魔王討伐のために何度も勇者を召喚した世界ついにその付けを払うときが来ました 【戦女神の救世】

春樹編

8 魔王との差

「おい、ここに人が倒れてるぞ！」

 春樹はこの声を聞き意識を失った。

＊＊＊

「ここは、どこだ」
 
 見覚えの無い天井が目の前に広がっていた。
 そうして起き上がると、自分が居た場所はベットの上で、回りを見回すとどうやら部屋で寝ていたようで、起き上がった目の前には扉があった。

「本当にどこだここ？」

 と、頭の中で自分の居場所がどこなのか泊まっていた宿でもないと考えを巡らせていると、だんだん自分の記憶のなかの最後のシーンが浮かび上がってきた。
 
 「ま、まおう！」

 そう、大声を出すと部屋の外からパタパタと足音が聞こえてくると、部屋の戸から特徴的なツインテールが見えると、

「やっと、起きたの春樹！」

 飛ぶように、抱きついてきたのはミデアだった、

「み、ミデア───」

 春樹は、王都から一緒に来ていたミデアの顔をみて少しホッとしたが、魔王が襲撃して一緒に応戦したバルターの事が気になったが、

「春樹、大変だったね魔王に遭遇するなんて」

 ミデアの口から魔王という単語が出てきた、

「なんで、ミデアが魔王の事を知っているんだ？」

 春樹は、ミデアにそう言うと、

「春樹より、先に起きたバルター先生があそこで何が起こっていたのかを話したから知ってるんですわ」

 と返され、春樹はバルターが生きていることに安堵すると、

「そ、そうか、バルター先生は今どこに？」

 と、問いかけると、

「もう、王都に帰りましたわよ」

「はっ？」

 と、間の抜けた声を春樹が声を上げると、ミデアが淡々と今春樹の身に起きてることを話し始めた、

「貴方がダンジョンから発見されて、既に一週間たってますわ、その間に、バルター先生宛に手紙が来てですわね、温泉地に行った貴方と同じ勇者様が行方不明になっていますのよ」

 ミデアが説明し終わったら、春樹は温泉地に行った仲間が誰なのかと顔を下に向けながら考えていると、バルターに修行を着けてくれと行ったあの日、美希が悟に何かのチラシを持っていたのを思い出すと、

「悟達が行方不明！」

 そう声を出した、

「どうしたの、春樹突然大声を上げまして」

 春樹は、あの一行が行方不明だと知った瞬間、クラスの中で一番強い三人が旅行気分で行ったのに行方不明になってるなんて、

「俺も探しに───」

「駄目ですわ」

 ミデアが、水を差すように春樹に言うと、

「なぜっ！」

 と返すと、

「あの地も、魔王の因子によって侵された魔物の多数報告が上がってますの今のあなたが行けば死にますわよ」

 と言われると、春樹はその言葉に反論ができず、意気消沈すると、

「それに、バルター先生からダンジョンで死なないレベルで修行を二人でしろと言われましわ」

「修行」

 ミデアと共に修行と言われ、春樹は今自分の実力を身に付けないといけない状況にあり、もし三人が居なくなったら現状魔王を倒すという目標達成するのは自分しかいないと考えた春樹は、

「わかった」

 と言い、ミデアと共にダンジョンで実力を身に付けることにした。