異世界FIRE ―60歳まで冒険者は無理なので早期退職します―

のちのちザウルス

文字の大きさ
2 / 23

魔法学校の魔法は飾り

しおりを挟む
「今日はお金の授業をします!!!!」

教壇に立った若い男、先生が大きな声で言う。そんな声を出さずとも、彼のよく通る声は全員にしっかりと聞こえている。気持ちが高まるとついデカい声を出しちゃうんだ、とは彼の弁だ。

「将来お金持ちになりたい人!!!!」
「はあああああああい!!!!!」
「うわあああああああああ!!?!?」

先生がびっくりして飛び上がる。そして、2人の大きな声につられて教室の皆も飛び上がる。

「びっくりした!デカい声を出すんじゃない!!!」

お前もだよ、という生徒たちの心の声が聞こえてくるがさておき。皆も声の主にびっくりしていた。何故なら、あの大きな声で返事をしたのは女性。魔法学校の現在首席、エンであったからだ。



魔法学校。
大日本帝国において本年度より設立された組織である。

”1人1属性”が普通とされた現代において、大日本帝国の行政改革ギルド所属 ザザ・ナムルクルスが、実は他属性の魔法も習得することができるという世界的な大発見をした。ザザは魔法のスペシャリストでもなければ飛び抜けた魔法センスを持っているわけでもなく、彼が他属性魔法の習得方法を発見したのは全くの偶然である。
彼の物語については別の場所で語られているのでスルーするが、とにかく彼は日々の時間外業務を減らし、業務の無駄をなくし、不必要な会議をこの世から抹消する行政改革ギルドのエースであった。そのため、他属性の魔法を大日本帝国民が使えるようになれば効率化が進むと判断し、他属性魔法を得る方法を公開しようと学校を作るよう働きかけたのである。

今年はその魔法学校の第1期。開校してから半年が経過した。
設立後初めての授業は大変好評であった。これまでは1人1属性しか魔法が使えないという現実だったが、それは物の見事に打ち砕かれ、魔法に関して才覚のない者であっても僅かに他属性の魔法を発現させるに至ったのだ。中でも特に目覚ましい能力の開眼を見せたのが、先に大声をあげて皆の寿命を1年縮めた女性、エンなのである。

世界には火・水・風・土・光・闇、そして上位の時と空間という属性魔法が存在する。まあ、よくありふれたやつだ。エンの得意は光魔法であり、コイツは主に夜トイレに行く時に重宝する。そんな彼女が他に発現、使いこなしたのが火、水、風魔法である。例えば、他の者はようやく他属性魔法の初歩の初歩、火属性ならライターレベルの火を出している頃、エンは炎の竜巻を作り出して水で消火する技をやってのけた。魔法学校設立1年目にしていきなり4属性の魔法をマスターするに至った彼女は天才と呼ばれ――。

「お金持ちになりたあああああああい!!!!!」

――現在、お金持ちになりたがっている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...