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歩夢と夢と高瀬川
しおりを挟む「兄様ーっ」
「お兄様ーっ」
本屋の新刊売り場で試し読みをしていたら、どこか聞きなれた声と共に足元にギュッと抱き付かれる、うわっ運が悪いというより、どうしてこの二人がここにいるのだろう、いっちゃなんだがかなり世間知らずな箱入り娘と坊だ。
「誰ですか」
「お知り合いですか」
ザーッと青ざめる不味い、この足元に抱きついている双子がいるとなるとお目付け役もといい執事もいるはずだ。
「保さん達離れていて、声を出さないでっ」
「へっ、どうい」
「歩夢様、夢様ーっ勝手に行動しては成りませんあれほど言い聞かせていたのに、何故車から抜け出すなどしたのですかっ」
かなりの剣幕で双子を叱りつける男の前に出て制する、双子は泣きそうだ。
この双子は水無月歩夢と水無月夢双子で歩夢が
兄、妹が夢二人は今年から一年生に上がるつまり、今は長い春休み中。
幼等部から初等部の進学にはかなりの休み期間があるんだよね、少し羨ましいけど、その理由を知っていると羨ましいくないかも。
僕の大切な弟妹なんだ、けど今は不味い。
「そこまでにしてあげてよ」
「ーっっい、伊織様ーっご無事でーっ私達一同随分探したのですよ、ご友人の方やご学友の方々にも知らぬ存じずでもうっ、家出などもえお止めくださいーっ」
ギュッと両腕を捕まれ泣き付かれる。
正直ドン引きだけど、ちょっと嬉しく思っちゃう。
高瀬川は僕のお目付け役でもあったから、でも弟達が産まれて子育ての経験がある高瀬川は弟達の方に掛かり付けだったから。
「ねーやっぱりお兄様でしたでしょう」
「車にのるときに兄様がみえたのっ」
「そういう時は、私達にお声ください歩夢様、夢様はまだお小さいのですから、危のう御座います」
高瀬川のいうとおり、迂闊にも程がある。
僕は何度も誘拐されたから、この双子にはそんな経験をさせたくない。
「そうだね、夢は女の子だし歩夢もまだ小さいから二人で一緒にいても危険な事はかわりないんだよ」
ギュッと二人を抱き締める、僕の家出もこれで終わりだ。
高瀬川がいるのだから逃げられないし、逃げるものなら返り討ちにあうのをわかっているしね、本当に容赦ないからね。
「家に帰るよ」
ぎょっとした顔をする保さんと鷹松さんだけれど仕方ない、この二人と関係があると居られれば、この二人が匿っていたことになるからね、高瀬川が何をするか分からないしね。
莉桜
ぎょっとした顔をする保さんと鷹松さんだけれど仕方ない、この二人と関係があると居られれば、この二人が匿っていたことになるからね、高瀬川が何をするか分からないしね。
「どうするんですか」
「…どうするにも、」
電話をかける鷹松の顔は徐々に真っ青になっていく、保はタラタラッと汗を流す。
鷹松の表情で分かってしまう。
若頭は不機嫌だと、そしてそのとばっちりは自分達二人だ。
一方その頃僕はと言うと、部屋に監禁状態だ。
「兄様ーっだいじょうぶですかぁ」
「お兄様、げんきだしてっ」
部屋の外で可愛らしい声が聞こえる、部屋のドアを開けたいが、外側から鍵が掛かっており
開けられない。
普通ここまでするかなぁ、しないよね。
「申し訳ありません、莉桜様の指示でして」
莉桜…水無月莉桜は二十歳僕の兄様だ、莉桜兄様はかなりのブラコンだと思うんだよね、本当に過保護なんだよ。
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