勇者パーティーに追放されたけど、僕は女神様と魔王を倒しに行きます。

クラットス

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三部 反骨の国

53 思い出の中で

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「こ、これは……平野が燃えてる!?」

 ハック達は南の平野にくるとそこに広がっていたのは火の中で逃げ惑う騎士達の姿がそこにある、

「ん?」

 ハックはその場で大きく深呼吸する、

「どうしたのハック?」

「ん……いや、なんでもありません女神様」

 ハックは顔を横に振ると同時に頬を叩く、

「ハック殿──」

「行きましょうか二人とも」

 ハックの仕草そして二人を鼓舞すると、

「はい!!」 「うん!!」

 と、気合いの入った返事をし火の海へと入った行った。 

 ─────

「うわぁぁぁぁ!! 魔族だ魔族が来た!!」

 目の前に一人の騎士が走り回ってるのをハックは掴む、

「魔族?  そいつは一体どこに?」

「いるじゃないか目の前に!!」

「目の前?」

 ハックは頭を傾け周囲を確認するも魔族らしき人物は見当たらない、

「落ち着いてください魔族の姿なんてありませんよ」

「ひっひぃ~殺さないで!?」

 騎士は錯乱しており話が噛み合わない様子だ。

「ハック殿」

 と、後ろからズーカが話しかけてきた、

「どうしましたズーカさん?」

「いや、こんなに火が燃えてるのに熱さを感じないなとふと疑問に思ったんです」

「確かに……そうか、ここに入る前に何か違和感を感じると思ったら火が燃える特有な臭いを感じてないなそういえば」

「私も特にそういうのは感じない」

 三者とも燃え盛るこの場所では熱さも特有な臭いも感じないと各々言っていると、

「逃げなきゃ、逃げなきゃ!!」

 掴んでいた騎士が暴れだすとハックの手を振り払い走り出した、

「お、おい、そっちは!? 待つんだ!!」

「ハックさん追いかけましょう、何だか着いていった方がいい気がします」

 ズーカに言われハックとメイはそれに頷くと走り出す。

 数分程走るも先に走った騎士はどんどん前へと進んでおりこっちも全力で走っているのに追い付く気配が無い、

「早い……あんな重装備であんなに……」

「鍛えてるから……言いたいですけど少し異常ですね」

 ズーカは冷静に判断する。
 すると、その騎士は停止した、

「どうしたんだ?」

 止まった騎士に追い付き、両端にあった天幕に隠れた三人。

「ふぅーん、これで全員か、やれやれ私の魔法に掛かったら気持ちいい夢を見れるというのに一度逃げちゃうと」

「グスッ、ママ、ママァーー」

 先程までおどろおどろしていた騎士は突如奇声を上げながら目の前にいる妙齢な女性に抱きついた、

「ママ怖いよぉ、魔族が追いかけてくるんだ」

「よしよし、怖かったのね私の可愛い子供、悪い夢から覚めて気持ちいい夢を見ましょう」

 三人はその光景を見て息を飲む。
 すると、ガサガサと自分達の後ろから音が聞こえ振り向く、

「ママ……」「母さん……」「マイア……」

 各々自分達の思い人の事を口にしながら向かっていた、

「これは一体……」

 ハック達は突如現れた四人ほどの精気を失った騎士達の顔と姿を見て言葉を失った。
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