上 下
171 / 182
三部 反骨の国

81 記憶

しおりを挟む
「ハック君見たまえ飴だよ!飴!!」

 ヤマトは配られた飴を見て眼を輝かせていた。

「はーい皆さん飴は届きましたか?」

 教会の端まで届くような声を笑顔が良く似合う青年が放つと他の子供達は一斉にそちらの方を見ると、

「はぁーい」「きましたぁ」

 という声が上がる。

「では、皆さん飴を食べてください時間が来たらお呼びしますので」

 青年はそう言うと教会の右の扉へと行った。

「食べようかハック君」

「そうだね……」

 二人は飴の包装紙を外し舐め始める。

 ────

「何だか身体がポカポカするねハック君」

「確かに何だか身体の奥から……」

 二人は身体に異変を感じていると。

 ガチャ

 と、右の扉が開くとそこからシスターが現れた、

「では、今から名前を呼ぶので着いてきてください」

 シスターはそう言った後、子供の名前を複数人告げるとその子達は右の扉の奥へと入っていった。

「一体何をされるんだろうか?」

 ヤマトはふとそんな事を呟く。

「わかんないけど、この飴を食べたことと何か関係があるんじゃない?」

「飴に?」

 ハックはすぐにこの飴に何かあるとふと思って居ると。

 右の扉が開きシスターが出てくると、

「ヤマト君、ハック君……」
 
 と、名前を呼ばれた、

「ハック君、呼ばれたね」

「行こうかヤマト君」

 二人は揃ってシスターの前にくると、

「はい、これね」

 と、シスターから手の平サイズの薄いガラス板が配られた、

「これを皆さん腕にかざしてください」

「腕に?」

 シスターがそう言うと二人は腕にかざしてみると、

「運命を見る者……」

 と、書かれていた、

「これは……僕のスキル名……どうしてこれが、ここで……こんな所で僕のスキルを知った……知ったどこで?」

 ハックは言葉が詰まりながらそれを見ると否や自分のスキル名をどこで知ったのかを思い出せない、

「ハック君はなんて書いてあった? 僕はね生命停止って書かれていたよ!!」

 無邪気にヤマトはそう言ってきた、

「へ、へぇ……」

 ハックは何やら物騒な言葉を聞いて少し引き気味にする、

「僕は運命を見る者って書いてあったよ」

「へぇ~よくわかんないね」

「そうだね」

 二人はそんな事を話していると、

「では皆さん確認できたようなので今から奥の部屋へと向かいましょう」

 シスターがそう言うと子供達は大きな声で返事をする、

「では、皆さん行きましょうか」

 シスターはそう言って子供達を見ながら扉の奥へと手招きをする。

しおりを挟む

処理中です...