は、リルの書いた本を、大切に触れながら、涙声で言う。リルは二人を、支えていた。厄災の傷を、癒してくれていた。二人の心を、リルは暖めた。リルにとって、二人の存在はとても大きく、とても大切なものだった。それと同時に、二人にとっても、リルの存在はとても大きく、とても大切なものだったのだ。
「ありがとうブレンダちゃん!私達にリルちゃんの本を見せてくれて!」
「ありがとうございます!ブレンダさん!」
「い、いえ!こちらこそ、ありがとうございます!・・・・・・彼女も、喜んでいるでしょう・・・・・・お二人に、気持ちを伝えられて・・・・・・!!」
三人はその後、家の外に出て、祠の近くへと向かっていた。
「お二人はご存知でしょうが、あの祠に『一輪の花』が咲いてあります!久し振りに見ていきませんか?」
「良いの!?」
「はい!勿論です!お二人になら!」
「!!・・・ありがとうございます!ブレンダさん!」
三人は祠の前に立つ。そしてブレンダは、祠に深々とお辞儀をした。エミーとゾーエの二人も、深くお辞儀をする。
そしてブレンダは、祠の扉をそっと触り、目を瞑る。すると、扉がゆっくりと消え、中から一輪の花が見えてくる。
サァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・!!!!!
眩い光が辺りに広がる。美しく光り輝く純白の一輪の花が、祠から顔を出す。
「!!・・・やっぱり綺麗ね・・・・・・!!!凄く、美しい花・・・・・・!!!」
「うん・・・・・・!!!久し振りに見たけど・・・・・・・・・やっぱり凄い・・・綺麗・・・・・・美しいね・・・・・・!!!」
二人は久し振りに、その花を眺める。
しかしその時、ブレンダが急に振り向き、叫んだ。
「誰だ!?」
「「えっ!?」」
二人は驚き、振り向く。三人が振り向いた先にいたのは、一人の美しい女性だった。
「ひっさしぶりーー!!」
「!!・・・ア、ア、アルマさん!!」
「アルマ!!」
「アルマだ!!懐かしい!!久し振り!!・・・・・・あ、私の事分からないか・・・・・・」
「いやぁ?何となーく分かるよ!!今さっき声が聞こえたからさ!!その顔!その瞳!その声!・・・・・・エレノアと同じ・・・!!」
「!!・・・うん・・・!!」
「帰って来たね、エレノア・・・・・・!!」
アルマという女性。水色の髪の毛は美しいウェーブをしており、その瞳はラピスラズリの様な深い青をしている、とても美しい女性。
彼女もまた、あるものを抱えた魔女である。
「ふぅ!!・・・・・・・・・・・・ん?」
水面から顔を出した女性は、崖の上を見上げる。
「この声・・・・・・・・・・・・!!」
エミーとゾーエは、本を開く。そこには、リルの遺したものが書いてあった。
『私の名は、リル。神位の魔女、エデナとカトリナの家系に生まれた、低位の魔女。私のお母さん達は、物心がついた時には、既に亡くなっていた。フローラお母さんと、エトーレお母さん。お母さん達を失った私には、何も残されていなかった。けれど、私を育ててくれた人がいた。私が大人になるまで。私に愛する人が出来て、婚礼の儀を挙げるまで、ずっと育ててくれた。ゾーエ。エレノア。ありがとう。私の思い出と、感謝を、この本に綴ります。いつか、二人の元へ届きますように。』
厄災が終わった後の、無辺図書館。静まり返ったその場所に、エレノアは来ていた。
「・・・・・・・・・フローラ、エトーレ・・・・・・・・・天へと・・・・・・・・・昇りました・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう、エレノア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・辛い確認をさせたね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえ・・・・・・・・・・・・彼女達は・・・・・・・・・・・・・・・その命を懸けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・世界の基盤を護り抜きました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの子達は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・護り抜いたの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エラもそう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カーラも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・セリアも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴女達も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私達と・・・・・・・・・・・・・・・この世界を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・護ってくれた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・感謝してる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エステルさん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フローラさんと・・・・・・・・・エトーレさんが・・・・・・・・・・・・天へと昇っていき・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ・・・・・・・・・リルちゃんも・・・・・・・・・・・・子供です・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・代理として・・・・・・・・・・・・・・・・・・私に守護を・・・・・・・・・・・・・・・リルちゃんが・・・・・・・・・・・・・・・大人になるまで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・やってくれるの・・・・・・・・・・・・?」
「はい・・・・・・・・・・・・・・・・・・フローラさんと・・・・・・・・・エトーレさんは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リルちゃんを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この上なく愛していました・・・・・・・・・・・・・・・リルちゃんに・・・・・・・・・・・・・・・・・・二人の意志を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その勇姿を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伝えてあげたい・・・・・・・・・・・・・・・どれだけ・・・・・・愛されて・・・・・・・・・・・・生まれてきたのかを・・・・・・・・・・・・・・・あの子に・・・・・・・・・・・・ちゃんと・・・・・・・・・・・・教えて・・・・・・・・・あげたい・・・・・・・・・・・・じゃないと・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの子は・・・・・・・・・・・・・・・・・・一人になっちゃう・・・・・・・・・から・・・・・・・・・・・・・・・」
エレノアの眼から、涙が溢れてくる。
・・・・・・我慢・・・・・・してたのに・・・・・・エステルさんも・・・・・・エラさんを・・・・・・・・・失って・・・・・・・・・辛いのに・・・・・・・・・涙を・・・・・・・・・・・・堪えて・・・・・・・・・・・・励まして・・・・・・・・・・・・・・・くれて・・・・・・・・・・・・なのに・・・・・・
「エレノア・・・・・・・・・ごめんね・・・・・・・・・・・・・・・辛い思いをさせて・・・・・・・・・・・・・・・」
エステルの眼からも、涙が溢れてくる。
「すいません・・・・・・・・・・・・すいません・・・・・・・・・・・・・・・エラさんを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・助け・・・・・・・・・られなくて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すいません・・・・・・・・・・・・・・・」
「お願い・・・・・・・・・謝らないで・・・・・・貴女が謝る必要なんて無い・・・・・・・・・・・・・・・あの人も・・・・・・・・・覚悟をして戦った・・・・・・・・・・・・・・・・・・皆・・・・・・・・・命を懸けた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・立派に・・・・・・・・・・・・・・・成し遂げたの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・厄災から・・・・・・・・・・・・世界を救った・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・・・・・・・ただいま・・・・・・・・・・・・」
「おかえり・・・・・・・・・エリー・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゾーエ・・・・・・・・・・・・・・・伝えてきたよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フローラさんと・・・・・・・・・・・・・・・エトーレさんの・・・・・・・・・・・・・・・・・・事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「!!・・・・・・・・・・・・・・・エリー・・・・・・・・・」
膝から崩れ落ちたエレノアを、ゾーエは抱きしめる。
「・・・・・・・・・・・・ごめん・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・・エリー・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・・・何も・・・・・・・・・・・・・・・出来なくて・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・・・・・・・違う・・・・・・・・・・・・・・・皆ね・・・・・・・・・・・・・・・愛する人がいたから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・七日間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦えたんだよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゾーエがいてくれたから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦えた・・・・・・・・・・・・ゾーエがいてくれたから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
厄災が終わり、世界は静まり返っていた。しかし、エレノアとゾーエは、次の命の為に、動き出す。
「「リルちゃん・・・・・・・・・貴女を立派に育てるから・・・・・・・・・」」
大海が見渡せる、広い大地。魔女の世界の西端に位置する『創造の地』に、その家はあった。
その家には、三人が住んでいた。エレノア、ゾーエ、そしてリル。
草原を駆け回る少女が、一人の女性に元気良く声をかける。
「エレノア!エレノア!」
「ん?どうしたの?」
「魔法!魔法教えて!」
「うん!良いよ!何の魔法?」
「浮遊魔法!空飛びたいの!」
「よし!じゃあ私が教えてあげよう!」
「やったーーー!」
家の中では、一人の女性が編み物をしていた。すると突然扉が開き、二人が声をかける。
「「ゾーエ!!」」
「ん?二人共どうしたの?」
「「浮遊魔法教えて!!」」
「え!?」
「なるほどね・・・・・・エリーの教え方が訳分からないと・・・・・・」
「そうなの!ビュンとかギュンしか言わないの!」
「い、いや・・・・・・でも、こう・・・・・・・・・ほんとにこう、グッとやって、ファッで物にやったら、フッと浮くんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・ほら!分かんない!ゾーエが教えて!」
「そうね、訳分かんないわよね!よし、じゃあ私が細かく教えるわ!」
「やったーーー!」
『私が二人と暮らし始めたのは、三歳の頃。それで、私が五歳になった頃に、初めて魔法を教えてもらった。エレノアは教え方が下手くそだった!けど、一生懸命教えてくれた。それで何も分からなかったから、ゾーエに教えてもらった。ゾーエの教え方は、凄く細かくて勉強になった!ゾーエも一生懸命手伝ってくれた。二人共、私の魔法の特訓を、いつも一緒にしてくれた。本当に楽しい時間だった。』
「リルちゃんには全然上手く教えてあげられなかったな・・・・・・でも、楽しんでくれてたのなら良かった!」
「そうね!リルちゃんは魔法の特訓する時、いつも笑顔だったわね!」
「うん!というか、あの頃のゾーエの説明は、かなり分かりやすかったよね!」
「そ、そう?でも、いつの間にか下手くそになっちゃって・・・・・・」
「多分知識が増え過ぎて、説明がごっちゃになっちゃったんだよ!」
「時が経てば経つ程、下手になっていったのね・・・・・・」
様々な事を学んでいく中で、リルはある事が気になる。
ある日、リルは二人に聞いてみた。
「ねえ、ゾーエとエレノアは結婚しないの?」
「「え!?」」
「ほ、ほんとはするつもりだったんだよ!直ぐに!・・・・・・・・・けどね・・・・・・」
「ええ・・・・・・色々あってから、まだ出来ていないの・・・・・・」
「じゃあ!今しようよ!今!」
「「ええ!?」」
「い、今!?今は無理だよ!!婚礼場じゃないと!!」
「婚礼場?」
「リルちゃん、結婚はね、婚礼場ってとこでしか出来ないの!だから先ずは、その準備をしないと!」
「じゃあしよ!準備!」
「ま、まあもう婚礼の守護の人達は、仕事を始めてるらしいけど・・・・・・!」
「た、確か一年前に再開したのよね・・・・・・!」
「じゃあ出来るじゃん!やろう!」
エレノアとゾーエは見つめ合う。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・挙げようか!!」」
創造の地。その近くにある、エレノアとゾーエが造った花畑で、二人の婚礼の儀は挙げられた。
「ゾーエ・・・・・・凄く・・・・・・凄く綺麗・・・・・・・・・」
「エリーも・・・・・・・・・凄く綺麗よ・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・泣いてる・・・・・・・・・」
「貴女だって・・・・・・・・・泣いてるじゃない・・・・・・」
「うん・・・・・・嬉しくて・・・・・・・・・この日が・・・・・・・・・迎えられたのが・・・・・・・・・嬉しくて・・・・・・・・・もう・・・・・・来ないかと思ってた・・・・・・・・・・・・この日が・・・・・・・・・来ないかと・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・怖かった・・・・・・・・・貴女が・・・・・・・・・帰って来て・・・・・・・・・くれたから・・・・・・・・・この日が・・・・・・・・・やっと・・・・・・・・・やっと来た・・・・・・・・・・・・・・・本当に・・・・・・・・・良かった・・・・・・・・・」
「ねえ・・・・・・ゾーエ・・・・・・私・・・・・・この日を・・・・・・十年以上・・・・・・・・・夢見てたの・・・・・・・・・貴女と・・・・・・永遠の・・・・・・誓いが・・・・・・・・・出来る日を・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・私も・・・・・・・・・ずっと夢見てた・・・・・・・・・やっと・・・・・・・・・やっと叶った・・・・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・・・・私は・・・・・・貴女を・・・・・・・・・永遠に・・・・・・・・・愛してる・・・・・・・・・永遠に・・・・・・・・・例え・・・・・・魂だけになっても・・・・・・・・・・・・愛してる・・・・・・・・・・・・・・・永遠に・・・・・・・・・・・・貴女を・・・・・・・・・愛し続けている・・・・・・・・・・・・」
「エリー・・・・・・私も・・・・・・・・・貴女を・・・・・・永遠に・・・・・・永遠に・・・・・・愛してる・・・・・・私の愛は・・・・・・・・・永遠よ・・・・・・・・・・・・永遠に・・・・・・・・・例え・・・・・・全てが消え去っても・・・・・・・・・・・・貴女への愛は・・・・・・・・・永遠に消えない・・・・・・・・・」
「ゾーエ・・・永遠に貴女を、愛しています・・・・・・!!!」
「エリー・・・永遠に貴女を、愛しています・・・・・・!!!」
『私が六歳の頃、二人は婚礼の儀を挙げた!エレノアが二十二で、ゾーエが二十一だった。厄災から三年後だった。二人は皆に気を遣ったんだろうな。誰も招待しなかった。二人の婚礼の儀を見守ったのは、私だけ。二人は寂しかったかな。観覧席に私だけなのは。でも、見てると凄い幸せそうだった!二人は涙を流してた!初めて二人が泣いてるとこを見た!とっても、綺麗だった!観ている私も、幸せだったな!』
「ふふっ・・・!リルちゃんがいたから、寂しくなかったわよね!!」
「うん!・・・・・・あの時、皆を呼ぶのは辛いかなって思った・・・・・・・・・・・・皆、大切な人を失ってたから・・・・・・・・・けど、リルちゃんが見守っててくれた!!」
「ええ!それだけでも・・・・・・十分だったわ・・・・・・リルちゃんがいてくれただけでも・・・・・・本当に嬉しかった・・・・・・!!」
「うん!・・・・・・凄い、嬉しかった・・・・・・幸せで、最高な時間だった・・・・・・・・・まだ、辛い気持ちは沢山あったけど・・・・・・・・・あの時は、これ以上無い幸せを感じられた・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・幸せな婚礼の儀だったわ・・・・・・とっても暖かくて・・・・・・・・・幸せだった・・・・・・・・・辛い中でも・・・・・・これ以上無い幸せを感じられた・・・・・・・・・」
二人が婚礼の儀を挙げた、その日の夜。二人は寝室にいた。
「ゾーエ・・・・・・リルちゃん寝たよ・・・・・・」
「ええ・・・・・・・・・な、何か凄くドキドキするわ・・・・・・」
「わ、私も・・・・・・・・・・・・・・・でも・・・・・・やっとこの日が来たんだね・・・・・・・・・・・・」
「ええ・・・・・・・・・ずっと・・・・・・ずっと待ってた・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・左の薬指・・・・・・よく見せて・・・・・・」
「ええ・・・・・・エリーも・・・・・・左の髪・・・・・・よく見せて・・・・・・」
「「私の名前が刻まれた・・・・・・私の瞳の・・・・・・婚礼石・・・・・・貴女にある・・・・・・・・・」」
「この日をずっと・・・・・・夢見てた・・・・・・」
「ええ・・・・・・待ち望んでた・・・・・・この日を・・・・・・」
「ゾーエ・・・・・・よく見せて・・・・・・貴女の瞳・・・・・・」
「ええ・・・・・・よく見て・・・・・・私の瞳を見つめる・・・・・・貴女の瞳を・・・・・・よく見てるから・・・・・・」
「「・・・・・・・・・凄く綺麗・・・・・・・・・」」
「ゾーエ・・・・・・・・・永遠に貴女を愛してる・・・・・・」
「エリー・・・・・・・・・永遠に貴女を愛してる・・・・・・」
「「!!!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
『二人はその夜、私に早めに寝てって言ったの。どうしてって聞くと、二人は顔を赤くしてた。当時は知らなかったけど、二人はあの夜にレビアオーヴをしたんだ!私が喉乾いちゃって一階に行こうとした時、二人の声が聞こえたから!これは邪魔しちゃダメだなって、当時の私でも何となく分かった。だから、ゆっくり音を立てない様にして歩いたの!もしあの時二人に声かけてたら、大変な事になってただろうな!』
カァァァァァァァァァァ・・・・・・!!!
エミーとゾーエの顔が、赤くなる。
「き、聞かれてたんだね・・・・・・・・・」
「は、恥ずかしい・・・・・・・・・」
「防音魔法かけるの、忘れてたね・・・・・・」
「え、ええ・・・・・・」
「リルちゃん・・・・・・そこまで書かなくていいのに・・・・・・」
「これは続きが怖いわね・・・・・・大丈夫かしら・・・・・・」
『二人共、いっつも引っ付いてた!料理する時も、ご飯食べる時も、ソファで寛いでる時も、いっつも!けど、私も引っ付かせてくれた!ソファで二人が引っ付いて寛いでたから、私も引っ付かせてって言ったの!そしたら、ここにおいでって言って、二人の膝の上に座らせてくれたんだ!何だか二人の子供になった様な気分だった!二人は私の頭を撫でてくれた!きっとお母さん達が生きていたら、あんな風に過ごしていたのかなって、そう思う。けど、二人のおかげでそんな家族の時間が過ごせた!あの時間は今でも忘れられない、幸せな時間だった!けど、二人の時間を邪魔してなかったかな?今更になって思うよ。』
「そんな訳無いよ!私達も幸せだった!」
「ええ!本当に素敵な時間だったわ!」
「「リルちゃん!!お誕生日おめでとう!!!」」
「ありがとーーー!!」
「はい!!リルちゃん!!開けてみて!!」
「わ!!おっきい木箱!!何これ!!!」
リルはその箱を開けてみる。
「!!・・・・・・・・・・・・ほ、箒・・・・・・・・・!!!箒!!!」
「うん!!ゾーエが造ったんだよ!!」
「う、上手く出来たと・・・・・・思う・・・・・・多分・・・・・・!」
「!!・・・ゾーエが造ったの!!??凄い!!!嬉しい!!!」
「リ、リルちゃん・・・・・・!!じ、実は私も・・・・・・・・・い、一応・・・・・・・・・プ、プレゼントが・・・・・・・・・!!」
「!!・・・エレノアも・・・!!??」
「ゾーエの箒みたいなのじゃ無いんだけど・・・・・・私、ものづくり出来ないから・・・・・・買ったやつだけど・・・・・・これ!!」
「!!・・・これ、遠声魔法のイヤリングだ!!!」
「そろそろ必要かなって・・・!!」
「嬉しい!!!ゾーエの造った箒!!!エレノアがくれたイヤリング!!!どっちも!!!凄く嬉しい!!!二人共!!!ありがとーー!!!」
『十二歳の時、ゾーエから箒を貰った!しかもお手製!エレノアからはイヤリングを貰った!エレノアは自信無さげにしてたけど、私はすっごく嬉しかったよ!それから箒に毎日乗った!それで空の上から、近くにいるけど二人と遠声してた!とにかく嬉しくて、いっつも両方使ってた!ゾーエのお手製の箒、凄い性能!風の抵抗を大幅に減らすんだ!しかも普通の箒よりずっと長持ち!二百年経った今も乗れてるよ!多分もう少し経ったら、世界一の箒になると思う!それまでは、三人の秘密の箒!』
「リルちゃんも分かってたんだね!ゾーエの箒が世界一になるって!」
「て、照れるわ・・・・・・!」
するとブレンダが、二人にある事を伝える。
「お二人共!実は箒の先端に、ある工夫がされているんです!」
「「ある工夫?」」
二人は再び箒を見る。先の方を見ると・・・・・・・・・
「あ!私があげたイヤリングだ!箒の先に飾られてある!」
「ほんとね!」
『私はもう直ぐでいなくなっちゃうから、そろそろ家に飾ろうと思う!勿論二人みたいに、くっ付けて飾る!ゾーエから貰ったお手製箒の先端に、エレノアから貰ったイヤリングを飾るの!それで私の子孫達に見てもらうんだ!』
「「リルちゃん・・・・・・・・・!!」」
ある日三人は、とある場所に来ていた。そこには、十九人の美しい彫像が、荘厳と並べられている。
「あの人がフローラさん!!あの人がエトーレさん!!二人で並んでいるでしょ!!とっても仲良しだったんだよ!!」
「あの二人が、私のお母さんなんだ!!」
「そう!!・・・・・・貴女の事を、一番愛してた・・・・・・!!貴女の為に、二人は世界を護った・・・・・・!!」
「リルちゃん・・・・・・貴女はね、フローラさんとエトーレさんに、沢山愛されて生まれてきたの・・・・・・!!二人の愛の結晶が、貴女なのよ・・・・・・!!」
「・・・・・・うん・・・・・・!!」
「貴女の事を、見守ってる・・・・・・ずっとずっと、見守ってる・・・・・・!!二人はね、貴女を一番愛してるから・・・・・・!!貴女の為に戦った二人は、貴女のいるこの世界を護った・・・・・・!!」
「うん・・・・・・!!私は、お母さん達に沢山愛されてるんだね・・・・・・!!」
『初めて無辺図書館に行った時、お母さん達の彫像を見た!立派な人達だったんだって、凄く沢山感じられた!ゾーエとエレノアが、二人の事を教えてくれた!私は愛されて生まれたんだって!凄く嬉しかった!言葉じゃ言い表せない位に、暖かさを感じた!お母さん達を、私は誇りに思う!魂の安らぐ場所に行って再会したら、お母さん達二人と沢山お話したいな!フローラお母さんと、エトーレお母さんと、エレノアと、ゾーエに大切にしてもらった私は、最高の幸せ者!何だかお母さんが四人いるみたい!私は四人が大大大好き!ゾーエとエレノアが、いつかこれを読む日が来るかな。来てほしいな!もし読んでたら、この本から気持ちを伝えるね!ちゃんと読んでよ?飛ばしながら読んじゃダメだからね!』
「ちゃんと読んでるよ~!」
「ええ!しっかりと読んでるわ!」
二人は、リルの本を更に読んでいく。そこには、リルの想いが沢山詰められていた。
『二人共、本当にありがとう!二人がいてくれたから、こんなに幸せになれたよ!色んなものを二人からもらったね!大切なものを沢山もらった!私にシェール、好きな人が出来た時、いっぱい応援してくれたよね!色んなアドバイスももらった!それでシェールと付き合って、婚礼の儀も挙げたね!シェールは本当に可愛くて綺麗で、私と初めてレビ・・・・・・あ!ごめん!シェールに止められちゃった!その事は書かないで、だって!実はこの本を書いてる今、シェールも隣にいるんだ!シェールったら今、凄く恥ずかしそうに顔を赤くしてるよ!二人も知ってると思うけど、シェールはすっごく恥ずかしがり屋さんなの!今もね!相変わらずでしょ!まあこんな風に、私達は今もずっと一緒!そんな彼女と永遠の愛を誓った時に、二人が見守ってくれていたのが、最高に嬉しかったよ!二人共、泣いてたよね!私の晴れ舞台が観れて嬉しいって、そう言ってくれた!私にも二人みたいに、とっても大切なパートナーが出来た!それで二人みたいに、ソファでいつもくっ付いてる!それで子供も結婚した!その子供まで!本当に長生きしてるなって思う!お母さん達の分まで、沢山生きてるなって!でも、エレノアがいないのは、凄く寂しいな。けどいつか、帰って来るよね!ゾーエの元に絶対帰って来る!今、ゾーエは旅に出てるんだよね。エレノアを探す旅に。エレノアの事、ずっと、ずっと愛してるもんね。二人はずっと、永遠に。そう誓ったんだから。だから会える!二人は絶対に会える!そして二人は再会して、私の本をきっと読んでるよ!この一文一文を、二人で一緒に読んでる!二人が再会出来て、私も凄く嬉しいよ!エレノアは今いないから、知らないでしょ?ゾーエは貴女がいなくなってから、凄く落ち込んじゃったの。たまに会ったりした時は、元気に見せるんだ。でも分かるよ。ゾーエがずっと苦しんでるの。だって、二十年一緒にいたんだから!ゾーエはね、優しいの。とっても優しい。だから私に苦しそうなとこは見せない。多分、この本を書いてる今も、苦しんでる。エレノアがいなくなった時、私も苦しかった。大切な人がいなくなった。本当に、苦しくて辛かった。けどね!二人はまた会えるから!そして私の本を一緒に読んでるから!ねえエレノア!待たせちゃった分、ゾーエの事をいっぱい抱きしめてあげて!私の分までね!私も寂しいんだから!エレノア。まだまだ話したい事がいっぱいあるよ。まだまだ話し足りない。だからさ、ゾーエといっぱい話して!ゾーエといっぱいくっ付いて!私の分まで!そしてゾーエ!恥ずかしがってちゃダメだよ!エレノアにいっぱい甘えて!いっぱい愛し合って!二人は永遠なんだから!いっぱいいっぱい愛し合ってね!ゾーエは恥ずかしがり屋さんだから、私がこうやって念押ししないと!ゾーエ!もうエレノアと再会出来たから、苦しくないよね!辛くないよね!私は二人が幸せな時間を、ずっとずっと過ごせたらなって思う!ゾーエ!エレノア!おめでとう!二人が再会出来た事、本当に私も嬉しい!二人が一緒に笑顔でいられる事が、本当に嬉しい!あーあ。そろそろ本が埋まりそう。もっと大きいの買っとくべきだったな。おっと、こんな呟き書いてる場合じゃない!スペース勿体無いよね!でもさ、多分どんだけ大きな本を買っても、足りないと思う。二人にもっと伝えたいんだ。二人のおかげで私がどれだけ幸せだったかを。一言で書ききれないんだよね。伝えたい事が多すぎて。二人が大好き過ぎて。感謝と幸せが沢山あって。文字に起こす事が難しい。でもそろそろ埋まっちゃうから、続きは魂が安らぐ場所で話そうよ!でも、直ぐに来ちゃダメだよ?私はゆーーーっくり待ってるから!だからなるべく遅く来てね!二人の事、向こうでずっと見守ってるからさ!』
ポタッ、ポタッ、ポタッ・・・・・・
気が付けば二人の眼からは、涙が零れていた。二人は涙を流しながら、そっとページを捲り、最後のページを読む。
『貴女達と出会えて、本当に幸せでした。貴女達から、大切なものを、沢山頂きました。私の、大切で特別な二人に、永遠の絆を込めて、この言葉を贈ります。沢山の幸せを、ありがとう。大切なエレノア・リーベ、大切なゾーエ・アムールへ、永遠の幸せを込めて、リル・セデレンより。』
「ありがとう・・・・・・ありがとう・・・・・・リルちゃん・・・・・・ありがとう・・・・・・帰って・・・来たよ・・・・・・ゾーエの・・・元に・・・・・・」
「リルちゃん・・・・・・ありがとうね・・・・・・もう・・・・・・大丈夫だよ・・・・・・再会・・・出来たよ・・・・・・エリーと・・・・・・」
二人の瞳から、涙が溢れる。リルの心が、暖かさが、そこには確かにあった。
「私は、本当に感謝しているんです。リルは、私達にその気持ちを、心を、受け継いでいきました。心に大切なものを持つ、そのきっかけを作ってくれたのが、お二人なんです。」
「ありがとう・・・ございます・・・・・・私達も・・・・・・リルちゃんには・・・・・・本当に・・・・・・感謝しています・・・・・・あの厄災が・・・・・・あった後・・・・・・私達の心を・・・・・・支えてくれて・・・・・・暖かくしてくれて・・・・・・」
「リルちゃんは・・・・・・厄災で負った・・・・・・私達の・・・・・・心の傷を・・・・・・癒してくれて・・・・・・私達も・・・・・・沢山・・・・・・大切なものを・・・・・・リルちゃんから・・・・・・もらって・・・・・・」
二人は、リルの書いた本を、大切に触れながら、涙声で言う。リルは二人を、支えていた。厄災の傷を、癒してくれていた。二人の心を、リルは暖めた。リルにとって、二人の存在はとても大きく、とても大切なものだった。それと同時に、二人にとっても、リルの存在はとても大きく、とても大切なものだったのだ。
「ありがとうブレンダちゃん!私達にリルちゃんの本を見せてくれて!」
「ありがとうございます!ブレンダさん!」
「い、いえ!こちらこそ、ありがとうございます!・・・・・・彼女も、喜んでいるでしょう・・・・・・お二人に、気持ちを伝えられて・・・・・・!!」
三人はその後、家の外に出て、祠の近くへと向かっていた。
「お二人はご存知でしょうが、あの祠に『一輪の花』が咲いてあります!久し振りに見ていきませんか?」
「良いの!?」
「はい!勿論です!お二人になら!」
「!!・・・ありがとうございます!ブレンダさん!」
三人は祠の前に立つ。そしてブレンダは、祠に深々とお辞儀をした。エミーとゾーエの二人も、深くお辞儀をする。
そしてブレンダは、祠の扉をそっと触り、目を瞑る。すると、扉がゆっくりと消え、中から一輪の花が見えてくる。
サァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・!!!!!
眩い光が辺りに広がる。美しく光り輝く純白の一輪の花が、祠から顔を出す。
「!!・・・やっぱり綺麗ね・・・・・・!!!凄く、美しい花・・・・・・!!!」
「うん・・・・・・!!!久し振りに見たけど・・・・・・・・・やっぱり凄い・・・綺麗・・・・・・美しいね・・・・・・!!!」
二人は久し振りに、その花を眺める。
しかしその時、ブレンダが急に振り向き、叫んだ。
「誰だ!?」
「「えっ!?」」
二人は驚き、振り向く。三人が振り向いた先にいたのは、一人の美しい女性だった。
「ひっさしぶりーー!!」
「!!・・・ア、ア、アルマさん!!」
「アルマ!!」
「アルマだ!!懐かしい!!久し振り!!・・・・・・あ、私の事分からないか・・・・・・」
「いやぁ?何となーく分かるよ!!今さっき声が聞こえたからさ!!その顔!その瞳!その声!・・・・・・エレノアと同じ・・・!!」
「!!・・・うん・・・!!」
「帰って来たね、エレノア・・・・・・!!」
アルマという女性。水色の髪の毛は美しいウェーブをしており、その瞳はラピスラズリの様な深い青をしている、とても美しい女性。
彼女もまた、あるものを抱えた魔女である。
0
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