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俺たちの火魔法 ”FIRE” 9
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生徒たちが目標を語り終え、教室内の空気は非常に良い感じになっていた。これは非常に良い傾向であり、彼らがFIREを目指すという気持ちに火が点いた、あるいは点き始めたと言っても過言ではないだろう。ここから一気に彼らの心をFIRE一色にしたいところではあるが。
「よし。これでまだ目標が書けていない人も、なんとなくFIRE達成後のビジョンが見えてきたんじゃないかな?FIREっていうのは、本当に自由で素晴らしいものなんだ!誰に何を言われても関係ないし、自分のやりたいことをやりたいだけ出来るんだ!勿論金銭的限界は存在するけど、例えば配当金収入だけでFIREを達成した人なら平均で1億バルクくらいの資産を所持しているから、その中で十分やりくりできると思う」
『『『1億バルク!?』』』
『そ、そんなに!?』
『俺たちが億万長者ってこと……?』
どよどよと動揺が教室に伝播する。それをキョトンとした顔で見つめるザザ。
「え?なんだ、皆まだイマイチ分かってないのか。FIREを達成する人なら1億バルク近く持ってるはずだよ。もし全員がFIREを目指すんだとしたら、ここの教室にいる人みんなが将来的に1億バルク以上を持つ小金持ちになってるはずさ」
場の空気も温まっていることだし、今なら良い流れを作ることが出来るに違いない。ある程度の確信を持ったザザだが、流れを作るには先導役が必要だ。先導役がいれば、後続の連中も後ろをついていきやすくなる。後はそれを誰に任せるかだが……。
「……エンさんなら、FIREを達成する人なら1億バルク持ってるって理屈も分かるよね?説明できる?」
「任せて下さい!!」
元気よく学校一の才女が立ち上がる。その目は爛々と輝いており、もう話したくて話したくて仕方がないのが文字通り目に見えて分かる。彼女にここの生徒の命運を託すには若過ぎる気もするが、時に若さと情熱はすべてを凌駕するのだ。
「まず、一般的な家庭の月間支出額は、様々な統計調査の結果33万バルク程度とされています。すると、1年間あたりでは33万×12ヶ月で約400万バルクの支出が発生します。すなわち、年間400万バルクを不労所得で賄うことができれば良いわけですね。
いわゆる高配当株やインデックス投資を行った場合の期待リターンとして投資額の4%が見込まれるとすれば、年間400万バルクを受け取るのに必要な金額は1億バルクとなります。“1億バルクの株式配当金”の4%が400万バルクということですね。したがって、”自分の資産を取り崩すことなくFIREするには”おおよそ1億バルクあればいいということになりますし、逆説的にFIREを達成した人なら1億バルク程度持っていても不思議はないと判断できます」
「うん、その通り!」
ニコニコしながらエンは着席。だが、ほぼ模範解答のような答えに満足する教師と、話についていけないそれ以外の生徒で2極化してしまった。話をすっと飲み込むことが出来なかった生徒たちは『え?俺が1億バルク?』みたいな顔をして沈黙している。
「あらら。みんなが口をパクパクさせるだけの金魚になっちゃったけど……まあとにかくそういうこと。一生配当金収入だけで暮らすようなFIREを達成するには、1億バルク近い資産が必要になるんだ。1億バルクはすごいぞ。生活費は配当金なんかの不労所得で賄える上、FIRE達成してるなら手元に1億バルクがあるのとほぼ同じってことだからな。ね?これだけお金があればなんでもできそうな気がするでしょ?」
『い、1億バルク……』というぼそぼそとした声がまだ聞こえてくる。月々のおこづかいが1万バルクの彼らにとって、1億というお金はあまりに馴染みがないのだから無理もない。ザザはくすりと笑って続ける。
「1億もあれば、当然会社なんか行かなくていいよな!」
『『『!!!』』』
「ちっちゃい孤児院くらいなら余裕で建てられるし」
「!!」
「ゲーム配信用の機材だって買い放題」
「!!!」
「田舎に家を買って、屋根に太陽光パネルを付けて、上水用の配管工事をして、畑用の土地を買って、畜産用の家畜を買ってもまだ余るかもな」
「!!!!」
「……な?これがFIREだ。お前たちがこんなにも楽しいことをしてる間、FIREしてないお前たちの周りの連中は、朝から晩までずっと汗水垂らして働く生活を続けてるんだ。どう?ますますFIREに挑戦したくなってきただろ?」
『『『はい!!!!!』』』
今日一番の喜びに満ちた声が揃って教室に響く。そう、これが将来の夢を描くということだ。未来に希望を感じるということだ。そしてそれは、今を強く生きるという強いモチベーションになるのだ。
「それじゃあいよいよ、具体的にどうやってFIREするかの計画を立てていこうか」
「よし。これでまだ目標が書けていない人も、なんとなくFIRE達成後のビジョンが見えてきたんじゃないかな?FIREっていうのは、本当に自由で素晴らしいものなんだ!誰に何を言われても関係ないし、自分のやりたいことをやりたいだけ出来るんだ!勿論金銭的限界は存在するけど、例えば配当金収入だけでFIREを達成した人なら平均で1億バルクくらいの資産を所持しているから、その中で十分やりくりできると思う」
『『『1億バルク!?』』』
『そ、そんなに!?』
『俺たちが億万長者ってこと……?』
どよどよと動揺が教室に伝播する。それをキョトンとした顔で見つめるザザ。
「え?なんだ、皆まだイマイチ分かってないのか。FIREを達成する人なら1億バルク近く持ってるはずだよ。もし全員がFIREを目指すんだとしたら、ここの教室にいる人みんなが将来的に1億バルク以上を持つ小金持ちになってるはずさ」
場の空気も温まっていることだし、今なら良い流れを作ることが出来るに違いない。ある程度の確信を持ったザザだが、流れを作るには先導役が必要だ。先導役がいれば、後続の連中も後ろをついていきやすくなる。後はそれを誰に任せるかだが……。
「……エンさんなら、FIREを達成する人なら1億バルク持ってるって理屈も分かるよね?説明できる?」
「任せて下さい!!」
元気よく学校一の才女が立ち上がる。その目は爛々と輝いており、もう話したくて話したくて仕方がないのが文字通り目に見えて分かる。彼女にここの生徒の命運を託すには若過ぎる気もするが、時に若さと情熱はすべてを凌駕するのだ。
「まず、一般的な家庭の月間支出額は、様々な統計調査の結果33万バルク程度とされています。すると、1年間あたりでは33万×12ヶ月で約400万バルクの支出が発生します。すなわち、年間400万バルクを不労所得で賄うことができれば良いわけですね。
いわゆる高配当株やインデックス投資を行った場合の期待リターンとして投資額の4%が見込まれるとすれば、年間400万バルクを受け取るのに必要な金額は1億バルクとなります。“1億バルクの株式配当金”の4%が400万バルクということですね。したがって、”自分の資産を取り崩すことなくFIREするには”おおよそ1億バルクあればいいということになりますし、逆説的にFIREを達成した人なら1億バルク程度持っていても不思議はないと判断できます」
「うん、その通り!」
ニコニコしながらエンは着席。だが、ほぼ模範解答のような答えに満足する教師と、話についていけないそれ以外の生徒で2極化してしまった。話をすっと飲み込むことが出来なかった生徒たちは『え?俺が1億バルク?』みたいな顔をして沈黙している。
「あらら。みんなが口をパクパクさせるだけの金魚になっちゃったけど……まあとにかくそういうこと。一生配当金収入だけで暮らすようなFIREを達成するには、1億バルク近い資産が必要になるんだ。1億バルクはすごいぞ。生活費は配当金なんかの不労所得で賄える上、FIRE達成してるなら手元に1億バルクがあるのとほぼ同じってことだからな。ね?これだけお金があればなんでもできそうな気がするでしょ?」
『い、1億バルク……』というぼそぼそとした声がまだ聞こえてくる。月々のおこづかいが1万バルクの彼らにとって、1億というお金はあまりに馴染みがないのだから無理もない。ザザはくすりと笑って続ける。
「1億もあれば、当然会社なんか行かなくていいよな!」
『『『!!!』』』
「ちっちゃい孤児院くらいなら余裕で建てられるし」
「!!」
「ゲーム配信用の機材だって買い放題」
「!!!」
「田舎に家を買って、屋根に太陽光パネルを付けて、上水用の配管工事をして、畑用の土地を買って、畜産用の家畜を買ってもまだ余るかもな」
「!!!!」
「……な?これがFIREだ。お前たちがこんなにも楽しいことをしてる間、FIREしてないお前たちの周りの連中は、朝から晩までずっと汗水垂らして働く生活を続けてるんだ。どう?ますますFIREに挑戦したくなってきただろ?」
『『『はい!!!!!』』』
今日一番の喜びに満ちた声が揃って教室に響く。そう、これが将来の夢を描くということだ。未来に希望を感じるということだ。そしてそれは、今を強く生きるという強いモチベーションになるのだ。
「それじゃあいよいよ、具体的にどうやってFIREするかの計画を立てていこうか」
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