勇者パーティーに追放されたけど、僕は女神様と魔王を倒しに行きます。

三部 反骨の国

42 一時の休息

「はっ！ はっ！ はっ！ どうでしょうかハック殿」

　ハックの目の前に一人剣を素振りしていたのはタイガである、

「その調子です、僕も最初はそこから始めたんです。 まぁ、僕の場合正拳突きの素振りでしたが」

「そうなんですね！！ でも、ハックさんがあのタクヤさんの元で教えてもらっていたとは思いもよりませんでした」

　元気ハツラツな騎士はハックに対して自分が尊敬する騎士に師事されさらにその人の師事を受けれる事が嬉しいのか綺麗な目を輝かせながら剣を動かす、

「この村に来てからだったけどね……」

「ハックさん？」

　タクヤの名前が出ると、ハックは今彼が何処にいるのかと心配をし顔を俯かせる、

「ハックさん、僕は信じてますよ、タクヤさんはまだ生きてるって僕もあの人に助けられたんです、そのお礼をしなければ」

　ハックはタイガのその出来事を聞くと同時に顔を上げる、

「そうなのか？」

　と、聞き返す。
　タイガは自信満々にし勢いよく剣を振り下ろしながら、

「はいっ！！」

　と、気合いを入れて返す。
　ハックは彼のその真剣な眼差しを見ると不思議とそうかもしれないと思う、

「だったら強くなって生きて言わなきゃいけないなお礼」 

「勿論です！！」

　キセル村に二人の声が響いていた。

　───────

「ガハッ！？」

　ガタンと大きな音を立てるとそこにあったのは白いベットの上に弾みながら落ちた、
 
「こ、ここは一体？」

　周囲を見渡すのはソラによって飛ばされたタクヤだった。
　その場所は至って普通の寝室であり周りには使われた後のような桶と赤い糸がポツンと置かれていた。

「周囲に人は居ないのか──」

　周りを確認すると敵が居ない事にホッとすると自分の身に起きた事を思い返す、

「私は確か、ソラに何かをされて……はっ!?」

　タクヤは急いで背中をくまなく調べる。

「無い……確かあの時……」

　ソラは確かにタクヤの背中に奇妙な道具を背中に押し付けられた感触を思い出す。

「それとこの目……」

　左目をそっと触るとその指にも白目の部分にも触覚が通っている事を確認する。
　自分の身に起きたことソラと魔王。
　そしてこれから起きる戦いとソラが起こそうとしている『大戦争』の事を気にかけると、

「一体ソラと言う奴は何を考えて……んっ!?」

　余裕ができたせいか、自分の身の危険が無くなったからなのか、タクヤの全身に痛みが走った、

「まだ、魔族や魔物によって受けた傷が……これは一時動けないぞ……」

　タクヤはそう口を残すと落ちてきたベッドにうつ伏せに倒れるとだんだん目が閉じていきそのまま息を静かに立てながら眠り始めた。