僕の義理兄弟

夜ト

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びちょびちょ

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僕の小説の歌を歌ってくれて、メンバーがその間に水着に着替えて、海に向かう。

「ほなっ、今日は来てくれはってありがとうな」

海に番号札を係りの人に見せて、メンバーの人と一緒に海に入り写真を撮る。

「うっ、ありがとうございます」

丞は有頂天のままふらふらと僕の元に来るのはいいんだけど、丞さん…………服濡れてるよ。

「よし、水掛けるぜーっ」
「夏や夏と言えば夏の歌だよ」

歌いながら、踊りながら水鉄砲や水風船やバケツやらで放水してくる。
シャワーやドローンで水がバシャバシャ掛かる。

「いくでー」
「やるよー」



「わービチョビチョだね」
「うん、ビチョビチョ………今日はホテル取っているけど、莉音は」

丞くんの言葉に首を振るう、明日イベントがあるんだよなぁ。
声優としてのイベントが………。
だから、今日は帰らなければならない。

「ごめんね、帰らないといけないんだ」
「……そうなんだ、じゃ又……今度は一緒に遊ぼう」
「うんっ」

「……どうかしたの」

ざわざわと騒がしい家に近くにいた執事黒崎大和に聞くと真っ青な顔をして戸惑う色を見せる。

「なに、何か合ったの……ーっまさかお母さんに何か合ったのーっ」

賢輔さんの話を思い出して、真っ青な顔をしている自覚はある。

「黒崎、何して…………莉音様、おかえりなさい…………」
「木村さんタイミング悪いなぁって顔してる、お母さんになにか合ったの……まさか、赤ちゃんが」

木村歩が首を振るう、ぎゅっと手を捕まれる。

「大丈夫だ、だから落ち着いて聞けよ」
「……はい」

木村さんがしっかりと僕の目をみていう、子供だからって何も教えてくれないんじゃなく、子供でも大人扱いをしてくれる。

「莉音様は長瀬谷家の事は知っているか」
「はせ……たに………長瀬谷って何ですか」

黒崎さんも木村さんもため息を付く。

「やっぱりご存知なかったんスね」
「…長瀬谷家は美和子様のご実家だ、美和子様が長瀬谷家のお譲さまだったなんてなぁ」

ふーと木村さんが溜め息を付き、グシャグシャと自分の頭をかく。

「長瀬谷家って何ですか」
「あーそこからっスか」

木村さんが頭を抱える、僕は首を傾ける。

「長瀬谷家は名家なんだが、余り公な場所にはでないんだ、一族経営で一族主義で一族の為にがモットーで一族以外の人間とは関わらない一族以外の人間とは結婚も出来ない、と言われていた」

木村さんの話にはっとする、一族以外とは結婚出来ない……一族以外と結婚した母は……。
だから、一度も母の両親と会わなかったし、一度も母は両親の事を言わなかったのか。

「母は」
「美和子様は勘当されたが、青那家と再婚した事をどこからか聞かれたらしい」

父が亡くなり何もしなかった両親が娘がお金持ちと結婚したからと、会いに来たのか。
15年生きてきた僕は会ったこともない、普通なら会いに来るだろうなのに。

「それで、母は」
「それが、今は病院に居るっスよ」

黒崎さんの言葉に、軽く息を飲み木村さんを見つめる。

「……今もその、長瀬谷の人はいるんですか」
「……………応接室にいらっしゃーっ莉音様」
「黒崎、お前は後で説教だな」

スタスタと応接室に向かい、トントンッとドアをノックする。

「……はい」
「莉音です入っても宜しいですか」

ガタカタッと慌てた様に、井上欄さんがドアを開けて、廊下に出てくる。

「莉音様なんで…………」

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